2017年2月10日金曜日

第一審 民事判決書の構造


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最高裁判所は
法令違反の有無を判断する
法律審です。
事実の審理は
原則として行いません。

一方
第一審,控訴審は
事実認定と法律適用について
審理を行う
事実審です。

そのため
判決文の記載が異なります。

最高裁判所判例集 には
最後の項目で
事実審の詳細がわかるように
参照 として
第一審,控訴審の
判決を掲載
しています。

それらの構造を
説明する前に
まず
民事訴訟 の場合
判決書に記載すべき事項
民事訴訟法253条 により
① 主文
② 事実
③ 理由
④ 口頭弁論の終結の日
⑤ 当事者及び法定代理人
⑥ 裁判所

です。
⑥の裁判所には
裁判官名も含みます。

その他には
◇ 事件番号
◇ 事件名
◇ 表題( 「判決」など )
◇ 各当事者の訴訟代理人
◇ 送達場所

も記載されます。


判決書の形式
については
民事訴訟 の場合
平成2年1月に
新様式が公表されて以降
その形式に
旧様式新様式
とがあります。


では
最高裁判所判例集
参照項目 から
民事訴訟の第一審 の
記載について見ていきます。

事件名,当事者,訴訟代理人
最初に記載がありますので
参照項目では省略されています。
また
送達場所はもちろん
下級審の事件番号,表題
省略されています。

まず
◆ 口頭弁論終結の日
とあります。
これは
平成10年施行の
民事訴訟法改正で
新たに記載事項 とされました。

事実審において
口頭弁論終結日
判決確定により生ずる
既判力の基準時を
明確にするため

記載します。

口頭弁論終結日
控訴の場合
強制執行に対する
請求異議の訴え
( 民事執行法35条2項 )
辺りとも絡みますので
重要な意味をもちます

◆ 主文
訴えに対する応答として
判断の結論が
完全かつ簡潔に
記載されています。

民事判決書起案の際
連帯債務の場合の
書き方については
議論あるところですが

裁判官や学者でなければ
起案作成や研究は
しないと思いますし
また
ロースクール生の場合は
司法研修所 編
『 民事判決起案の手引き 』
法曹会 10訂版 平成18年

などで
勉強すると思いますので
詳細はそちらを
参考にしてください。

◆ 事実及び理由
旧様式
事実理由 に分け
事実 の欄に
第1 当事者の求めた裁判
・1 請求の趣旨
・2 請求の趣旨に対する答弁
第2 当事者の主張
・1 請求原因
・2 請求原因に対する諾否
・3 抗弁
・4 抗弁に対する諾否
・5 再抗弁
・6 再抗弁に対する諾否

の順で記載し
次に
第3 証拠
・1 原告
・2 被告
・3 職権

の順で記載される
といったように
「 事項別交互適示 」形式
なっています。

次の項目の
理由
において
提出された事実の
一つ一つに対して
丁寧に判断を
重ねて加えられて
主文たる結論を導き出した
判断が記載されます。


新様式 では
事実及び理由
として
合わせた項目に
なっています。

項目の内容
◆ 請求

その他には
・原告の請求
・請求の趣旨

といったように
記載はまちまちです。

旧様式にあった
・訴訟費用負担の申立
・仮執行宣言の申立
・請求の趣旨に対する答弁

の記載については
省略されています。

◆ 事案の概要
基本型の構成は
▼ 争いのない事実
▼ 争点
の二項目からなります。

しかし
事案によってはまちまちで
二項目に分けられていない
記載もあり
一方または双方とも記載のない
変形型のもあります。

▼ 争いのない事実
当事者の一方が
主張した事実に対し
相手方が
その存在を認めた事実です。

この態様には
二種類あり
主張事実を認める
● 自白
相手方の主張事実を争うことを
明らかにしない場合は
その事実を自白したものとみなす
● 擬制自白 ( 民事訴訟法159条1項 )
があります。

裁判所では
弁論主義 のもと
当事者間で争いのない主要事実
については
証拠によって認定する必要はなく
自白した事実に反する
事実認定もできません。
( 民事訴訟法179条 )
なお
主要事実 とは
構成要件に該当する事実
( 要件事実 ) です。

▼ 争点
原告の主張( 請求原因事実 )
に対し
被告が争うか否かの認否を
明らかにし
さらに
抗弁事由があれば
それを主張します。
それらは
訴状,答弁書,準備書面によって
言い分を主張します。
こういった応報の過程を経て
争いのある事実を絞り込み
争点とします。
争点
裁判の対象を判断するにあたり
重要な部分となります。

◆ 争点に対する判断
新様式の判決書では
争点に対する判断の記載が
判決書の中心 となります。

中心となる争点 については
認定した事実と
それに関連する
具体的証拠との結びつきを
明確に判断した上で
丁寧に記載されます。

判決にあたって
裁判所は
自由な心証に基づき
事実認定します

( 民事訴訟法247条 )
その場合
当事者の陳述内容
及び
主張や証拠提出の態様などの
口頭弁論の全趣旨
並びに
証拠調べの結果を
を酌み取って判断されます。

争点に対する判断の
記載
については。
①・・・
最初に認定事実を一括して
記載したあとに
各争点について判断する方法。

②・・・
争点ごとに
関係する認定事実と
それに基づく判断を
まとめて記載する方法。

があります。

◆ 裁判所名
裁判をした裁判所名が
記載されます。

裁判官の個別の意見 については
下級審の場合
地裁で裁判官が
単独で行う裁判においては
その裁判官の意見であることは
明らかです。
一方
地裁や高裁の
合議体でする裁判では
事件の結論や理由付けで
意見が割れた場合は
過半数により決定されます。
( 裁判所法77条 )
裁判官の意見が割れたかどうか
誰がどういった意見だったのかは
秘密とされています。
( 裁判所法77条 )
ここは最高裁の裁判と異なります。

最高裁判所判例集の
参照項目には
下級審の裁判官名は
省略されています。



~ 参考文献 ~

「 民事判決書の新しい様式について 」
大阪高・地裁民事判決書改善委員会,東京高・地裁民事判決書改善委員会
『 判例タイムズ 』 715号 1990.2.25 4 - 35頁

「 民事判決書の新しい様式をめぐって( 座談会 ) 」
出席者: 鈴木正裕,島田禮介,鈴木重勝,那須弘平,萩原金美,涌井紀夫
『 ジュリスト 』 958号 1990.6.15 15 - 36頁

民事判決起案の手引 10訂版 司法研修所 編 / 法曹会 2006.10

新問題研究 要件事実 司法研修所 編 / 法曹会 2011.9

判例学習のAtoZ 池田眞朗 編著 / 有斐閣 2010.10

法律文献学入門 - 法令・判例・文献の調べ方 西野喜一 著 / 成文堂 2002.7


以上

読んでいただき
ありがとうございました。




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