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2022年8月22日月曜日

法の階層

法情報検索 各論 1 法令 1

◆ 条約◆ 会計検査院規則,人事院規則
◆ 外局規則◆ 庁令
◆ 議院規則,最高裁判所規則◆ 条例
◆ 通達◆ 要綱◆ 要領
◆ 指針,ガイドライン◆ 訓令
◆ 通知◆ 告示

税大講本 - 国税庁


今回は
法令等の階層についてお話します。

法令の階層について図で表すと
【 図1 】のようになります。

【 図1 】

 ※【 図1 】中の茶色の二重線より
   右側〈 矢印 〉の規則・条例
については
  e-Gov法令検索には掲載されません。

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例えば
『 所得税法 』でいうと
まず 憲法 30条で 納税の義務
同84条で 租税法律主義 を定めています。

その『 租税法律主義 』を受けて
法律を定めます。
法律 の中でも階層があり
税法の階層を図で表すと
【 図2 】のようになります。

【 図2 】
(行政法との関係で,課税に関するの場合の階層です。)



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税法の場合
所得税法,法人税法,
消費税法… といった
実体法が規定した課税要件を満たすと
納税義務が発生し
課税されることになります。
そして
各税法での課税を実現するための
共通する手続を規定しているのが
『 国税通則法 』です。
また
税法違反に対する処罰を定める
国税犯則取締法
2018年(平成30年)4月1日に
廃止され
国税通則法に編入されました。

国税通則法の上位には
『 行政手続法 』,
『 行政不服審査法 』
といった
行政法関連の規定があり

それらの行政法関連一般法
国税通則法特別法とする
関係になっています。

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さらに分かれて
所得税法などの
税目ごとに課税要件を定めた
実体法が規定されています。

国税の所得税法法人税法などと
国税通則法との関係では
国税通則法一般法となります。

図の右側の
『 租税特別措置法 』とは
税法の場合,本法とは異なり
その時の経済状況などから
政策判断し,時限的に制定された
課税を修正した特別法の集まりです。

税法は
すぐに変わるので難しい
との声を聞いたことがありますが
改正の多くは
この 『 租税特別措置法 』です。

その他にも
図には記載していませんが
課税要件を定めた
所得税法などの実体法の他に
徴収手続 について定めた
国税徴収法 があります。

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法律の下には
さらに詳細な規定や計算の詳細を定めた
政令 である
所得税法施行令
政令の下には
必要な手続きなどを定めた
省令
所得税法施行規則 があります。

法律から省令までが 「 法令 」 です。

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通達
上級機関が下級機関に対して
その機関の所掌事務について
指揮するために発する命令です。
法令の運用に関し
解釈を統一化するためなどで
発せられます。 ( 法令解釈通達 )

こちらは
一般的に公表されています。
実務での判断では
通達が基準となる場合が多いですが
法令ではないので
一般国民の権利義務について
直接は拘束しません

法令解釈通達 - 国税庁

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条約 については
国家間の合意規範です。
憲法との優位性については
学説により見解が分かれます。

法律との関係においては
国内法よりも優先されます。

ただし
税に例にした場合
租税条約 においての優先とは
国内法の効力の一部を減殺する
という意味です。

また
国内法で課税されないものを
租税条約で
課税することはできません。

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会計検査院規則,人事院規則 については
役割の性質上,内閣からある程度
独立性を保障されているので
直接,政令は及びません。

外局規則
内閣府および各省は
その外局として
公正取引委員会
国家公安委員会 など 委員会
海上保安庁 などの
置くことができます。

原則として外局は
独自に命令を発することはできませんが
例外的に
各委員会庁の長官
別に法律の定めるところにより
政令及び省令以外の規則
その他の特別の命令を
自ら発することができます。

(内閣府設置法 第58条4項,
 国家行政組織法 第13条1項)

例えば
公正取引委員会
(私的独占の禁止及び公正取引の
 確保に関する法律 第76条)や
国家公安委員会
(警察法 第12条)の他には
中央労働委員会
(労働組合法 第26条)
公害等調整委員会
(公害等調整委員会設置法 第13条)
などがそれに当ります。

なお
庁の長官が定めた庁令
自ら発することができるのは
海上保安庁 のみです。
(海上保安庁法 第33条)

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議院規則,最高裁判所規則,条例
権力分立により
憲法が
議院や最高裁判所
および
地方公共団体に認めた制定権です。
衆議院参議院
会議の手続きや内部規律に関して
『 議院規則 』
最高裁判所
訴訟手続きや内部規律に関して
『 最高裁判所規則 』
それぞれ
自ら制定することができます

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地方公共団体 が定める
条例規則
条例施行規則 の関係においては
規則下位法令 に当たります。

しかし
条例規則 には
各機関に専権事項 があります。
住民の権利義務に関する場合は
条例で定め
財務に関する場合は
規則で定められます。
そして
議会 による条例も
首長 が定める規則も
民主的に選挙された機関により
作られるものですので
その点では 対等な関係 といえます。

また
議院規則,最高裁判所規則,条例 と
(地方公共団体が定める)規則

【図1】法令の階層図で茶色線右側〈矢印〉
については
e-Gov法令検索には掲載されません。

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【図1】通達 以外の
法令ではない規定 について

まず
要綱要領 については
要綱 とは
事務手続きの取り扱いを
統一化する規定です。

例えば
助成金,補助金などを出すために
公平に事務処理を行うために
要綱などを定めます。

要綱 は
「基準」,「方針」,「細目」など
名称を用いられることがあります。

要領
さらに細かい事務手続きを定める
場合に用いられます。
要領 は
「事務手続」など の名称が
用いられることがあります。

また
「要綱」,「要領」といった
発令形式はないため
一般的には
要綱 は「告示」「訓令」として
制定します。

指針 ,ガイドライン についても
要綱,要領 と同様に
公務員が事務処理を行う際の基準です。

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訓令 は通達と同じく
上級機関が下級機関に対して
その機関の所掌事務について
指揮するために発する命令です。

通知と通達の違い については

通知 は命令できない相手に対して
「 技術的な助言 」などを伝えるものです。
つまり
「 従ってほしい内容 」です。

国が通知を出す相手としては
地方公共団体や
事業者団体などがあります。
地方分権改革後は
国と地方公共団体とは
対等の関係になりましたので
「通達」から「通知」へと
改められました。

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告示
国や地方公共団体の行政機関が
その意思を国民や住民に対して
官報 や 公報 により
事実を広く 公示
することです。

要綱や指針 など について
それを国民(住民)に
知らせる必要がある場合には
告示化 します。
例えば
「常用漢字表」「生活保護基準」
など
があります。

法律に告示の根拠 があるときには
政省令のように
国民の権利義務に関係する
場合があります。
例えば
土地収用法に基づく事業の認定の告示
(土地収用法 第26条1項) などです。

要綱指針 などは
誰に対して向けられたものか
公務員内部に対しての
通達的なものなのか
国民へのお知らせの
告示的なものなのかを
見極める必要があります。

先頭へ


最後に今日ご案内した
税法を勉強するに当たり
お役立ちサイトをご案内します。

◇ 税大講本 - 国税庁


税務大学校講本は
司法協会の講義案のように
無駄な記述がなく
淡々と書かれています。
そのため
読んでいて面白味はありませんが
各税法の基本的事項が書かれていて
入門書としては
必要かつ十分でしょう。


先頭へ


以上
読んでいただき
ありがとうございました。