2017年2月27日月曜日

羽鳥書店,前田説などついての雑記

本の新版・増刷の話

前回
『 前田雅英先生と刑事訴訟法 』
著者,編者などの表示について
色々と推察してみました。

この刑事訴訟法を刊行している
東京大学出版会で38年間在職した後
2009年4月に新たに立ち上げた
羽鳥和芳 氏が代表を務める
羽鳥書店 があります。

特に法律関係者には
木村草太 先生 の著書
『 憲法の急所 - 権利論を組み立てる 』
出版している書店といえばご存知でしょう。

書店の法律書のコーナーで
本書を初めて手に取って見たとき
「 聞いたことのない出版社だ 」と
思いました。

自分で 本を選ぶ際 には
まず
タイトル帯情報
目次など内容から判断
することはもちろんですが
ほかには
装丁,文字の大きさ,行間,
余白の広さ,紙の厚みなど
形式的な構成や外観,手触り感
といったものも気にします。
それと
出版社著者気にする 場合も
あります。

余談ですが
ある元司法試験委員の先生が
本を出したとき
あまり聞かない出版社から
出版されていて。
中身を読んでみると,誤植が多く
専門外の自分がいうのも
おこがましいのですが・・・。
内容も,ただ判例紹介で盛ってるだけ
といった印象がありました。

それがまた当時は
司法試験委員ということもあってか
解析講座なるものを各予備校で
開いていたので
受験生に
解析するような内容なの???
と聞いたところ
僕も同じ疑問をもっています
と言われました・・・。

閑話休題。
出版社の 羽鳥書店 というのは
どんな出版社だろうと
最初は気になりましたが
色々と見ていると
立ち上げ初期のころの著者が
内田貴,大村敦志,長谷部恭男,
藤田広美 各先生方 といった
錚々たる顔ぶれが上梓 されています。

で,何冊かを読んだのですが
「 少し誤植が目立つ 」 印象 があり。
これは,大きな出版社のように
厳しい校閲を経ていないようなので
校閲まで回っていない
おそらく,かなり少人数で回していて
社長や編集者の人脈,しかも東大系が
すごい といった感じを受けました。

後に
日経ビジネス ONLINE
記事を見たときに
だいたい予想した通りだった
ということを覚えています。

宮嶋康彦「 “つぶやき”効果で1万冊!
10坪の出版社,羽鳥書店の挑戦 」
- 奥深き日本 『 日経ビジネス ONLINE 』
- 2010年3月5日(金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100303/213123/
( アクセス日・2017年2月26日 )

それから
僕は特撮大好き! ですから
成田亨 氏の 本の出版・復刊
非常にありがたく
羽鳥書店 さま
大いに期待をしております。


☆ 成田亨作品集 成田 亨 著 / 羽鳥書店 2014.7

☆ 成田亨の特撮美術 成田 亨 著 / 羽鳥書店 2015.1


ところで
刊行後に見つかった
本の誤植 に対しての
訂正 ですが。

Webサイト のある出版社は
そこに 誤植訂正のページ
設けられていることが多いです。

木村先生 の
『 憲法の急所 については

木村先生の ブログ
『 木村草太の力戦憲法 』
http://blog.goo.ne.jp/kimkimlr
誤植訂正があります。
( アクセス日・2017年2月26日 )

まあ
この本は売れているので
その後も増刷され
第2版 がいよいよ
2017年3月下旬に刊行予定
されています。

近刊・新刊案内 - 羽鳥書店
http://www.hatorishoten-articles.com/newbook

ですから,今までの誤植も
その都度訂正されているでしょう。

本の「 版 」 と 「 刷 」
違いについ説明すると
これらの表示は
奥付 と呼ばれる,本の最終ページの
箇所に記載があります。

例えば
2013年12月20日 初版第1刷発行
2014年10月10日 初版第3刷発行
といった記載ならば

本の出版に際し
予定した発行部数より多く
新たに増刷して
その刷が3回目という意味です。

超ロングセラーの本は
この表示が100刷以上
刷られています。

増刷 に関しては
誤植の訂正などは行われます
内容の変更はありません

版表示の変更 については
本の内容の一部や複数個所に
重要な変更が加えられ
改訂版であることの記載
または書名を変更した場合。

例を挙げると
2013年12月20日 初版第1刷発行
2015年11月15日 第2版第1刷発行

といった記載ならば
2015年に
内容に重要な変更 を加えたという意味です。

この 版が変更された表記 があれば
国際標準図書番号( ISBN )と呼ばれる
図書の識別番号も変わります。

本文中の誤植や誤字・脱字の訂正などに
とどまる増刷・重版をする場合は
ISBNコードは変わりません。

「 書名記号 」 に関するルール
- ISBNと日本図書コードのルール
- 日本図書コード管理センター

http://www.isbn-center.jp/guide/02.html


法律書 の場合
会社法などの企業関連や
金融,年金,保険関連の
法令については
政策上,法改正が多いので
それに伴い
関連した本も内容を変えますので
版表示が頻繁に変更されます。

ところが
憲法や刑法など
法文が頻繁に変わることのない
法律書が
なぜ 頻繁に新版を出すのか というと
率直に言うと売りたいため ですよ。

解釈内容が変わったのでなく
ただ 新しい判例が盛られているだけ
といったものもあります。

判例 については
別に『 判例百選 』等 
勉強すると思うので
わざわざ新版を購入する必要はない。

といった本と

解釈自体が変わる ものも
あります。

特に旧司法試験の頃の刑法などは
学説の対立が激しかったので
前田説大谷説 等々がありました。
特にこの両先生が
ちょこちょこと 改説 するんです。

まあこれは
判例・実務を重視しつつ
解釈を展開しているから


特に 前田先生の場合
処罰に値する行為を
構成要件段階で処理する考え方で
処罰に値する行為は
現代社会における犯罪現象を踏まえて
妥当性を図っていくという理論
です。
そして
客観的に現代社会の犯罪現象を
知るための統計資料
として
『 犯罪白書 』 があります。

だから
前田先生の刑法の体系書には
犯罪データが載っています。
犯罪統計は毎年変わるため
新たなデータに変更するので
新版を出す理由づけになります。


なので
解釈がぶれているのではなく
社会の犯罪現象に合わせて
処罰も変化する という
現実的な考え方です。

でも
実務家養成のロースクールでは
事例中心の勉強なので
旧試の受験生のような
学説オタクはいないような気がします。

僕も刑法学説や
民訴の争点効や新訴訟物理論
などの新堂説,
手形・小切手法の創造説など
ひと通り勉強しましたが
社会に出て役に立ったという
記憶がありません・・・。

仕事にもよりますが
書式集,法令集,コンメンタール,
判例・先例集といったところで
十分な気がします。

最後は
出版の話から
前田説の話に
なってしまいましたが

読んでいただき
ありがとうございました。

以上




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