2016年11月20日日曜日

土地収用法の沿革と検索


法令や文献についてのお尋ねで
意外と多いな,と感じるものの中に
「 土地収用法 」旧法令
コンメンタール など についての
質問があります。

そこで,今回は
土地収用法の沿革等 について
ざっくりと書いてみました。

情報源としての文献

★ 逐条解説 土地収用法(上・下) 第三次改訂版 小澤道一 著 ぎょうせい 2012年6月

を,主な参考資料とし
『 日本法令索引 』
『日本法令索引〔 明治前期編 〕』
『法令データ提供システム』
『国立公文書館デジタルアーカイブ』
『衆議院 制定法律』 等

適宜,参考にしました。

(アクセス日:平成28年11月20日)

『 逐条解説 土地収用法 』
土地収用法のコンメンタール
判例,裁決例等 の他
行政解答等も盛り込んだ
逐条解説の他に,立法の沿革
明治期の旧土地収用法
( 明治22,33年改正 ) 等の法文

登載された,質・量ともに
優れたコンメンタールです。


◆ 土地収用法における立法の沿革

寛永20年(1643年)3月
江戸幕府によって出された
「 田畑永代売買禁止令 」

明治5年2月15日太政官布告第50号

もって解除され
土地の所有権・所持権を
“ 期限を定めず ”に
売買が認められました。

そして
明治5年2月24日大蔵省布達第25号
より
「地所売買譲渡ニ付地券渡方規則」
制定され
土地所有権の移転をする場合の立証は
地券の交付によることとなりました。

このような
土地所有権が確立されると
公用のために
強制的に取得することが
必要となる場合に備えて
明治5年9月大蔵省布達第126号
“ 地券渡方規則 ” を改め
「御用ノ節」 は
土地を強制取得が可能
となる
ことを規定しました。

一方
補償 については
土地の場合
「 地券ニ記セル代価 」
と定めました。

さらに
明治5年10月大蔵省布達第159号
より
先の大蔵省布達第126号で改めた
第20条本文に
但書が追加され
建物等 に対して
「 相当ノ手当 」
補償すべきことを定めました。


明治8年7月28日太政官達第132号
「公用土地買上規則」
制定されたことから
“ 地券渡方規則第20条 ”は廃止。

この
「公用土地買上規則」 には
・ 公用土地買上の目的
・ 買上げることのできる主体及び事業
・ 買上げの目的物
・ 買上げの要件
・ 買上げの決定権者
・ 買上げの決定手続
・ 買上げに伴う補償

が規定され
前記のとおり
近代的土地収用制度の要素を
初めて体系的に規定した法令です。


明治22年2月11日
「大日本帝国憲法」 の公布にともない
その約5か月後の
明治22年7月30日法律第19号 により
「公用土地買上規則」を廃止し
新たに
プロシア土地収用法を継受した
「土地収用法」 が公布されました。

第1章 総則
第2章 土地収用ノ手続
第3章 損失補償
第4章 土地収用審査委員会
第5章 雑則

で,構成され
「公用土地買上規則」 と比べ
格段に整備された法律

なりました。

さらに翌年には
明治23年7月25日法律第54号 により
「土地収用協議会規則」
制定されました。

この規定は

収用工事の認定を得た起業者が
土地所有者及び関係人と協議し
協議が不調に終わった場合は
土地収用審査委員会の裁決を
求めることができる。


とする,
第8条の協議について
その遂行の促進を図ろうとした
規定
です。


明治33年3月7日法律第29号 により
“ 前・土地収用法 ” 及び
「土地収用協議会規則」は廃止され
新しい 「 土地収用法 」 が制定され
“ 前・土地収用法 ” と比較して
10章82条からなり
より精緻な規定 になりました。

本法制定には
明治29年4月27日法律第89号 により
「 民法 」
制定されたことにともない
民法との調和・整合性を図ることが
必要であったことも
制定理由の一つでした。


ここで
公布日についての注意です。
当該コンメンタール及び
日本法令索引では
公布日が
明治33年3月7日
ですが
原本では
明治33年3月6日
になっています。

こういったように
日本国憲法施行前の法令
正本に記された署名日と
官報での公布日が異なる
ものは
官報での公布日で表記 されます。

土地収用法制定従前ノ土地収用法
土地収用協議会規則及
明治三十二年法律第七十二号
( 権利収用ニ関スル権 )廃止
御署名原本
明治三十三年 法律第二十九号

『国立公文書館デジタルアーカイブ』


土地収用法
(明治33年3月7日法律第29号)

『日本法令索引 国立国会図書館』



話を戻して
戦後
昭和21年11月3日
「日本国憲法」 の公布を受けて
土地収用制度も
官憲的なものから,民主的なものに
改める必要があったことから
昭和26年6月9日法律第219号 により
“ 前の土地収用法 ” を廃止し
新たな「 土地収用法 」
制定しました。

新法は
民主的なものへと
改良がなされてはいるものの
その基本構造は
旧法を踏襲したものです。

その後は
・ 昭和28年8月12日法律第199号
〔 第1次改正 〕
・ 昭和31年5月14日法律第103号
〔 第2次改正 〕
・ 昭和42年7月21日法律第74号
〔 第3次改正 〕
・ 平成13年7月11日号外法律第103号
〔 第4次改正 〕


と,社会情勢の変化にともない
その必要性から
大きな改正を経て
現在に至っています。

最終改正:
平成26年6月18日号外法律第72号
(平成28年11月20日 現在)

● 法令データ提供システム(総務省) - 土地収用法(現行法)


★ 日本法令索引
原則として
明治19年2月公文式施行以降の
省令以上の法令
について
制定・改廃経過等の
情報を検索できるデータベース。
また
帝国議会及び
国会に提出された法律案や
国会に提出された
条約承認案件等の
審議経過等も検索できます。


さらに
関連情報へのリンク で

国立公文書館デジタルアーカイブ
国立国会図書館デジタルコレクション


で,当時の官報等が
デジタル画像で閲覧することが
できるものもあり

・ 総務省 法令データ提供システム
(現行法)
・ 衆議院 制定法律
(制定時の法律)
・ 法務省 日本法令外国語訳
データベースシステム


で,現行法,制定法及び
日本法令の英訳を閲覧
できるものもあります。


※ 参考として
こちらのサイトでも
本文を見ることができます。


● 公用土地買上規則
明治8年7月28日太政官達第132号
- japan.road.jp

トップ
> 道路法令集
> 道路法令集 Do Law 
> 明治元年~18年
> 明治八年 公用土地買上規則

● 土地収用法 (明治22年)
明治22年7月30日法律第19号
- japan.road.jp

トップ
> 道路法令集
> 道路法令集 Do Law 
> 明治18年~45年
> 明治二十二年 土地収用法

● 土地収用協議会規則
明治23年7月25日法律第54号
- japan.road.jp


● 土地収用法 (明治33年)
明治33年3月6日法律第29号
- japan.road.jp


● 土地収用法 (昭和26年)
昭和26年6月9日法律第219号
- japan.road.jp

トップ
> 道路法令集
> 道路法令集 Do Law
> 昭和元年~64年
> 昭和二十六年 土地収用法


▼ 道路法令集 - japan.road.jp
http://japan.road.jp/Law/Law.htm

▼ トップページ
japan.road.jp
~The Long and Winding Road~
- 松波成行

http://japan.road.jp/


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

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