2022年9月11日日曜日

条約の検索と条約データベースの活用方法

法情報検索 各論 2 条約検索 1

条約データベースの活用方法

今回は
条約資料データのサイト
ご案内します。

条約の検索は先出の

条約データ検索 - 外務省

条約 - 国会提出条約・法律案 - 外務省

他に
内閣法制局最近の法律・条約 からも
「 公布条約一覧 」( 条約名のみ )及び
「 提出条約一覧 」( 条約案と提出理由 )を
見ることができます。

最近の法律・条約 - 内閣法制局


日本が未批准の国際条約 についての
検索については
検索サイトではありませんが
2013年3月に
国立国会図書館調査及び立法考査局 が
作成した
2013年1月現在の
日本が未批准の国際条約 について
条約発効日,締約国数,
英文/邦訳テキストの出典,
未批准の理由等
が記載されている
資料があります。

わが国が未批准の国際条約一覧 - PDF


条約データベースの使用にあたり
知っておかなければならない知識として
次のような質問がよくあります。

「 ワシントン条約 」
「 ラムサール条約 」
入力しても
該当なしとなるのはなぜか?

条約名を入力するボックスには
条約名
入力したキーワードを名称
または略称に含む条約を検索します。

とあります。

これは
「 ワシントン条約 」
「 ラムサール条約 」
正式名称でも略称でもなく
通称 ですのでヒットしません。

Googleなどで
ワシントン条約 を検索すれば
正式名称が出ます。

それをコピーして
条約データ検索で条約名を入力すると
該当の条約が出るので
条約名のリンクから全文を
見ることができます。

先頭へ


こうした方法もありますが

この外務省のホームページをはじめ
各行政機関のホームページの右上に
検索窓
があります。

行政機関のホームページは
入り組んでいるので
この
検索窓に目的の語句を入力 すれば
その入力語句に関連する事項が
重み順
リストアップされますので便利です。

外務省の場合は
先ほどのように通称名を入力すると
大抵トップに
その条約の締結経緯や
目的のページが出ます。

そのページから
全文リンクがあるものもありますが
リンクのないものは
正式名称をコピーして
条約データベース
検索ボックスに貼付けて
本文を確認しなければなりません。

先頭へ


簡易な検索方法としては
Google
ワシントン条約 全文 go.jp
入力すると
ワシントン条約 全文 に関連する
日本の政府機関のサイトが出ます。

go.jp
日本国の政府機関,独立行政法人,
特殊法人のドメイン
なので
そこのサイトに絞ることができます。

ただしこの場合も
うまくヒットしなければ
条約データベース からの
検索法が無難でしょう。


条約データベースの収録範囲
官報および外務省が
暦年発行している条約集をもとに
現行の国会承認条約等
掲載したものなので
『 行政取極 』 については
カバーしていません。


そこで先程紹介した
検索窓を使うと
『 行政取極 』 についての
概要と本文
検索することができます。

例えば
『 日印防衛装備品・技術移転協定 』
および
『 日印秘密軍事情報保護協定 』の
本文
について調べたい場合
条約データベース で検索しても
ヒットしません。

そこで
右上の検索窓にそれらの語句
入力すると
平成27年12月12日の報道発表として
それらの
概要 と協定の 本文
PDFで見ることができます。

また先程の
Google から
go.jp で絞っての
検索方法もあります。

先頭へ


これらを官報で検索してみると

平成28年3月28日月曜日に
『 日印防衛装備品・技術移転協定 』
本紙 第6743号 外務省告示 第81号

『 日印秘密軍事情報保護協定 』
については
号外 第292号 外務省告示 第447号
それぞれ告示されています。

これらは
外務省告示 によるものですから,
『 行政取極 』 です。
従って
「 条約データベース 」 に
収録はありません。


このように外務省に限らず
各省庁のデータベースにおいても
所管法令・通達などが見当たらない

といった場合には
『 検索窓 』 による検索方法や
Google から
go.jp で絞る方法で
効率よく検索しましょう。


先頭へ



以上
読んでいただき
ありがとうございました。




2022年9月10日土曜日

条約とは何か
国会承認条約と行政取極

条約の概要

~ 主要リンク ~
条約データ検索 - 外務省

国会提出条約・法律案 - 条約


条約 とは
国の間において
文書の形式により締結され
国際法によって規律される
国際的な合意
です。
( ウィーン条約法条約2条1項a号 )

「 条約 」 という名称に限らず
憲章,協約,協定,議定書,規約,
規程,取極 などの名称のものを
含みますが
名称が異なるだけで
法的効力に差はありません。

条約は 広い意味
国家間における法的な合意文書
言います。

条約が形成されるため条件は
4つあります。


1 国家 または 国際機構 といった
  当事者に条約締結能力があること。

2 国家元首,政府の長,大臣,
  外交使節団など,国内法上
  条約締結者に正式な資格があること。

3 条約締結国間に合意があること。
  錯誤や脅迫などといった
  状況下でないこと。

4 条約の目的と内容が
  正当であること。
  国際法に準拠していること。

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条約の締結プロセス
次の通りです。

交渉 > 採択 > 確定
> 同意の表明 > 同意の承認
> 文書の交換・寄託 > 発行


◆ 採択
条約の形式と内容を
定めるための手続きです。
全会一致または多数決によります。

◆ 確定
条約が規定する内容を
最終的なものとして
決定することです。
これ以降の条約文の修正は
認められません。

◆ 同意の表明
条約内容に対する
同意の意思表明を表します。
同意の表明は署名が一般的です。
署名の場合
条約に拘束されることを
示すものではありません。
ただし
条約に「 略式条約 」
関する規定がある場合は
この時点で成立 します。
( ウィーン条約法条約12条 )

◆ 同意の承認
( 国会承認条約の場合は国会提出 )

〈 憲法 第73条3項 〉
同意の承認は
国家が条約に拘束されることを
国内で同意することの確認です。

同意の承認には
批准,受諾,加入の方法が
あります。

このうち 批准
署名された条約に拘束されることを
国家が最終的に決定するものです。


批准の手続き
議会の承認
( 憲法 第73条3項 )

天皇による認証
( 憲法 第7条8号 )
を経る
というように厳格に行われます。
そのため
人権や核に関するものなど
重要な条約は
批准によらなければならない
としているものが多くあります。

◆ 文書( 批准書など )
交換
( 二国間条約 )
寄託
( 多国間条約 )

国際的に同意することへの
最終的な意思表示です。
( ウィーン条約法条約16条 )

◆ 発効
当事国間において
条約内容に法的拘束力が生じます。

一般的な条約の発効時点は
次の通りです。


 二国間条約においては
  文書の交換等
  多国間条約においては
  文書の寄託の時。
( ウィーン条約法条約16条 )

 別段定めや合意がない時は
  国家の合意が
  確定的に付与された時。
( ウィーン条約法条約24条 )

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広義の意味での 条約
国際約束 といわれ
「 憲法 第73条3項 」 により
国会の承認 を必要とする
『 国会承認条約 』

「 憲法 第73条2項 」により
外交関係処理として
内閣の権限内として締結
する
『 行政取極 』
大別されます。

『 国会承認条約 』
『 行政取極 』
区別の基準として
大平正芳 外務大臣の答弁
(昭和49年当時)があります。
この答弁は
『 大平三原則 』
称されています。

この原則によると
国会承認を得なければならない条約 とは
次の 3つのカテゴリーを含むものです。

1 法律事項を含む条約

2 財政事項を含む条約

3 批准を発効要件とする
  政治的に重要な条約


『 行政取極 』 は総称であり
「 取極 」,「 協定 」,
「 交換公文 」などといった
文書名なっています。

国会承認条約ではない
『 行政取極 』
公布されませんが
『 外務省告示 』 として
官報に掲載
されます。
ただし
外国語文は併載されません。

条約の附属書 については
官報には公布されません

外務省Webサイト
『 条約データ検索 』 から
検索すると
条約文が PDFデータで
入っているので
附属書を含めた全文を
見ることができます。


条約データ検索 - 外務省

条約 - 国会提出条約・法律案


先頭へ


以上
読んでいただき
ありがとうございました。