2016年3月22日火曜日
情報検索と整理術
情報検索 総論
◆ 情報検索と虫探しは似ている !?
◆『タマゴ』は色々な場所に散らばっている!
Google や Yahoo! 等の
検索エンジンは
検索対象のキーワードを
入力するだけで
目的の情報を容易に検索できる
長所があります。
その反面
機械の特性(欠陥?)を捉えて
Webサイトを検索結果で
優遇されるように工作することも
可能であるため
検索順位が不安定であり
ゴミ情報が上位にランクされて
目的の情報に
なかなかたどり着くことが
できないという短所もあります。
そのため
論文や会議資料等の作成にあたり
参考資料とする場合は
注意が必要であり
信頼性のある資料へのアクセスを
短縮する知識や検索技術を
知っておくと便利です。
ビジネスにおいて
不況が長引く中で
1990年代後半には多くの企業が
リストラを行い
正社員の数が減らされる一方で
一人当たりの仕事量は増え
サービス残業が
広く行われるようになりました。
そのため
政府による時短政策により
企業では “ 定時退社日 ” なる日が
強制的に設けられるなど
残業禁止のお達しなどにより
ビジネスマンも高い事務処理能力を
身につける必要性が
高くなってきました。
こういった事情からか
書店のビジネス書コーナーでは
“ 残業ゼロ ” や “ 定時で帰る ”
といったタイトルの本が
面陳されるなど
“ 仕事術 ” や “ 整理術 ”に
関心が向けられてきています。
“ 整理術 ” に関しては
梅棹忠夫 先生 の
『 知的生産の技術 』 や
黒川康正 弁護士・公認会計士 の
『 整理術 』 の本が
自分にとって
大変参考になりました。
これらの本は今では
時代遅れとの声もきこえますが
以前の紙の媒体から
Word,Excel,Access等の
PCソフトへと媒体が変わっただけで
昨今の整理術に関するビジネス書には
こういった古典的整理術をベースに
書かれたものも多々見受けられます。
使っている媒体こそ古くなったものの
こういった『名著』の本質的な考え方は
時代が変化しても全く変わりありません。
したがって
読む場合には媒体を頭で変換させながら
進めて読むと効果的です。
司書の経験と知識に基づいて
ビジネスに役立つ整理術を考えたとき
インドの数学者・図書館学者である
S.R.ランガナタン による
『 図書館学の五原則 』 の第四法則
「 Save the time of the reader.」
( 読者の時間を節約せよ。) が
まず頭に浮かびます。
これは図書館情報学に
通じている司書ならば
この五法則は暗唱できるほどの
基本的な法則といってよいでしょう。
この第四法則
「 Save the time of the reader.」
( 読者の時間を節約せよ。) を
具体化し,整理術にあてはめた場合
重要なことは
資料へのアクセスを
いかにして容易にするかです。
その 要点は2点。
数ある
資料の特徴を把握する ことと
それらを容易に
引き出せるようにしておくこと です。
つまり
目的の情報に早くたどり着くには
そのものの特徴を知っていれば
容易にたどり着くことができます。
自分は以前
公園や山などで
鳥などの動物を紹介する
ガイドのボランティアを
していた経験あり
そのことを踏まえて
簡単に説明すると。
例えばカブト虫を見つけるとき
カブト虫は基本的に夜行性で
クヌギなどの広葉樹の樹液に
集まる特徴があります。
ただ
夜間の餌場や
メスの奪い合いなどに
敗れたものが
昼間にカナブンなどを
蹴散らして
居座っていることもありますが…。
このことを知らずに
日中に針葉樹の杉林で待っていても
カブト虫を見つけることは
至極困難です。
次に
容易に情報を引き出すには
収集した情報を分類しておくと
情報へのアクセスが早くなり
探す手間を省くことができます。
カブト虫を例に出すならば
カブト虫の文献を調べるとき
資料の量が多く
文芸書や芸術書などが乱雑に
置かれていると
目的の文献を探すのに
多くの時間を浪費します。
そこで
昆虫や文芸,芸術といった
カテゴリーに分類しておけば
探す時間を節約することができます。
ここで留意点として
例えば『タマゴ』に関する本を分類
あるいは調べる場合
分類法の特性をよく知っていないと
上手に分類できなかったり
目的の資料に当らない場合があります。
ここでは例として
NDCの大分類(門)で
分類するとしましょう
『動物の卵」の本のならば
4門の動物学になります。
これが
卵から医薬品を製造といった内容ならば
4門の医学・薬学の分類になります。
また
養鶏に関するものであれば
6門の畜産業。
卵工場に関するものであれば
6門の商業。
そのほかにも
『玉子料理(卵料理)』ならば
5門の家政学・生活科学。
『タマゴアート』ならば
7門の芸術. 美術。
『卵と歴史』に関するものならば
2門の歴史。
『卵と民族・習俗』に関するものならば
3門の風俗習慣・民俗学・民族学。
このように
NDCを例に分類した場合に限らず
分類法には各特性がありますが
共通点は
『タマゴ』の主題によって
全く異なる分類・配置になり
方々に分散しているので
検索の際には
『タマゴ』の何について調べたいのかを
自分自身で確認しておくことです。
図書館司書の方であれば
利用者からの質問の際に
情報ニーズを正確に把握するため
頭の中で分類等を考えつつ
利用者に対して
より具体的な質問をすることです。
(レファレンスインタビュー)
次回は早速
各論に入っていきたいと思います。
それでは最後に
今回とりあげた本を紹介します。
知的生産の技術 (岩波新書) / 岩波書店
整理術
- “能率博士”が教えるとっておきのアイデア
( ゴマセレクト ) / ごま書房
以上
読んでいただき
ありがとうございました。