ラベル 1 法令/2 官報と法令全書 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 1 法令/2 官報と法令全書 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年12月4日日曜日

官報と法令全書

法情報検索 各論 1 法令 2

~ 主要リンク ~

インターネット版「官報」
 - 国立印刷局


官報目次検索
 - 全国官報販売協同組合



国会や内閣等で制定された法令は
公布されることにより
国民が知りうる状態になります。

その後
法律の施行期日の場合は
原則としては
公布の日から
起算して20日を経過した日
から
施行されますが
附則で定められている場合や
政令で施行日を定めることを
委任
したような場合には
その施行日から施行されて
効力が発生します。
(法の適用に関する通則法 第2条)

施行により
法令の効力を発生させるには
公布の手続を必要とします。
( 国会法 第65条1項,第66条 )

法令の公布方法
官報に掲載されます。

もっとも
これには法的根拠がありませんが
最高裁判例により
「法令の公布は官報をもってする旨を
 定めていた
 明治40年勅令6号公式令の廃止後も
 特に国家がこれに代わる
 他の適当な方法をもって
 法令の公布を行うものであることが
 明らかな場合でない限りは
法令の公布は従前通り
官報をもって行われるものと
 解するのが相当である」
としています。
( 昭和32年12月28日
 最高裁判所大法廷判決
 昭和30年(れ)第3号
 刑集11巻14号3461頁 )

また
公布時期についても
最高裁判例では
公布の時期は印刷局本局
 又は東京都官報販売所における
 官報掲示時刻である
午前8時30分である」
としています。
( 昭和33年10月15日
 最高裁判所大法廷判決
 昭和30年(あ)第871号
 刑集12巻14号3313頁 )

これは
国民が官報を最初に
閲覧できる状態になった時に
公布があったとされ
地方では未だ閲覧・購入が
可能でなかったとしても
東京で既に閲覧・購入できる状態に
なっている場合には
一般国民が
知ることのできる状態に置かれたと
解されるので
その時点で
公布があったとされたものです。

これらの最高裁判例により
法令の公布方法と公布時期の考え方は
定着しています。

そもそも官報には
大陸型英米型 があり
フランスが始まりの
日本やドイツを含めた大陸型では
法令はすべて官報に登載して公布し
これをもって施行の要件
としています。

一方の英米型
アメリカでは
議会で可決した法案に
大統領が同意の署名をすることにより
法律が確定し
それをもって拘束力も発生します。
イギリスの場合では
上院事務総長の手により
国王の同意
法律の原本に記入されて
文書化されたものが
議会で発表されることで
法律の効力が生じます。

このように
英米型では
法律の施行に当たり
官報掲載を要件としません。


官報の公布時期が問題となった
最高裁判例は
「覚せい剤取締法の
 一部を改正する法律」が
昭和29年6月12日に公布
( 同時に施行 )されたところ
覚せい剤取締法による不法所持で
罪に問われた被告人が
広島市においては
改正覚せい剤取締法が掲載された
官報を購入できたのは翌日の13日で
犯行当時に
公布・施行されてはおらず
犯行は当該法改正前に行ったもので
改正後の法律を適用した処罰は
おかしいとして上告したものです。

結果として
犯行が行われたのは
印刷局官報課又は東京都官報販売所に
官報が届いた(閲覧可能となった)
午前8時30分より後の
同日の午前9時頃であったため
新法が適用されて
上告棄却となりました。

大陸型においては
距離により
官報の届く時間に差が生じるため
法律の効力発生の時期(時点)が
異なることになりますが
日本では判例により
午前8時30分としています。

これは
官報が届くまでの距離と時間の基準
東京
印刷局官報課と官報販売所に置き
そこへ届くことにより有効とした
大陸型到達主義
とっているかのようにも見えますが
効力発生時期の時間的な基準
午前8時30分
閲覧することができたとして
一律に定めているところは
到達主義の欠点を補完した
到達したとみなす公示送達的な
発信主義
とっているとも考えられます。

もっとも現在では
インターネットなどによる
通信技術の発達によって
遍く情報の取得が可能となり
Webサイトからも
インターネット版「官報」
閲覧可能になったことから
おのずと発信主義の採用となり
官報の届くまでの
場所的な距離と時間の差異による
効力発生時期の基準論争は
過去の話しとなったのでは
ないでしょうか。


官報国が発行する機関紙
原則として行政機関の休日を除き
毎日発行される日刊紙で
紙面の大きさは
日本工業規格A4判です。

官報の形式および内容については
昭和48年3月12日付けの
事務次官等会議申合せにおける
「官報の編集について」によって
規定されています。

創刊は 明治16年(1883年)7月2日で
現在に至ります。

官報から公布法令を抜粋して
月単位で,日にち(号数)順
各官庁別に再編集
されたものとして
法令全書があります。

法令全書は月刊で
年に一度,索引号として
『総目録』が発行されます。

古い六法や
旧法令集にも収録されていない法令を
調査する場合には
法令全書を使うことになりますが
使い勝手の良いものとは言えず
慣れないと使いにくいものです。


~ 参考文献 ~

すぐに役立つビジネス情報源
官報の徹底活用法 / 牧潤二(1994)


官報百年のあゆみ / 大蔵省印刷局 (1983)


~ 参考Webサイト(2022年12月4日 閲覧)~

官報とは - 全国官報販売協同組合

官報について - 独立行政法人 国立印刷局

官報( 法律の「窓」)- 参議院法制局

インターネット版「官報」- 国立印刷局

官報目次検索 - 全国官報販売協同組合


先頭へ


以上
読んでいただき
ありがとうございました。