2022年12月15日木曜日

官報の発行形態と構成

法情報検索 各論 1 法令 2-1

前回は
官報と法令全書 について
お話をしました。

今回は
官報の発行形態と構成について
順を追ってお話しします。

官報の発行形態
次のようになっています。
これらは
同一日に発行されることもあり
ページ付けは
それぞれ別々になっています。

▲ 本紙 ・・・

目次が先頭にあり
法律・政令・省令・公告などが
掲載されます。

官報の本紙32ページ
決まっています。

▲ 号外 ・・・

官報本紙32ページ
越えたとき号外 が作られます。
号外も本紙と同様に
目次が先頭にあります。

なお
国会会期中 にのみ
官報号外 として発行される
本会議録 である
「 衆議院会議録 」,
「 参議院会議録 」
この官報号外とは別ものです。

▲ 特別号外 ・・・

内閣府等から要請があった時や
迅速な掲示が求められる場合には
平日,休日,昼夜を問わずに発行され
通常の号外とは別扱いになっています。

例としては
東日本大震災における
緊急災害対策本部の設置の告示
(平成23年3月11日〈号外特第6号〉)
新型コロナウイルス感染症
緊急事態宣言の公示

(令和2年4月7日〈号外特第44号〉)
令和3年9月1日に発足した
デジタル庁に関連する省令等や告示
(令和3年9月1日〈号外特第73号〉)
などがあります。

▲ 政府調達公告版 ・・・

官報に掲載される 政府
(政府,独立行政法人,国立大学法人,
大学共同利用機関法人,特殊法人)の
物品およびサービスの 調達 に関する
入札公告,落札者,随意契約など公示
といった情報が掲載されています。

政府調達公告
・ 調達手続の明確化
・ 一般競争入札の実施徹底
・ 調達情報提供の改善
を図るため
政府が自主的 に行っています。
日本が締結した WTO の
政府調達に関する協定によるものも含め
政府調達公告版として
本紙,号外とは別に
掲載されるものです。

▲ 目録 ・・・

法令の公布(下記の ①~⑪)に限り
前月分の目次 が掲載されます。
事項別・省庁別の順で構成 され
毎月中旬に1回発行されます。

▲ 資料版 ・・・

緑色の用紙が使われていて
各種白書や統計調査の概要
掲載されます。
1953年から
毎週水曜に発行されていましたが
2007年3月で終刊 になりました。


次に
官報を構成する項目と内容 です。
本紙および号外に掲載される
項目と掲載順序 は次のとおりです。

① 憲法 ・・・

憲法改正が行われる場合に
公布されます。
過去において 日本国憲法
昭和21年11月3日官報号外
大日本帝国憲法
明治22年2月11日官報号外
それぞれ掲載されました。

② 詔書 ・・・

天皇による国事行為のための文書 です。
国会召集,衆議院解散,衆参両議員の
選挙施行などが掲載されます。


(法令の制定改廃)

③ 法律 ・・・

国の唯一の立法機関(憲法 第41条)
である 国会
衆参両議院での可決など
所定の手続(憲法 第59条)を経て
制定 されます。

④ 政令 ・・・

憲法 第73条6号 に規定され
内閣 により
憲法・法律を実施するために
制定される 命令 です。
政令の制定改廃は
各行政事務の主任の大臣が行い
案を内閣総理大臣に提出した上で
閣議に諮られます。
(国家行政組織法 第77条)

⑤ 条約 ・・・

文書による国家間の合意 です。
外国語テキストが併記 されます。
行政取極(行政協定) については
外務省告示 の形式で掲載されます。

⑥ 最高裁判所規則 ・・・

最高裁判所 が制定する規則​ で
憲法 第77条1項 に規定されています。

⑦ 内閣官房令・府令・
  デジタル庁令・
  復興庁令・省令
・・・

・ 内閣官房令

内閣官房の主任の大臣たる
内閣総理大臣の権限として発する
内閣官房としての命令

(内閣法 第26条第3項)
平成26年の
国家公務員法等の一部を改正する法律
第4条 により制定された法形式です。

・ 府令(内閣府令)

内閣総理大臣の発する命令
(内閣府設置法 第7条3項)で
内閣府本府所管の行政事務のほか
宮内庁,公正取引委員会,
国家公安委員会,金融庁,
消費者庁所管の行政事務についても
規定されます。

・ デジタル庁令

内閣総理大臣が発するデジタル庁の命令
(デジタル庁設置法第7条第3項)です。

・ 復興庁令

内閣総理大臣が発する復興庁の命令
(復興庁設置法第7条第3項) です。
なお 復興庁
2012年(平成24年)2月10日から
2031年(令和13年)3月31日までの
期間を定めて設置 される予定です。

・ 省令

各省大臣が発する命令 です。
(国家行政組織法 第12条1項)

これらは行政立法 の一つで
政令よりも下位 にあります。

⑧ 規則 ・・・

会計検査院・人事院・
各種の委員会等が制定した規則

掲載されます。
(衆議院規則,
 参議院規則に改正がある場合には
 国会事項欄に掲載されます。)

⑨ 庁令 ・・・

海上保安庁令のみ が掲載されます。

⑩ 訓示 ・・・

上級行政機関が
下級行政機関に対して発する命令

通達は含みません

⑪ 告示 ・・・

国家機関が決定した事項で
内容は多岐にわたります。
行政取極 については
外務省告示 として
こちらに掲載されます。
行政取極の場合
外国語テキストの併記はありません


(広報的事項)

⑫ 国会事項 ・・・

衆議院規則及び参議院規則の改正
議事日程,議案関係,人事などが
掲載されます。
衆参両議院の規則制定権
憲法 58条2項 に規定されています。

⑬ 人事異動 ・・・

中央省庁(課長級)・都道府(部長級)
・政令市(局長級)などの
人事異動が掲載されます。

⑭ 叙位・叙勲 ・・・

位階・勲等に叙せられた者の氏名と
その位階・勲等が掲載されます。

⑮ 褒章 ・・・

褒賞を授与された者の氏名と
その褒賞の種類が掲載されます。

⑯ 皇室事項 ・・・

親任式,行幸啓関係,宮中諸儀などが
掲載されます。

⑰ 官庁報告 ・・・

官庁事務に関する事項,
国家試験合格者,地価公示,
公聴会などが掲載されます。

⑱ 資料 ・・・

閣議決定および閣議了解事項や
白書類を除く各省庁の各種報告
および資料(統計など)が
掲載されます。

⑲ 地方自治事項 ・・・

都道府県等からの報告事項などが
掲載されます。


(公告紙的事項)

⑳ 公告 ・・・

・ 官庁

公示送達,行政処分(許認可関係など),
国家資格保有者の懲戒処分,免許取消,
押収物還付などが掲載されます。

・ 裁判

相続,公示催告,失踪,破産,免責,
会社更生などが掲載されます。

・ 特殊法人 等
 (独立行政法人 等の公告)


財務諸表,組織解散等,
国家資格保有者の登録・抹消等,
所管事項の承認・認定などが
掲載されます。

・ 地方公共団体

地方償還債,行旅死亡人,
無縁墳墓等改葬などが掲載されます。

・ 会社その他

組織変更,合併,解散などが
掲載されます。

・ 会社決算公告

会社法
第939条第1項第1号又は2号 により
会社公告方法
( 官報に掲載する など )を
定款で定めることができます。
また
官報
時事に関する事項を掲載する日刊新聞
(日本経済新聞など)といった
紙媒体による公告では
貸借対照表の要旨の公表のみでよい
とされています。
(大会社の場合は
 貸借対照表および損益計算書)
(会社法第440条第2項)


★ インターネットからの
  無料での官報検索と閲覧


制限はありますが
官報は無料でWebサイトから
閲覧できます。

無料のWebサイトには
それぞれ一長一短ありますが
上手く組み合わせながら
資料にアクセスすると効果的です。

ただし
内容の正確性を問う場合は
印刷物の官報での確認が基本です。
ここでは
無料で閲覧のできる
官報のWebサイトを紹介します。

★ インターネット版「官報」
 - 国立印刷局


直近30日間分の官報情報
(本紙,号外,政府調達等)は
全て無料閲覧できます。
また
平成15年(2003年)7月15日以降の
法令(告示を除く)も
PDFデータで無料閲覧ができます。
ただし
検索機能はありません

★ 官報目次検索
 - 全国官報販売協同組合


1996年6月3日以降の
官報の 目次検索のみ ができます。

★ 政府公共調達データベース
 - JETRO〈日本貿易振興機構〉


官報掲載の
国・独立行政法人の調達情報
収録しています。
公示の種類,官報掲載日,
調達機関,調達機関所在地,
品目から検索できます。


Webサイトのアクセス日は
2022年12月15日

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以上
読んでいただき
ありがとうございました。