法情報検索 各論 1 法令 1
◆ 条約,◆ 会計検査院規則,人事院規則,
◆ 外局規則,◆ 庁令,
◆ 議院規則,最高裁判所規則,◆ 条例,
◆ 通達,◆ 要綱, ◆ 要領,
◆ 指針,ガイドライン,◆ 訓令,
◆ 通知,◆ 告示
◆ 税大講本 - 国税庁
今回は
法令等の階層についてお話します。
法令の階層について図で表すと
【 図1 】のようになります。
【 図1 】
※【 図1 】中の茶色の二重線より
右側〈 矢印 〉の規則・条例については
e-Gov法令検索には掲載されません。
~ 先頭へ ~
例えば
『 所得税法 』でいうと
まず 憲法 30条で 納税の義務
同84条で 租税法律主義 を定めています。
その『 租税法律主義 』を受けて
法律を定めます。
法律 の中でも階層があり
税法の階層を図で表すと
【 図2 】のようになります。
【 図2 】
(行政法との関係で,課税に関するの場合の階層です。)
~ 先頭へ ~
税法の場合
所得税法,法人税法,
消費税法… といった
実体法が規定した課税要件を満たすと
納税義務が発生し
課税されることになります。
そして
各税法での課税を実現するための
共通する手続を規定しているのが
『 国税通則法 』です。
また
税法違反に対する処罰を定める
国税犯則取締法 が
2018年(平成30年)4月1日に
廃止され
国税通則法に編入されました。
国税通則法の上位には
『 行政手続法 』,
『 行政不服審査法 』といった
行政法関連の規定があり
それらの行政法関連を一般法
国税通則法を特別法とする
関係になっています。
~ 先頭へ ~
さらに分かれて
所得税法などの
税目ごとに課税要件を定めた
実体法が規定されています。
国税の所得税法や法人税法などと
国税通則法との関係では
国税通則法が一般法となります。
図の右側の
『 租税特別措置法 』とは
税法の場合,本法とは異なり
その時の経済状況などから
政策判断し,時限的に制定された
課税を修正した特別法の集まりです。
税法は
すぐに変わるので難しい
との声を聞いたことがありますが
改正の多くは
この 『 租税特別措置法 』です。
その他にも
図には記載していませんが
課税要件を定めた
所得税法などの実体法の他に
徴収手続 について定めた
国税徴収法 があります。
~ 先頭へ ~
法律の下には
さらに詳細な規定や計算の詳細を定めた
政令 である
所得税法施行令 。
政令の下には
必要な手続きなどを定めた
省令 の
所得税法施行規則 があります。
法律から省令までが 「 法令 」 です。
~ 先頭へ ~
通達 は
上級機関が下級機関に対して
その機関の所掌事務について
指揮するために発する命令です。
法令の運用に関し
解釈を統一化するためなどで
発せられます。
( 法令解釈通達 )
こちらは
一般的に公表されています。
実務での判断では
通達が基準となる場合が多いですが
法令ではないので
一般国民の権利義務について
直接は拘束しません
★ 法令解釈通達 - 国税庁
~ 先頭へ ~
条約 については
国家間の合意規範です。
憲法との優位性については
学説により見解が分かれます。
法律との関係においては
国内法よりも優先されます。
ただし
税に例にした場合
租税条約 においての優先とは
国内法の効力の一部を減殺する
という意味です。
また
国内法で課税されないものを
租税条約で
課税することはできません。
~ 先頭へ ~
会計検査院規則,人事院規則 については
役割の性質上,内閣からある程度
独立性を保障されているので
直接,政令は及びません。
外局規則 は
内閣府および各省は
その外局として
公正取引委員会 や
国家公安委員会 など の 委員会 や
海上保安庁 などの 庁 を
置くことができます。
原則として外局は
独自に命令を発することはできませんが
例外的に
各委員会 や 庁の長官 は
別に法律の定めるところにより
政令及び省令以外の規則
その他の特別の命令を
自ら発することができます。
(内閣府設置法 第58条4項,
国家行政組織法 第13条1項)
例えば
公正取引委員会
(私的独占の禁止及び公正取引の
確保に関する法律 第76条)や
国家公安委員会
(警察法 第12条)の他には
中央労働委員会 の
(労働組合法 第26条)
公害等調整委員会 の
(公害等調整委員会設置法 第13条)
などがそれに当ります。
なお
庁の長官が定めた庁令 を
自ら発することができるのは
海上保安庁 のみです。
(海上保安庁法 第33条)
~ 先頭へ ~
議院規則,最高裁判所規則,条例 は
権力分立により
憲法が
議院や最高裁判所
および
地方公共団体に認めた制定権です。
衆議院 や 参議院 は
会議の手続きや内部規律に関して
『 議院規則 』 を
最高裁判所 は
訴訟手続きや内部規律に関して
『 最高裁判所規則 』 を
それぞれ
自ら制定することができます
~ 先頭へ ~
地方公共団体 が定める
条例 と 規則 で
条例 と 施行規則 の関係においては
規則 は 下位法令 に当たります。
しかし
条例 と 規則 には
各機関に専権事項 があります。
住民の権利義務に関する場合は
条例で定め
財務に関する場合は
規則で定められます。
そして
議会 による条例も
首長 が定める規則も
民主的に選挙された機関により
作られるものですので
その点では 対等な関係 といえます。
また
議院規則,最高裁判所規則,条例 と
(地方公共団体が定める)規則
【図1】法令の階層図で茶色線右側〈矢印〉
については
e-Gov法令検索には掲載されません。
~ 先頭へ ~
【図1】の 通達 以外の
法令ではない規定 について
まず
要綱,要領 については
要綱 とは
事務手続きの取り扱いを
統一化する規定です。
例えば
助成金,補助金などを出すために
公平に事務処理を行うために
要綱などを定めます。
要綱 は
「基準」,「方針」,「細目」など の
名称を用いられることがあります。
要領 は
さらに細かい事務手続きを定める
場合に用いられます。
要領 は
「事務手続」など の名称が
用いられることがあります。
また
「要綱」,「要領」といった
発令形式はないため
一般的には
要綱 は「告示」か「訓令」として
制定します。
指針 ,ガイドライン についても
要綱,要領 と同様に
公務員が事務処理を行う際の基準です。
~ 先頭へ ~
訓令 は通達と同じく
上級機関が下級機関に対して
その機関の所掌事務について
指揮するために発する命令です。
通知と通達の違い については
通知 は命令できない相手に対して
「 技術的な助言 」などを伝えるものです。
つまり
「 従ってほしい内容 」です。
国が通知を出す相手としては
地方公共団体や
事業者団体などがあります。
地方分権改革後は
国と地方公共団体とは
対等の関係になりましたので
「通達」から「通知」へと
改められました。
~ 先頭へ ~
告示 は
国や地方公共団体の行政機関が
その意思を国民や住民に対して
官報 や 公報 により
事実を広く 公示 することです。
要綱や指針 など について
それを国民(住民)に
知らせる必要がある場合には
告示化 します。
例えば
「常用漢字表」や「生活保護基準」
など があります。
法律に告示の根拠 があるときには
政省令のように
国民の権利義務に関係する
場合があります。
例えば
土地収用法に基づく事業の認定の告示
(土地収用法 第26条1項) などです。
要綱 や 指針 などは
誰に対して向けられたものか
公務員内部に対しての
通達的なものなのか
国民へのお知らせの
告示的なものなのかを
見極める必要があります。
~ 先頭へ ~
最後に今日ご案内した
税法を勉強するに当たり
お役立ちサイトをご案内します。
◇ 税大講本 - 国税庁
税務大学校講本は
司法協会の講義案のように
無駄な記述がなく
淡々と書かれています。
そのため
読んでいて面白味はありませんが
各税法の基本的事項が書かれていて
入門書としては
必要かつ十分でしょう。
~ 先頭へ ~
以上
読んでいただき
ありがとうございました。