2022年8月27日土曜日

ゴミの帰属についての考察


“ ガーボロジー ” について
その行為が
犯罪とならないかについて
詰めて考えていったとき
そもそも
ゴミ(廃棄物)を持ち去る行為は
窃盗罪などにあたるのか

という問題に当たります。

ゴミとは
それ自体に財産的価値があったとしても
通常不要になったので
捨てたものであるから
所有権,占有権を放棄したものなので
無主物であり
窃盗(刑法235条)には当たらない。
また
無主物であれば
遺失物や漂流物
その他
占有を離れた他人の物でもないので
遺失物等横領(刑法254条)にも当たらない。
とも考えられます。

一方で
集積所に出されたゴミは
自治体が排出者から
譲り受けたものと考えられるので
ゴミの所有権は
自治体に帰属するという
解釈もあります。

この件について
裁判例は分かれています。
まず
ゴミを集積所に置いた時点で
無主物になるものではない。

とする 裁判例

東京高判 平成19年12月10日
平成19年(う)第1087号


東京高判 平成19年12月13日
平成19年(う)第1025号


東京高判 平成20年1月10日
平成19年(う)第1068号


東京高判 平成19年12月26日
平成19年(う)第993号
平成19年(う)第1018号
平成19年(う)第1031号


がありますが

東京高判 平成19年12月13日
平成19年(う)第1025号


においては
集積所の資源廃棄物は
一般的には無主物ではないと
しながらも


「 区民の中には
 古紙等を集積所に排出した時点で
 所有の意思を放棄したとみるのが
 相当な場合も考えられない訳ではない。
 その場合には
 その資源廃棄物は
 民法上の無主物と
 いわざるを得ないであろう 」


というように
私法上の帰属については
明言を避けています。


次に
権利の移転時期 については

東京高判 平成19年12月10日
平成19年(う)第1087号


では
明言をしていません。

それ以外では
自治体によって回収されるまでは
排出者によって所有・占有されていると
見るべきであり
自治体が回収することによって
その所有権や占有権が
自治体に移転,承継されるものと
考えるのが相当
とする 裁判例

東京高判 平成19年12月13日
平成19年(う)第1025号


東京高判 平成20年1月10日
平成19年(う)第1068号


であり

集積所に置かれた時点から
自治体の所有に属する

とするのが

東京高判 平成19年12月26日
平成19年(う)第993号
平成19年(う)第1018号
平成19年(う)第1031号


の裁判例です。

これらの裁判例
資源ゴミの持ち去り問題の
対策として
自治体が持ち去り禁止条例を制定し
その条例違反行為で告発がなされて
裁判で争われたケース
です。

資源ゴミの持ち去り問題 とは
古紙等の再生資源価格の下落によって
資源となっていた古紙等が
大量のゴミとなり
行政が資源を回収し出したところ
再び資源ゴミに価値が付いたため
持ち去る者が出てきました。

彼らが
全ての資源ゴミを回収すれば
問題はないのですが
価値の高いものしか持っていかず
それにより
集積所が荒らされるなど
回収コストが増え
経済的損失も大きく
行政の信用にかかわる問題でもあるので
対策として条例を制定し
持ち去り行為を抑止するという
ことが目的です。

それらの事情を鑑みれば
裁判所でも
有罪の方向へ持っていくような
法理論を立てるのは当然でしょう。

ですから
これらが 対象 としているのは
古紙,ガラス瓶、缶などの
再利用の対象となる 資源ゴミ であって
一般ゴミが対象ではありません。

ただし
自治体により
適正にごみステーションに排出された
家庭系一般廃棄物の持ち去り行為を
一般的に禁止している条例
もあります。

下関市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例

( 収集又は運搬の禁止等 )
第10条

市又は市から収集又は運搬の委託を受けた者以外の者は
前条第2項 の規定により
適正にごみステーションに排出された
家庭系一般廃棄物を収集し
又は運搬してはならない。
2項
市長は
市又は市から収集又は運搬の委託を受けた者以外の者が
前項の規定に違反して
ごみステーションに排出された
家庭系一般廃棄物を収集又は運搬したときは
その者に対し
これらの行為を行わないよう
命ずることができる。

( ごみステーションの管理 )
第9条 2項

ごみステーションの利用者は
家庭系一般廃棄物の排出に当たっては
当該家庭系一般廃棄物を分別し
飛散又は流出しないように
市長の指示する方法により収納し
かつ
指定された日時に排出する等
適正にこれを行わなければならない。


本条例の 第10条 については
循環型社会形成推進基本法 第7条
違反するものとはいえない。

との 裁判例 があります。

広島高判 平成20年5月13日
平成19年(う)第241号
下関市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例違反事件



翻って
排出されたゴミを無主物とした
裁判例
もあります。

最二小決 平成20年4月15日
平成19年(あ)第839号
窃盗,窃盗未遂,住居侵入,強盗殺人被告事件


「 ダウンベスト等の領置手続についてみると
 被告人及びその妻は
 これらを入れたごみ袋を不要物として
 公道上のごみ集積所に排出し
 その占有を放棄していたものであって
 排出されたごみについては
 通常そのまま収集されて
 他人にその内容が見られることはないという
 期待があるとしても
 捜査の必要がある場合には
 刑訴法221条により
 これを遺留物として
 領置することができるというべきである。
 また
 市区町村がその処理のために
 これを収集することが
 予定されているからといっても
 それは廃棄物の適正な処理のためのものであるから
 これを遺留物として領置することが
 妨げられるものではない 」


この裁判例
先出の
「 資源ゴミ 」 のケースとは真逆
捜査の正当化のために
ゴミ刑訴法221条の「 遺留物 」
としなければならないという
前提で法理論を立てているので
このケースでは
集積所に排出されたゴミは
自治体による回収如何にかかわらず
無主物
としています。


これらを踏まえて
ゴミの帰属 を考えると
今のところ
ケースバイケースで
判断
されているようです。

よって
国家機関や捜査機関ではない
私人によるガーボロジー は
目的や他の行為,情状と絡めて
有罪と判断される
おそれがある
と考えます。


ちなみに
ワイドショーなどで
特集されている
“ ゴミ屋敷 ” と呼ばれている
ゴミに埋もれている家がありますが

あの
家を埋めつくしているモノ
ゴミ集積所へ排出されたものでなく
所有者の管理下にあり
所有・占有を放棄している
とはいえないので
所有者の許可なく持ち去れば
窃盗です。


所有者本人も
ゴミと言ってませんよね。

だから行政も困っているわけです。

近隣の住民は
悪臭や火災等の心配で
たまったものではありませんが・・・。


~ 参考文献 ~

垣見隆禎『 判例研究34 世田谷区清掃・リサイクル条例事件 』
自治総研 通巻411号 2013年1月号 58頁

http://jichisoken.jp/publication/monthly/monthly2013.html
(アクセス日 2022年6月7日)

埼玉県清掃行政研究協議会
『 平成21年度調査研究事業 一般廃棄物行政諸問題検討部会報告書 』


資源ごみ持ち去りを禁止する条例 - 地方自治研究機構
http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/089.removing_recyclable_waste.htm
(アクセス日 2022年6月7日)

世田谷区例規類集(条例・規則集)・要綱集
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/107/157/722/729/d00120036.html
(アクセス日 2022年6月7日)

杉並区例規集・要綱集
https://www.city.suginami.tokyo.jp/kusei/jorei/1012987.html
(アクセス日 2022年6月7日)

大田区例規集
https://www1.g-reiki.net/cityota.reiki/reiki_menu.html
(アクセス日 2022年6月7日)

下関市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例
http://www.city.shimonoseki.yamaguchi.jp/reiki/reiki_honbun/r147RG00000479.html
(アクセス日 2022年6月7日)


以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2022年8月26日金曜日

情報の分類とガーボロジー


社会にあふれる情報には
多くの種類の情報が
入り混じっています。

調査に必要な情報を分類 すると
次のように
分類することができます。

まず
登記簿や住民票など
官公庁等で入手できる情報。
官報や住宅地図,
紳士録や人名録等の名簿類,
有価証券報告書,企業情報など
図書館や書店等で
入手できる情報といった
公然としている情報(オープン情報)

一方
当事者しか知ることができない
非公然の情報(クローズド情報)とに
大きく分けることができます。

さらに
非公然の情報(クローズド情報)には
聞き込み等で得ることは可能ですが
聞き込み相手の勘違いや
噂の域を出ない伝聞等の
未確認の情報

その中でも
デマなどをわざと流して
混乱させたり騒がせたりする
ガセネタといわれる
偽の情報

自分の五感で
確認した情報
分類されます。

尾行調査の情報などは
この確認情報に
近い情報になります。

捜査機関や諜報機関
探偵および記者などの
情報屋は
オープン情報 のほか
未確認情報
収集,確認して分析
さらに
裏付けを取り
間違いがなければ
報告書や記事にする
といった
プロセス をたどります。

ところで
“ ガーボロジー ” という調査方法を
ご存じでしょうか?
初めて聞く方もいると思いますが
いわゆる「 ゴミ漁り 」 のことで
ゴミから得られる情報から
事実の解明をする調査法です。

元々は
考古学で遺跡の出土品から
当時の生活や文化等を探っていく
技術だったそうです。

この調査方法は
聞き込み調査などよりも
正確かつ多くの
確認情報が得られる
ため
捜査機関や諜報機関,探偵等が
情報収集のために使われる
調査方法の一つに
使われるようになりました。

ゴミから何がわかるのかというと
試しに自分のゴミを分析して
自己の日常生活の情報を
逆算してみてください。


例えば
給与明細,カードの引き落としの
明細書や
レシート,水道・電気等の
明細書があれば
収入と支出のおよその見当がつきます。

他には
薬の殻からも
対象者がどんな病気を患っているか
推測できますし
メモなどからでも
その人の交友関係や性格等が
判断できる場合があります。

捜査機関や探偵などは
こういった情報を頼りに
犯罪捜査等の証拠収集
居所調査や素行調査などの
手掛かりにするわけです。

相当に金になる産業機密を探る
手練れの調査員や産業スパイ。
はたまた
国家組織の諜報員や
捜査機関のプロにかかれば
シュレッダーをしようが
生ゴミに混ぜようが
素人が振り切るのは困難でしょう。

◇ シュレッダーは
  セキュアな書類破棄方法か?
  - ITmedia エンタープライズ



しかし通常ならば
空き巣対策と同様に
犯人に
「 面倒だ 」とか
「 時間がかかりそうだ 」と
思わせることが重要なので
複雑に仕組むこと
防犯対策 の一つでしょう。

特に女性の場合は
ゴミ出しにも気を配りましょう。
まず
ゴミは夜に出さない。
できれば収集直前に出す。
生ゴミと混ぜて出す。
個人情報などがわかるものは
シュレッダーする。

といったように
まずはできることから
行うのがよいと思います。

“ ガーボロジー ” の行為自体は
犯罪になるのかというと

例えば
マンションの場合
夜に外部の者である
不審者が
ゴミを漁りに
マンションのゴミ集積場に
頻繁に侵入していれば
侵入に正当な理由はなく
入ってよしとする
推定的同意もありませんので
住居侵入等の罪(刑法130条前段)に
なるでしょう。

他には
公道のゴミ集積所で
頻繁にゴミを持って行く
不審な自動車がある場合であれば
集積所に排出したゴミは
無主物か?
などの判断が難しく
持ち出したからといって
犯罪の構成要件に該当するとは
言いきれません。

しかし
不審者対策として
最低限
自動車のナンバーは
控えておいたほうがよいでしょう。

警察に相談しても
不審者らしい人がいるという
具体性のない漠然とした情報では
警察も動きようがありません。

それが
対策の初動を遅らせる
要因にもなります。

ですので
具体的な場所や時間など記録したり
一応確からしいと
わかる資料があれば
警察も動きますので
それらを集めて
警察の生活安全課
相談すると効果的です。

警察でも
警視庁総合相談センター
様々な困りごとに関する
相談を受け付けているので
ご案内します。

◇ 相談ホットラインのご案内
  - 警視庁


◇ 警視庁 - 相談・お悩み

攻撃側の方法を知ることで
それに対する
防衛策も立てやすくなる
ということです。


その他には
法テラス( 日本司法支援センター )
相談するのもよいでしょう。

法テラス とは
総合法律支援法に基づき
平成18年4月10日に設立された
法務省所管の公的な法人です。

弁護士や司法書士による
法的な立場からのアドバイスを
受けることができます。


◇ 法テラス(日本司法支援センター)
  - トップページ


ここで一つネックになるのは
民事の場合
費用の支払の問題です。

法律専門家に依頼する
費用が厳しいという方は
民事法律扶助 という制度があります。

◇ 民事法律扶助業務 - 法テラス


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以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2022年8月25日木曜日

訟務月報 等 官公庁公刊の判例集

法情報検索 各論 3 判例 a

判例集,裁判例集
司法機関である 裁判所
編集,公刊している公的判例集以外に
行政機関である官公庁
編集,公刊している 裁判例集
あります。

代表的なものを4つ例を挙げ
その他のサイトも検索できるよう
合わせて総合リンクを紹介します。

法学資料データ(リンク集)-TKC

訟務重要判例集データベースシステム

税務訴訟資料

労働委員会関係 命令・裁判例データベース

高等裁判所刑事裁判速報


訟務重要判例集データベースシステム

★ 訟務月報(法務省訟務局 編)
  略称:訟月
巻次:創刊号 昭和30年(1955)~

訟務月報
国や行政庁が一方当事者となって
法務省が関与した
民事事件,行政事件,租税事件の判例
収録しています。

このうち
国に対する主な請求内容
賠償 を求めるものを 民事事件
処分の取消し等について求めるものを
行政事件
租税の賦課徴収に関するものを
租税事件 としています。

各法科大学院で異なると思いますが
59巻 1号 から
冊子が寄贈されていたと思います。

訟務月報
36巻 1号 ~ 68巻 3号 までは
法務省Wbeサイトにて
データベース化されています。
(2022年8月29日 時点)

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税務訴訟資料

★ 税務訴訟資料(国税庁 編)
  略称:税資
巻次:第249号(2004年)では冊子体
第250号(2005年)~
258号(2011年)までは CD-ROM
258号~国税庁Webサイト
掲載されています。
(アクセス日: 2022年8月29日)

税務訴訟資料
租税関係行政・民事事件裁判例のうち
国税に関する裁判例 を収録したもので
課税関係判決徴収関係判決
分かれています。

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労働委員会関係 命令・裁判例データベース

★ 労働委員会関係 命令・裁判例データベース
 (中央労働委員会)

収録範囲(概要情報)
命令
 昭和34年(1959)~ 令和2(2020)年5月
裁判例
 昭和41年(1966)~ 令和2(2020)3月

労働委員会関係 命令・裁判例データベース
不当労働行為事件 について
都道府県労働委員会
および
中央労働委員会から発せられた命令
労働委員会関係の判決・決定
事件概要,判決・決定の要旨などの
概要情報を掲載しています。
また
昭和61年(1986)以降命令
および
平成17年(2005)以降判決等については
画面の最後から
全文情報(PDF)がリンクされています。
(2022年8月29日 時点)

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★ 高等裁判所刑事裁判速報
 (法務省大臣官房司法法制部 編)

  略称:高刑速
巻次:昭和56年(1981)年 ~

高等裁判所刑事裁判速報
もともとは
各高等検察庁の内部資料 でしたが
現在は 法曹会 から出版されています。
また
TKC,LLIなどの有料データベースでも
PDFで閲覧できるものもあります。


これらの紹介したサイトや資料は
一部分なので
最後にこれらを網羅する
法学系の 総合リンク集 も紹介します。

法学資料データ(リンク集)-TKC


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以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2022年8月24日水曜日

登記関係の先例等の検索方法

法情報検索 各論 1 法令 7

~ 主要リンク ~
登記通達/先例/回答 - TOUKI 2030

不動産登記関係の主な通達等
 - 法務省民事局


商業・法人登記関係の主な通達等
 - 法務省民事局


日本-登記関係先例の調べ方
 - リサーチ・ナビ - 国立国会図書館



前出の 通達・告示・指針等の検索方法

法務省において
民事局第二課民事局長 から
全国の 法務局長及び地方法務局長 宛てに発せられた
不動産登記に関する手続について定めた 通達
「 不動産登記事務取扱手続準則 」 と呼ばれ

さらに
法務省民事局長通達に合わせて
法務省民事局第二課長 及び 商事課長通知 するものを
「 依命通知 」 と呼ばれていることを述べました。


登記申請の取り扱いについて示達された
通達・回答・依命通知などの 『 先例 』 を調べるには
『 登記六法 』『 登記先例判例要旨集 』 などに当たりますが
新しいものに関しては登載されていないことがあります。

新しい先例は
『 登記研究 』『 民事月報 』 などで紹介されていますので
司法書士ならばこれらを購読している方もいると思います。

登記関係・先例の調べ方についてのガイドは
国立国会図書館のリサーチ・ナビがあります。

日本-登記関係先例の調べ方
 - リサーチ・ナビ - 国立国会図書館



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「 国税庁 」「 厚労省 」通達
データベース化して検索がしやすくなっているが
「 登記関係の通達などのデータベースはないのか? 」
といった問い合わせが度々あります。

これにつきましては
法務省のWebサイトでも
不動産登記,商業・法人登記に関連する
主要な通達等を掲載しています。

不動産登記関係の主な通達等
 - 法務省民事局


商業・法人登記関係の主な通達等
 - 法務省民事局



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この他にも個人で運営している
このようなサイトもあります。

登記通達/先例/回答 - TOUKI 2030

上記は
司法書士の長谷川清先生が運営しているサイトです。

法務省のサイトのものは主要な通達等のみですが
こちらのサイトは
細かく掲載がなされていて
類型別にも分けてあるので検索しやすく
便利で使い勝手のよいサイトです。

SHIHOSHOSHI.COM
 - 司法書士 長谷川事務所



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以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2022年8月23日火曜日

通達,告示,指針 等の検索方法

法情報検索 各論 1 法令 6

~ 主要リンク ~
法学資料データベース - LEX/DB

所管の法令・告示・通達等 - e-Gov

法令等データベースサービス - 厚生労働省

法令解釈通達 - 国税庁

省略用語例 - 国税庁

日本-訓令・通達・通知の調べ方
  - リサーチ・ナビ - 国立国会図書館


◆ 通達◆ 訓令◆ 通知◆ 告示
◆ 要綱,ガイドライン


法令ではない通達等
( 行政規則 )の種類について
説明するとこの様になります。

◆ 通達
( 国家行政組織法 第14条2項 )
上級行政機関が下級行政機関に出す
行政内部の命令又は示達で
官報には掲載されません。
法令の解釈及び運用や行政執行の方針に
関するものが多いです。

◆ 訓令
( 国家行政組織法 第14条2項 )
上級機関が下級機関に対して
所掌事務について指揮するために発する
命令又は示達で
公共性が強い場合など
一部は官報に掲載されるものもあります。

官報に掲載される訓令
法令番号と同様の 訓令番号 が付されます。
例えば
「 平成○○年 内閣府訓令 第○○号 」などです。
通達との違いについては諸説ありますが
区別は明確ではありません。

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◆ 通知
行政庁がある行為を
特定又は不特定多数の人に
特定の事項を知らせる
準法律行為的行政行為 です。
命令できない相手に対して
技術的な助言 」などを伝えるものです。

通達・通知 には
「 文書記号・番号 」 が付されます。
文書記号は
所管する機関の部局課名を表し
その記載方法は
各機関により異なります。

例えば
厚生労働省 ならば
「 基発 第○○号 」など
法務省 ならば
「 民二 第○○号 」などです。

社労士などを勉強している方で
「 基発 」などの意味を
教えてほしいとの問い合わせが
まれにあります。

通達等の種別は多数ありますから
『 労働法全書 』分野別の法令集
凡例 の記載がありますので
そちらを当たるのが良いでしょう。

ちなみに
「 基発 」 とは
労働基準局長 から
各都道府県の労働局長 宛てに発せられた
「 通達 」 です。

厚生労働省
法令,告示,主な訓令,通知 等
こちらで検索することができます。

法令等データベースサービス - 厚生労働省

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国税庁 においても 通達 を公開しています。

法令解釈通達 - 国税庁

また
国税庁が回答文で使用している
法令,通達の略称 を調べるには
こちらが良いでしょう。

省略用語例 - 国税庁


法務省においては
民事局第二課民事局長 から
全国の 法務局長及び地方法務局長 宛てに
発せられた
不動産登記に関する手続について定めた
「 通達 」
「 不動産登記事務取扱手続準則 」
という形になります。

さらに
法務省民事局長通達に合わせて
法務省民事局第二課長 及び 商事課長
「 通知 」 するものを
「 依命通知 」と呼ばれています。

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◆ 告示
( 国家行政組織法第14条1項)
行政機関がその意思や事実を
広く一般に公示することです。
一般への公示ですから
国の機関の場合は 官報
地方公共団体の機関の場合は
公報 へ掲載されますので
そこから調べることができます。

◆ 要綱,ガイドライン
公務員が事務処理を行う際に
取り扱いを統一化する基準です。
要綱,ガイドラインという
発令形式はないため
一般に公示する必要がある場合には
「 告示 」「 訓令 」として制定します。

各府省所管の法令・告示・通達等は
こちらで調べることができます。

◆ 所管の法令・告示・通達等 - e-Gov

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通達のほか,法令,判例,文献等を
網羅的に検索する場合は
総合リンク集が便利です。
というかこれだけで十分ですので
いくつかご案内します。

 法学資料データベース - LEX/DB
   このリンク集のみでほぼ間に合います。

◆ TKCローライブラリー - 法令リンク

◆ TKCローライブラリー - 判例リンク

◆ TKCローライブラリー - 審決/裁決リンク

◆ D1-Law.COM
  第一法規法情報総合データベース - リンク集


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インターネットでの検索が
普及する前までは
通達・通知などの検索については
冊子体の
『 基本行政通知・処理基準 』で調べて
そこにない場合は
主題別の通知・通達集
例えば
『 化粧品・医薬部外品関係通知集 』などや
所管省庁の公報類
『 税務法令通達月報 』,『 薬務公報 』,
『 裁判所時報 』
などに当たるといった
専門図書館や
都立・県立図書館レベルでの調査でした。

今は各省庁のデータベースが
充実しているので
わざわざ図書館へ出向かなくても
在宅検索ができるので便利です。

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最後に
告示・訓令・通達・通知等の調べ方が
わからなくなった場合の
「お助けサイト」をご案内します。

◆ 日本-訓令・通達・通知の調べ方
  - リサーチ・ナビ - 国立国会図書館



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以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2022年8月22日月曜日

法の階層

法情報検索 各論 1 法令 1

◆ 条約◆ 会計検査院規則,人事院規則
◆ 外局規則◆ 庁令
◆ 議院規則,最高裁判所規則◆ 条例
◆ 通達◆ 要綱◆ 要領
◆ 指針,ガイドライン◆ 訓令
◆ 通知◆ 告示

税大講本 - 国税庁


今回は
法令等の階層についてお話します。

法令の階層について図で表すと
【 図1 】のようになります。

【 図1 】

 ※【 図1 】中の茶色の二重線より
   右側〈 矢印 〉の規則・条例
については
  e-Gov法令検索には掲載されません。

先頭へ

例えば
『 所得税法 』でいうと
まず 憲法 30条で 納税の義務
同84条で 租税法律主義 を定めています。

その『 租税法律主義 』を受けて
法律を定めます。
法律 の中でも階層があり
税法の階層を図で表すと
【 図2 】のようになります。

【 図2 】
(行政法との関係で,課税に関するの場合の階層です。)



先頭へ

税法の場合
所得税法,法人税法,
消費税法… といった
実体法が規定した課税要件を満たすと
納税義務が発生し
課税されることになります。
そして
各税法での課税を実現するための
共通する手続を規定しているのが
『 国税通則法 』です。
また
税法違反に対する処罰を定める
国税犯則取締法
2018年(平成30年)4月1日に
廃止され
国税通則法に編入されました。

国税通則法の上位には
『 行政手続法 』,
『 行政不服審査法 』
といった
行政法関連の規定があり

それらの行政法関連一般法
国税通則法特別法とする
関係になっています。

先頭へ

さらに分かれて
所得税法などの
税目ごとに課税要件を定めた
実体法が規定されています。

国税の所得税法法人税法などと
国税通則法との関係では
国税通則法一般法となります。

図の右側の
『 租税特別措置法 』とは
税法の場合,本法とは異なり
その時の経済状況などから
政策判断し,時限的に制定された
課税を修正した特別法の集まりです。

税法は
すぐに変わるので難しい
との声を聞いたことがありますが
改正の多くは
この 『 租税特別措置法 』です。

その他にも
図には記載していませんが
課税要件を定めた
所得税法などの実体法の他に
徴収手続 について定めた
国税徴収法 があります。

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法律の下には
さらに詳細な規定や計算の詳細を定めた
政令 である
所得税法施行令
政令の下には
必要な手続きなどを定めた
省令
所得税法施行規則 があります。

法律から省令までが 「 法令 」 です。

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通達
上級機関が下級機関に対して
その機関の所掌事務について
指揮するために発する命令です。
法令の運用に関し
解釈を統一化するためなどで
発せられます。 ( 法令解釈通達 )

こちらは
一般的に公表されています。
実務での判断では
通達が基準となる場合が多いですが
法令ではないので
一般国民の権利義務について
直接は拘束しません

法令解釈通達 - 国税庁

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条約 については
国家間の合意規範です。
憲法との優位性については
学説により見解が分かれます。

法律との関係においては
国内法よりも優先されます。

ただし
税に例にした場合
租税条約 においての優先とは
国内法の効力の一部を減殺する
という意味です。

また
国内法で課税されないものを
租税条約で
課税することはできません。

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会計検査院規則,人事院規則 については
役割の性質上,内閣からある程度
独立性を保障されているので
直接,政令は及びません。

外局規則
内閣府および各省は
その外局として
公正取引委員会
国家公安委員会 など 委員会
海上保安庁 などの
置くことができます。

原則として外局は
独自に命令を発することはできませんが
例外的に
各委員会庁の長官
別に法律の定めるところにより
政令及び省令以外の規則
その他の特別の命令を
自ら発することができます。

(内閣府設置法 第58条4項,
 国家行政組織法 第13条1項)

例えば
公正取引委員会
(私的独占の禁止及び公正取引の
 確保に関する法律 第76条)や
国家公安委員会
(警察法 第12条)の他には
中央労働委員会
(労働組合法 第26条)
公害等調整委員会
(公害等調整委員会設置法 第13条)
などがそれに当ります。

なお
庁の長官が定めた庁令
自ら発することができるのは
海上保安庁 のみです。
(海上保安庁法 第33条)

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議院規則,最高裁判所規則,条例
権力分立により
憲法が
議院や最高裁判所
および
地方公共団体に認めた制定権です。
衆議院参議院
会議の手続きや内部規律に関して
『 議院規則 』
最高裁判所
訴訟手続きや内部規律に関して
『 最高裁判所規則 』
それぞれ
自ら制定することができます

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地方公共団体 が定める
条例規則
条例施行規則 の関係においては
規則下位法令 に当たります。

しかし
条例規則 には
各機関に専権事項 があります。
住民の権利義務に関する場合は
条例で定め
財務に関する場合は
規則で定められます。
そして
議会 による条例も
首長 が定める規則も
民主的に選挙された機関により
作られるものですので
その点では 対等な関係 といえます。

また
議院規則,最高裁判所規則,条例 と
(地方公共団体が定める)規則

【図1】法令の階層図で茶色線右側〈矢印〉
については
e-Gov法令検索には掲載されません。

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【図1】通達 以外の
法令ではない規定 について

まず
要綱要領 については
要綱 とは
事務手続きの取り扱いを
統一化する規定です。

例えば
助成金,補助金などを出すために
公平に事務処理を行うために
要綱などを定めます。

要綱 は
「基準」,「方針」,「細目」など
名称を用いられることがあります。

要領
さらに細かい事務手続きを定める
場合に用いられます。
要領 は
「事務手続」など の名称が
用いられることがあります。

また
「要綱」,「要領」といった
発令形式はないため
一般的には
要綱 は「告示」「訓令」として
制定します。

指針 ,ガイドライン についても
要綱,要領 と同様に
公務員が事務処理を行う際の基準です。

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訓令 は通達と同じく
上級機関が下級機関に対して
その機関の所掌事務について
指揮するために発する命令です。

通知と通達の違い については

通知 は命令できない相手に対して
「 技術的な助言 」などを伝えるものです。
つまり
「 従ってほしい内容 」です。

国が通知を出す相手としては
地方公共団体や
事業者団体などがあります。
地方分権改革後は
国と地方公共団体とは
対等の関係になりましたので
「通達」から「通知」へと
改められました。

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告示
国や地方公共団体の行政機関が
その意思を国民や住民に対して
官報 や 公報 により
事実を広く 公示
することです。

要綱や指針 など について
それを国民(住民)に
知らせる必要がある場合には
告示化 します。
例えば
「常用漢字表」「生活保護基準」
など
があります。

法律に告示の根拠 があるときには
政省令のように
国民の権利義務に関係する
場合があります。
例えば
土地収用法に基づく事業の認定の告示
(土地収用法 第26条1項) などです。

要綱指針 などは
誰に対して向けられたものか
公務員内部に対しての
通達的なものなのか
国民へのお知らせの
告示的なものなのかを
見極める必要があります。

先頭へ


最後に今日ご案内した
税法を勉強するに当たり
お役立ちサイトをご案内します。

◇ 税大講本 - 国税庁


税務大学校講本は
司法協会の講義案のように
無駄な記述がなく
淡々と書かれています。
そのため
読んでいて面白味はありませんが
各税法の基本的事項が書かれていて
入門書としては
必要かつ十分でしょう。


先頭へ


以上
読んでいただき
ありがとうございました。