行政法基礎 c
個別行政法の 第1条 には
概して『 目的規定 』が
置かれています。
目的規定 は
その法律がどのような目的で
定められたのか
その制定目的を簡潔に表現したもので
他の規定の解釈や運用の指針 と
なり得るものです。
目的規定の構成 は
その法律が規定する
『 目的達成の手段 』 。
それにより達成されようとする
『 直接的な目的 』 。
その
『 直接的な目的 』を達成することで
最終的に
どのような社会的利益をもたらすのかが
明記された
『 最終的な目的 』 で
構成されているものが
近年では一般的です。
~ 法律の目的規定の構成 ~
(一般的なもの)
◆ 目的達成の手段
◆ 直接的な目的
◆ 最終的な目的
これを踏まえて
宅地造成等規制法
(昭和36年法律第191号)を
見てみましょう。
第1条:
この法律は
宅地造成に伴う崖がけ崩れ
又は土砂の流出による
災害の防止のため
必要な規制を行う ことにより
国民の生命及び財産の保護 を図り
もって公共の福祉に寄与する ことを
目的とする
この法律については
国民の生命及び財産の保護 が
『 直接的な目的 』 で
それにより
公共の福祉に寄与する ことが
『 最終的な目的 』 です。
その 『 目的達成の手段 』として
宅地造成に伴う崖がけ崩れ
又は土砂の流出による
災害の防止のため
必要な規制を行う ことが
この法律の総合的な目的です。
第1条の次の
第2条の規定には
概して『 定義規定 』が
置かれています。
定義規定 は
その法令で
主要となる用語 を 明確に限定 して
説明したものです。
定義づけをすることで
規制対象を明確 にすることができます。
その他の構成要素のポイントとして
当該法律の
目的を達成させるための
最終手段として
強制的履行 をとる場合があり
『 罰則規定 』 を
設けていることがあります。
罰則 が用意されていれば
当該法律中の行為が 処分に当たる
可能性があると推測できます。
処分性についてのポイントとして
他には
行政手続法 の
第2章( 申請に対する処分 )や
第3章( 不利益処分 )に
現れるような
「 理由の提示 」や
「 聴聞 」,「 弁明の機会の付与 」
といった
文言が付されている場合についても
これらは
相手方に不利益となる行為に対しての
事前手続 を表すものなので
条文にこうした文言が付されている
法律による行為についても
処分に当たるといえます。
他の構成要素のポイントとしては
下位法令への委任規定 がある場合
その 法律と下位の法令 が
一体となって仕組みを形成するので
行政法の仕組みを理解する際には
下位法令の内容理解も必要です。
~ 先頭へ ~
以上
読んでいただき
ありがとうございました。