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2023年9月22日金曜日

特別区公務員志望者の居住要件 !?

以前に
『なぜ江戸川区職員だけが
 独立採用なのか』

当時の
中里喜一 江戸川区長
インタビュー記事の紹介と
併せて
区長会会長
君塚幸吉 目黒区長
江戸川区の独立採用あたって
区長会としての考えを
述べられていた記事も
紹介しました。

この 君塚幸吉 区長会会長
インタビュー記事では
特別区採用試験合格者の配分方法
についも述べられています。

そのインタビューの趣旨は
こういうことです。

合格者の各区への配分については
特別区人事・厚生事務組合の
人事管理調査室でやっている。

合格者が決まり
各区からの申し込みがあって
配分となるが
まずは合格者に
それぞれの希望区に対するの意見を
一次,二次,三次と聞いていく。

その線に沿って
両者がマッチした方法で分けていく。
(希望者が中心区に集中してしまう
 懸念もあるが)
居住地の関係もあって
中心区だけに集まるということはない。

といった趣旨の回答をしています。

このインタビューによれば
採用手続は現在でも同様と思いますが
気になるキーワードがあって

居住地の関係もあって
中心区だけに集まるということはない。

と述べているところです。

居住地 に関しては
地方議会議員(区議会議員)
立候補する場合には
満25歳以上の日本国民で
引き続き3ヶ月以上その区域内に
住所があることが要件
です。

公職選挙法
- 第9条2項(選挙権)
- 第10条5項(被選挙権)
- 第266条5項(特別区の特例


一方で
首長(区長)に立候補する場合には
3ヶ月間の居住要件はありません。

公職選挙法
- 第10条6項(被選挙権)


首長(区長)への立候補においては
行政を執行する人材を
幅広く社会から登用する意図があります。

その一方で
地方議会議員(区議会議員)に
立候補する場合
には
地域社会の問題を把握して
それに対処するために
地縁的関係が必要とされるため
一定期間
の居住要件

設けられていると考えられます。

居住要件(住所要件)とは
昭和32年9月13日
最高裁判所第二小法廷判決
において

『公職選挙法上において
 一定の場所を住所と認定するについては
 その者の住所とする意思だけでは足りず
 客観的に生活の本拠たる実体を
 必要とするものと解すべき 』

と判示しています。

このように
形式的に住所を
そこに置いているにとどまらず
居住実態を必要としています。

統一地方選挙の後に
当選した議員には居住実態がない
といった報道があり。
議員があれこれと言い訳した後に
辞職するといったケースを
度々目にしますよね。

翻って
特別区公務員の採用に
居住地の要件はありません。


もっとも採用に当たって
一定期間の居住要件や
仮に採用後も
同区または隣接区に居住することが
要件とされるならば
憲法 第22条
『居住、移転・職業選択の自由』
に抵触し
人権の制約になりかねません。

君塚幸吉 区長会会長
インタビューでも
そこは
『居住地の関係もあって』とだけ
言っているので含みがあり
様々な解釈が可能です
採用に当たっての
内部のプロセスを言っているのであり
居住を要件としているわけではありません。

しかし
採用する側からすれば
その 自治体(特別区)の職員 
希望するならば
地方議会議員(区議会議員)と同じく
地縁社会との結びつきは必要です。

また
団体自治 の観点からも
この区で働きたいという意欲 や
区への関心 があり
地域の問題と解決策の提起
 や
地域の見どころや取り組みなどの
魅力を引き出してアピールする
広報活動など 
積極的に取り組める
人材を採用したいのは当然です。

こういった理由から
区面接では
志望区にどれだけ関心があるのかを
測るために『 まち歩き 』のことが
しばしば尋ねられますし
予備校でも面接試験前に
志望区の『 まち歩き 』を勧められる
ということに合点がいくでしょう。

また
志望区を居住区以外にしている方は
なぜ(地元ではない)区を
志望したのか?

さらには
他県の居住者の場合には
それに加えて
地元の自治体も受験しているのか?
もしそちらに合格したら
そっちへ行くのか?
など
必ず強くつっこまれる質問です。

こういった質問を想定しつつ
問題解決として
『なぜこの区を志望したのか』
『なぜこの区でなければいけないのか』
というように
自分自身で『なぜ』繰り返して
自問自答しながら
精度のある筋の通った答えに
仕上げていくことが
必要です。

ところで
一般の会社においても
居住地の関係は
採用に当たって
同じ様な評価(成績)であれば
居住地が勤務地に近い者を
選ぶことはあります。

よくある噂で
会社が従業員のリストラをする場合
同じ様な評価(成績)であれば
遠距離通勤の者から切られやすい
ということを言われます。

また
遠距離通勤の者は
通勤で体力を消費するので
仕事で良いパフォーマンスを
出すことができないとして
敬遠する会社もあります。

これについては会社(社長)の
考えが強く出ていますが…。

しかし実際のところ
区の職員においても
他県から通勤している者や
遠距離からの通勤者はいて
必ずしも
同区や近隣区の居住者ということでも

ないようです。

その一方
自分が国の出先機関に勤務していたとき
2011年3月11日の
東日本大震災がありました。
地震発生から何日かは
交通機関が正常に動いていなかったため
多くの職員が
出勤できないことがありました。

役所の事務手続は稟議制のため
上位者の印判がないので
書類が滞留し業務が停滞したことが
実体験としてあります。

近年では
こうした経験も踏まえて
災害発生 
 ウィルス・疫病の蔓延
あるいは システム障害等 
危機的状況下に置かれた場合でも
中核となる事業が継続できるよう
方法や手段等を取り決めておく計画

( BCP:事業継続計画 )の策定
役所や企業において
関心が高まっているところです。


このように
採用に当たって
居住要件を明確に記載することは
憲法(人権制約)の問題をはらむため
ないと思いますが
地縁社会との結びつき や 業務の効率性
あるいは
交通費等のコスト (税金です !!)。
こういった観点から
全く考慮することはないとは言えず

特別区公務員受験においても
地理的な優位・劣位性は
考慮しておくべきでしょう。

志望区を選択する場合でも
選択する志望区に対して
何となく選んだ!など
特別に思い入れがなければ

地元ないし近隣区を志望した方が
面接の際の志望動機も作成しやすく
筋も通りやすいなど
有利に働くことが多いと感じます。


先頭へ


以上
読んでいただき
ありがとうございました。