2025年7月1日火曜日

『伝わる書き方』を読んで思う平和主義


近代立憲主義と
日本国憲法の3原則の中の一つ
平和主義ついて考えてみます。

法律関係者には
「釈迦に説法」なので
法学初学者をターゲットにします。

先日
『伝わる書き方』(PHP研究所)
という本を
書棚から出して
再読したときがきっかけです。

著者の
三谷宏治 氏 は
K.I.T.虎ノ門大学院主任教授 で
アクセンチュア 等で
経営コンサルタントを
されていた方です。

三谷 氏の著書は
わかりやすく書かれ
僕も大いに参考にしています。

この本の内容は

文章の書き方について

① 理解しやすいように
  文章を短く切り

② その文章の内容を
  類型別に目次化させ

③ 読者が興味を引くように
  文章に波をもたせる


というように
3つ方法に分類して
レクチャーした手引書です。

その中で
気になった箇所があります。

70頁の
日本国憲法 前文 の
“ 余計な装飾を省く ” 説明のくだり
で

個人的見解と断ったうえで

 日本国民は,
 恒久の平和を念願し
 人間相互の関係を支配する
 崇高な理想を
 深く自覚するのであつて
 平和を愛する
 諸国民の公正と信義に信頼して,
 われらの安全と生存を
 保持しようと決意した。

から

 日本国民は,
 諸国民の公正と信義に信頼して,
 自らの安全と生存を
 保持しようと決意した。


と文章を簡潔にしています。

省いた箇所の

 恒久の平和を念願し
 人間相互の関係を支配する
 崇高な理想を
 深く自覚するのであつて
 平和を愛する


の部分を
“ 余計な装飾 ” として
省いています。

この本は憲法論について
書かれたものでなく
確かに
この箇所の表現は
『くどい言い回し』
と感じます。


ここで
近代立憲主義について考えると

近代立憲主義 とは
憲法に基づいて政治を行う考え方です。

その 3原則 は
① 国民主権
② 人権保障
③ 権力分立

です。

権力分立 とは
立法,司法,行政の
三権分立も含みますが
より広く捉えます。

日本の場合は
地方分権,行政委員会,二院制
三審制 等も含みます。

この仕組みは
権力が一つに集中しないように
権力機構を分散させ
抑制と均衡を図るものです。

一方
日本国憲法の3原則 は
① 国民主権
② 基本的人権の尊重
③ 平和主義

です。

これらの相互関係について

国民主権 および 権力分立 と
人権保障 との関係では

国民主権 および 権力分立 は
人権保障を実現するための手段です。

平和主義 と 人権保障 との関係は
平和であることは
人権保障の前提となる関係です。


では
平和が人権保障の前提
となるものならば
なぜ
平和主義が
日本国憲法の3原則には
挙げられているのに
近代立憲主義の原則には
ないのでしょう。


これは
近代立憲主義 においても
平和主義は当然のことであり
規定されなかっただけで
無視されたのではありません。

一方
日本の場合 は
二度の世界大戦を経験し
侵略によって
他国に被害
を与えました。

それと同時に
空襲や原爆投下などもあり
戦争で多くの国民に
被害
が出ました

これらを教訓として
平和主義を明文化 して
その 意義を強調 した
ものと考えられます。


だから
くどいほど繰り返して
平和を強調
していると考えます。


このように
全く関係ないところから
あらためて考え直してみたり
発想が湧いたりすることって
ありますよね。


~ 参考文献 ~

伝わる書き方 三谷宏治 著 / PHP研究所 2013

比較憲法 第3版 樋口陽一 著 / 青林書院 1992

憲法 第3版 佐藤幸治 著 / 青林書院 1995



以上
読んでいただき
ありがとうございました。