2022年11月30日水曜日

弁護士,裁判官,司法試験合格者等の検索

法情報検索 各論 5 人物 1

裁判官検索

弁護士検索


司法試験合格者
司法修習修了者
および
検事二級( 東京地方検察庁検事 )
判事補の任官者
問い合わせが多くあります。

それらについて
無料の官報閲覧サービス
検索する場合は

官報 インターネット版
- 国立印刷局


官報検索!
- 官報を全文検索できる無料サービス


などのWebサイトがありますが
閲覧ができるのは
直近30日間分 のみですので
公表時期を見計らって
検索するとよいでしょう。

“近年の概ねの”
公表時期は次の通りです。


● 司法試験合格者
概ね
9月末から10月初めに公表。

● 司法修習生の修習を終えた者
概ね
1月初旬から中旬に公表。

● 判事補任命
概ね
1月中旬に公表。

● 検事二級
( 東京地方検察庁検事 )任命

概ね
12月末から1月初めに公表。

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有料の
『 官報情報検索サービス 』 ならば
日付を設定して
検索キーワードに姓名を入力するなどの
検索方法があります。


オーソドックスな調査法
紙媒体の官報を官報販売所で購入するか
図書館 を利用して
紙媒体の官報に当たるか
「官報情報検索サービス」の
契約があれば
そちらを利用するとよいでしょう。


国家試験合格者 について
官報公告される試験 については
法令にその旨の記載 がされています。

例えば
司法試験法施行規則 第6条
弁理士法施行規則 第11条
税理士法施行規則 第7条
などには
氏名を官報で公告
とあります。

また
社会保険労務士法施行規則 第8条
情報処理の促進に関する法律施行規則
第8条2項 など では
受験番号を官報に公告(公示)
とあります。

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弁護士登録の有無 については
官報ではなく
日本弁護士連合会の弁護士検索
『 弁護士情報提供サービス ひまわりサーチ 』
にて確認してください。

▲ 弁護士情報提供サービス
- ひまわりサーチ( 日本弁護士連合会 )

https://www.bengoshikai.jp/


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裁判官の検索 については
次のサイトから
裁判官名,所属,異動履歴
その他に
退官した裁判官 についても
検索ができますので
ご案内します。

▲ 裁判官検索 - 新日本法規WEBサイト
https://www.sn-hoki.co.jp/judge_list/

また
裁判所のWEBサイトでも
東京地裁 および 東京簡裁 における
公開裁判を開廷する曜日と使用法廷
および
担当裁判官名 が掲載されています。

▲ 担当裁判官一覧 - 裁判所
http://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/tanto/index.html

▲ 東京簡易裁判所 担当裁判官一覧 - 裁判所
http://www.courts.go.jp/tokyo-s/saiban/tanto/kani_tanto/index.html

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そのほか
司法書士,弁理士,税理士 等の
登録についての検索

Link【立法関係,官報,弁護士等,試験,大学院,求人 等】
- 弁護士・裁判官 等 検索

リンクを張りましたので
そちらもご利用ください。

Link【立法関係,官報,弁護士等,試験,大学院,求人 等】
- 弁護士・裁判官 等 検索

https://kissysuzuki007.blogspot.jp/p/blog-page_3.html


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冊子体 で探す場合は
弁護士であれば
『 全国弁護士大観 』

裁判官であれば
公人社 から出版の
『 全裁判官経歴総覧 』
定番でしょう。

ただし
『 全国弁護士大観 』
以前は 法律新聞社 から
出版されていましたが
2020年11月30日付で
自己破産の準備に入ったとの
報道がありました。

法律新聞社が自己破産申請へ
「全国弁護士大観」など出版
- 弁護士ドットコムタイムズ

( 閲覧日 2022.11.30 )

現在は アシストワークス
販売を引き継いでいるようです。
( 2022.11.30 時点 )

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『 全裁判官経歴総覧 』 については
2010年の第5版
『 全裁判官経歴総覧 期別異動一覧編 』
最後に出版が止まっています。

なお
『 全裁判官経歴総覧 』
1998年第3版 では
第1分冊
「 期別異動一覧編 」
第2分冊
「 関与判例・著作編 」
2分冊になっていましたが

第4版 第5版 では
「 期別異動一覧編 」のみ
出版されています。

その他には
裁判官の人物評が発刊当時話題を呼んだ
『 裁判官 Who's Who 』という本も
池添徳明 著
『裁判官Who's Who』刊行委員会 編 で
現代人文社 から出版されていました。

このシリーズは
『 東京地裁・高裁編 』
続編の
『 首都圏編 』
2冊が出版されましたが
以後続刊,改訂がないのが残念です。


先頭へ


以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2022年11月29日火曜日

司法試験受験界の隠語

用語の話 2 司法試験受験界の隠語


「 法律文献・法令名の略称 」 の回で述べた
法律編集者懇話会 で検討された
法律文献等の出典の表示方法
基づいた略称は 公式に近い基準 です。

翻って
公式的ではない
司法試験受験界の隠語 があります。

隠語 とは
その集団の仲間内で通用する
専門用語です。

有名な例を挙げると
刑事 = デカ
これは明治時代の頃の刑事が
「 角袖 」を着ていたためで
「 カクゾデ 」を縮めて
逆さに読んで「 デカ 」となり
犯罪者連中から
そう呼ばれていたという 隠語 です。

他の業界用語でも
六本木 = ギロッポン とか
何かと逆さにしますよね!

それから各業界で
セールスマン が使う
てんぷらする ” という用語があります。
これは
架空の契約
取り消す目的の契約 のことで
“ でっちあげる ” ことから
“ てんぷら ” になったと言われます。

その他には
タクシー業界大日本帝国 といえば
大手の 大和,日本交通,帝都,国際
意味します。

大学入試に携わる
予備校や受験雑誌等の業界ならば
GMARCH ,成成明学獨國武,日東駒専 ,
大東亜帝国,関東上流江戸桜,
関関同立,産近甲龍,摂神追桃
など
といった
隠語 があることは
もうお馴染みですよね。

そこに入る大学名や
分類のしかたについては
多様な意見があり
議論に際限がないので
ここでは触れません。


では本題の
司法試験受験界の隠語 に入る前に
日常,法律に携わっている業界でも
異なる世界があるということを
簡単にお話ししましょう

法律に携わる者の世界には
三つの世界があると言われています。

一つ目
裁判官,検察官,弁護士や
役所,企業の法務部などの
法律をツールとして日常扱っている
実務 の世界

二つ目
法律を学問として研究している
アカデミックな 学術 の世界

三つ目
特に司法試験に合格するために
構築された方法論を探究する
司法試験受験 の世界です。

例えば
“A” という考え方が
判例も固まっていて
実務でも主流の考えである。

一方
学説では古典的な “A” 説よりも
“B” という考え方が論理性に優れ
現在は主流で
学術の世界では通説となっている。

しかし
司法試験受験界においては
“C” という考え方が
論文試験を通るために合理的であり
それをレクチャーした
予備校講座や参考書も豊富に揃っていて
現在のトレンドになっている。
いわゆる 受験通説 というものです。

ただ
法科大学院の発足後は
実務的な教育にシフトしているため
論文試験対策において
手形小切手法 での
二段階創造説
権利移転行為有因論

交付契約説 なのか。
あるいは
民事訴訟法 での
新訴訟物理論
旧訴訟物理論 なのか。
さらには
刑法 においても
団塚(団藤・大塚ラインの考え方)か
大谷説 なのか。
あるいは 前田説 なのか。
など
各々どの説を用いて答案構成するのか。
といった議論も
聞こえてこなくなり
そういった需要に応える
参考書もなくなりました。

話が少々脱線しますが

当時のその辺りの会話は
水道橋の『 丸沼書店 』に行くと
よく聞こえてきました。

『 丸沼書店 』には二つ入口があって
右側の入口には
法学系の本や法律系資格の参考書が並び
左側の入口には
経済学や税務,会計学系の本が
陳列されていて
右の法学書側はいつも混雑していて
左の経済学,商学書側は
いつもガラガラでした。

最近は行っていませんが
たぶん今でも
その光景は変わらないんでしょう。

その昔は
神保町の古書店街にあった
『 巌松堂書店 』なんかにも
法律系の古書や参考書,カセットなどの
掘り出し物がありました。

当時
『 法曹同人 』から出版されている
司法試験対策の参考書や
早稲田セミナー(早稲田経営出版)から
出版されていた
『 司法試験解法マニュアル 』
会社法 を除いた
セットで売られていたので
買った記憶があります。

この 司法試験解法マニュアル という本は
司法試験受験の参考書にすぎないのですが
本の装丁は
簡易なペーパーバックではなく
外箱付きのハードカバーで
新品で買うと
基本書 と呼ばれる
法律学の体系書並みの
結構お高い値段だったんですよね!

『 巌松堂書店 』
ビルは残っていますが
書店は廃業してしまったようで
現在は『 澤口書店 』になっています。

話を本題に戻して・・・

このように特に司法試験受験界は
かなり特殊で
コアでマニアックな世界であり
先程出した 団塚 のような
数々の “ 隠語 ” があります。

司法試験に携わったり
法学系の学問を修めた方には
当然通じますが

これを図書館や書店で尋ねられると
専門外の司書や書店員は
戸惑ってしまうことがあります。


時々所蔵の問い合わせで受ける
司法試験受験生の隠語 について
一例を挙げてみましょう。

もちろん
目録からその単語で検索しても
出てきませんよ・・・。

まず
古くから使われている
隠語で
『 ダットサン民法 』 と呼ばれる
本があります。

これは
『 民法 』 のタイトルで
勁草書房 から出版されている
( 発刊当時は 一粒社 から出版 )
我妻榮,有泉亨,川井健 共著 の本で
全3巻 あります。

これは
小型でパワフル
そして小回りが利くところから
当時の車に例えられた通称です。

この本の通称は
法律系に携わる方なら
広く認知されている用語です。

これは
“ 我妻先生の民法 ” といっても
同じく 勁草書房 から出ている
『 民法案内 』
岩波書店『 民法講義 』 など
数々の著書がありますから
それらと区別するための
通称名であると考えられます。

ちなみに
現在出版されている『 民法案内 』
我妻先生の没後に
川井健 先生 などによって
補訂・補筆されているので
川井テイスト
『 民法案内 』になっています。

我妻テイスト に浸りたければ
補訂されていない『 民法案内 』
( 特に 第1巻「私法の道しるべ」)を
お読みください。

ところで
我妻先生の『 民法案内 』
元々は 日本評論新社 から
出版されたものですが
同社からは
『 憲法案内 』 も出版されていました。
( 中村哲 著 1957年 )
中村哲(ナカムラ アキラ)先生は
美濃部達吉 門下生で
法政大学総長や参議院議員も
歴任された方です。
『 民法案内 』
藤木英雄 先生の『 刑法案内 』と同じく
勁草書房から
復刊されて欲しいものですが
『 民法案内 』『 刑法案内 』に比べて
認知度が低いようで
古書サイト や amazon でも
中々出ないレアな本です。
勁草書房から
『 民法案内 』,『 刑法案内 』が出ていて
『 憲法案内 』がないのは
少し解せぬ感じがするのは
僕だけでしょうか?

閑話休題。
次に
周知されている隠語ですが
各業界で違う認識をされている本
一例を挙げます。

『 赤本 』,『 青本 』
聞いたことがあると思います。

『 赤本 』 について
大学受験生や受験予備校
教育関係者などは
世界思想社教学社 から出版されている
大学・学部別の大学入試過去問題集
思い付くと思います。

他方
弁護士等の法律実務に携わっている方は
日弁連交通事故相談センター 出版の
民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準
と捉えるでしょう。
( 通常は 「 赤い本 」 と呼ばれます )

『 青本 』 については
赤本と同様に
大学受験生などは
駿台文庫 出版の
大学入試問題の過去問題集
と捉えるでしょう。

法律実務に携わっている方は
日弁連交通事故相談センター 出版の
交通事故損害額算定基準
のことと捉えるでしょう。

司法試験受験生の間では
山口青本 とくれば
刑法 山口厚 著 / 有斐閣

和之青本 ならば
立憲主義と日本国憲法
高橋和之 著 / 有斐閣

でしょう。

でもこれが
弁理士試験受験界 を含む
弁理士知的財産権を扱う業界
青本 というと
工業所有権法( 産業財産権法 )
逐条解説
特許庁 編 / 発明推進協会

を指します。

これらは
ロースクールの図書室では
尋ねられても見当が付きますが
総合図書館や公共図書館で
質問を受ける際には確認が必要です。

同じく
総合図書館や公共図書館の場合で
確認が必要なお尋ねとして
「 イトウマコト 」 先生 の本ありますか
との質問です。

法学系 では
周知のとおり
司法試験等の受験指導校である
伊藤塾“ スーパー講師 ”
伊藤真 先生 なのか
あるいは
東大名誉教授 で 民事訴訟法学者 の
伊藤眞 先生
なのかを尋ねる場合で
“ 学者 の ”とか
“ 東大教授 の ” で通じますが

これが
総合図書館や公共図書館の場合で
問い合わせを受ける場合は
もう一人の重鎮 である
“ イトウマコト 先生 ”

東大名誉教授 で
マルクス・宇野経済学者 の
伊藤誠 先生
のことも
頭に入れておかなければなりません。

マル経を勉強している経済学部生や
マル経・宇野経の研究者からは
こちらの問い合わせが多く
そういった認識で尋ねてきます。

特に左派系の大学では
こちらの系列の授業や研究者が多く
関連資料も多く収集しています。

それから他にも

筑波大学名誉教授 で
ドイツ語 言語学者 の
伊藤眞 先生
もいらっしゃいます。
( 独和辞典などの
 執筆・監修がありますので
 法学部で独語を選択している学生には
 知られていると思います。)

ですので
“ 学者 の ”とか
“ 東大教授 の ” というのは愚問で

“ 伊藤塾 の ” とか
“ 民訴法学者 の ” とか
“ マルクス経済学者 の ”
といった確認が無難です。

民訴の 伊藤眞 先生 に習った方ならば
“ 蝶ネクタイの・・・ ”
といえばわかりますが!

以前に地下鉄内で
民訴の 伊藤眞 先生 を
お見かけした事がありますが
先生のことを知らない人が見ても
靴やオーダーメイドと思われるスーツが
高級仕立てと一目でわかり
その着こなしからも
明らかに他の乗客とは別格の
オーラを感じました。

それから
伊藤塾の 伊藤真 先生 についても
僕は東京の者なので
旧司法試験の論文試験の会場は
早稲田大学で行われていましたが
当時,受験者だった自分が
論文試験当日に会場へ向かうと
マコト先生が
早大の門前に立っていました。
それを見たときに
背が高くカリスマ性を感じたことを
懐かしく覚えています。


伊藤塾 の 伊藤真 先生 が出たところで
『 シケタイ 』 についても
触れておきます。

法学系図書館でなくても
公務員受験者のために
『 シケタイ 』 を所蔵している
大学図書館もあります。

シケタイ とは
弘文堂 から出版されている
『 試験対策講座シリーズ 』のことで
憲法など 全15巻 が出版されています。


その他に
業界で認識の異なる本 としては
『 ヤマケイ 』 の本です。
一般的には
美しい写真集が売りの
山岳系雑誌を中心とした出版社
『 山と溪谷社 』 の本です。

僕はこの出版社の動植物を写した
山溪ハンディ図鑑
愛用しています。
写真の美しさとわかりやすさ
そして
簡にして要を得た解説で
非常に使い勝手の良い図鑑です。

翻って
司法試験業界の場合はというと
京都大学教授の民法学者
山本敬三 先生

民法講義I 総則
民法講義IV-1 契約
山本敬三 著 / 有斐閣
を指すことが多いです。


その他で主な隠語を挙げますと

『 サクハシ 』
行政法 櫻井敬子,橋本博之 共著
  / 弘文堂


『 宇賀レインボー 』
行政法 宇賀克也 著 / 有斐閣

『 潮見・黄色 』
ライブラリ法学基本講義シリーズ
基本講義債権各論Ⅰ
 契約法・事務管理・不当利得

基本講義債権各論Ⅱ
 不法行為法

潮見佳男 著 / 新世社

『 土田労働法・黄色 』
ライブラリ法学基本講義シリーズ
基本講義労働法
 土田道夫 著 / 新世社


これは
労働法概説 土田道夫 著 / 弘文堂
と区別するためです。

『 赤白本 』
会社法 高橋美加 [他] 著 / 弘文堂

『 憲法・四人組 』
憲法Ⅰ
憲法Ⅱ
野中俊彦,中村睦男,高橋和之,
 高見勝利 共著 / 有斐閣


『 リークエ 』
 有斐閣 から出版されている
LEGAL QUEST
( リーガルクエスト )シリーズ

【 注意 】
検索機 によっては
 カタカナで
 リーガルクエスト と
 入力してもヒットせず
LEGAL QUEST
 入力しなければ
 ヒットしないものもあります。


といったところで
際限がありませんが
書店員や司書の方などで
こんな問い合わせを受けたときは
思い出してください。


先頭へ


以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2022年11月26日土曜日

法律文献・法令名の略称

法情報検索 各論 4 文献 4


判タ とは 判例タイムズ
曹時 とは 法曹時報
の略称です。 

これらの略称は
法律関係に携わっている方ならば
周知のところですが

図書館や書店で尋ねるとき
重判 はどこにありますか
などというと
法律に疎いスタッフの場合
検索機でそのまま
重判 と入力して検索をかけ
“ ありません ” との
回答を受けることがあります。

まあこれは
一種の業界用語でして
それぞれの業界では
通っている用語ですが

他の業界では通じないし
また
同じ言葉でも
違った意味で捉えられかねません。

法律関係の場合
法令名においては
正式名称が長いものも多く
例えば
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
ならば
独禁法 と略して言います。
マイナンバー法
行政手続における特定の個人を識別するための
番号の利用等に関する法律

というように
いちいち正式名称で言っていたら
「 寿限無 」 のような
落語の世界になってしまいますので
通常は略称で通じます。

論文等の出典の記載においても
法令名や
判例集,雑誌名などの表記には
正式名称ではなく
略称で記されています。

この場合には
最初に 凡例
掲載されています。

しかしどうしても
表示にばらつきが出ますので
ある程度の統一が
法律編集者懇話会 にて
検討されてきました。

法律編集者懇話会 とは
法令名の略語
判例集・判例評釈書誌の略称
定期刊行物の略称などを含め
「 法律文献等の出典の表示方法 」 について
形式の統一化を図ることを
検討することを目的として
法律関係の雑誌および書籍に携わる
編集者で組織された懇話会です。


◆ NPO法人 法教育支援センター
http://www.houkyouikushien.or.jp/katsudo/

⇒ 法律文献等の出典の表示方法(2014年版)PDF
  - 法律編集者懇話会


このような検討がなされていますが
多少の 表記のゆれ はあります。

ちなみに
重判 ( 重要判例解説 ) については
法律文献等の出典の表示方法 では
重判解 となっています。


文献に当たっている際に
略称名がわからない場合。
図書雑誌 ならば
凡例 を見れば解決します。

レジュメ等で
凡例が付いていない場合の
略称名の検索方法は

先ほど紹介した
法律文献等の出典の表示方法 の他に
次のようなツールを使うと便利です。

Webサイトの場合の一例として

日本の判例集・法律文献略語一覧
- 福島大学附属図書館

https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/hanrei/hanrei.html

紙媒体の文献で検索する場合は

法律時報の12月号の巻末
文献略語表 が付いています。

以前は
1月号 に掲載 されていたのですが
( 2015年1月号 通巻1081号 まで )

2015年12月号( 通巻1093号 ) からは
12月号 に掲載 されています。

◆ 法律時報 - 日本評論社
https://www.nippyo.co.jp/shop/magazines/latest/1.html

⇒ 文献略語表 2015年12月号(87巻13号)PDF

他にも
リーガル・リサーチ 第5版
いしかわまりこ 他著 / 日本評論社 2016.3

の巻末にも
法律文献等の出典の表示方法
および
文献略語表
の掲載があります。


これらの資料で
ほとんど対応できるのですが

以前に
レジュメを見せられて
判工 という資料がわからないとの
お尋ねがありました。

上記の検索ツールでも掲載がないので

国立国会図書館リサーチ・ナビ
当たったところ
判工
判例工業所有権法 の略称
ということが判明しました。

国立国会図書館リサーチ・ナビ は
知っておくと大変便利です。


判工 の掲載のあるページを
例として紹介します.

日本 - 分野別裁判例集
- 国立国会図書館リサーチ・ナビ

http://rnavi.ndl.go.jp/politics/entry/Japan-hanrei-admin.php


以上
読んでいただき,
ありがとうございました。



2022年11月25日金曜日

法律用語の略字

用語の話 1 法律用語の略字


刑法などの講義を受けていると
板書で Tb ,R ,S といった
記号を使う講師がいます。

要件事実のテキストにも
ブロック・ダイアグラム
Kg ,Stg ,E といった
略字が使われています。

これは
漢字の画数が多いので
メモや板書をする際に
速く簡単に書くために
略字や記号を用います。

他にも
簿記の仕訳
下書き用紙にメモ
を取る際に
これは人それぞれですが
例えば
現金 ならば C
当座預金 は 当ヨ
売掛金 は 売×
備品 は
などとメモします。


ちなみに 図書館 のことを
( くにがまえ )に ト
書きますが
この字は という漢字の略字です。
これ一文字で
“ としょかん ” と読む
国字( 和製漢字 )です。


StgKg
個人のメモならば
簿記の仕訳メモと同じく
どう略して書いてもよいのですが
テキストに載っていたり
板書で書かれると
共通性があるので
記号として
覚えておかなければなりません。

この様なものは
記号として繰り返し書いていれば
自然と身に付くのですが
何の略字なのか
その意味がわかると
頭に定着すると思いますので
備忘録として記しました。


◆ 訴訟物
= Stg  Streitgegenstand
( シュトライト・ゲーゲンシュタント )

◆ 請求の趣旨
= Ant  Antrag
( アン・トラーク )

◆ 請求原因
= Kg  Klagegrund
( クラーゲ・グルント )

◆ 抗弁
= E  Einrede
( アインレーデ )

◆ 再抗弁
= R  Replik
( レプリーク )

◆ 再々抗弁
= D  Duplik
( ドゥプリーク )

◆ 再々々抗弁
= T  Triplik
( トリプリーク )

これらには
ドイツ語由来の略字
使われています。

またこれらの略字は
要件事実のテキスト でもある

★ 司法研修所 編『 問題研究 要件事実 』
  法曹会 改訂版 2006

までは使用されていたのですが

★ 司法研修所 編『 新問題研究 要件事実 』
  法曹会 2011

からは使用されなくなりました。

その他の ドイツ語由来の略字
よく出て来るものですと
刑法では

◆ 構成要件
= Tb  Tatbestand
( タート・ベシュタント )

◆ 違法性
= R または Rw
 Rechtswidrigkeit
( レヒツ・ヴィードリヒカイト )

◆ 有責性
= S  Schuld
( シュルト )

があります。

他方
英語由来の略字 ですと

◆ 裁判官
= J  Judge
( ジャッジ )

◆ 検察官
= P  Prosecutor
( プロセキューター )

◆ 弁護士
= B  Barrister
( バリスタ ) ・・・ の
“ B ” と思われます。

なぜ アメリカ式
Attorney( アトーニー )の
“ A ” ではなく
イギリス式
Barrister( バリスタ )を
使うのかは不明です。

単純に
「 Bengoshi 」“ B ” なのか
それとも “ A ”被告人
(英語の Accused( アキューズド )
もしくは
(ドイツ語の
Angeklagte( アンゲクラークテ ))を
表してもいるので
それと区別するためなのか
わかりません。

とりあえず単なる記号なので
深く考える必要もなく
“ B ” の方が
すわりがいいから
なのかもしれません。

その他の英語由来の略字 には

◆ 証人
= W  Witness
( ウィトネス )

◆ 被告人( 加害者 )
= A  Accused
( アキューズド )

◆ 被害者
= V  Victim
( ヴィクティム )

などがあります。

ところで,
よく登場する記号に

◆ 原告  = X

◆ 被告  = Y

◆ 参加人 = Z

こういったものがあります。

これらは
外国語の略字ではないと思いますが

記号代数学 では

既知の定数
a,b,c,d,・・・ など
アルファベットの初めの方

未知数
x,y,z,・・・ など
アルファベットの後の方
表します。

それから
関数 y = f ( x ) において
x独立変数
y従属変数
呼びます。

現実の裁判 では
訴訟ごとに 各当事者 がいるので
原告,被告等 にはそれぞれ
名前 があります。
つまりこれは
既知のもの であるので
a,b,c,・・・ です。

ところがそれを
判例共通の法理論 として
一般化 すれば
当事者としての個性はなくなるので
未知あるいは不定のもの である
x,y,z,・・・ を用いる
ということなのでしょう。

そして
独立変数 である
原告 にあて,
従属する y被告 にあてる。

三次元的 になれば
も登場しますから
参加人
とするのだと思います。


これもあくまで記号なので
深入りしてもね・・・。

諸外国のものを取り入れて
混ぜて,パンゲア大陸のように
してしまうことは
日本の法体系も一緒ですが・・・。

ドイツだろうが
アメリカだろうが
フランスだろうが
使い勝手がよければ
それらを取り入れて
それでよしとする
日本人の考え方にマッチした
方法なのかもしれません。


以上
読んでいただき,
ありがとうございました。



2022年11月19日土曜日

邪道で横着な語学勉強法

初歩の語学勉強法


物事を調査・研究するときに
外国の文献
あたらなければ
ならない場合が出てきます。

これは
諸外国で構築された技術や知識を知り
参考にするといった
空間的な知識の幅を広げるのに
必要不可欠です。

一方
時間的な知識の幅
つまり過去を知るには
古語や古文書の知識が必要です。

つまり
語学ならば
空間軸としては外国語。
時間軸としては古典,古語。
そして
社会科学ならば
空間軸としては地理学。
時間軸としては歴史学。

こういったものが
教養として知っておかなければならない
基本的な知識ということです。

高校,大学の入試や公務員試験で
これらの分野の素養がなぜ問われるのか
合点がいきますよね!

前置きはさておき

専門分野を調査・研究する場合で
外国語の単語を意味を知る場合に
例えば
法律や会計用語などでは
一般の英和や独和などの辞典は
使えませんから
専門の辞典が必要です。

通常
語学に不慣れな最初の頃は
発音にルビがある辞典を使うと
単語の覚えが早かった経験があります。
しかも自分は
携帯性が高くてすぐに引ける
コンパクトなものを探して
使っていました。

学者の先生や
優秀な学生からすれば
邪道で横着な勉強法
と言われそうですが・・・。

ちなみに
子供の頃に
漢字にルビのついた本を読んでいると
早いうちに漢字が読めるようになる

といわれています。

話を専門分野の語学辞書に戻して

例えば
ドイツ語の法律用語 なら
ちょっと古いですが,
同学社基本用語辞典シリーズ

★ 法律基本用語辞典 - 独・日・英
(同学社基本用語辞典シリーズ)/ 同学社


本書には
ドイツ語発音のカナ書きがあること。

英語や日本語の索引から
ドイツ語が引けること。

他にも
少量ですがラテン語から
ドイツ語,日本語,英語が引けて
ラテン語の発音のカナ書き
付いています。

このように多くを盛り込んでいるため
ドイツ語の収録語句数は
基本重要単語が 約5,300語,
使用頻度の高い成句が
約355例と少ないこと。
それから
古い(1985年 刊)ことが難です。

辞書は新しいものを使いましょう。
という教えを受けたと思いますが
ここでは
使い勝手が良くて初歩的な
語学辞書のはなしです
ので…。

大きさは新書サイズで
厚さは新書2冊分ほどの
コンパクトサイズです。

この
独・日・英対照のシリーズ には
他に
薬学基本用語辞典
医学ラテン語基本用語辞典
化学基本用語辞典 などがあり
自分はこちらも重宝しています。
欲を言えば
歯学 も出して欲しかった…。

★ 同学社基本用語辞典シリーズ
http://www.dogakusha.co.jp/1kihonyougojiten.html


法律辞典以外では
会計辞典 を一つ紹介すると。

★ 会計英和辞典(1997)/ シャングリラプレス

この辞典は
米国公認会計士受験用につくられた
会計用語の英和辞典です。

英語発音にカタカナ書き があり
同義語や関連語,反対語などの
記載があります。

さらに
日本語訳にその用語の解説が
付されているものもあります。

また
日本語の索引から
英語を引くことができます。

形は初期の“ ゴマブックス ”のような縦長で
厚さは
“ 有斐閣アルマ ”の標準的な厚さのものと
同じくらいです。

この辞典も
コンパクトにできているため
収録語数が約1,300語と少ないのが短所です。

ここまで
辞典を2冊紹介しましたが,

最近は専ら
「 グーグル翻訳 」
頼っています。

● Google 翻訳
https://translate.google.com/?hl=ja

英語やドイツ語に限らず
フランス語やロシア語
さらにはラテン語など
他の外国語も
単語や文章を入力すれば
翻訳してくれるし
外国語の読み
“ スピーカーボタン ” を押せば
発音してくれるので
カタカナ書きも必要ありません。

また
“ 読み上げ機能 ” を使えば
WebサイトやWordの文章を
読み上げてくれますので
非常に重宝しています。

ただし

◇ Tatbestand
( タート・ベシュタント )

事実
◇ Streitgegenstand
( シュトライト・ゲーゲンシュタント )

主題
◇ Burden
( バーデン )

負担

といった訳が出ます。

法律用語で
◇ Tatbestand
( タート・ベシュタント )

構成要件
◇ Streitgegenstand
( シュトライト・ゲーゲンシュタント )

訴訟物
会計用語で
◇ Burden
( バーデン )

製造間接費 の意味です。

このように
専門用語の翻訳には
対応していません
ので
専門分野の辞典を使いながら
補助的 に使うと効果的です。


他には
専門分野の簡易的な辞典の代用に

法律用語対訳集 / 商事法務研究会

こちらをよく使っています。

★ 法律用語対訳集〈英語編〉改訂版(1995)/ 商事法務研究会

★ 法律用語対訳集〈韓国語編〉(1991)/ 商事法務研究会

★ 法律用語対訳集〈ドイツ語編〉/ 商事法務研究会

他・・・


この本は
刑事事件で使用される
法律用語を中心として
翻訳された用語集で
英語以外に
ドイツ語,フランス語はもちろん
ペルシャ語,ベンガル語,タイ語などもあり
中国語も
広東語と北京語とがありましたが
現在「法律用語対訳集」の出版は
されていないようです。
( 2022年11月19日 現在 )

それ以外には

● 日本法令外国語訳DBシステム
 - Japanese Law Translation( 法務省 )

https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja

こちらのデータベースは
日本法令の翻訳DBです。
法務省の運営で
利便性,信頼性も高いです。

ただし
“ 外国語訳DB ”と称していますが
“ 英訳“ のみ
その他の言語には対応していません。
( 2022年11月19日 現在 )

なお
法令の翻訳(英訳)にあたって
政府が平成17年に内閣に設置した
「法令外国語訳推進のための
 基盤整備に関する関係省庁連絡会議」

により
関係府省が法令の英語訳を行う場合は
「法令用語日英標準対訳辞書」
に準拠するものとされ
民間団体等が
法令の翻訳を行う際においても
本書に準拠して行われることを
強く期待するとしています。

● 法令用語日英標準対訳辞書 - PDF https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/dicts/download
( 2022年11月19日 現在 )


これらでも足らない場合は
専門分野の辞典を使います。

その他に
時々受ける質問では
日本の法律が英訳されている資料
についての問合せです。

日本法の英訳の調べ方 については
先ほど紹介した
● 日本法令外国語訳DBシステム
 - Japanese Law Transla
tion( 法務省 )

https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja

日本法の英訳の調べ方 について
わからなくなった場合は
国立国会図書館
リサーチ・ナビ
が役立ちます。

● 日本法の英訳の調べ方
 - リサーチ・ナビ 国立国会図書館

https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-557.php

現在は
データベースやWebサイトが普及し
容易に調べることができますが
こういったDB等が普及する前は
紙媒体の資料で調べることが主でした。

参考までに
日本の法律の英訳 を調べる場合の
紙媒体の資料 といえば

英文法令社
『 E.H.S. Law Bulletin Series 』
挙げられます。

★ EHS LAW BULLETIN SERIES(商品一覧)


ところで
以前は グーグル翻訳 の制度が悪く
例えば
スリランカの経済を調べていた時に
スリランカ政府のホームページ を開け
自動翻訳をかけると
「 刑事コロンボ 」 という
単語がたくさん出てきました。

これは
スリランカの元の首都であり
経済の中心地である
“ Colombo ”
「 刑事コロンボ 」
翻訳したためでしょう。

でも
「 刑事コロンボ 」 のスペルは
“ Columbo ” ですので
間違えようがないと思いますがねぇ~。
謎でした・・・。

今は以前に比べて
だいぶ改善されたようで
変な誤訳も減ってきて
発展途上ですが
性能もだいぶ向上しています。

それから
法律学とは関係ありませんが

仏典経典 の意味を知り
研究をする場合は
サンスクリットパーリ語
知識が必要になりますが
グーグル翻訳 では
まだ
パーリ語 対応はありませんが
サンスクリット には
対応しています。
※ ただし文字のみで発音機能はありません
( 2022年11月19日 現在 )

他にも
文字のみの翻訳機能ですが
ザメンホフ博士考案の人工言語
エスペラント語にも対応しています。
( 2022年11月19日 現在 )


参考までですが

私は サンスクリットの初歩段階では

★ 耳から覚えるサンスクリット
  - 発音編・暗記編・会話編・文字編 (2016)
 と

★ 初心者のためのサンスクリット辞典 (2015)

を使ってました。


以上
私の邪道で横着な初歩の語学勉強法でした。
参考になれば幸いです。


読んでいただき
ありがとうございました。