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2016年8月10日水曜日

教養とは何か


法学(憲法学)の勉強において
度々聞く格言で

『憲法学を勉強するには 苦学せよ』

とあります。

語(五) 学 と 史(四)学 を
あわせて 苦(九)学

ということです。

この格言が誰の言葉であるかは
美濃部達吉 先生 とも
清宮四郎 先生 とも
言われていますが
はっきりした出典は
わかりませんでした。

つまり
語学ができなければ
人とのコミュニケーションや
文献等を通して
空間を超えた制度や文化の比較が
困難です。

また
史学がわからないと
対象のものが
いつ,どういう経緯で
成立したのか
その背景がわかりません。

この格言に,さらに付け加えるならば

語(五)学 + 史(四)学
= 苦(九)学


が重要といわれますが
そうすると
算術,つまり 数学 も重要 ですね。

要は語学や史学で
空間や時間から見聞を広め
数学や化学,物理,生物学等で
論理的思考を身につけ
科学的実証に基づき
真理を探究することができます。

つまりこの格言は
基礎知識となる教養の上に
専門が成り立つ
ということを
例えた言葉です。

「教養」 の言葉の意味は
色々と解釈されますが
先述の 「教養」 とは
「リベラル・アーツ主義」
意味での教養です。

リベラル・アーツ
近年の大学において
使われる意味は
大学で誰もが身に付けるべき
基礎教養的分野のことです。


大学に 教養課程 が置かれるのは
ドイツ教養主義
影響を受けています。

教養
知的階級 として必要な
知識や文化的素養で
その 共通の素養 を身につけることが
大学教育というわけです。

こう考えると
昔の 岩波新書
「~ 入門」とか言いながら
なんか小難しくて
ある程度
教養のバックグランドがないと
読みこなせないというのは
このような背景が
あったからでしょう。

その反面
自分が知識を得ていくに従い
読めば読むほど味が出て
深みを感じる名著も多数あり
今日においても
版を重ねて
読み続けられている本も
多くありますよね。

でも
最近出版されている岩波新書は
昔のものに比べると
マイルドになったような
気がしますが
岩波新書の格は保たれていると
思います。

まあ
「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」
なんていう本は
岩波的ではないでしょうね。

別にこの本の批判ではなく
この本には
この本の良さがありますから
趣味・娯楽として読み
雑多な情報を仕入れるには
『 知 』としてこういった本も
十分ありだと思います。


それから例示として
すぐにこの書名が
挙がるということは
タイトルにインパクトが
あるからでしょう。

話しを戻して
リベラル・アーツ とは
元来
学問により教養を身につけ
人を自由にする
という意義があったそうです。

特に フランス では
教養教育は
市民教育の一環で
成熟した市民になることに
主眼が置かれています。


やはり
自分たちが勝ち取って
作り上げた
先発的民主主義国家


先発的民主主義国家の
後を追って 作られた
後発的民主主義国家
の違いが
思想に現れていますね。

イメージとして
市民が国家を支え
下から持ち上げる感じの
先発的民主主義国家

君主が
上から国家を引っ張り上げる
感じの
後発的民主主義国家
といったところでしょう。

お上にお任せの日本においては

フランスの感覚というものは
持ち合わせていないでしょう。

だから市民感覚も全く異なるので
フランスの模倣は
ちょっと難しいのでは
ないでしょうか・・・。


※ 参考資料

★ 教養主義の没落 - 変わりゆくエリート学生文化 (中公新書) 竹内 洋 著

★「教養」とは何か (講談社現代新書) 阿部謹也 著

★ 移りゆく「教養」 (日本の “ 現代 ”) 苅部 直 著 / NTT出版

★ リベラル・アーツとは何か - その歴史的系譜 大口邦雄 著 / さんこう社

★ 怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか (新潮新書) 黒川伊保子 著

★ 山折哲雄×鷲田清一 (その2)
『 教養をめぐる、経済界トップの勘違い 』
東洋経済 ONLINE 〈 2013年9月10日 〉

http://toyokeizai.net/articles/-/19212
( アクセス日 : 平成28年8月10日 )

★ 山折哲雄
『 日本人としての教養 - 次世代に継承したいこと 』
東洋経済 ONLINE 〈 初回 2013年9月3日 〉

http://toyokeizai.net/category/118?page=2&per_page=15
http://toyokeizai.net/category/118?per_page=15
( アクセス日 : 平成28年8月10日 )


以上
読んでいただき
ありがとうございました。