2023年9月30日土曜日

特別区政の情報収集(トピックなど)

区政会館だよりの活用法

特別区各区では
それぞれに
個別の政策課題 があります。

一方で
災害・治安 および 国民保護
少子高齢化,健康・福祉,産業・経済
環境・清掃,まちづくり,教育

といったテーマは
行政が取り組むテーマとして
特別区23区に 共通する課題 です。

東京区政会館
23区の共通課題 に対して
共同して解決を図る ための場であり
また
連絡調整の事務共同処理事務
担当しています。

公益財団法人 特別区協議会 が発行する
区政会館だより
その 区政会館に入る団体

公益財団法人 特別区協議会
特別区長会事務局
特別区議会議長会事務局
特別区人事・厚生事務組合
東京二十三区清掃一部事務組合
特別区競馬組合


事業についての情報
提供している 月刊誌 です。

さらに
特集 として
特別区の各区が取り組んでいる
最新のトピック
も盛り込んでいます。

この各区の取組や
特定のテーマに関する記事のうち
過去に掲載された特集
区政会館だより 別冊 として
一冊にまとめて発行しています。

言わば
雑誌で連載されていた漫画が
再編集されて
単行本になるのと同じです。

区政会館だより については
特別区自治情報・交流センター にて
無料配布されています。

また
区政会館だより 及び
区政会館だより 別冊 の一部分は
特別区協議会のWebサイト から
PDFで閲覧可能です。

遠方の方や
情報センターまで来ても
品切れの場合もあるので
こちらを利用するほうが
無難かもしれません。

最近はこの業界誌的な
区政会館だより
参考にしている
特別区公務員受験生が多いと
聞きますが
目的は 巻頭特集記事 でしょう。

この 特集記事
2008(平成20)年4月
217号 から始まり
各区が取り組んでいる
最新のトピック

各区の名所,旧跡など
まちの押しスポットなどの紹介

主なテーマとなっていて
各テーマに則して
23区それぞれの特色
書かれています。

各テーマの特集が一回りすると
( 一回りというのは

  23区と一部事務組合の
  清掃一部事務組合や
  競馬事務組合などを入れた
  合計 約24回 )
それらがまとめられて
別冊 になります。

つまり
区政会館だよりの特集
特別区各区アピールしたいこと
載せているということです。

東京区政会館 に入っている
特別区長会事務局
例にすれば
特別区長会というのは
特別区の行政のトップが
集まるところですから
そこでまとめられて行われる取組は
特別区としてプッシュ している
取組といえます。

例えば
特別区全国連携プロジェクト
さらに
特別区 及び地方行政に関わる
諸課題 について 調査研究を行い
検討することで
特別区の発信力を高めることを
目的として設置された
特別区長会調査研究機構 がそうです。

◇ 特別区長会 - トップページ

◇ 特別区全国連携プロジェクト - 特別区長会

◇ 特別区長会調査研究機構 - 特別区長会

それから今は
シティプロモーション
熱心に取り組んでいる自治体も多くあり
ご当地の おすすめスポット施策
宣伝することも
行政パーソンとして重要な仕事ですので
その区を希望している受験生ならば
面接試験でそれらについて尋ねられれば
知っていて当然と言えるでしょう。

また
特別区長会の案件や動向
その区長会の肝煎りで発足された
特別区長会調査研究機構の
研究成果

チェックしておくと良いでしょう。
特別区長会調査研究機構の
研究テーマ

論文試験の題材
なっていることがあります。

この他にも
特別区職員採用試験の
人事委員会面 では
路上生活者対策,児童相談所関係
環境対策,ゴミ問題,ふるさと納税
についても
意見を聞かれることがあるので
その辺りにも目を通しておくと
良いかもしれません。

そういった 情報
手っ取り早く知るには
区政会館だより
区政会館だより 別冊
有用なツール です。

では
区政会館だより
および
区政会館だより 別冊
PDFで閲覧する場合
知っておくべき事項について
説明します。

区政会館だより
2000(平成12)年4月 121号 から
PDF閲覧できます。
ただし
訴訟事件事例紹介
PDF閲覧できません。

また
区政会館だより 別冊 ついては
『「23区今昔物語」~歴史を辿る 』
『 23区ひと・まち物語~つながりを訪ねて 』
『 訴訟事件事例紹介 』以外
のものが
PDF閲覧できます。

訴訟事件事例紹介 以外
別冊の内容
区政会館だより
バックナンバー にも
同じものが掲載されています。

訴訟事件事例紹介 については
自治体において
汎用性の高い事件を厳選し
加筆修正されたものが
自治体訴訟事件事例ハンドブック
〔改訂版〕
として
一般書籍化され
第一法規から出版されていますので
もしこれが
遍くインターネットにより
無料で見ることができるならば
第一法規
“ 商売あがったり ”になるので
見たければ是非買って下さいね!
ということなんでしょう。

最後に
特別区協議会 Webサイト
『 区政会館だより 』のページを
リンク しておきましょう。

◇ 区政会館だより - 特別区協議会
※ PDFでは平成12年4月から閲覧可能。

◇ 区政会館だより 別冊 - 特別区協議会
※ PDFでは平成26年から閲覧可能。


以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2023年9月22日金曜日

特別区公務員志望者の居住要件 !?(居住地と採用)

以前に
『なぜ江戸川区職員だけが
 独立採用なのか』

当時の
中里喜一 江戸川区長
インタビュー記事の紹介と
併せて
区長会会長
君塚幸吉 目黒区長
江戸川区の独立採用あたって
区長会としての考えを
述べられていた記事も
紹介しました。

この 君塚幸吉 区長会会長
インタビュー記事では
特別区採用試験合格者の配分方法
についも述べられています。

そのインタビューの趣旨は
こういうことです。

合格者の各区への配分については
特別区人事・厚生事務組合の
人事管理調査室でやっている。

合格者が決まり
各区からの申し込みがあって
配分となるが
まずは合格者に
それぞれの希望区に対するの意見を
一次,二次,三次と聞いていく。

その線に沿って
両者がマッチした方法で分けていく。
(希望者が中心区に集中してしまう
 懸念もあるが)
居住地の関係もあって
中心区だけに集まるということはない。

といった趣旨の回答をしています。

このインタビューによれば
採用手続は現在でも同様と思いますが
気になるキーワードがあって

居住地の関係もあって
中心区だけに集まるということはない。

と述べているところです。

居住地 に関しては
地方議会議員(区議会議員)
立候補する場合には
満25歳以上の日本国民で
引き続き3ヶ月以上その区域内に
住所があることが要件
です。

公職選挙法
- 第9条2項(選挙権)
- 第10条5項(被選挙権)
- 第266条5項(特別区の特例


一方で
首長(区長)に立候補する場合には
3ヶ月間の居住要件はありません。

公職選挙法
- 第10条6項(被選挙権)


首長(区長)への立候補においては
行政を執行する人材を
幅広く社会から登用する意図があります。

その一方で
地方議会議員(区議会議員)に
立候補する場合
には
地域社会の問題を把握して
それに対処するために
地縁的関係が必要とされるため
一定期間
の居住要件

設けられていると考えられます。

居住要件(住所要件)とは
昭和32年9月13日
最高裁判所第二小法廷判決
において

『公職選挙法上において
 一定の場所を住所と認定するについては
 その者の住所とする意思だけでは足りず
 客観的に生活の本拠たる実体を
 必要とするものと解すべき 』

と判示しています。

このように
形式的に住所を
そこに置いているにとどまらず
居住実態を必要としています。

統一地方選挙の後に
当選した議員には居住実態がない
といった報道があり。
議員があれこれと言い訳した後に
辞職するといったケースを
度々目にしますよね。

翻って
特別区公務員の採用に
居住地の要件はありません。


もっとも採用に当たって
一定期間の居住要件や
仮に採用後も
同区または隣接区に居住することが
要件とされるならば
憲法 第22条
『居住、移転・職業選択の自由』
に抵触し
人権の制約になりかねません。

君塚幸吉 区長会会長
インタビューでも
そこは
『居住地の関係もあって』とだけ
言っているので含みがあり
様々な解釈が可能です
採用に当たっての
内部のプロセスを言っているのであり
居住を要件としているわけではありません。

しかし
採用する側からすれば
その 自治体(特別区)の職員 
希望するならば
地方議会議員(区議会議員)と同じく
地縁社会との結びつきは必要です。

また
団体自治 の観点からも
この区で働きたいという意欲 や
区への関心 があり
地域の問題と解決策の提起
 や
地域の見どころや取り組みなどの
魅力を引き出してアピールする
広報活動など 
積極的に取り組める
人材を採用したいのは当然です。

こういった理由から
区面接では
志望区にどれだけ関心があるのかを
測るために『 まち歩き 』のことが
しばしば尋ねられますし
予備校でも面接試験前に
志望区の『 まち歩き 』を勧められる
ということに合点がいくでしょう。

また
志望区を居住区以外にしている方は
なぜ(地元ではない)区を
志望したのか?

さらには
他県の居住者の場合には
それに加えて
地元の自治体も受験しているのか?
もしそちらに合格したら
そっちへ行くのか?
など
必ず強くつっこまれる質問です。

こういった質問を想定しつつ
問題解決として
『なぜこの区を志望したのか』
『なぜこの区でなければいけないのか』
というように
自分自身で『なぜ』繰り返して
自問自答しながら
精度のある筋の通った答えに
仕上げていくことが
必要です。

ところで
一般の会社においても
居住地の関係は
採用に当たって
同じ様な評価(成績)であれば
居住地が勤務地に近い者を
選ぶことはあります。

よくある噂で
会社が従業員のリストラをする場合
同じ様な評価(成績)であれば
遠距離通勤の者から切られやすい
ということを言われます。

また
遠距離通勤の者は
通勤で体力を消費するので
仕事で良いパフォーマンスを
出すことができないとして
敬遠する会社もあります。

これについては会社(社長)の
考えが強く出ていますが…。

しかし実際のところ
区の職員においても
他県から通勤している者や
遠距離からの通勤者はいて
必ずしも
同区や近隣区の居住者ということでも

ないようです。

その一方
自分が国の出先機関に勤務していたとき
2011年3月11日の
東日本大震災がありました。
地震発生から何日かは
交通機関が正常に動いていなかったため
多くの管理職以下の職員が
出勤できないことがありました。

役所の事務手続は稟議制のため
上位者の印判がないので
書類が滞留し業務が停滞したことが
実体験としてあります。

近年では
こうした経験をはじめとした
被災・障害による
役所の業務遂行の停滞や停止を踏まえて

災害発生 
 ウィルス・疫病の蔓延
あるいは システム障害等 
危機的状況下に置かれた場合でも
中核となる事業が継続できるよう
方法や手段等を取り決めておく計画

( BCP:事業継続計画 )の策定
役所や企業において
関心が高まっているところです。


このように
採用に当たって
居住要件を明確に記載することは
憲法(人権制約)の問題をはらむため
ないと思いますが
地縁社会との結びつき や 業務の効率性
あるいは
交通費等のコスト (税金です !!)。
こういった観点から
全く考慮することはないとは言えず

特別区公務員受験においても
地理的な優位・劣位性は
考慮しておくべきでしょう。

志望区を選択する場合でも
これは本気度の少ない受験生に
多い傾向がありますが
鄙の都への憧れなのか
とりあえず
メトロポリス的な
“ 中心区 ” を選びがちです。

選択する志望区に対して
何となく選んだ!
など
特別に思い入れがなければ

地元区ないし近隣区を志望した方が
面接の際の志望動機も作成しやすく
筋も通りやすいなど
有利に働くことが多いと感じます。


先頭へ


以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2023年9月18日月曜日

特別区の総合計画を調べる!


特別区( 地方自治体 )の
公務員を受験する際に
論文対策 や 特に 面接対策 として
特別区各区の政策がわかる資料はあるか?
との問い合わせを受けることが
多々あります。

その中の一つとして
各地方自治体の「 総合計画 」
あります。

各地方自治体では一般的に
行政運営の指針となる計画として
基本構想,基本計画,実施計画
策定しています。
特別区(23区)においても
各区で呼称は異なりますが
すべての区で
基本構想,基本計画,実施計画
そしてこれらの計画に沿った
分野別計画 を策定しています。

調査・研究対象の
体系を理解すること
資料へアクセスする近道ですので
これらについて
ざっくりと説明しましょう。

基本構想・・・
まちづくりの基本理念や
目標とする将来像を示し
その方向性を定めるもの。
一般的には
だいたい10~20年スパンで
計画されます。

基本計画 (長期計画)・・・
基本構想の実現に向けた
基本的な施策を体系的に示すもの。
一般的には
だいたい5~10年スパンで
計画されます。

実施計画 (施行計画)・・・
基本計画にもとづく施策の実施を示し
具体的な事業内容を明らかにするもの。
一般的には
だいたい3~5年スパンで計画されます。

基本構想,基本計画,実施計画
3つを合わせて
総合計画 とも呼ばれます。

この 総合計画 に沿って
教育,財政,保健・衛生,福祉,
環境,産業,都市整備 など・・・

といった
分野別計画 (個別計画,事業計画)
策定され
区の 各事業部 などが
分野別に担当 します。

図に表すとこんな感じです。



次に
それらの情報についての探し方です。

まず
基本計画など を冊子体で見たい場合は
目的の基本計画等を発行している
自治体の図書館区政情報室 を訪ねる
という方法があります。

ただし
必ずしも貸出しできるとは限りません。
禁帯出(貸出不可)の処理がなされていて
閲覧のみの場合もあります。

他には
特に 基本計画(総合計画)
各自治体で有償刊行物として
購入することができます。
区役所の 区政情報コーナー などで
販売していますので
本にマーカーや書き込み等をして
自分なりにカスタマイズしたい方は
この方法も良いでしょう。

ただし
各自治体で 基本計画(総合計画)
販売価格にはバラつき があり
各区の言い値なので
高い値段が付いている区もあり
きちんと情報を取る必要があります。

例を挙げて見ますと

荒川区・・・
荒川区基本計画(平成29年度~38年度)
850円也。( かなりリーズナブル! )

世田谷区・・・
世田谷区基本計画(平成26年度~35年度)
1,256円也。( この辺が相場か !? )

このように
どうしても冊子体を
手許に置きたいという方は
購入も良いのですが

基本構想,基本計画,実施計画等の政策
その自治体の行政運営における理念や
方針を示すものであり
民主主義ないし住民自治の観点から
ビジョンやプランを
住民に知らしめる必要
があります。

また
国や自治体が掲げている
電子政府,電子自治体 といった
構想
からしても
各自治体のWebサイトで
公表されていると考えるのが
通常
です。

つまり
冊子体の情報は副次的で
総合計画は
Webサイトにて1次的に
遍く広く知らしめており
容易にアクセスが可能です。

それでも冊子体が欲しい
ということであれば
コストなどがかかっているので
それなりの対価を払って
購入して下さいね。
ということでしょう。

したがって
効率的に
自治体の情報を収集するには
各自治体のWebサイト から
検索するのがいいでしょう。

政府や地方自治体の運営する
Webサイトは
情報の質,量ともに豊富で
利用価値が高いです。


しかし
政府や地方自治体のWebサイトは
情報量が多い反面
構成が複雑で探しづらい
といった声もあります。

そういった場合
一つの検索方法として
サイトマップ から調べることも
一つの方法です。

サイトマップ とは
Webサイトの構成を一覧化した
目次のようなページ
だいたい
ページの上か下にあります。
( ただし,サイトマップのほうが
 わかりにくい自治体もあります。)

基本構想,基本計画,実施計画
といった総合計画

区政情報 の項目に掲載されています。

一方
分野別計画 については
各課やその他の専門部署が
担当しているので
掲載している箇所が
自治体のWebサイトによって
まちまち
です。

そういった場合の
検索方法として
サイト内の『 検索窓 』を使うのも
いいでしょう。

例えば
大田区の
子どもの貧困対策についての計画

調べたい場合。
Google や YAHOO! などの
検索サイトから
子ども □ 貧困 □ 大田区
入力して調べても良いのですが

サイト内検索ならば
その自治体のWebサイト内から
キーワード
( ここでは 子ども □ 貧困 )に
該当するものが拾われますので
必要な情報を絞ることができます。
さらに
広告などの余計な情報も省かれます。
ただし
これに関しては
自治体のWebサイトによって
広告が入るものや
検索窓から検索すると
Google へ飛ぶものもありますので
最初から
Google 等の検索エンジンで検索した方が
効率的な場合もありますので
そこは臨機応変に使ってください。

もっとも
公務員受験生は
だいたい同じ行動をとっているので
検索においても
Google 等の検索エンジンから
同じキーワードを入力して
検索していることが多く
基本計画(総合計画)等の
基本的な施策を調べるなら
検索エンジンからダイレクトに
検索した方が効率的かもしれません。

ところで
子どもの貧困対策について検索すると
足立区では出てくるが
港区では出てこない。
港区では貧困対策を行っていないのか?
という質問が過去にありました。
自治体によっては
“ 貧困 ” という言葉は
使っておらず
“ 未来応援 ”という
言葉を使用していることもあり
こういった場合は
“ 子ども □ 貧困 ” では
目的のものが
引っ掛からないことがあります。
そういった場合は
関連するキーワードを入力して
試して下さい。
しかし最近では
“ 貧困 ” よりも
マイルドなネーミングの印象からか
右へ倣へで
子どもの貧困対策を
子どもの未来応援と名付ける
自治体が多くなっているので
“ 子ども □ 貧困 ” で検索しても
目的のものがヒットすることが
多くなっています。

それから
各自治体の
妊娠・出産・子育て支援策 において
『 子育て世代包括支援センター 』
創設を進めているところですが。
これを『 ネウボラ 』
標榜しているケースも見られます。
( 例えば 渋谷区 )
このように自治体によって
同様の施策に色々な名称を付している
ことが多々ありますので
検索する場合は
関連するキーワードを入力するか
各自治体HPカテゴリーから
進むなどして試して下さい。

最後に
特別区の基本計画等が掲載されている
リンク集を作成しましたので
ご活用下さい。


◇ Link 特別区


以上
読んでいただき
ありがとうごうざいました。



2023年9月10日日曜日

議員立法

法情報検索 各論 1 法令 a

法律には民法や刑法など
基本となる法律から

ヘイトスピーチ解消法など
人権に関する法律。

政治資金規正法のような
議員の自律に関する法律。

復興支援に関する法など
国民救済のための法律。

祝日法に見る
国民全体の祭祀や記念日を定めて
休日にしましょうとする法律。

特定の業界や地域振興に対して
利益を図る法律などがあります。

このように
国民の権利を制限し
義務を課したり利害調整を図るには
法律の制定が必要です。

提出及び成立した法案を眺めると
次のような分類ができます。

①…
選挙の票にはつながりにくいが
専門的・技術的な見地から判断し
社会政策上
具体的な法整備の必要性がある法案。


この場合は
内閣提出法案 が多くなります。

これについては
議院内閣制 のもと
政府・与党の政策を実現するために
専門的な技術をもった各省が
与野党議員や外部団体
あるいは
関係する地方自治体や
他の省庁に対し
綿密に根回しや折衝をしたうえで
内閣法制局にて法文審査を経て
事務次官会議にかけられてから
閣議決定後に提出されます。

重要法案ともなれば
提出過程で
有識者による審議会等を設置して
諮問や意見聴取をします。

また
内閣提出法案は
与党の事前審査を得ている
ので
国会の賛成を得やすいので
成立しやすくなります。

一方
議員の発議による法律案
野党提案 のものが多く
与党の賛同を得にくいため
成立に至ることが少ないです。

与党の政策に反対する
法案を発議しても
成立しないのは当然であり
委員会で審議すらしてもらえずに
廃案になるものも多くあります。

②…
内閣提出になじまない法案。


この場合は
国会議員発議の法案 が多くなります。

祝日法などの
国民全体の祭祀や慶事を定める法律や
人権に関する法律
復興支援に関する法などの
国民救済のための法律は
民意により直接洗礼を受けた
国民に近い議員立法の方が
法案の趣旨からしてなじみます。

また
特定地域の振興や特定の業界に対して
利益を図る法律に関しては
族議員や有力な議員を出している
地域や団体の利益を図るために
立法するというものであり
特定の省庁が
率先して取り組むものではなく
民意( 支持者の要望 ) を汲んだ
議員による立法が適しています。

田中角栄 氏 に例えるなら
「 日本列島改造論 」 のもとで
多くの土建関連の立法をしたり
新潟 ― 東京間 に
いち早く新幹線を通したり
といったもので
政治的パワーのある有力議員と
支援している業界や地域住民が
手を結ぶことで成せる業です。

このように
議員提出の法案の特色の一つ として
選挙の際
票につながりそうな法案が多い

ということです。

もう一つの
議員立法の特色
としては
政治資金規正法 のような
③…
議員の自律に関する法案
です。
これは
特定の役所が決めることではないので
議員立法が相応します。

このように
内閣提出立法議員立法 には
それぞれに特色があります。


法律は社会統制の一つですので
社会の変化により
直接当てはまる法律がない
といった場合に
それぞれの
職業的気質の違いから見ますと

裁判官
法的紛争解決を行う場合には
現行の法律に
ストレートに当てはまらなければ
規範を立てて事案に当てはめる
といった解釈をします。

一方
国会議員 の場合は
問題が起こった場合に
当てはまる法律がないときは
社会経済に変化に伴い
要請があれば法律を創ればよい。

現行法に問題があれば
法解釈のみに漬かることなく
新法の制定や法改正をすればよい
と考えます。

近年では
社会経済の変化に合わせて
法改正も頻繁に行われるように
なってきました。

例えば
度々法改正が行われている
会社法 をはじめとする
企業関連の法については

企業にとって裁判が長期化すれば
費用も多額になり
敗訴した場合はさらにそれが膨らむ
という理由などから
訴訟はリスクになるので
できるだけ避けるようにしたい。

こういったことから
経済界からの要請もあり
会社法等で争点となるところは
できるだけ
立法府において解決を図る
方向にあります。

それから
司法試験,司法書士
あるいは
公務員!? や 行政書士!? といった
難関といわれる
法律系資格試験の合格を
目指している受験生は
度々の法改正により
その都度覚え直すことになるため
だらだらと何年もかけて
勉強していると
かえって合格が遠退くことに
なり得るので
早く合格するという
強い意志と覚悟が必要でしょう。


ところで
「 政治とカネ 」の問題は
毎度のことですが
権力者がその地位を利用して
利己的な操作を加えて
改革したといっても
特例を設けて
結局は 「 ザル法 」に
なってしまいがちですが
政治に金は必要であるし
有権者として
週刊誌のネタに煽られるのではなく
本業である
議員の政策立案や国会での仕事から
判断することが賢明
であり

それにはしっかりした
メディア・リテラシー が必要です。

衆・参両議院や法制局や
政府等の公式サイトから
議員の情報や
立法,政策情報を
とることをおススメします。

参考として以下のサイト挙げました。

先頭へ

~ 関連サイト ~

立法情報 - 衆議院

議案情報 - 参議院

最近の法律・条約 - 内閣法制局

成立した議員立法-衆議院法制局

成立参法の紹介-参議院法制局


先頭へ


以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2023年9月6日水曜日

図書館での資料や情報の探し方


主として
国立国会図書館,東京都立図書館 の
調べ方案内,レファレンス事例
および
東京23区の地域資料 の
パスファインダー 等のリンク。


図書館 では
あるテーマに関する資料や情報を
探すための手順を簡単にまとめた
ツール
として
“ パスファインダー ”
作成している図書館があります。

さらに
図書館のWebサイト
過去にあった質問の記録を
事例集としてまとめた

レファレンス事例集 を公開している
図書館があります。

これらのツールを上手に使うことで
資料へのアクセスが容易になります。

そこで
レファレンス担当御用達の
ツールでもある
国立国会図書館都立図書館
その他
特別区の各図書館 が作成した
レファレンスツール をまとめました。

なお
公立図書館 では
“ 図書館奉仕 ” の規定 である
図書館法 における
第3条前段
“ 図書館は,図書館奉仕のため,
土地の事情及び一般公衆の
希望に沿い … ”

さらに
同 第3条1項前段
郷土資料,地方行政資料,美術品,
レコード及びフィルムの収集にも
十分留意して … ”

といった規定を受けて
地域資料に関する
レファレンス事例などの情報が
中心
になっています。

都道府県立の図書館 では
レファレンス・ライブラリー
としての機能もあるので。
調べ方案内のツールが豊富です。

一方
基礎自治体の公立図書館 では
レファレンス・サービスを充実させて
調べ方案内などのツールに
力を入れている自治体もあれば
レンディング・ライブラリー として
“ 貸出し ” に徹していて
レファレンスツールの作成や
予算的に厳しいため
高額になるデータベースや
参考図書の収集には
力を入れていない自治体もあり
その運営は様々です。


◇ 国立国会図書館

◆ リサーチ・ナビ(調べ方案内)

◆ レファレンス協同データベース


◇ 東京都立図書館

◆ レファレンス事例検索

◆ テーマ別調べ方案内

◆ 『 知っていると便利 』シリーズ

◆ Pick up 情報の泉

◆ この本はありますか?
~ よくある質問より ~


◆ 東京について調べる

 ◇ TOKYOアーカイブ
  江戸・東京関係のデジタル化資料
  東京都行政資料 の検索・閲覧

 ◇ 東京都公立図書館住宅地図総合目録
  都内公立図書館の 住宅地図 の所蔵状況

 ◇ 東京関係地図目録

 ◇ 歴史 - 東京について調べる

 ◇ 地名 - 東京について調べる

 ◇ 地図・地誌 - 東京について調べる

◆ 都内公立図書館一覧

◆ 区市町村立図書館新聞・雑誌総合目録


東京23区の図書館

◇ 足立区立図書館
◆ レファレンス


◇ 荒川区立図書館
◆ レファレンス事例紹介

◆ テーマ別資料リスト

- 地域


◇ 板橋区立図書館
◆ レファレンス検索:カテゴリー一覧


◇ 江戸川区立図書館
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以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2023年9月5日火曜日

図書館資料の貸出冊数と継続借受ルールの運用


前回
図書館サービス について
公共財の性質占有期間
バランス を考え
その 合理的な落としどころ といった
貸出期間の決定プロセスについて
書きました。

合理的な貸出期間 が設定されると
つぎに
その貸出期間に読むことができる
合理的冊数 として 貸出冊数
決まります。

この 貸出冊数の決定 については
前々回書きました
「 図書館の名目的効用 」
数値を形式的に上げるため
貸出冊数を多く設定 している
自治体もあります。

また
専門書や長編小説など
読むのに時間を要する本もある一方で
絵本などすぐに読み終わってしまう
本もありますので
資料の特徴 も考えます。

さらに
図書館の 蔵書数 なども
考慮する必要があります。
蔵書数が少ないのに
貸出冊数を多くすれば
図書館資料の在庫数も
少なくなってしまい
利用者が来館しても
資料が慢性的に無い状態に
なってしまいます。

また
大学の場合
貸出日数貸出冊数 が多いのは
目的研究 であり
研究論文作成のためには
それなりの 資料数日数
必要とするからです。

一方で
法科大学院の場合
目的が研究ではなく
実務家養成のための学習に
資するための蔵書構成

なっています。
また
大学図書館に比べて
規模がかなり小さく
蔵書数も少ない
ので
貸出日数 および 貸出冊数
多くすれば
在庫資料が少なくなってしまい
必要な時に
慢性的に資料がないとなると
法科大学院図書室の用を成さない
ので
ロースクールによっては
全て禁帯(貸出不可)としている
図書室もあります。

もっとも
司法試験受験生の場合は
使える基本書・参考書・雑誌の情報は
既に入手していることが常で
同じ資料に利用が集中する傾向が
あります。

このように
貸出冊数の決定 には
貸出期間に読むことができる
合理的冊数
を前提に
・図書館の名目的効用
・扱っている資料の種類
・図書館の目的
・蔵書数 など
を踏まえて
設定されています。

つぎに
同一の資料を同一の利用者が
継続して借受けのできる図書館

連続しての借受けはできず
1日おいてからならば
再度借受けが可能な図書館
との
サービスにおける
考え方の違いについてです。

まず
継続借受を可能とする運用
している図書館では
公共図書館 の場合
サービスの主体
「 貸出し 」と考えている自治体ならば
「 公共財 」と「 占有 」 の
概念よりも
「 名目的効用 」優先
他の利用者が貸出中の資料を
借りたければ
予約をすればよい
と考えるからです。
また
蔵書数も関係します。

それから
仮に1日おいて貸出しが可能と
利用者に訴えても
モラルのない利用者ならば
返本されれば確信犯的に
また借りに来ますので
そのような運用は効果がないとして
継続貸出可能としていると
考えられます。
自動貸出機を設置している図書館では
尚の事です。

一方
1日おいて再度借受可能とする
図書館は
蔵書数 を考慮した上で
「 公共財 」「 占有 」
概念を優先し
性善説を前提
利用者の規範意識( モラル ) に訴える
といった
運用と考えられます。

法科大学院図書室 の場合ならば
蔵書数と図書室の目的を
考慮した上の運用
ですので
「 貸出し 」サービスより
「 調べる 」,「 参考にする 」ことを
優先としています。
それから
仮にルールを守れない
ロースクール生が多ければ
運用を変えて
全て禁帯とすることも容易であり
原則論である
「 公共財 」 と 「 占有 」 の
概念を優先して
まずは
利用者の規範意識( モラル ) に訴える

としていると考えます。

もし
前回の冒頭のような質問を
ロースクール生がしてくれば
このような長い説明はいらず

図書館資料は
“ 公共財(的) ” であって
その利用については
“ 公共 ” の制約を受けることになる。


といった説明をすれば
ほとんどの方は理解してくれます。
おそらく
このブログをご覧になっている方も
同様だと思います。

仮に理解できていなくても
プライドがありますので
理解したふりをしているのかは
わかりませんが・・・。

“ 公共財(的) ” なので
占有(独占)することはできず
もしも
利用しようとしている資料
独占して
線引きや書き込みをしたり
ページを折るなどしたり
延滞や汚破損をすれば
他の利用者の利用・使用が
できなくなるなどの
支障が出てきます。
そうなった場合には弁償となり
相当の対価を払うことになるので
結局のところ
自分自身でカスタマイズ したい場合や
手元に置いておきたい のならば
相当の対価を払う。
つまり
書店などで 購入 すればよいのです。

これが
物事を合理的に考えられる人 です。

しかし
公共図書館の一部の利用者 のように

・永久に継続貸出をして独占する。
・その時点において必要のない資料を
 借りたり( 閲覧席での積読状態 )
 予約取り置きする。
・借りた資料を延滞する。
・予約本の取り置き期限を延ばしまくる。
・当日の新聞を全部独り占めする。
・本を汚す。ページを折る。
 線引き,書き込みをする。
・図書館員が注意すると逆切れする。


こういった問題行動を起こす
悪質“ フリーライダー ”
本質的に ケチ であり
合理的思考ができず
自分のエゴを通そうとします。

そういった輩にかぎって
クレーム が多く
やたらと“ 税金 ”といってきたり
“ 性善説 ” を振りかざします。

公共施設で働く図書館員ならば
“ 図書館利用者あるある。”
といったところでしょう。

賃金が安い上に
こういった 不逞之輩
毎日相手にしている
“ 現代の「 蟹工船 」的職場 ”
ともいえるような
公共施設で働く図書館員は
ホントにストレスもたまるだろうと
お察しします。


以上
読んでいただき
ありがとうございました。

2023年9月4日月曜日

公共財としての図書館資料と貸出日数


何かのトラブルがあったときや
フラストレーションがたまったときは
気前のいい人
金で解決 しようとする。
一方
ケチな人文句を垂れる。
クレーム をつけてくる。

このことは一般社会において
よく言われることです。

司書をやっていると
ホントにその通りだと思います。

ところで
図書館サービスについて
サービスの仕組みが知りたいので
色々と細かく聞いてくる方と
自分の思い通りにならないので
クレームをつけてくる方がいます。

確かに一般の利用者は
図書館サービスについて
融通が利かなくて
フラストレーションがたまるので
色々とクレームをつけたくなる
ことはよくわかります。

そこで
図書館サービスの一環 である
「貸出し」 の際によくある
問い合わせについて
例を挙げますと。

図書館サービス
大学 ならば 大学の図書館ごと
自治体の公立図書館 であれば
各自治体
それぞれ異なった
独自の運用
がなされています。

つまり
一律のサービスではありません。

例えば
A市の図書館貸出冊数は30冊
貸出期間が2週間 である。
これに対して
B市の図書館 では 10冊の貸出冊数
3週間の貸出期間 である。

大学 においては
C大学図書館 貸出冊数が20冊
貸出期間が30日 である。
一方
C大学に付属する 法科大学院図書室
貸出冊数は5冊
貸出期間が2週間 である。

なぜ違うのか !?
との質問を受けることがあります。

まずはこのように
各図書館でサービスが異なる
ということを
認識しておいてください。

それから
このような問い合わせもあります。

A図書館 では
利用者甲が現在借りている本を
一度返却手続きをしてから
再び同じ本を同一の甲が借りる。
つまり他の利用者の予約がなければ
永久に継続貸出しができる。
しかし
B図書館 では
借受期間満了前に返却手続きをして
同じ本を借りたいと要求したが
一日あけてからご利用ください。
と言われ
同一の本を同じ利用者が
連続で借りることができない。


A図書館では可能なのに
B図書館はなぜできないのか。

こういった問い合わせに対して
「決まりだから」 と答える
司書がいますが
利用者は “ なぜ ”
知りたいのであって
つっけんどんに「決まり」
と言われると腹も立つでしょう。

まあ
そういった答え方をする司書は
自分でもよくわかっていない人が
ほとんどでしょう。
そんな司書に当たったら
血圧も上がると思いますので
代わってお答えします。

まず
公共図書館の資料公共財 です。
公共財の特徴
非排除性非競合性 にあります。
非排除性 とは
対価を支払わなくても
誰でも自由に利用できることです。
非競合性 とは
ある人が消費しても無くならず
他の人の消費量に影響がない性質です。

経済学を修めている方ならば
通りが早いのですが
それ以外の方は

公共財 とは
多数の人々が同時に利用できる
モノやサービス。

ということを認識してください。
そして
多数の人々が同時に利用可能
ということは
「 占有できない 」
ということです。

例えば
公道の場合
通常は誰かが歩いていたら
歩くことはできない
ということはないですよね。
お金を払う必要もありません。

しかし 図書館の場合
誰かがある本を読んでいたり
借りていたら
他の人は読むことがでないので
“ 一定期間占有する ” ことは
物理的に仕方がないことなので
やむを得ません。

多くの人に利用して(読んで)
もらうには
一定の合理的な貸出期間を
決める必要があります。


もっとも貸出しのできない
新聞や新刊雑誌
その他の禁帯出の資料については
『 読む分 』だけ占有するとして
一人が何冊も抱え込むことが
無いようにしています。

特に新聞や新刊雑誌は
トラブルが多いところですが
図書館によっては
一人5分とか
時間を制限しているところも
あるようです。
また待っている人も多いので
新聞を抱えたまま
居眠りしている人には
すかさず注意をしている
ところも多いようです。

話しを貸出図書の期間制限に戻して。

貸出期間を1週間とした場合に
読むには少し短すぎる。
1か月とすれば
多くの人に行き渡りづらくなるし
延滞も発生しやすくなる。
そこでこれらを総合的に鑑みて
その間を取って
2週間 もしくは 3週間 という
期間が設定されてきます。

補足すると
求める本や雑誌が
その自治体に無い場合は
他の自治体から
取り寄せることができるサービス

あります。
この場合
自治体間での貸借期間が
決められています
ので
その期間から
運送関係の日数を差し引いて
考慮した場合。
例えば
東京都 ならば
2週間が妥当 という結論になります。

それと
これは利用者が認識していない
ことが多いのですが
貸出期間2週間 といっても
例えば
資料を予約や取寄せをした場合
その利用者のために
確保しておく期間

1週間 としておく図書館が多く
実質は3週間を
その利用者が占有
している
ことになります。

これは
利用者側も仕事などの都合もあり
資料が届いても
すぐに来られないので
まあ,仕事ならば
1週間に1日は法定休日が
ありますので
1週間あれば
通常取りに来ることが可能と考え
1週間と設定している
と考えられます。

この期間について
その資料を取り置いている場合
当の利用者は利用していませんが
他の利用者も利用できません
ので
誰も利用できない
“ 死蔵 ” の状態
になります。
これでは公共財としての
効用がありませんので
図書館(行政)側
多数の人が利用できるように
この 占有期間をできるだけ無くしたい
あるいは短くしたい
ところですが
先の理由から
合理的に考えられる最低ラインの
取置期間で設定
されている
と考えられます。

しかし
当の利用者側はサービスを
受けている認識がない
ので
よくトラブルが起きる
ポイントでもあります。

ちなみに参考として
大学図書館の場合
大学によっては
取置期間も貸出期間に含めて合算し
連絡後に資料の受取が遅ければ
借受期間も短くなるといった
運用の大学もあります。

このように
まずは 合理的に算出された
取置期間を含めた貸出期間が決定

されます。

分量が多くなりましたので
貸出冊数の決定や
その他の問題については
次回以降に回します。

サービスの趣旨 としては
公共財の性質
一般人が利用しやすいと考えられる
最低限の占有期間

バランス とを考え
それらの合理的な
落としどころで決定
される
と考えてください。

自分は
読む側にとって
こんなに窮屈な運用をされると
ストレスが溜まるし
利用者として図書館に行ったときに
図書館カウンターで
スタッフに理不尽な文句を垂れている
面倒な輩を見ると
さらにイライラが溜まるので
そこは合理的に
読みたい本は購入して
自由に読んでいます。

以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2023年9月2日土曜日

図書館司書の現状

前回
司書講習における勉強法について
述べました。

司書講習を修了して
図書館に就職したとき

「 船橋市西図書館蔵書破棄事件 」
ケースとは言いませんが…。
職員にも
ときたまおかしな輩がいます。

丸山眞男 先生 の言葉を借りれば
「 たこつぼ型 」の職場に長くいるため
視野の狭い方がいるので
人間関係が難しい職場です。

利用者もパブリックな場所なので
不特定多数の利用者が出入りするため
サービスに対して
何かと自分勝手な理屈をつけて
ケチをつけてくる利用者もいます。

それらに対応するためにも
基本的な知識をしっかり身につけて
対応しましょう。

でも,あまり論破してしまうと
そういう利用者は
責任者を呼べ! といいます。
それで
責任者から
「 サービスについてはうちの職員から
 説明した通りに運営しております。」
と言うと
「 いや 俺が文句を言うのは
 あの職員の態度が悪いからだ。」

というように
話をすり替えてきます。

これは 典型的な
クレーマーの言い方
ですが
公共図書館の窓口業務をしていると
この様な対応に追われる場面が
多くあります。

それから
図書館というのは
典型的な「 たこつぼ型 」の職場だな
ということを改めて感じるケースは

色々な図書館で経験を積んできた
司書たちが集められて
新たな図書館業務の立ち上げで
仕事をするといったケースで
必ずといっていいほど起こるのは

「私の区 では こうしていた!」
「前の図書館 では こうだった!」
とだけ言って
何かと主張してくる方が結構います。

これを言い出されると
説得力が全くないので
業務や議論が進まなくなるんですね!

ここはあなたが前にいた
区でも図書館でもないんだよ !!
と言いたくなります。

ではでは出羽守にはうんざりですよ…

なぜそうしていたのか
なぜその方法が良いのかという
説明,説得が抜けてるので
平行線のまま発展しないんです !!

そのために教養が必要であったり
研修制度や司書講習で
基礎的知識を学ぶ制度を設け
共通知識としての基盤の上
職場等で培った実戦経験としての
応用が成り立つ といった
「 ささら型 」の教育システムが
設けられているわけです。

あんた高等教育受けてんだろー!!
ということを
こういう職場にいたときは
常に感じていたところです。

このように
融通の利かない堅物な司書が多い中
クレーマーも多いので
色々と人間関係のトラブルが多く
辞める方も多い職場ですね・・・。


図書館サービス について
海外,特にアメリカやカナダの
専門職としての司書について
比較するとき
アメリカやカナダの司書は
専門職大学院の課程を修了し
司書職としての社会的地位も高い。

日本もそれに倣って
さらなる 専門的知識を身につけ
専門職大学院に行くことが望ましい。

などと言っている関係者がいます。

まあ,これは
文科省と大学の
学生誘致のためのキャンペーン
であって
他にも
法科大学院 等の専門職課程
修士,博士課程の研究課程 も同様で

その過程を修了したからと言って
安定した就職先があるわけでなく


結局
大学院にかけた費用に対して
それに見合った
収益を得ることができない
ことが多い。
というのが現状で
喜ぶのは大学だけですよね・・・。

特に司書なんかは
費用をかけて
「 司書講習 」 を修了したのはいいが
ほとんどの就職先は
業務委託の会社

給料“ 激安 ” です。

おまけに 入札
実績を上げるため だけで
安く落札する
“ ブラック ” な 新規参入者
も多く
最終的に
“ 労働者の給料に跳ね返る ”
ので
末端の非正規雇用の労働者は
苦しいですよ。

さらに
民間委託により
委託者の要求は結構高い ですし
制約も多く
業務委託反対派の労働組合が
強いところなんかは
自分たちのことは棚に上げて
業務委託のスタッフが
少しのミスでもしようものなら
大騒ぎしますからね。
こういった
“ 針のむしろ ” にいるような
職場もありますよ。

また
一時期の図書館司書募集の求人欄に
「 図書館司書募集!」
 応募資格:
 司書資格および学芸員資格取得者で
 司書3年以上の経験者。
 また
 英語およびそれ以外に
 中国語,韓国語,フランス語,
 ドイツ語のいずれかが読めて
 会話ができる方。
 業務内容:
 窓口でのお客様対応,
 資料の貸出,返却,予約業務。
 時給:1,000円

おいおい! と言いたかったです。
こんなのに応募する人は
よっぽどの篤志家でない限り
考えられないですよね!
と、思いそうですが
これが巷には
“ 野良博士 ” 的な人や
旦那さんが海外転勤の多い
高学歴エリートで
奥さんも同様の学歴で
扶養の範囲内で働きたいという方が
結構いて
要件をクリアする応募者がいるんです。

ただ、当然
家族の扶養義務のある方々や
キャリアも高いけど
プライドも高い方々は
こんなとこでやってられるか!
といって
長続きしない方がほとんどですね。

一方
大学や専門図書館等の求人では
要件に「外国語ができる方」と
ひと言入れると
応募者数がかなり抑えられるので
事務的負担の軽減や
質においても水準以上の応募者が来る
というメリットがあります。

今では経済もある程度は
上向いて来たので
先述のような
極端な応募要件は鳴りを潜めましたが
業務委託での図書館司書の応募要件は
割に高い反面、時給が低いことは
相変わらずです。

ということで
色々と愚痴や悪態をつきましたが
司書の現状をわかったうえで
それでも
司書になりたいという方に対して
申し上げますと。

図書館業務ローカルルール
成り立っているところがあります。
また
業務にあたり
司書資格を求められることは多いですが
運営管理側でなく窓口業務だけならば
図書館司書の専門的知識は
特に必要はないでしょう。

ということは
配架のみならば
数字が読めて
順番に並べることができれば
知的障がいのある方でも
仕事ができるので
障がい者の活躍の場として
提供することもできそうです。

ただ
図書館業務全体を考えれば
図書館司書は
専門的知識の研鑽はもちろん
高いコミュニケーション力が
必要な職業です。
いや、そうであってほしいです。


本が好きでなければ
勤まりませんし
本が好きなだけでも
勤まりません。


司書の勉強をしている方で
これから司書職に就きたい方は
その辺を考慮に入れてください。

それから
教養と基礎的な知識はしっかりと
身につけた上で
専門的な知識や技術を
積み上げていき
砂上の楼閣にならないように
してください。

他の業界も同じだと思いますが…。


以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2023年9月1日金曜日

司書講習での勉強法


僕が図書館を利用しているときに
図書館サービスのプリンシプルが
わかっていないのかな ?? と
思わせる司書の方が
たまに見受けられるので

司書講習における
勉強の仕方などを述べたいと思います。

司書講習を受講している方は
勉強の真っ最中だと思います。

通信の方は
教材が届いていると思いますが
教材のタイトル を見てください。
( 演習は除く )
『 学 』ではなく
『 論 』となっていますよね。
「 図書館サービス概論 」などです。

つまり
図書館学という
体系を覚えるだけでなく
『 論 』まで高めなければいけない。
ということは
「 図書館サービス論 」ならば
なぜこのようなサービスに
なっているのか

考える必要があります。

例えば
甲自治体の図書館での
貸出期間は3週間で
貸出冊数が最大10冊。
これに対し
乙自治体の図書館では
貸出冊数は2週間で
貸出冊数は無制限。

なぜ違うのか
そもそも貸出期間や貸出冊数は
どのように決まってくのか。

これらは適当に決められている
わけではありません。
図書館サービスにおける
考え方に基づいて
決められています。

これらを説明する際に
筋が通っていなければ
『 論 』になりませんので
レポート作成の際には
まず図書館サービスを理解して
筋立てて論じるように
心がけてください。

教科書を読む場合も
そこを意識して読むと
理解が深まるし
他の学問やビジネスにおいても
同様ですが
後々応用が利き説得力も増します。

また
公立図書館
( 通称・公共図書館 )の運営

行政サービスの一環 であり
法律の留保 に基づいています。
その根拠は
図書館法 です。
ちなみに
小,中,高等学校の図書室の
設置根拠

学校図書館法

大学図書館
大学設置基準 に基づきます。

公立図書館の場合
図書館法
・ 第1条( 目的 )
・ 第2条( 定義 )
・ 第3条( 図書館奉仕 )

基本となる規定ですので
特に理解する必要があります。

図書館資料の収集 については
資料収集方針・選定基準
基づいて収集されていることを
頭に入れて考えてください。
これは
時の権力や
職員の個人的思想や趣味趣向で
恣意的に
選書させないための制約です。

また
利用者からのリクエストに対し
却下した場合の
理由づけの根拠となります。

「 なぜ却下した。説明しろ! 」 と
猛烈に言ってくる
利用者もいますので
根拠規定を示して答えてください。

それと
選定ではなく
破棄基準のケースですが
「船橋市西図書館蔵書破棄事件」という
最高裁判例 があります。
( 平成17年7月14日
 判決 平成16年(受)第930号 )

これは
頭に入れておきましょう。

図書館サービス
法令に基づいて行われ
資料の収集
収集方針・選定基準 に従う。

その中で
図書館サービスを行う際には
なぜ
このようなサービスに
なっているのかを
考えながら論じると
体系が見えてきます。
ランガナタンの図書館学五原則
サービスのよりどころに
するのもよいでしょう。

資料組織 については
分類法 なので
資料アクセスの合理化 です。

分類 には
書架分類書誌分類 があります。

端的に言うと
書架分類 とは
主題ごとに分類された図書の
配架位置を指定するための分類。
一方
書誌分類 とは
図書の内容から検索するための分類で
目録等の書誌データベースに
収録するための主題情報の分類。

これらの定義や特徴を知り
それぞれの
長所,短所などを踏まえながら
書架分類 と
書誌分類 の 相互で補完

資料への合理的なアプローチを図る。
ということを考えてください。

分類法 に関しては
記号 としてとらえます。

例えば
行政法 = 323.9 です。
(さん・に・さん・てん・きゅう)

これ以上の意味はありません。

三百二十・・・
(さんびゃく にじゅう ・・・)と
数字に重みをつけてもいけません。

赤 = 止まれ
猫 = CAT と同じです。

この場合は記号なので
NDC において 323 は
なぜ憲法になるのかという
意味は考えてはいけません。

NDC 【 日本十進分類表 】
(Nippon Decimal Classification)
UDC 【 国際十進分類法 】 などの
(Universal Decimal Classification)
ルールに従って
機械的に記号を振るだけです。

テキストで
分類記号の振り方がわからないときは
司書教諭用 のものをおススメします。
学校図書館対象なので
分類が細かくありません

特に
放送大学のテキスト
わかりやすいです。

でも
公共図書館では
あまり見かけないのですが…。

それと
値段も高いので
内容を確認して気に入ったら
中古を購入することをオススメします。

このように
基本を理解せずに
教科書の字面だけを追っていても
頭に入りません。

仮に用語を繕って
形だけの文章で単位が取れたとしても
実務に出てから
利用者からの問い合わせや
企画をする際に
全く使い物になりません。

司書講習は
実務家養成のための講習 であり
図書館サービスについて
基本的な理解をしてもらうことが
目的です。

それを実務に生かして
あとは
「 職場で経験を積んでくださいね!」
というものです。

なので
それができていれば
正直言って
難易度が高いものでもなく
落ちるようなことはありませんよ。

何度も単位を落としている方と
仕事をしたり話すことが
間々ありますが
「これじゃ落ちるわな!」といった
印象を受ける方が多いです。

最後に
司書講習で
図書館サービスに関する教科書は
司書講習で指定され
参考図書も紹介されると思いますが

図書館サービス と
資料組織( 分類 )に関するもののうち
参考になると思われる
本ををご紹介します。


★ 図書館サービス

● 図書館サービス論
( JLA図書館情報学テキストシリーズ 2 )
小田光宏 著
日本図書館協会 2010年

● 市民の図書館 増補版
日本図書館協会 編
日本図書館協会 1976年

● 浦安図書館にできること
- 図書館アイデンティティ
( 図書館の現場 )
常世田 良 著
勁草書房 2003年

● 図書館はまちの真ん中
- 静岡市立御幸町図書館の挑戦
( 図書館の現場 6 )
竹内比呂也 他著
勁草書房 2007年


★ 分類などの資料の組織化

● 学校図書館メディアの構成
改訂新版
( 放送大学教材 )
北克一 [他] 著
放送大学教育振興会 2016年

● 資料組織論
( 放送大学教材 )
高鷲忠美 [他] 著
放送大学教育振興会 1998年

● 本を分類する
緑川信之 著
勁草書房 1996年

● 資料組織概説 三訂版
(新・図書館学シリーズ 9)
岡田靖 [他] 著
樹村房 2007年


★ 図書館資料

● 資料・メディア総論 第2版
- 図書館資料論・専門資料論
・資料特論の統合化
志保田務,山本順一 監修・著
学芸図書 2007年

● 図書館資料論
( JLA図書館情報学テキストシリーズ 2-7 )
馬場俊明 編著
日本図書館協会 2008年


以上
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