2016年11月26日土曜日

大審院の判例


法情報検索 各論 3 判例検索 9

前にご紹介した
大審院判例簡易化ソフト - 韋駄天
( 名古屋大学 )

www.kl.i.is.nagoya-u.ac.jp/idaten/

リンクがうまくされないので
こちらのアドレスをコピーして
貼り付けてください。
( IEからが無難です。)

このソフトは
「 大審院判例簡易化ソフト 」
副題にもあるとおり
元々は
大審院の判例を
読みやすくするために
開発されたソフトのようです。

今回は
その 大審院の判例 について
書いてみます。

まず 大審院 とは
明治8年 ~ 昭和22年
まで存続
現在の最高裁判所が
設置されるまで続いた
最上級の司法裁判所 です。


大学で民法の講義の最初の方で
権利濫用事例の判決で
宇奈月温泉事件
大審院判例が紹介されたことを
覚えています。
大審院 判決 昭和10年10月5日
( 民集14巻1965頁 )
 

この判例が現在でも
権利濫用のリーディング・ケース
となっています。

まあ,民法の授業の一発目に
このカタカナ書きの
読みづらい判例が出てくるので
凹んでしまった記憶がありますが…。

このように
いまだに重要な判例が
ありますので,
大審院の判例も
参照の必要性があります。


では,
大審院の判例を調べる際
どの文献にあたればよいのかです。

大審院 では
民事と刑事の判例 があります。

民事
大審院民事判決録
( 略称:民録 )

( 明治8年 ~ 大正10年 )
名称が変わって
大審院民事判例集
( 略称:民集 または 大民集 )

(大正11年 ~ 昭和21年) まで
刊行されています。

刑事
大審院刑事判決録
( 略称:刑録 )

( 明治8年 ~ 大正10年 )
民事と同じく名称が変わって
大審院刑事判例集
( 略称:刑集 または 大刑集 )

(大正11年 ~ 昭和22年) まで
刊行されています。

ただし
刑事 については
明治17年12月 ~ 18年12月 までは
刊行されていません。


また
民事,刑事 とも
明治21年 ~ 23年 までは
刊行されていません。



この他に
民録,刑録から重要な部分についての
抄録がなされた。
大審院民事判決抄録
( 略称:民抄録 )

( 明治31年 ~ 大正10年 )
大審院刑事判決抄録
( 略称:刑抄録 )

( 明治24年 ~ 大正10年 )
もあります。


大審院の判例集 について
民録,刑録,大民集,大刑集
公的刊行物 ですが
詳しくいうと
途中で,資料名が変わったり
民亊と刑事の区別がなくなったり
復刻版が出版されたりと
発効形態に変遷があります。

全てを書くと,紙面をとるので
資料の詳細については
こちらを参考にすると便利です。

● 日本-大審院・最高裁判所判例集 - 国立国会図書館リサーチ・ナビ
https://rnavi.ndl.go.jp/politics/entry/Japan-hanrei-sup.php
国立国会図書館トップ
> 政治・法律・行政
> 日本
> 判例資料
> 日本-大審院・最高裁判所判例集

● リーガル・リサーチ / いしかわまりこ 他 著
第5版 日本評論社 2016年3月



ところで
大審院判決録 として
整理されて
刊行されるようになったのは
明治28年以降
民録,刑録 ともに
明治28年( 第1輯 ) ~
大正10年( 第27輯 )

巻次が付けられ
整理されています。

続く
大民集 では
大正11年( 第1巻 ) ~
昭和21年( 第25巻 )

大刑集 では
大正11年( 第1巻 ) ~
昭和22年( 第26巻 )

というように
巻次の表示も
「 輯 」から「 巻 」

なりました。

よくある質問で
「 輯 」って何て読むんですか?
と,聞かれます。
この字は
「 シュウ 」と読み
“ 集めてまとめる ”
という意味です。

大審院の判例 では
「 輯 」
大審院判決録の場合
「 巻 」
大審院判例集の場合 に使用します。


最後に
判例の引用で
「 新聞×号×頁 」 とありますが
「 新聞 」って,何新聞ですか?
との問い合わせがあります。

これは
『 法律新聞 』 の略称 です。
法律新聞
明治33年9月 ~ 昭和19年8月 まで
法律新聞社 より刊行された
法律専門の新聞です。

この新聞には,
法律関係の記事のほか
大審院の判例集に登載されていない
重要な判例

この新聞のみに
全文が登載されている
ケースもあります
ので
知っておくべき資料です。


以上
読んでいただき,
ありがとうございました。

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