2016年11月25日金曜日

問題作成と採点実感等の活用法


出題趣旨 及び 採点実感は
司法試験受験者ならば
当然これらを
読んでいると思います。

以前
合格者に
出題趣旨や採点実感などを
どの様に読み,活用したのかを
聞いたことがありました。

その合格者が言うには
出題趣旨や採点実感には
何が問題点として問われているのか。
そして
どのように考えて欲しかったのか
また
してはいけないのか。
などが述べられている
道標なので
読んで答案作成の際に
そこを踏まえて書かないと
折角
ガイドしてくれているのに
活用しなければ
読んでないのかな
と思われて
印象が悪くなる。

でも
これらの分析に時間を割いていたら
択一 ( 当時は7科目 ) や
論文の勉強に支障がでてしまう。

そこで
出題趣旨や採点実感の
キーポイントを抽出して

それを
Q&A形式 にし
勉強の合間にそれを見ながら
頭に定着させて
答案を書く際に
そこを意識して
書くようにしていた。

と,教えてもらったことが
記憶にあります。

司法試験をはじめ
あらゆる分野での
勉強法
百人百様 ですので
その人に合った
違う勉強方法もあるでしょう。
こんな勉強法は
無駄だと思う方も
いるかも知れません。

プラグマティズム的 に考えれば
絶対的な勉強法なんていうものはなく
勉強法は
人それぞれ相対的 であり
この合格者は
その方法で合格した のだから
その勉強方法は真
ということです。


この勉強方法を聞いたとき
自分が
外資の保険会社 で派遣社員を
していたときの
研修 を思い出しました。

業務に就く前に
1週間ほど研修があったのですが
色々と専門用語や
マニュアルを叩き込まれます。
そして
研修講師から
毎日課題が出されます。

今日進んだ分を
明日まで全部覚えろとは言いません。
ただ
今日の分で
重要な個所を抽出して
問題と解答を
15問作成してくるように。
と言われました。

翌日
みんなで作成した問題を出し合い
講評します。

問題を作るということは
マニュアルを
理解していないとできません。
また
要約力も必要です。
そして
他人のものと比較すると
自分が落していた
重要なポイントに気づきます。

この研修は
短期間で効果の出る
合理的な方法でした。

この方法は
法科大学院生でいうならば
「 ゼミ 」 と同じ効果 ですね。

合格者,合格率の高い
法科大学院は

自主ゼミが
充実しているように思います。

ハイレベルの学生が
切磋琢磨しているので
ダラダラとしていられない。

という気持ちが働いて
目的意識も高まるのでしょう。

一方
合格者,合格率が
伸び悩んでいる
法科大学院は

ゼミを組んで
部屋を借りても
お茶を飲んで終わっていたり
ダラダラとしゃべっておしまい
というように
その時間を無駄にしていて
勉強の質・量ともに
足りていない。

というように
法科大学院のレベル
そういった
“ 学生の質 ”
現れているような気がします。


以上
読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年11月7日月曜日

国民投票制度の危うさ


10月末に行われた
ハロウィーンがありました。
渋谷なんかは
盛り上がってましたよね。

それと少し前ですが
今年の夏にポケモンGOが発売され
その人気ぶりに驚嘆したところです。

これらのニュースを見て感じたのは
ひとつの方向に向いた
群衆移動の脅威です。


話は変わりますが
日本国憲法 において
国民投票は
憲法改正の場合に認められています。

( 96条1項 )


国民投票 とは
議員その他の公務員の選挙以外で
国民一般が行う投票です。

憲法改正の他には
最高裁判所裁判官の国民審査
( 79条2項 )
地方特別法についての住民投票
( 95条 )
国民投票であるとされています。

では
新たな法律を制定するとき
国民投票制度を
採用することができるのか?


と,いうと。

憲法では
代表民主制が原則
( 前文, 43条 )なので
明文の根拠なしに
直接民主制の制度である
国民投票制を
採用することはできない。


ただし
国民投票結果が
国会の意思決定のための
諮問的なものであれば
前文の
「 国政は国民の厳粛な信託による 」
とも合致するので
憲法とは矛盾抵触しない。


との考え方があります。


現在の制度は
有権者が国会議員を選び
国会が法律を制定していますよね。
( 間接民主制 )

でも
「 諮問的に国民投票してから
国会が法律を制定する 」

というような法律が制定されたら
怖いですよね。

国民投票したうえで立法した場合
国民全体から
お墨付きを与えた形での立法なので
その法律に対しての
批判が困難になります。


それと
法律なので
憲法改正と比べて
制定手続のハードルも低いです。


通常でしたら
各議院の総議員の3分の1以上の出席
( 56条1項 )
かつ,
出席議員の過半数の賛成で決まります。
( 56条2項 )


もしも
スターウォーズ
パルパティーン( 後の皇帝 )
のような
議員が出てきたら
恐ろしいですよね。

完全に “ 独裁 ” になって
帝国状態 になりかねませんよね。


冒頭のような行動で
自分たちが行っている
そのものの意味も分からず
周囲も見えていないような
状態にある国民が
動き出して投票行動したら
どうでしょう ― 。

民主主義の危うさを感じます―。


そんなことを,考えつつ
ハロウィーンやポケモンGOの
現象を見てしまうのですが・・・。


まあ
杞憂にすぎないでしょうね

(*⌒∇⌒*)

以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年11月1日火曜日

上告趣意 上告理由の検索


法情報検索 各論 3 判例検索 7

上告する際
刑事事件 の場合には
上告の理由を記載した 上告趣意書
民事事件 では 上告理由書
提出しなければなりません。
刑事訴訟法 第376条
(控訴趣意書)
刑事訴訟法 第414条
(控訴に関する規定の準用)
民事訴訟法 第314条
(上告提起の方式等)

上告審判決は
上告人が原判決に不服として
上告趣意( 刑事 )あるいは
上告理由( 民事 )にて提出した
理由についてのみ判断がなされ
裁判の争点
この 趣意書理由書
みられます。
刑事訴訟法 第392条
(調査の範囲)
刑事訴訟法 第414条
(控訴に関する規定の準用)
民事訴訟法 第320条
(調査の範囲)
従って
裁判所の判断プロセス
まず
上告趣意( 上告理由 )があり
それを受けての判断である
判決理由
そして結論たる
主文 となります。

ただし
判決書の記載の順番
主文
→ 判決理由
→ 上告趣意( 上告理由 )

となります。

なお
最高裁は法律審ですので
主文の後に
事実部分の記載はありません。

最高裁判所判例集では
上告趣意,上告理由が
省略されることなく掲載されます。

これに対してその他の資料では
これらが
省略されていることが多く
「裁判所ウェブサイト」
裁判例情報にも
「裁判所時報」 にも
上告趣意,上告理由は掲載されません。

さらに
上告審判決に至るまでは
一審および原判決の
問題点の経緯がわからないので
最高裁判所判例集には
第一審,第二審の主文および理由
併載されます。

この点について
「裁判所ウェブサイト」
裁判例情報では
第一審,第二審の主文
および理由の併載は省略され
審級相互のリンクもありません。


他方
有料データベース
LEX/DBLLI 等においては
審級のリンクや
PDF形式で全文収録された
判例集へのリンクにより
上告趣意および上告理由や
第一審,控訴審の主文および理由を
見ることができるものもあります。


有料データベースで
検索するにあたり
各社で一長一短があります。
そこで今回は
LEX/DB(TKC)
LLI について

昭和59年2月29日
最高裁第二小法廷・決定 
事件番号 昭和57年(あ)301号
(高輪グリーンマンション事件)

素材に比較してみます。

※ 検索日は 2016年11月1日です。

● 昭和57年(あ)301号 事件 - 裁判所Webサイト

LEX/DB(TKC)LLI では
著名事件名の
高輪グリーンマンション事件
検索できます。

フリーキーワードに
“ 高輪グリーンマンション ”と
入力すればヒットします。
同時に
裁判所選択で最高裁を選択すると
判例が絞り込めます。

これに対し
裁判所Webサイトの場合は
著名事件名での検索ができません。
しかし
GoogleやYAHOO!の検索サイトから
“ 高輪グリーンマンション事件 ”と
入力すると
裁判所ウェブサイトの
当該事件の判例が上位に出てきます。

次に
テキストページでは
LLI
上告趣意がカットされています。
ほとんどはそうなのですが
LEX/DB(TKC)では
この事件の場合
上告趣意も掲載されています。

当該事件のように
全文の長いものは
( 冊子体の頁数は 808頁あります。)
上告趣意の頭出しをするのに
苦労しますが
テキストページの場合は
検索窓を出して
“ 上告趣意 " と入力し
検索をかけるとよいでしょう。

LLI のテキストページでは
上告趣意はカットされていますが
PDFページ では
上告趣意が掲載されています。
PDFページ へは
画面の上にある「原典」ボタンを
クリックします。

しかし
これは LLI短所ですが
PDFページ では
上告趣意の頭出しができません。

長所 としては
テキストページから
「最高裁判所判例解説」が
直接リンク
(オプション)
されているので
判例から解説を見るのに便利です。

また
第一審,第二審の判決も
リンクされています。

※ テキストページ画面の上にある
「審級」等のボタン。

一方
LEX/DB(TKC)でも
PDFページ があります。
書誌のページから
第一審,控訴審の判決
および
最高裁判所判例集への相互リンク

あります。

LEX/DB(TKC)長所
PDFページからでも
上告趣意の頭出しができます。

※ PDF画面の右上の
「ブックマークボタン」

当該事件の場合
弁護人の上告趣意
( 上告趣意等1 ) と
被告人の上告趣意
( 上告趣意等2 ) の
両方とも,頭出しができます。


また
LEX/DB(TKC)
判例から
判例評釈等の文献を見る場合

「検索結果一覧」画面で 書誌 を選択し
「書誌」 画面の上部に
「判例評釈へ」のボタンがありますので
クリックすると
「判例評釈等一覧」の画面にとびます。

このように
データベースには一長一短があります
また
図書館ごとで契約が異なり
オプションで登載されている
データベースも異なりますので
それらの特性を知っておくと
効率よく調べられます。

ということで
上告趣意のデータベース検索について
書きましたが
上告趣意や上告理由のみを
プリントアウト
するには
頭出しができる
LEX/DB(TKC)がよいと思います。

ただ
画像の映りが
各社まちまちであり
画像に汚れがあるものや
少し斜めになっているものも
ありますので
神経質な方は比較の上
プリントアウトして下さい。

でも図書館で
上告趣意や上告理由を読むだけならば
直接
冊子体にあたって読んだ方が
手っ取り早いと思います。



※ 出典
最高裁判所刑事判例集 38巻 3号 479頁


以上
読んでいただき
ありがとうございました。