近代立憲主義と
日本国憲法の3原則の中の一つ
平和主義ついて考えてみます。
法律関係者には
「釈迦に説法」なので
主に高校生をターゲットにします。
先日
『伝わる書き方』(PHP研究所)
という本を
書棚から出して
再読したときがきっかけです。
著者の
三谷宏治 氏 は
K.I.T.虎ノ門大学院主任教授 で
アクセンチュア 等で
経営コンサルタントを
されていた方です。
三谷 氏の著書は
わかりやすく書かれ
私も大いに参考にしています。
この本の内容は
文章の書き方について
① 理解しやすいように
文章を短く切り
② その文章の内容を
② その文章の内容を
類型別に目次化させ
③ 読者が興味を引くように
文章に波をもたせる
というように
というように
3つ方法に分類して
レクチャーした手引書です。
その中で
気になった箇所があります。
70頁の
日本国憲法 前文 の
“ 余計な装飾を省く ” 説明のくだりで
個人的見解と断ったうえで
日本国民は,
恒久の平和を念願し
人間相互の関係を支配する崇高な理想を
深く自覚するのであつて
平和を愛する
諸国民の公正と信義に信頼して,
われらの安全と生存を保持しようと
レクチャーした手引書です。
その中で
気になった箇所があります。
70頁の
日本国憲法 前文 の
“ 余計な装飾を省く ” 説明のくだりで
個人的見解と断ったうえで
日本国民は,
恒久の平和を念願し
人間相互の関係を支配する崇高な理想を
深く自覚するのであつて
平和を愛する
諸国民の公正と信義に信頼して,
われらの安全と生存を保持しようと
決意した。
から
日本国民は,
諸国民の公正と信義に信頼して,
自らの安全と生存を保持しようと
から
日本国民は,
諸国民の公正と信義に信頼して,
自らの安全と生存を保持しようと
決意した。
と文章を簡潔にしています。
省いた箇所の
恒久の平和を念願し
人間相互の関係を支配する崇高な理想を
深く自覚するのであつて
平和を愛する
の部分を
“ 余計な装飾 ” として省いています。
この本は憲法論について
書かれたものでなく
確かに
この箇所の表現は
『くどい言い回し』
と感じます。
ここで
近代立憲主義について考えると
近代立憲主義 とは
憲法に基づいて政治を行う考え方です。
その 3原則 は
① 国民主権
② 人権保障
③ 権力分立
です。
権力分立 とは
立法,司法,行政の
三権分立も含みますが
より広く捉えます。
日本の場合は
地方分権,行政委員会,二院制
三審制 等も含みます。
この仕組みは
権力が一つに集中しないように
権力機構を分散させ
抑制と均衡を図るものです。
一方
日本国憲法の3原則 は
① 国民主権
② 基本的人権の尊重
③ 平和主義
です。
国民主権 について
日本国憲法の国民主権 と
近代立憲主義の国民主権 とは
異なります。
日本国憲法の国民主権 には
国の政治の在り方を
最終的に決定する権力を
国民自身が行使する
権力的契機 ― ①
国家の権力行使を
正当づける究極的な権威が
国民にあるとする
正当性の契機 ― ②
の二つを合わせた
意味を持っています。
しかし
近代立憲主義の国民主権 には
②の 正当性の契機 の意味しか
ありません。
次に
国民主権 および 権力分立 と
人権保障 との関係については
国民主権 および 権力分立 は
人権保障を実現するための手段です。
平和主義 と 人権保障 との関係は
平和であることは
人権保障の前提となる関係です。
では
平和が人権保障の前提となるものならば
なぜ
平和主義が
日本国憲法の3原則には
挙げられているのに
近代立憲主義の原則には
ないのでしょう。
近代立憲主義 においても
平和主義が当然 のことであり
規定されなかっただけで
無視されたのではありません。
これに対し
日本の場合 は
二度の世界大戦を経験し
侵略によって
他国に被害 を与えました。
それと同時に
空襲や原爆投下などもあり
戦争で多くの国民に
被害 が出ました
これらを教訓として
平和主義を明文化 して
その 意義を強調 した
ものと考えられます。
だから
余計なほど,繰り返して
平和を強調 していると考えます。
このように
全く関係ないところから
あらためて考え直してみたり
発想が湧いたりすることって
ありますよね。
~ 参考文献 ~
伝わる書き方 三谷宏治 著 / PHP研究所 2013
日本国憲法 朗読CD 佐藤慶 / フォンテック 2006
比較憲法 第3版 樋口陽一 著 / 青林書院 1992
憲法 第3版 佐藤幸治 著 / 青林書院 1995
以上
読んでいただき
ありがとうございました
と文章を簡潔にしています。
省いた箇所の
恒久の平和を念願し
人間相互の関係を支配する崇高な理想を
深く自覚するのであつて
平和を愛する
の部分を
“ 余計な装飾 ” として省いています。
この本は憲法論について
書かれたものでなく
確かに
この箇所の表現は
『くどい言い回し』
と感じます。
ここで
近代立憲主義について考えると
近代立憲主義 とは
憲法に基づいて政治を行う考え方です。
その 3原則 は
① 国民主権
② 人権保障
③ 権力分立
です。
権力分立 とは
立法,司法,行政の
三権分立も含みますが
より広く捉えます。
日本の場合は
地方分権,行政委員会,二院制
三審制 等も含みます。
この仕組みは
権力が一つに集中しないように
権力機構を分散させ
抑制と均衡を図るものです。
一方
日本国憲法の3原則 は
① 国民主権
② 基本的人権の尊重
③ 平和主義
です。
国民主権 について
日本国憲法の国民主権 と
近代立憲主義の国民主権 とは
異なります。
日本国憲法の国民主権 には
国の政治の在り方を
最終的に決定する権力を
国民自身が行使する
権力的契機 ― ①
国家の権力行使を
正当づける究極的な権威が
国民にあるとする
正当性の契機 ― ②
の二つを合わせた
意味を持っています。
しかし
近代立憲主義の国民主権 には
②の 正当性の契機 の意味しか
ありません。
次に
国民主権 および 権力分立 と
人権保障 との関係については
国民主権 および 権力分立 は
人権保障を実現するための手段です。
平和主義 と 人権保障 との関係は
平和であることは
人権保障の前提となる関係です。
では
平和が人権保障の前提となるものならば
なぜ
平和主義が
日本国憲法の3原則には
挙げられているのに
近代立憲主義の原則には
ないのでしょう。
近代立憲主義 においても
平和主義が当然 のことであり
規定されなかっただけで
無視されたのではありません。
これに対し
日本の場合 は
二度の世界大戦を経験し
侵略によって
他国に被害 を与えました。
それと同時に
空襲や原爆投下などもあり
戦争で多くの国民に
被害 が出ました
これらを教訓として
平和主義を明文化 して
その 意義を強調 した
ものと考えられます。
だから
余計なほど,繰り返して
平和を強調 していると考えます。
このように
全く関係ないところから
あらためて考え直してみたり
発想が湧いたりすることって
ありますよね。
~ 参考文献 ~
伝わる書き方 三谷宏治 著 / PHP研究所 2013
日本国憲法 朗読CD 佐藤慶 / フォンテック 2006
比較憲法 第3版 樋口陽一 著 / 青林書院 1992
憲法 第3版 佐藤幸治 著 / 青林書院 1995
以上
読んでいただき
ありがとうございました