2023年9月1日金曜日
司書講習での勉強法
僕が図書館を利用しているときに
図書館サービスのプリンシプルが
わかっていないのかな ?? と
思わせる司書の方が
たまに見受けられるので
司書講習における
勉強の仕方などを述べたいと思います。
司書講習を受講している方は
勉強の真っ最中だと思います。
通信の方は
教材が届いていると思いますが
教材のタイトル を見てください。
( 演習は除く )
『 学 』ではなく
『 論 』となっていますよね。
「 図書館サービス概論 」などです。
つまり
図書館学という
体系を覚えるだけでなく
『 論 』まで高めなければいけない。
ということは
「 図書館サービス論 」ならば
なぜこのようなサービスに
なっているのか を
考える必要があります。
例えば
甲自治体の図書館での
貸出期間は3週間で
貸出冊数が最大10冊。
これに対し
乙自治体の図書館では
貸出冊数は2週間で
貸出冊数は無制限。
なぜ違うのか
そもそも貸出期間や貸出冊数は
どのように決まってくのか。
これらは適当に決められている
わけではありません。
図書館サービスにおける
考え方に基づいて
決められています。
これらを説明する際に
筋が通っていなければ
『 論 』になりませんので
レポート作成の際には
まず図書館サービスを理解して
筋立てて論じるように
心がけてください。
教科書を読む場合も
そこを意識して読むと
理解が深まるし
他の学問やビジネスにおいても
同様ですが
後々応用が利き説得力も増します。
また
公立図書館
( 通称・公共図書館 )の運営 は
行政サービスの一環 であり
法律の留保 に基づいています。
その根拠は
図書館法 です。
ちなみに
小,中,高等学校の図書室の
設置根拠 は
学校図書館法。
大学図書館 は
大学設置基準 に基づきます。
公立図書館の場合
図書館法
・ 第1条( 目的 )
・ 第2条( 定義 )
・ 第3条( 図書館奉仕 ) は
基本となる規定ですので
特に理解する必要があります。
図書館資料の収集 については
資料収集方針・選定基準 に
基づいて収集されていることを
頭に入れて考えてください。
これは
時の権力や
職員の個人的思想や趣味趣向で
恣意的に
選書させないための制約です。
また
利用者からのリクエストに対し
却下した場合の
理由づけの根拠となります。
「 なぜ却下した。説明しろ! 」 と
猛烈に言ってくる
利用者もいますので
根拠規定を示して答えてください。
それと
選定ではなく
破棄基準のケースですが
「船橋市西図書館蔵書破棄事件」という
最高裁判例 があります。
( 平成17年7月14日
判決 平成16年(受)第930号 )
これは
頭に入れておきましょう。
図書館サービス は
法令に基づいて行われ
資料の収集 は
収集方針・選定基準 に従う。
その中で
図書館サービスを行う際には
なぜ
このようなサービスに
なっているのかを
考えながら論じると
体系が見えてきます。
ランガナタンの図書館学五原則を
サービスのよりどころに
するのもよいでしょう。
資料組織 については
分類法 なので
資料アクセスの合理化 です。
分類 には
書架分類 と 書誌分類 があります。
端的に言うと
書架分類 とは
主題ごとに分類された図書の
配架位置を指定するための分類。
一方
書誌分類 とは
図書の内容から検索するための分類で
目録等の書誌データベースに
収録するための主題情報の分類。
これらの定義や特徴を知り
それぞれの
長所,短所などを踏まえながら
書架分類 と
書誌分類 の 相互で補完 し
資料への合理的なアプローチを図る。
ということを考えてください。
分類法 に関しては
記号 としてとらえます。
例えば
行政法 = 323.9 です。
(さん・に・さん・てん・きゅう)
これ以上の意味はありません。
三百二十・・・
(さんびゃく にじゅう ・・・)と
数字に重みをつけてもいけません。
赤 = 止まれ や
猫 = CAT と同じです。
この場合は記号なので
NDC において 323 は
なぜ憲法になるのかという
意味は考えてはいけません。
NDC 【 日本十進分類表 】 や
(Nippon Decimal Classification)
UDC 【 国際十進分類法 】 などの
(Universal Decimal Classification)
ルールに従って
機械的に記号を振るだけです。
テキストで
分類記号の振り方がわからないときは
司書教諭用 のものをおススメします。
学校図書館対象なので
分類が細かくありません。
特に
放送大学のテキスト は
わかりやすいです。
でも
公共図書館では
あまり見かけないのですが…。
それと
値段も高いので
内容を確認して気に入ったら
中古を購入することをオススメします。
このように
基本を理解せずに
教科書の字面だけを追っていても
頭に入りません。
仮に用語を繕って
形だけの文章で単位が取れたとしても
実務に出てから
利用者からの問い合わせや
企画をする際に
全く使い物になりません。
司書講習は
実務家養成のための講習 であり
図書館サービスについて
基本的な理解をしてもらうことが
目的です。
それを実務に生かして
あとは
「 職場で経験を積んでくださいね!」
というものです。
なので
それができていれば
正直言って
難易度が高いものでもなく
落ちるようなことはありませんよ。
何度も単位を落としている方と
仕事をしたり話すことが
間々ありますが
「これじゃ落ちるわな!」といった
印象を受ける方が多いです。
最後に
司書講習で
図書館サービスに関する教科書は
司書講習で指定され
参考図書も紹介されると思いますが
図書館サービス と
資料組織( 分類 )に関するもののうち
参考になると思われる
本ををご紹介します。
★ 図書館サービス
● 図書館サービス論
( JLA図書館情報学テキストシリーズ 2 )
小田光宏 著
日本図書館協会 2010年
● 市民の図書館 増補版
日本図書館協会 編
日本図書館協会 1976年
● 浦安図書館にできること
- 図書館アイデンティティ
( 図書館の現場 )
常世田 良 著
勁草書房 2003年
● 図書館はまちの真ん中
- 静岡市立御幸町図書館の挑戦
( 図書館の現場 6 )
竹内比呂也 他著
勁草書房 2007年
★ 分類などの資料の組織化
● 学校図書館メディアの構成
改訂新版
( 放送大学教材 )
北克一 [他] 著
放送大学教育振興会 2016年
● 資料組織論
( 放送大学教材 )
高鷲忠美 [他] 著
放送大学教育振興会 1998年
● 本を分類する
緑川信之 著
勁草書房 1996年
● 資料組織概説 三訂版
(新・図書館学シリーズ 9)
岡田靖 [他] 著
樹村房 2007年
★ 図書館資料
● 資料・メディア総論 第2版
- 図書館資料論・専門資料論
・資料特論の統合化
志保田務,山本順一 監修・著
学芸図書 2007年
● 図書館資料論
( JLA図書館情報学テキストシリーズ 2-7 )
馬場俊明 編著
日本図書館協会 2008年
以上
読んでいただき
ありがとうございました。