今回は
無料で配信されている講義を活用し
学習の効率アップを図ってもらえるよう
無料で受けられる講義を
いくつかご案内します。
◆ 弥生カレッジCMC
- 簿記・弥生のビジネススクール
ここまでやっていいの?
というぐらい
サービス満点の学校。
日商簿記3級,2級 など が 無料。
おまけにレジュメがあるので
テキスト代も無料という充実ぶり。
さすがは関西商人といった感じです。
◆ フリーラーニング
- Free–LearninG For Your Extention
公務員や不動産鑑定士などの
経済学 科目では
この先生に救われた方も
多いと思います。
そのぐらいわかりやすい講義で有名な
石川秀樹 先生。
ただし
テキスト代 は
書店で購入する必要があるため
有料 です。
◆ 高校倫理 - 白坂慎太郎
元・学習塾講師 の
白坂慎太郎 氏 の動画サイト
高校倫理 の他に
哲学入門,心理学,宗教入門,
経営学,経済学入門 人財育成 等
講義内容は多岐にわたります。
大学生や社会人になって
倫理や哲学の基礎的な考え方を
見直すことは重要です。
そこで
高校レベルの教科書で
ブラッシュアップすることは
非常に合理的です。
だから
山川出版社 の
「もういちど読むシリーズ」 が
注目されるということなんでしょう。
この動画は
高校倫理 等を
ブラッシュアップする際の
手助け になると思います。
◆ わくわくアカデミー IT共通分野
- 新着動画リスト
(株)わくわくスタディワールド が
運営する動画です。
情報処理試験全ての項目を
開設する動画ではありませんが
女性の声( たぶん社長! )で
わかりやすく解説しているので
挙げておきました。
最後に
会員登録が必要ですが
MIT や Yale大学,UCI など
海外トップレベル大学の講義動画を
配信している
Asuka Academy を紹介しましょう。
◆ Asuka Academy
- 世界最高の海外大学講義を
日本語で無料で学べるオンライン講座
こちらの講座は
日本語字幕つきで配信しているので
語学力に自信がなくても
取り組むことができます。
以上
これらの情報が
学習の一助となれば幸いです。
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年10月24日火曜日
2023年10月17日火曜日
大審院の判例
法情報検索 各論 3 判例 9
前にもご紹介した
大審院判例簡易化ソフト - 韋駄天
(名古屋大学)
このソフトは
『大審院判例簡易化ソフト』と
副題にもあるとおり
元々は
大審院の判例を読みやすくするために
開発されたソフトのようです。
今回は
その 大審院の判例 について
書いてみます。
まず 大審院 とは
明治8年~昭和22年まで存続し
現在の最高裁判所が
設置されるまで続いた
最上級の司法裁判所です。
民法の講義の最初の方に出てくる
権利濫用事例の判決で
宇奈月温泉事件 の
大審院判例が紹介されたことを
覚えています。
大審院 判決 昭和10年10月5日
(民集14巻1965頁)
この判例は現在でも
権利濫用のリーディング・ケース
となっています。
民法の授業の一発目に
このカタカナ書きの
読みづらい判例が出てくるので
凹んでしまった記憶がありますが…。
このように
いまだに重要な判例がありますので
大審院の判例も
参照する必要性があります。
では
大審院の判例を調べる際
どの文献にあたればよいのかです。
大審院 では
民事と刑事の判例 があります。
民事 については
大審院民事判決録(略称:民録)
(明治8年~大正10年)から
途中で名称が変わって
大審院民事判例集
(略称:民集 または 大民集)
(大正11年~昭和21年)まで
刊行されています。
刑事 については
大審院刑事判決録(略称:刑録)
(明治8年~大正10年)から
民事と同じく名称が変わって
大審院刑事判例集
(略称:刑集 または 大刑集)
(大正11年 ~ 昭和22年)まで
刊行されています。
ただし
刑事 については
明治17年12月~18年12月までは
刊行されていません。
また 民事,刑事 とも
明治21年~23年までは
刊行されていません。
この他に
民録,刑録から重要な部分についての
抄録がなされた。
大審院民事判決抄録(略称:民抄録)
(明治31年~大正10年)
大審院刑事判決抄録(略称:刑抄録)
(明治24年~大正10年)もあります。
大審院の判例集 で
民録,刑録,大民集,大刑集 は
公的刊行物 ですが
詳しくいうと
途中で資料名が変わったり
民事と刑事の区別がなくなったり
復刻版が出版されたりと
発効形態に変遷があります。
全てを書くと紙面をとるので
資料の詳細については
こちらを参考にすると便利です。
● 日本-大審院・最高裁判所判例集
- 国立国会図書館リサーチ・ナビ
● リーガル・リサーチ / いしかわまりこ[他] 著
第5版 日本評論社 2016年3月
大審院判決録 として整理されたものが
刊行されるようになったのは
明治28年以降で
民録,刑録 ともに
明治28年(第1輯)~ 大正10年(第27輯)と
巻次が付けられて整理されています。
これに続く
大民集 では
大正11年(第1巻)~ 昭和21年(第25巻)
大刑集 では
大正11年(第1巻)~ 昭和22年(第26巻)
というように
巻次の表示も「輯」から「巻」に
なりました。
よくある質問で
「輯」って何て読むんですか?
と聞かれます。
この字は「シュウ」と読み
“ 集めてまとめる ”という意味です。
大審院の判例 では
「輯」は 大審院判決録の場合 で
「巻」は 大審院判例集の場合 に
使用します。
最後に
判例の引用で
「新聞×号×頁」とありますが
「新聞」って何新聞ですか?
との問い合わせがあります。
これは
『法律新聞』の略称 です。
法律新聞 は
明治33年9月~昭和19年8月 まで
法律新聞社 より刊行された
法律専門の新聞です。
この新聞には
法律関係の記事のほか
大審院の判例集に登載されていない
重要な判例も
この新聞のみに
全文が登載されている
ケースもありますので
知っておくべき資料です。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
前にもご紹介した
大審院判例簡易化ソフト - 韋駄天
(名古屋大学)
このソフトは
『大審院判例簡易化ソフト』と
副題にもあるとおり
元々は
大審院の判例を読みやすくするために
開発されたソフトのようです。
今回は
その 大審院の判例 について
書いてみます。
まず 大審院 とは
明治8年~昭和22年まで存続し
現在の最高裁判所が
設置されるまで続いた
最上級の司法裁判所です。
民法の講義の最初の方に出てくる
権利濫用事例の判決で
宇奈月温泉事件 の
大審院判例が紹介されたことを
覚えています。
大審院 判決 昭和10年10月5日
(民集14巻1965頁)
この判例は現在でも
権利濫用のリーディング・ケース
となっています。
民法の授業の一発目に
このカタカナ書きの
読みづらい判例が出てくるので
凹んでしまった記憶がありますが…。
このように
いまだに重要な判例がありますので
大審院の判例も
参照する必要性があります。
では
大審院の判例を調べる際
どの文献にあたればよいのかです。
大審院 では
民事と刑事の判例 があります。
民事 については
大審院民事判決録(略称:民録)
(明治8年~大正10年)から
途中で名称が変わって
大審院民事判例集
(略称:民集 または 大民集)
(大正11年~昭和21年)まで
刊行されています。
刑事 については
大審院刑事判決録(略称:刑録)
(明治8年~大正10年)から
民事と同じく名称が変わって
大審院刑事判例集
(略称:刑集 または 大刑集)
(大正11年 ~ 昭和22年)まで
刊行されています。
ただし
刑事 については
明治17年12月~18年12月までは
刊行されていません。
また 民事,刑事 とも
明治21年~23年までは
刊行されていません。
この他に
民録,刑録から重要な部分についての
抄録がなされた。
大審院民事判決抄録(略称:民抄録)
(明治31年~大正10年)
大審院刑事判決抄録(略称:刑抄録)
(明治24年~大正10年)もあります。
大審院の判例集 で
民録,刑録,大民集,大刑集 は
公的刊行物 ですが
詳しくいうと
途中で資料名が変わったり
民事と刑事の区別がなくなったり
復刻版が出版されたりと
発効形態に変遷があります。
全てを書くと紙面をとるので
資料の詳細については
こちらを参考にすると便利です。
● 日本-大審院・最高裁判所判例集
- 国立国会図書館リサーチ・ナビ
● リーガル・リサーチ / いしかわまりこ[他] 著
第5版 日本評論社 2016年3月
大審院判決録 として整理されたものが
刊行されるようになったのは
明治28年以降で
民録,刑録 ともに
明治28年(第1輯)~ 大正10年(第27輯)と
巻次が付けられて整理されています。
これに続く
大民集 では
大正11年(第1巻)~ 昭和21年(第25巻)
大刑集 では
大正11年(第1巻)~ 昭和22年(第26巻)
というように
巻次の表示も「輯」から「巻」に
なりました。
よくある質問で
「輯」って何て読むんですか?
と聞かれます。
この字は「シュウ」と読み
“ 集めてまとめる ”という意味です。
大審院の判例 では
「輯」は 大審院判決録の場合 で
「巻」は 大審院判例集の場合 に
使用します。
最後に
判例の引用で
「新聞×号×頁」とありますが
「新聞」って何新聞ですか?
との問い合わせがあります。
これは
『法律新聞』の略称 です。
法律新聞 は
明治33年9月~昭和19年8月 まで
法律新聞社 より刊行された
法律専門の新聞です。
この新聞には
法律関係の記事のほか
大審院の判例集に登載されていない
重要な判例も
この新聞のみに
全文が登載されている
ケースもありますので
知っておくべき資料です。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年10月16日月曜日
カタカナ文語体と韋駄天
法情報検索 各論 3 判例 8
明治時代の法文は
カタカナ・文語体なので
読み慣れないとつらいですよね…。
もっとも六法のうち
憲法,刑事訴訟法,民法(家族法)は
戦後まもなく。
刑法,民事訴訟法は
21世紀を迎える少し前に。
それぞれ
平仮名・口語体(現代語)表記へと
改められましたが
民法(財産法)や商法は
近年までカタカナ・文語体でした。
◆ 憲法の現代語化
日本国憲法
(昭和21年11月3日公布
昭和22年5月3日施行)
◆ 民法の現代語化
民法の一部を改正する法律(家族法)
(昭和22年12月22日法律第222号)
民法の改正に伴う
関係法律の整理に関する法律(家族法)
(昭和22年12月22日法律第223号)
民法の一部を改正する法律(財産法)
(平成16年12月1日法律第147号)
◆ 刑法の現代語化
刑法の一部を改正する法律
(平成7年5月12日法律第91号)
◆ 商法・会社法・保険法の現代語化
会社法
(平成17年7月26日法律第86号)
会社法の施行に伴う
関係法律の整備等に関する法律
(平成17年7月26日法律第87号)
保険法
(平成20年6月6日法律第56号)
保険法の施行に伴う
関係法律の整備に関する法律
(平成20年6月6日法律第57号)
商法及び国際海上物品運送法の
一部を改正する法律
(平成30年5月25日法律第29号)
◆ 民事訴訟法の現代語化
民事訴訟法
(平成8年6月26日法律第109号)
民事訴訟法の施行に伴う
関係法律の整備に関する法律
(平成8年6月26日法律第110号)
◆ 刑事訴訟法の現代語化
刑事訴訟法
(昭和23年7月10日法律第131号)
研究等で
明治時代の法令や大審院の判例など
カタカナ・文語体の文献を
読むことに慣れている方々は
カタカナ・文語体のほうが
味があってよいと
言われる方もいると思いますが
そもそも法律は
その適用を受ける
国民のためにあるのであり
そのためには
できるだけ一般の国民に
わかりやすいものであるべきで
このような
片仮名・文語体の法律の存在は
問題があると
いわざるを得ないでしょう。
川崎政司
『法律の現代語化
- 求められる法文の民主化の努力』
「立法と調査」NO.189・1995年9月
『法制執務コラム-参議院法制局』より
とあるように
立法者側も
現代語化を進めているようです。
ちなみに
『法制執務コラム-参議院法制局』は
参議院法制局職員が執筆した記事
(記事内容は執筆当時のもの)を
『立法と調査』
(参議院事務局企画調整室/編)から
転載したもので
法令等に関するエピソードなどが
記載されていています。
また
原典の『立法と調査』 は
主要な政策課題や予算・税制の解説
国会に提出された法律案の紹介
国会ならではの情報や資料を駆使した
調査・研究の報告・論文を
掲載しています。
●『立法と調査』- 参議院 調査室作成資料
参議院トップ
> 調査室作成資料
> 立法と調査
カタカナ書きの文が読みづらい
という方は
韋駄天-大審院判例簡易化ソフト
(名古屋大学)というソフトに
カタカナをひらがなにする。
濁点をつける。
句点・読点をつける。
旧字体を新字体にする。
『難読字に読み仮名を付ける』の欄に
チェックを付けて実行すると
難読字に読み仮名を付けることができる。
読み仮名の付いた語に
マウス・カーソルを当てると
意味が表示される。
という機能があります。
「国立公文書館デジタルアーカイブ」や
「国立国会図書館デジタルコレクション」は
写真なので変換ができませんが
HTML等で書かれていれば
コピペして実行すれば変換ができます。
ただし
文語体が口語体の現代語に
翻訳されるわけではありませんので
ご注意ください。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
明治時代の法文は
カタカナ・文語体なので
読み慣れないとつらいですよね…。
もっとも六法のうち
憲法,刑事訴訟法,民法(家族法)は
戦後まもなく。
刑法,民事訴訟法は
21世紀を迎える少し前に。
それぞれ
平仮名・口語体(現代語)表記へと
改められましたが
民法(財産法)や商法は
近年までカタカナ・文語体でした。
◆ 憲法の現代語化
日本国憲法
(昭和21年11月3日公布
昭和22年5月3日施行)
◆ 民法の現代語化
民法の一部を改正する法律(家族法)
(昭和22年12月22日法律第222号)
民法の改正に伴う
関係法律の整理に関する法律(家族法)
(昭和22年12月22日法律第223号)
民法の一部を改正する法律(財産法)
(平成16年12月1日法律第147号)
◆ 刑法の現代語化
刑法の一部を改正する法律
(平成7年5月12日法律第91号)
◆ 商法・会社法・保険法の現代語化
会社法
(平成17年7月26日法律第86号)
会社法の施行に伴う
関係法律の整備等に関する法律
(平成17年7月26日法律第87号)
保険法
(平成20年6月6日法律第56号)
保険法の施行に伴う
関係法律の整備に関する法律
(平成20年6月6日法律第57号)
商法及び国際海上物品運送法の
一部を改正する法律
(平成30年5月25日法律第29号)
◆ 民事訴訟法の現代語化
民事訴訟法
(平成8年6月26日法律第109号)
民事訴訟法の施行に伴う
関係法律の整備に関する法律
(平成8年6月26日法律第110号)
◆ 刑事訴訟法の現代語化
刑事訴訟法
(昭和23年7月10日法律第131号)
研究等で
明治時代の法令や大審院の判例など
カタカナ・文語体の文献を
読むことに慣れている方々は
カタカナ・文語体のほうが
味があってよいと
言われる方もいると思いますが
そもそも法律は
その適用を受ける
国民のためにあるのであり
そのためには
できるだけ一般の国民に
わかりやすいものであるべきで
このような
片仮名・文語体の法律の存在は
問題があると
いわざるを得ないでしょう。
川崎政司
『法律の現代語化
- 求められる法文の民主化の努力』
「立法と調査」NO.189・1995年9月
『法制執務コラム-参議院法制局』より
とあるように
立法者側も
現代語化を進めているようです。
ちなみに
『法制執務コラム-参議院法制局』は
参議院法制局職員が執筆した記事
(記事内容は執筆当時のもの)を
『立法と調査』
(参議院事務局企画調整室/編)から
転載したもので
法令等に関するエピソードなどが
記載されていています。
また
原典の『立法と調査』 は
主要な政策課題や予算・税制の解説
国会に提出された法律案の紹介
国会ならではの情報や資料を駆使した
調査・研究の報告・論文を
掲載しています。
●『立法と調査』- 参議院 調査室作成資料
参議院トップ
> 調査室作成資料
> 立法と調査
カタカナ書きの文が読みづらい
という方は
韋駄天-大審院判例簡易化ソフト
(名古屋大学)というソフトに
カタカナをひらがなにする。
濁点をつける。
句点・読点をつける。
旧字体を新字体にする。
『難読字に読み仮名を付ける』の欄に
チェックを付けて実行すると
難読字に読み仮名を付けることができる。
読み仮名の付いた語に
マウス・カーソルを当てると
意味が表示される。
という機能があります。
「国立公文書館デジタルアーカイブ」や
「国立国会図書館デジタルコレクション」は
写真なので変換ができませんが
HTML等で書かれていれば
コピペして実行すれば変換ができます。
ただし
文語体が口語体の現代語に
翻訳されるわけではありませんので
ご注意ください。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年10月15日日曜日
判例公刊
法情報検索 各論 3 判例 3
判例を調べる際
判例集に載っていない
判例があります。
憲法第82条〈裁判の公開〉では
1項…
裁判の対審及び判決は
公開法廷でこれを行ふ。
2項…
裁判所が
裁判官の全員一致で
公の秩序又は善良の風俗を
害する虞があると決した場合には
対審は
公開しないで
これを行うことができる。
但し
政治犯罪
出版に関する犯罪
又は
この憲法第三章で保障する
国民の権利が問題となっている
事件の対審は
常にこれを公開しなければならない。
とあります。
一方
判例には
判決後に判例集等に登載される
『公刊判例』と
公刊物に公開されることのない
『未公刊判例』があります。
憲法で裁判の公開を規定しながら
判例においては一部のみが公刊され
あとの大多数は
公刊物に登載されていません。
また
判例登載の基準についても
ほとんど明らかにされていないのが
現状です。
この点について
判例を積極的に公刊するか否かには
双方の立場からの意見があります。
まず
積極的に公刊すべきという立場
( 促進説 ) からは
次のような主張があります。
★ 裁判の平等性の強調
★ 法的安定性の重視
★ 情報公開の尊重
( 公刊されている
私的判例集においては
匿名化が一般的になっています。)
一方
全ての判例公刊には消極的な立場
( 限定説 ) からは
次のように主張されます。
★ 判例公刊にはコストがかかり
効率性や合理性からみても
全判例の公刊に意味がない。
★ プライバシーの公開になるという
問題点がある。
これらの立場を踏まえて
現状の判例公刊になっているので
論文等に引用されていても
実際に入手できない判例もあります。
なお
法律的判断が
過去の判断と同様であれば
判例集には掲載されません。
ですから
話題性のある判決でも
判例集に
掲載されているとは限りません。
しかし
自分の探している判例が
見つからなかったとしても
公刊されていないのではなく
検索方法が至らない場合も
ありますので
改めて検索してみましょう。
① データベース検索
各社有料データベース
裁判所Webサイトなどでは
判例の収録件数がそれぞれ違うので
目的の判例がない場合は
すべてのデータベースを
検索してみます。
よくある検索ミスとして
事件名で検索する場合は
データベースにより
事件名が異なっていたりします。
また
事件名や
その事件に登場する固有名詞では
検索ができなかったりするので
検索に工夫が必要です。
② 法律雑誌での調査
判例時報 や 判例タイムズなどの
判例雑誌は
出版社が独自に収集している判例もあり
公的判例集に登載されていない判例も
ありますので
データベースの法律雑誌横断検索や
法律判例文献情報などの冊子体へ
つぶさに当たってみましょう。
③ 新聞記事での調査
新聞記事に判決要旨が
掲載されることがあります。
また
判例集に掲載されていない判決が
掲載されている場合もあります。
これらの検索を試みても
見つからない場合は
そもそも
元の情報が間違えている場合も
あります。
そのあたりの検証も
行ってみるとよいでしょう。
~ 参考文献 ~
判例公刊 については
・指宿信『判例公刊について 上』
法律時報 73巻10号 67-73頁
・指宿信『判例公刊について 下』
法律時報 73巻11号 91-97頁
から要旨をまとめ
・町村泰貴
『裁判所の判決や決定が公開される割合』
Matimulog(2012/5/26)
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2012/05/justice-08f6.html#more
(アクセス日:2023年10月15日)
・椿寿夫『判例の入手をめぐって』
法律時報 62巻5号 38頁
を適宜参考にしました。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
判例を調べる際
判例集に載っていない
判例があります。
憲法第82条〈裁判の公開〉では
1項…
裁判の対審及び判決は
公開法廷でこれを行ふ。
2項…
裁判所が
裁判官の全員一致で
公の秩序又は善良の風俗を
害する虞があると決した場合には
対審は
公開しないで
これを行うことができる。
但し
政治犯罪
出版に関する犯罪
又は
この憲法第三章で保障する
国民の権利が問題となっている
事件の対審は
常にこれを公開しなければならない。
とあります。
一方
判例には
判決後に判例集等に登載される
『公刊判例』と
公刊物に公開されることのない
『未公刊判例』があります。
憲法で裁判の公開を規定しながら
判例においては一部のみが公刊され
あとの大多数は
公刊物に登載されていません。
また
判例登載の基準についても
ほとんど明らかにされていないのが
現状です。
この点について
判例を積極的に公刊するか否かには
双方の立場からの意見があります。
まず
積極的に公刊すべきという立場
( 促進説 ) からは
次のような主張があります。
★ 裁判の平等性の強調
★ 法的安定性の重視
★ 情報公開の尊重
( 公刊されている
私的判例集においては
匿名化が一般的になっています。)
一方
全ての判例公刊には消極的な立場
( 限定説 ) からは
次のように主張されます。
★ 判例公刊にはコストがかかり
効率性や合理性からみても
全判例の公刊に意味がない。
★ プライバシーの公開になるという
問題点がある。
これらの立場を踏まえて
現状の判例公刊になっているので
論文等に引用されていても
実際に入手できない判例もあります。
なお
法律的判断が
過去の判断と同様であれば
判例集には掲載されません。
ですから
話題性のある判決でも
判例集に
掲載されているとは限りません。
しかし
自分の探している判例が
見つからなかったとしても
公刊されていないのではなく
検索方法が至らない場合も
ありますので
改めて検索してみましょう。
① データベース検索
各社有料データベース
裁判所Webサイトなどでは
判例の収録件数がそれぞれ違うので
目的の判例がない場合は
すべてのデータベースを
検索してみます。
よくある検索ミスとして
事件名で検索する場合は
データベースにより
事件名が異なっていたりします。
また
事件名や
その事件に登場する固有名詞では
検索ができなかったりするので
検索に工夫が必要です。
② 法律雑誌での調査
判例時報 や 判例タイムズなどの
判例雑誌は
出版社が独自に収集している判例もあり
公的判例集に登載されていない判例も
ありますので
データベースの法律雑誌横断検索や
法律判例文献情報などの冊子体へ
つぶさに当たってみましょう。
③ 新聞記事での調査
新聞記事に判決要旨が
掲載されることがあります。
また
判例集に掲載されていない判決が
掲載されている場合もあります。
これらの検索を試みても
見つからない場合は
そもそも
元の情報が間違えている場合も
あります。
そのあたりの検証も
行ってみるとよいでしょう。
~ 参考文献 ~
判例公刊 については
・指宿信『判例公刊について 上』
法律時報 73巻10号 67-73頁
・指宿信『判例公刊について 下』
法律時報 73巻11号 91-97頁
から要旨をまとめ
・町村泰貴
『裁判所の判決や決定が公開される割合』
Matimulog(2012/5/26)
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2012/05/justice-08f6.html#more
(アクセス日:2023年10月15日)
・椿寿夫『判例の入手をめぐって』
法律時報 62巻5号 38頁
を適宜参考にしました。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年10月14日土曜日
判例が収録されるまでの期間
法情報検索 各論 3 判例 1
かつての紙媒体の情報から
IT技術の発達により,
インターネットを介しての
Webの登場で
情報流通が高速化しました。
判例や法令等の法情報も同様で
より速く
情報を知ることができます。
今回は
判決が言い渡されてから
各媒体に
判例として収録されるまでの期間を
比較しました。
判例が収録されるまでの期間は
データベースや冊子体資料により
異なります。
図にすると,こんな感じです。
◆ 裁判所ウェブサイト - 裁判例検索
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1
最高裁判所判例集 及び
下級裁判所判例集 については
過去3か月以内
知的財産裁判例集 については
過去1か月以内 の
各判決等の一覧を表示。
早いものでは
判決の翌日に掲載され
速報性に富む一方
審級・裁判所によって
掲載時期にばらつき
があります。
掲載までの期間は
翌日~約2週間から1ヵ月後。
◆ 裁判所時報
※『裁判所時報』は
1780号(2021年12月15日)をもって
終刊となりました。
最高裁判所事務総局が
月2回(1日,15日)発行 する
裁判所組織内の広報新聞。
裁判例,最高裁判所判例要旨,
最高裁判所裁判例要旨(民事のみ)の
速報が掲載されています。
また
裁判所に関係ある法律や
最高裁判所規則・規程の改廃,
裁判官の人事異動情報,
司法修習生の修習開始・終了,
裁判所関係のニュース等を収録。
1月1日号には
長官所長会同における
長官挨拶が掲載されます。
判決言渡日から
約2週間から1ヶ月後に
判決全文を速報。
インターネットでの判決速報が
なかった当時は
相当早く判例を見ることが出来る
情報媒体として活用されていました。
民集・刑集の要旨を見たり
速報として利用するのに役立ちます。
◆ 判例雑誌
『判例タイムズ』月1回
『判例時報』月3回
分野別判例雑誌などがあります。
掲載は判決言渡日から
早くて約1ヵ月~6ヵ月
「判タ」,「判時」については
約1ヵ月 ~ 3ヶ月後。
◆ 有料判例データベース(Web版)
◇ LEX/DBインターネット - ご利用案内
https://lex.lawlibrary.jp/guide.html
新判例公表にあわせ
毎週金曜日に判例を追録更新。
毎週アップデートされる
新着判例を一覧で確認できます。
◇ D1-law.com 判例体系
https://dtp-cm.d1-law.com/
更新頻度は日次更新。
加除式書籍で提供されている
『判例体系』のインターネット版。
◇ Westlaw Japan
http://www.westlawjapan.com/products/westlaw-japan/contents/
更新頻度は日次更新。
◇ LexisNexis ASONE - 収録コンテンツ
https://resource.lexis-asone.jp/asone/info/docs/contentslist.pdf
更新頻度は
毎日更新の裁判判例は随時更新。
月次更新の裁判判例は
月次で集計して更新。
◇ LLI判例秘書アカデミック版
https://www.hanreihisho.net/
更新頻度は月2回以上。
◆ 公式判例集
掲載までの期間は
およそ半年~1年以上で
収録までに時間がかかります。
公式判例集では
厳選された判例情報が
省略されず掲載されます。
また
重要性の高い資料ですので
著作や報告書等で引用する際には
先して引用することが
望ましいとされています。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
かつての紙媒体の情報から
IT技術の発達により,
インターネットを介しての
Webの登場で
情報流通が高速化しました。
判例や法令等の法情報も同様で
より速く
情報を知ることができます。
今回は
判決が言い渡されてから
各媒体に
判例として収録されるまでの期間を
比較しました。
判例が収録されるまでの期間は
データベースや冊子体資料により
異なります。
図にすると,こんな感じです。
◆ 裁判所ウェブサイト - 裁判例検索
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1
最高裁判所判例集 及び
下級裁判所判例集 については
過去3か月以内
知的財産裁判例集 については
過去1か月以内 の
各判決等の一覧を表示。
早いものでは
判決の翌日に掲載され
速報性に富む一方
審級・裁判所によって
掲載時期にばらつき
があります。
掲載までの期間は
翌日~約2週間から1ヵ月後。
◆ 裁判所時報
※『裁判所時報』は
1780号(2021年12月15日)をもって
終刊となりました。
最高裁判所事務総局が
月2回(1日,15日)発行 する
裁判所組織内の広報新聞。
裁判例,最高裁判所判例要旨,
最高裁判所裁判例要旨(民事のみ)の
速報が掲載されています。
また
裁判所に関係ある法律や
最高裁判所規則・規程の改廃,
裁判官の人事異動情報,
司法修習生の修習開始・終了,
裁判所関係のニュース等を収録。
1月1日号には
長官所長会同における
長官挨拶が掲載されます。
判決言渡日から
約2週間から1ヶ月後に
判決全文を速報。
インターネットでの判決速報が
なかった当時は
相当早く判例を見ることが出来る
情報媒体として活用されていました。
民集・刑集の要旨を見たり
速報として利用するのに役立ちます。
◆ 判例雑誌
『判例タイムズ』月1回
『判例時報』月3回
分野別判例雑誌などがあります。
掲載は判決言渡日から
早くて約1ヵ月~6ヵ月
「判タ」,「判時」については
約1ヵ月 ~ 3ヶ月後。
◆ 有料判例データベース(Web版)
◇ LEX/DBインターネット - ご利用案内
https://lex.lawlibrary.jp/guide.html
新判例公表にあわせ
毎週金曜日に判例を追録更新。
毎週アップデートされる
新着判例を一覧で確認できます。
◇ D1-law.com 判例体系
https://dtp-cm.d1-law.com/
更新頻度は日次更新。
加除式書籍で提供されている
『判例体系』のインターネット版。
◇ Westlaw Japan
http://www.westlawjapan.com/products/westlaw-japan/contents/
更新頻度は日次更新。
◇ LexisNexis ASONE - 収録コンテンツ
https://resource.lexis-asone.jp/asone/info/docs/contentslist.pdf
更新頻度は
毎日更新の裁判判例は随時更新。
月次更新の裁判判例は
月次で集計して更新。
◇ LLI判例秘書アカデミック版
https://www.hanreihisho.net/
更新頻度は月2回以上。
◆ 公式判例集
掲載までの期間は
およそ半年~1年以上で
収録までに時間がかかります。
公式判例集では
厳選された判例情報が
省略されず掲載されます。
また
重要性の高い資料ですので
著作や報告書等で引用する際には
先して引用することが
望ましいとされています。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年10月13日金曜日
判例と裁判例
法情報検索 各論 3 判例 2
司書対象のリーガル・リサーチ研修や
公務員(事務職)希望の
文学部出身などの法律学初心者から
法令について説明をしている際に
よくある質問の中に
判例は法律なんですか?
法令のように
国民を拘束するものなんですか?
という質問がよくあります。
ちなみに法科大学院生から
このような質問を
受けたことはありません。
当然ですよね。
もちろん
判例 は 法律ではありません。
また 法令ではありません ので
国民を
直接拘束するものではありません。
ここでは
判例 とはどういう意味で使われるのか
そして
判例 と 裁判例 はどう違うのかを
説明します。
まず
憲法第76条3項を見ると
「すべて裁判官は
その良心に従ひ
独立してその職権を行ひ
この憲法及び法律にのみ
拘束される」
このように
憲法上
裁判官は憲法と法律には
拘束されますが
判例には拘束されないのです。
しかし
同じ様な事案の争いであったとき
裁判官の自由な心証によって
判断が異なれば
当事者とすれば
予測不能であり不安定です。
自分の経験上でも
簡易裁判所では
地裁以上の裁判所よりも
かなり自由な裁判が
なされているように感じます。
だから
慎重・公正な判断をするために
三審制の制度があり
法的安定性を保つために
裁判所法などで判断を拘束し
判断基準の統一がなされています。
まず
判例変更を行う場合は
最高裁判所の大法廷で審理されます。
(裁判所法10条3号)
また
最高裁判所の判例と相反する
判断がなされた場合には
民事訴訟では上告受理の申立理由
刑事訴訟では上告の申立理由
になります。
(民事訴訟法318条1項)
(刑事訴訟法405条2号)
さらに
裁判所法4条の規定において
「上級審の裁判所の裁判における判断は
その事件について
下級審の裁判所を拘束する」
とされています。
つぎに
判例 という言葉には
三つの意味があります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
①…
個々の判決
(例)昭和49年9月26日 の判例
②…
ある特定の裁判の理由の中で
示された判断
(判決のなかで示された法理論・準則)
③…
ある問題についての
多くの判決から導き出される
裁判所の法律的な考え方
(複数の判例をすべて説明できる
共通の法理論)
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「判例の意義と民事判例の読み方」
良永和隆
『専修ロージャーナル』 8巻
2013.1.25,1-29頁
「判例の意義と民事判例の読み方」
- 専修大学学術機関リポジトリ
から引用しました。
( アクセス日:2023年10月13日 )
① の個々の判決の中でも
共通の法理論として
同種の事件を裁判する際の
先例となる「判例」として
価値があると判断し
最高裁判所判例委員会が
選択したものが
「最高裁判所判例集」 に
登載されます。
そしてこの
最高裁判所判例集(民集・刑集)に
登載された判例に 調査官解説 が付くと
「法曹時報」 に
「最高裁判所判例解説」 として
登載されます。
したがって
判例を引用する場合
最高裁判所判例委員会の
お墨付きもあることから
「最高裁判所判例集」登載のものを
引用することがよいとされます。
この 最高裁判所判例集 は
毎月1回発行されます。
この時点での装丁は白の表紙で
民事と刑事が分裂していなく
民事のページの後に
刑事のページがきます。
多数の図書館では
その後に
民事 と 刑事 が 別々に製本 され
最高裁判所民事判例集(民集)と
最高裁判所刑事判例集(刑集)とに
分冊します。
つまり
白表紙のうちは
最高裁判所判例集(最高裁判例集)で
製本されると
最高裁判所民事判例集(民集)
最高裁判所刑事判例集(刑集)
に名前が変わります。
後に説明する
「高等裁判所判例集」
↓
高等裁判所民事判例集(高民集)
高等裁判所刑事判例集(高刑集)も
同様の構造になっています。
ページについては
その巻の通しのページと
その号の個別のページの両方が
付されています。
この他に
最高裁判所裁判集民事(裁判集民)
最高裁判所裁判集刑事(裁判集刑)が
「最高裁判所判例集」以外に
最高裁の裁判例を搭載した
資料としてあります。
これらは
「最高裁判所判例集」に
登載するまでではないが
参考になる判例 を
上告理由・上告趣意を含めて
登載しています。
また
名前の通り
最高裁判所判例委員会が選択した
「判例」との区別のために
こちらの資料名は
「裁判集」となっています。
ところで
「高等裁判所判例集」については
なぜ最高裁判例でないのに
「裁判例集」でなく
「判例集」と呼ばれるのかです。
最高裁の判例がないものは
高裁の判断も
判例として扱われるからです。
(民事訴訟法318条1項)
(刑事訴訟法405条3号)
手続きも
各高等裁判所の判例委員会が
高等裁判所の判例として
選択したものを
「高等裁判所判例集」に
登載するので
「判例集」とされています。
その他の裁判例ついては
裁判所判例委員会の
協議を経て選択された
「判例集」と区別するため
実務に与える影響が少ない先例を
「裁判例集」
としているようです。
検索の際には
その辺を押さえておいてください。
◆ 参考文献
・「判例の意義と民事判例の読み方」
良永和隆
『専修ロージャーナル』 8巻
2013.1.25,1-29頁
・ 判例とその読み方 中野次雄 編著 / 有斐閣 2009.4
・ 判例学習のAtoZ 池田眞朗 編著 / 有斐閣 2010.10
・ 法律文献学入門 - 法令・判例・文献の調べ方
西野喜一 著 / 成文堂 2002.7
・ リーガル・リサーチ 第5版
いしかわまりこ 他著 / 日本評論社 2016.3
判例学習において
法学部以外の方で
上記の文献では難しいと思う方は
・ 日本一やさしい条文・判例の教科書
品川皓亮 著 / 日本実業出版社 2015.1
こちらは
易しくてわかりやすいと思います。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
司書対象のリーガル・リサーチ研修や
公務員(事務職)希望の
文学部出身などの法律学初心者から
法令について説明をしている際に
よくある質問の中に
判例は法律なんですか?
法令のように
国民を拘束するものなんですか?
という質問がよくあります。
ちなみに法科大学院生から
このような質問を
受けたことはありません。
当然ですよね。
もちろん
判例 は 法律ではありません。
また 法令ではありません ので
国民を
直接拘束するものではありません。
ここでは
判例 とはどういう意味で使われるのか
そして
判例 と 裁判例 はどう違うのかを
説明します。
まず
憲法第76条3項を見ると
「すべて裁判官は
その良心に従ひ
独立してその職権を行ひ
この憲法及び法律にのみ
拘束される」
このように
憲法上
裁判官は憲法と法律には
拘束されますが
判例には拘束されないのです。
しかし
同じ様な事案の争いであったとき
裁判官の自由な心証によって
判断が異なれば
当事者とすれば
予測不能であり不安定です。
自分の経験上でも
簡易裁判所では
地裁以上の裁判所よりも
かなり自由な裁判が
なされているように感じます。
だから
慎重・公正な判断をするために
三審制の制度があり
法的安定性を保つために
裁判所法などで判断を拘束し
判断基準の統一がなされています。
まず
判例変更を行う場合は
最高裁判所の大法廷で審理されます。
(裁判所法10条3号)
また
最高裁判所の判例と相反する
判断がなされた場合には
民事訴訟では上告受理の申立理由
刑事訴訟では上告の申立理由
になります。
(民事訴訟法318条1項)
(刑事訴訟法405条2号)
さらに
裁判所法4条の規定において
「上級審の裁判所の裁判における判断は
その事件について
下級審の裁判所を拘束する」
とされています。
つぎに
判例 という言葉には
三つの意味があります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
①…
個々の判決
(例)昭和49年9月26日 の判例
②…
ある特定の裁判の理由の中で
示された判断
(判決のなかで示された法理論・準則)
③…
ある問題についての
多くの判決から導き出される
裁判所の法律的な考え方
(複数の判例をすべて説明できる
共通の法理論)
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「判例の意義と民事判例の読み方」
良永和隆
『専修ロージャーナル』 8巻
2013.1.25,1-29頁
「判例の意義と民事判例の読み方」
- 専修大学学術機関リポジトリ
から引用しました。
( アクセス日:2023年10月13日 )
① の個々の判決の中でも
共通の法理論として
同種の事件を裁判する際の
先例となる「判例」として
価値があると判断し
最高裁判所判例委員会が
選択したものが
「最高裁判所判例集」 に
登載されます。
そしてこの
最高裁判所判例集(民集・刑集)に
登載された判例に 調査官解説 が付くと
「法曹時報」 に
「最高裁判所判例解説」 として
登載されます。
したがって
判例を引用する場合
最高裁判所判例委員会の
お墨付きもあることから
「最高裁判所判例集」登載のものを
引用することがよいとされます。
この 最高裁判所判例集 は
毎月1回発行されます。
この時点での装丁は白の表紙で
民事と刑事が分裂していなく
民事のページの後に
刑事のページがきます。
多数の図書館では
その後に
民事 と 刑事 が 別々に製本 され
最高裁判所民事判例集(民集)と
最高裁判所刑事判例集(刑集)とに
分冊します。
つまり
白表紙のうちは
最高裁判所判例集(最高裁判例集)で
製本されると
最高裁判所民事判例集(民集)
最高裁判所刑事判例集(刑集)
に名前が変わります。
後に説明する
「高等裁判所判例集」
↓
高等裁判所民事判例集(高民集)
高等裁判所刑事判例集(高刑集)も
同様の構造になっています。
ページについては
その巻の通しのページと
その号の個別のページの両方が
付されています。
この他に
最高裁判所裁判集民事(裁判集民)
最高裁判所裁判集刑事(裁判集刑)が
「最高裁判所判例集」以外に
最高裁の裁判例を搭載した
資料としてあります。
これらは
「最高裁判所判例集」に
登載するまでではないが
参考になる判例 を
上告理由・上告趣意を含めて
登載しています。
また
名前の通り
最高裁判所判例委員会が選択した
「判例」との区別のために
こちらの資料名は
「裁判集」となっています。
ところで
「高等裁判所判例集」については
なぜ最高裁判例でないのに
「裁判例集」でなく
「判例集」と呼ばれるのかです。
最高裁の判例がないものは
高裁の判断も
判例として扱われるからです。
(民事訴訟法318条1項)
(刑事訴訟法405条3号)
手続きも
各高等裁判所の判例委員会が
高等裁判所の判例として
選択したものを
「高等裁判所判例集」に
登載するので
「判例集」とされています。
その他の裁判例ついては
裁判所判例委員会の
協議を経て選択された
「判例集」と区別するため
実務に与える影響が少ない先例を
「裁判例集」
としているようです。
検索の際には
その辺を押さえておいてください。
◆ 参考文献
・「判例の意義と民事判例の読み方」
良永和隆
『専修ロージャーナル』 8巻
2013.1.25,1-29頁
・ 判例とその読み方 中野次雄 編著 / 有斐閣 2009.4
・ 判例学習のAtoZ 池田眞朗 編著 / 有斐閣 2010.10
・ 法律文献学入門 - 法令・判例・文献の調べ方
西野喜一 著 / 成文堂 2002.7
・ リーガル・リサーチ 第5版
いしかわまりこ 他著 / 日本評論社 2016.3
判例学習において
法学部以外の方で
上記の文献では難しいと思う方は
・ 日本一やさしい条文・判例の教科書
品川皓亮 著 / 日本実業出版社 2015.1
こちらは
易しくてわかりやすいと思います。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年10月8日日曜日
最高裁判所調査官解説
法情報検索 各論 4 文献 1
調査官解説 >= 最高裁判所判例解説
法科大学院の
未修1年生からの問い合わせが
特に多いのですが
調査官解説って何ですか?
検索機で調べても出てきません。
どこにありますか?
と聞かれることがあります。
調査官解説 とは
最高裁判所調査官による判例解説です。
一般的には
「最高裁判所判例解説」のことを指し
「最高裁判所判例解説」は
「民事篇」と「刑事篇」に分かれ
さらに
「索引」のみの巻が別にあります。
この他にも
最高裁判所調査官による
判例解説があります。
調査官解説について
渡辺達徳『民法 渡辺道場』19頁
〔日本評論社 2005〕に
わかりやすい解説がありますので
その要旨を引用します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
調査官解説とは
当該事件を担当した調査官が
事案の概要,訴訟の経過,
最高裁判所の判旨を整理した上
これに関する
過去の裁判例や学説の状況,
同判決に関する判例評釈等を
紹介するものです。
調査官解説 は
「法曹時報」に掲載された後
年ごと編成されて
「最高裁判所判例解説」 になります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
流れとしては次のようになります。
判決 → 法曹時報に掲載
→ 最高裁判所判例解説に編成
~~~~~~~~~~~~~~~~~
法曹時報の調査官解説が
公にされるまでには
少し日数がかかることが多いです。
他方
「判例時報」「判例タイムズ」
「金融・商事判例」「金融法務事情」
などの雑誌には
最高裁判所の判決・決定が
紹介されるにあたって
カコミで匿名の解説が付されています。
これは
「匿名コメント」と呼ばれ
執筆者の記名はありませんが
調査官の手によるものと考えられています。
ただし
各判例掲載雑誌の編集部の責任で
付されたコメントもあります。
なぜなら
こうした雑誌の刊行と前後して
「ジュリスト」の
「時の判例」というコーナーに
ほとんど同文の解説が
掲載されているのが常で
こちらには
執筆担当調査官の氏名が
明記されているからです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
なお
平成元年~26年までの
「時の判例」は 全8巻 にまとめられて
有斐閣から
「ジュリスト増刊 最高裁 時の判例
(Ⅰ~Ⅷ)」として刊行されています。
また
前掲の各雑誌以外にも
「法律時報」の「最高裁新判例紹介」にも
コメント(説明)が掲載されています。
調査官解説のデータベースについての
よくある質問。
Q.
「最高裁判所判例解説」
「法曹時報(判例解説部分)」の全文は
データベースで見ることができますか?
A.
「最高裁判所判例解説」
「法曹時報(判例解説部分)」は
データベース化されています。
LLI/DB,WESTLAW JAPAN
D1-Law.com判例体系,TKC に
収録されています。
ただし
これらのデータベースは
オプション契約ですので
法科大学院ごとで契約が異なります。
補足説明として
冊子体の「法曹時報」で
目的の判例解説を探す場合。
法曹時報 の 最高裁判所判例解説 は
掲載が 判決年月日順になっていません。
索引 も 毎年 6月号 と 12月号 にのみ
掲載されるので検索が面倒です。
~ 参考文献・Webサイト ~
・ 渡辺達徳『民法 渡辺道場』19頁
〔日本評論社 2005〕
から要旨を引用。
その他に
・ 池田真朗 編『判例学習のAtoZ』
〔有斐閣 2010〕
・ いしかわまりこ 他 『リーガルリサーチ』
〔日本評論社 第4版 2012〕
・ 塩崎勤
「PERSON・法律家 - 異色裁判官のOJT (1)」
ロースクール研究 №7 174頁
〔民事法研究会 2007〕
・LLI統合型法律情報システム・収録範囲
https://www.lli-hanrei.com/indexjp.html
〈パスワード入力必須〉
・WESTLAW JAPAN 収録コンテンツ - 最高裁判所判例解説/法曹時報
http://www.westlawjapan.com/products/westlaw-japan/contents/hanrei-housou/
・D1-Law.com判例体系 オプションコンテンツ -「最高裁判所判例解説」「法曹時報」
http://www.daiichihoki.co.jp/hoso/saikosaihanreikaisetsu/index.html
・TKCローライブラリー
https://www.tkc.jp/law/lawlibrary/contents/law/#db44
(ウェブサイトの閲覧日:2023年10月8日)
を適宜参考にしました。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
調査官解説 >= 最高裁判所判例解説
法科大学院の
未修1年生からの問い合わせが
特に多いのですが
調査官解説って何ですか?
検索機で調べても出てきません。
どこにありますか?
と聞かれることがあります。
調査官解説 とは
最高裁判所調査官による判例解説です。
一般的には
「最高裁判所判例解説」のことを指し
「最高裁判所判例解説」は
「民事篇」と「刑事篇」に分かれ
さらに
「索引」のみの巻が別にあります。
この他にも
最高裁判所調査官による
判例解説があります。
調査官解説について
渡辺達徳『民法 渡辺道場』19頁
〔日本評論社 2005〕に
わかりやすい解説がありますので
その要旨を引用します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
調査官解説とは
当該事件を担当した調査官が
事案の概要,訴訟の経過,
最高裁判所の判旨を整理した上
これに関する
過去の裁判例や学説の状況,
同判決に関する判例評釈等を
紹介するものです。
調査官解説 は
「法曹時報」に掲載された後
年ごと編成されて
「最高裁判所判例解説」 になります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
流れとしては次のようになります。
判決 → 法曹時報に掲載
→ 最高裁判所判例解説に編成
~~~~~~~~~~~~~~~~~
法曹時報の調査官解説が
公にされるまでには
少し日数がかかることが多いです。
他方
「判例時報」「判例タイムズ」
「金融・商事判例」「金融法務事情」
などの雑誌には
最高裁判所の判決・決定が
紹介されるにあたって
カコミで匿名の解説が付されています。
これは
「匿名コメント」と呼ばれ
執筆者の記名はありませんが
調査官の手によるものと考えられています。
ただし
各判例掲載雑誌の編集部の責任で
付されたコメントもあります。
なぜなら
こうした雑誌の刊行と前後して
「ジュリスト」の
「時の判例」というコーナーに
ほとんど同文の解説が
掲載されているのが常で
こちらには
執筆担当調査官の氏名が
明記されているからです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
なお
平成元年~26年までの
「時の判例」は 全8巻 にまとめられて
有斐閣から
「ジュリスト増刊 最高裁 時の判例
(Ⅰ~Ⅷ)」として刊行されています。
また
前掲の各雑誌以外にも
「法律時報」の「最高裁新判例紹介」にも
コメント(説明)が掲載されています。
調査官解説のデータベースについての
よくある質問。
Q.
「最高裁判所判例解説」
「法曹時報(判例解説部分)」の全文は
データベースで見ることができますか?
A.
「最高裁判所判例解説」
「法曹時報(判例解説部分)」は
データベース化されています。
LLI/DB,WESTLAW JAPAN
D1-Law.com判例体系,TKC に
収録されています。
ただし
これらのデータベースは
オプション契約ですので
法科大学院ごとで契約が異なります。
補足説明として
冊子体の「法曹時報」で
目的の判例解説を探す場合。
法曹時報 の 最高裁判所判例解説 は
掲載が 判決年月日順になっていません。
索引 も 毎年 6月号 と 12月号 にのみ
掲載されるので検索が面倒です。
~ 参考文献・Webサイト ~
・ 渡辺達徳『民法 渡辺道場』19頁
〔日本評論社 2005〕
から要旨を引用。
その他に
・ 池田真朗 編『判例学習のAtoZ』
〔有斐閣 2010〕
・ いしかわまりこ 他 『リーガルリサーチ』
〔日本評論社 第4版 2012〕
・ 塩崎勤
「PERSON・法律家 - 異色裁判官のOJT (1)」
ロースクール研究 №7 174頁
〔民事法研究会 2007〕
・LLI統合型法律情報システム・収録範囲
https://www.lli-hanrei.com/indexjp.html
〈パスワード入力必須〉
・WESTLAW JAPAN 収録コンテンツ - 最高裁判所判例解説/法曹時報
http://www.westlawjapan.com/products/westlaw-japan/contents/hanrei-housou/
・D1-Law.com判例体系 オプションコンテンツ -「最高裁判所判例解説」「法曹時報」
http://www.daiichihoki.co.jp/hoso/saikosaihanreikaisetsu/index.html
・TKCローライブラリー
https://www.tkc.jp/law/lawlibrary/contents/law/#db44
(ウェブサイトの閲覧日:2023年10月8日)
を適宜参考にしました。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年9月30日土曜日
特別区政の情報収集(トピックなど)
区政会館だよりの活用法
特別区各区では
それぞれに
個別の政策課題 があります。
一方で
災害・治安 および 国民保護
少子高齢化,健康・福祉,産業・経済
環境・清掃,まちづくり,教育
といったテーマは
行政が取り組むテーマとして
特別区23区に 共通する課題 です。
東京区政会館 は
23区の共通課題 に対して
共同して解決を図る ための場であり
また
連絡調整の事務 や 共同処理事務 を
担当しています。
公益財団法人 特別区協議会 が発行する
区政会館だより は
その 区政会館に入る団体。
・公益財団法人 特別区協議会
・特別区長会事務局
・特別区議会議長会事務局
・特別区人事・厚生事務組合
・東京二十三区清掃一部事務組合
・特別区競馬組合 の
事業についての情報 を
提供している 月刊誌 です。
さらに
特集 として
特別区の各区が取り組んでいる
最新のトピック も盛り込んでいます。
この各区の取組や
特定のテーマに関する記事のうち
過去に掲載された特集 は
区政会館だより 別冊 として
一冊にまとめて発行しています。
言わば
雑誌で連載されていた漫画が
再編集されて
単行本になるのと同じです。
区政会館だより については
特別区自治情報・交流センター にて
無料配布されています。
また
区政会館だより 及び
区政会館だより 別冊 の一部分は
特別区協議会のWebサイト から
PDFで閲覧可能です。
遠方の方や
情報センターまで来ても
品切れの場合もあるので
こちらを利用するほうが
無難かもしれません。
最近はこの業界誌的な
区政会館だより を
参考にしている
特別区公務員受験生が多いと
聞きますが
目的は 巻頭特集記事 でしょう。
この 特集記事 は
2008(平成20)年4月 の
217号 から始まり
各区が取り組んでいる
最新のトピック や
各区の名所,旧跡など
まちの押しスポットなどの紹介 が
主なテーマとなっていて
各テーマに則して
23区それぞれの特色 が
書かれています。
各テーマの特集が一回りすると
( 一回りというのは
23区と一部事務組合の
清掃一部事務組合や
競馬事務組合などを入れた
合計 約24回 )
それらがまとめられて
別冊 になります。
つまり
区政会館だよりの特集 は
特別区各区がアピールしたいことを
載せているということです。
東京区政会館 に入っている
特別区長会事務局を
例にすれば
特別区長会というのは
特別区の行政のトップが
集まるところですから
そこでまとめられて行われる取組は
特別区としてプッシュ している
取組といえます。
例えば
特別区全国連携プロジェクト
さらに
特別区 及び地方行政に関わる
諸課題 について 調査研究を行い
検討することで
特別区の発信力を高めることを
目的として設置された
特別区長会調査研究機構 がそうです。
◇ 特別区長会 - トップページ
◇ 特別区全国連携プロジェクト - 特別区長会
◇ 特別区長会調査研究機構 - 特別区長会
それから今は
シティプロモーション に
熱心に取り組んでいる自治体も多くあり
ご当地の おすすめスポット や 施策 を
宣伝することも
行政パーソンとして重要な仕事ですので
その区を希望している受験生ならば
面接試験でそれらについて尋ねられれば
知っていて当然と言えるでしょう。
また
特別区長会の案件や動向
その区長会の肝煎りで発足された
特別区長会調査研究機構の
研究成果も
チェックしておくと良いでしょう。
特別区長会調査研究機構の
研究テーマは
論文試験の題材に
なっていることがあります。
この他にも
特別区職員採用試験の
特別区各区では
それぞれに
個別の政策課題 があります。
一方で
災害・治安 および 国民保護
少子高齢化,健康・福祉,産業・経済
環境・清掃,まちづくり,教育
といったテーマは
行政が取り組むテーマとして
特別区23区に 共通する課題 です。
東京区政会館 は
23区の共通課題 に対して
共同して解決を図る ための場であり
また
連絡調整の事務 や 共同処理事務 を
担当しています。
公益財団法人 特別区協議会 が発行する
区政会館だより は
その 区政会館に入る団体。
・公益財団法人 特別区協議会
・特別区長会事務局
・特別区議会議長会事務局
・特別区人事・厚生事務組合
・東京二十三区清掃一部事務組合
・特別区競馬組合 の
事業についての情報 を
提供している 月刊誌 です。
さらに
特集 として
特別区の各区が取り組んでいる
最新のトピック も盛り込んでいます。
この各区の取組や
特定のテーマに関する記事のうち
過去に掲載された特集 は
区政会館だより 別冊 として
一冊にまとめて発行しています。
言わば
雑誌で連載されていた漫画が
再編集されて
単行本になるのと同じです。
区政会館だより については
特別区自治情報・交流センター にて
無料配布されています。
また
区政会館だより 及び
区政会館だより 別冊 の一部分は
特別区協議会のWebサイト から
PDFで閲覧可能です。
遠方の方や
情報センターまで来ても
品切れの場合もあるので
こちらを利用するほうが
無難かもしれません。
最近はこの業界誌的な
区政会館だより を
参考にしている
特別区公務員受験生が多いと
聞きますが
目的は 巻頭特集記事 でしょう。
この 特集記事 は
2008(平成20)年4月 の
217号 から始まり
各区が取り組んでいる
最新のトピック や
各区の名所,旧跡など
まちの押しスポットなどの紹介 が
主なテーマとなっていて
各テーマに則して
23区それぞれの特色 が
書かれています。
各テーマの特集が一回りすると
( 一回りというのは
23区と一部事務組合の
清掃一部事務組合や
競馬事務組合などを入れた
合計 約24回 )
それらがまとめられて
別冊 になります。
つまり
区政会館だよりの特集 は
特別区各区がアピールしたいことを
載せているということです。
東京区政会館 に入っている
特別区長会事務局を
例にすれば
特別区長会というのは
特別区の行政のトップが
集まるところですから
そこでまとめられて行われる取組は
特別区としてプッシュ している
取組といえます。
例えば
特別区全国連携プロジェクト
さらに
特別区 及び地方行政に関わる
諸課題 について 調査研究を行い
検討することで
特別区の発信力を高めることを
目的として設置された
特別区長会調査研究機構 がそうです。
◇ 特別区長会 - トップページ
◇ 特別区全国連携プロジェクト - 特別区長会
◇ 特別区長会調査研究機構 - 特別区長会
それから今は
シティプロモーション に
熱心に取り組んでいる自治体も多くあり
ご当地の おすすめスポット や 施策 を
宣伝することも
行政パーソンとして重要な仕事ですので
その区を希望している受験生ならば
面接試験でそれらについて尋ねられれば
知っていて当然と言えるでしょう。
また
特別区長会の案件や動向
その区長会の肝煎りで発足された
特別区長会調査研究機構の
研究成果も
チェックしておくと良いでしょう。
特別区長会調査研究機構の
研究テーマは
論文試験の題材に
なっていることがあります。
この他にも
特別区職員採用試験の
人事委員会面接 では
路上生活者対策,児童相談所関係 や
環境対策,ゴミ問題,ふるさと納税
についても
意見を聞かれることがあるので
その辺りにも目を通しておくと
良いかもしれません。
そういった 情報 を
手っ取り早く知るには
区政会館だより と
区政会館だより 別冊 は
有用なツール です。
では
区政会館だより
および
区政会館だより 別冊 を
PDFで閲覧する場合 の
知っておくべき事項について
説明します。
区政会館だより は
2000(平成12)年4月 121号 から
PDF閲覧できます。
ただし
訴訟事件事例紹介 は
PDF閲覧できません。
また
区政会館だより 別冊 ついては
『「23区今昔物語」~歴史を辿る 』
『 23区ひと・まち物語~つながりを訪ねて 』
『 訴訟事件事例紹介 』以外 のものが
PDF閲覧できます。
訴訟事件事例紹介 以外 の
別冊の内容 は
区政会館だより の
バックナンバー にも
同じものが掲載されています。
訴訟事件事例紹介 については
自治体において
汎用性の高い事件を厳選し
加筆修正されたものが
自治体訴訟事件事例ハンドブック
〔改訂版〕として
一般書籍化され
第一法規から出版されていますので
もしこれが
遍くインターネットにより
無料で見ることができるならば
第一法規は
“ 商売あがったり ”になるので
見たければ是非買って下さいね!
ということなんでしょう。
最後に
特別区協議会 Webサイト の
『 区政会館だより 』のページを
リンク しておきましょう。
◇ 区政会館だより - 特別区協議会
※ PDFでは平成12年4月から閲覧可能。
◇ 区政会館だより 別冊 - 特別区協議会
※ PDFでは平成26年から閲覧可能。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
環境対策,ゴミ問題,ふるさと納税
についても
意見を聞かれることがあるので
その辺りにも目を通しておくと
良いかもしれません。
そういった 情報 を
手っ取り早く知るには
区政会館だより と
区政会館だより 別冊 は
有用なツール です。
では
区政会館だより
および
区政会館だより 別冊 を
PDFで閲覧する場合 の
知っておくべき事項について
説明します。
区政会館だより は
2000(平成12)年4月 121号 から
PDF閲覧できます。
ただし
訴訟事件事例紹介 は
PDF閲覧できません。
また
区政会館だより 別冊 ついては
『「23区今昔物語」~歴史を辿る 』
『 23区ひと・まち物語~つながりを訪ねて 』
『 訴訟事件事例紹介 』以外 のものが
PDF閲覧できます。
訴訟事件事例紹介 以外 の
別冊の内容 は
区政会館だより の
バックナンバー にも
同じものが掲載されています。
訴訟事件事例紹介 については
自治体において
汎用性の高い事件を厳選し
加筆修正されたものが
自治体訴訟事件事例ハンドブック
〔改訂版〕として
一般書籍化され
第一法規から出版されていますので
もしこれが
遍くインターネットにより
無料で見ることができるならば
第一法規は
“ 商売あがったり ”になるので
見たければ是非買って下さいね!
ということなんでしょう。
最後に
特別区協議会 Webサイト の
『 区政会館だより 』のページを
リンク しておきましょう。
◇ 区政会館だより - 特別区協議会
※ PDFでは平成12年4月から閲覧可能。
◇ 区政会館だより 別冊 - 特別区協議会
※ PDFでは平成26年から閲覧可能。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年9月22日金曜日
特別区公務員志望者の居住要件 !?(居住地と採用)
以前に
『なぜ江戸川区職員だけが
独立採用なのか』で
当時の
中里喜一 江戸川区長 の
インタビュー記事の紹介と
併せて
区長会会長 の
君塚幸吉 目黒区長 が
江戸川区の独立採用あたって
区長会としての考えを
述べられていた記事も
紹介しました。
この 君塚幸吉 区長会会長 の
インタビュー記事では
特別区採用試験合格者の配分方法
についも述べられています。
そのインタビューの趣旨は
こういうことです。
合格者の各区への配分については
特別区人事・厚生事務組合の
人事管理調査室でやっている。
合格者が決まり
各区からの申し込みがあって
配分となるが
まずは合格者に
それぞれの希望区に対するの意見を
一次,二次,三次と聞いていく。
その線に沿って
両者がマッチした方法で分けていく。
(希望者が中心区に集中してしまう
懸念もあるが)
居住地の関係もあって
中心区だけに集まるということはない。
といった趣旨の回答をしています。
このインタビューによれば
採用手続は現在でも同様と思いますが
気になるキーワードがあって
居住地の関係もあって
中心区だけに集まるということはない。
と述べているところです。
居住地 に関しては
地方議会議員(区議会議員)に
立候補する場合には
満25歳以上の日本国民で
引き続き3ヶ月以上その区域内に
住所があることが要件です。
公職選挙法
- 第9条2項(選挙権)
- 第10条5項(被選挙権)
- 第266条5項(特別区の特例)
一方で
首長(区長)に立候補する場合には
3ヶ月間の居住要件はありません。
公職選挙法
- 第10条6項(被選挙権)
首長(区長)への立候補においては
『なぜ江戸川区職員だけが
独立採用なのか』で
当時の
中里喜一 江戸川区長 の
インタビュー記事の紹介と
併せて
区長会会長 の
君塚幸吉 目黒区長 が
江戸川区の独立採用あたって
区長会としての考えを
述べられていた記事も
紹介しました。
この 君塚幸吉 区長会会長 の
インタビュー記事では
特別区採用試験合格者の配分方法
についも述べられています。
そのインタビューの趣旨は
こういうことです。
合格者の各区への配分については
特別区人事・厚生事務組合の
人事管理調査室でやっている。
合格者が決まり
各区からの申し込みがあって
配分となるが
まずは合格者に
それぞれの希望区に対するの意見を
一次,二次,三次と聞いていく。
その線に沿って
両者がマッチした方法で分けていく。
(希望者が中心区に集中してしまう
懸念もあるが)
居住地の関係もあって
中心区だけに集まるということはない。
といった趣旨の回答をしています。
このインタビューによれば
採用手続は現在でも同様と思いますが
気になるキーワードがあって
居住地の関係もあって
中心区だけに集まるということはない。
と述べているところです。
居住地 に関しては
地方議会議員(区議会議員)に
立候補する場合には
満25歳以上の日本国民で
引き続き3ヶ月以上その区域内に
住所があることが要件です。
公職選挙法
- 第9条2項(選挙権)
- 第10条5項(被選挙権)
- 第266条5項(特別区の特例)
一方で
首長(区長)に立候補する場合には
3ヶ月間の居住要件はありません。
公職選挙法
- 第10条6項(被選挙権)
首長(区長)への立候補においては
行政を執行する人材を
幅広く社会から登用する意図があります。
その一方で
地方議会議員(区議会議員)に
立候補する場合には
地域社会の問題を把握して
それに対処するために
地縁的関係が必要とされるため
一定期間の居住要件が
設けられていると考えられます。
居住要件(住所要件)とは
幅広く社会から登用する意図があります。
その一方で
地方議会議員(区議会議員)に
立候補する場合には
地域社会の問題を把握して
それに対処するために
地縁的関係が必要とされるため
一定期間の居住要件が
設けられていると考えられます。
居住要件(住所要件)とは
昭和32年9月13日
最高裁判所第二小法廷判決 において
『公職選挙法上において
一定の場所を住所と認定するについては
その者の住所とする意思だけでは足りず
客観的に生活の本拠たる実体を
必要とするものと解すべき 』
と判示しています。
このように
形式的に住所を
そこに置いているにとどまらず
居住実態を必要としています。
統一地方選挙の後に
当選した議員には居住実態がない
といった報道があり。
議員があれこれと言い訳した後に
辞職するといったケースを
度々目にしますよね。
翻って
特別区公務員の採用に
居住地の要件はありません。
もっとも採用に当たって
一定期間の居住要件や
仮に採用後も
同区または隣接区に居住することが
要件とされるならば
憲法 第22条
『居住、移転・職業選択の自由』に抵触し
人権の制約になりかねません。
君塚幸吉 区長会会長 の
インタビューでも
そこは
『居住地の関係もあって』とだけ
最高裁判所第二小法廷判決 において
『公職選挙法上において
一定の場所を住所と認定するについては
その者の住所とする意思だけでは足りず
客観的に生活の本拠たる実体を
必要とするものと解すべき 』
と判示しています。
このように
形式的に住所を
そこに置いているにとどまらず
居住実態を必要としています。
統一地方選挙の後に
当選した議員には居住実態がない
といった報道があり。
議員があれこれと言い訳した後に
辞職するといったケースを
度々目にしますよね。
翻って
特別区公務員の採用に
居住地の要件はありません。
もっとも採用に当たって
一定期間の居住要件や
仮に採用後も
同区または隣接区に居住することが
要件とされるならば
憲法 第22条
『居住、移転・職業選択の自由』に抵触し
人権の制約になりかねません。
君塚幸吉 区長会会長 の
インタビューでも
そこは
『居住地の関係もあって』とだけ
言っているので含みがあり
様々な解釈が可能ですし
採用に当たっての
内部のプロセスを言っているのであり
居住を要件としているわけではありません。
しかし
採用する側からすれば
その 自治体(特別区)の職員 を
希望するならば
また
採用する側からすれば
その 自治体(特別区)の職員 を
希望するならば
地方議会議員(区議会議員)と同じく
地縁社会との結びつきは必要です。
また
団体自治 の観点からも
この区で働きたいという意欲 や
区への関心 があり
地域の問題と解決策の提起 や
地域の問題と解決策の提起 や
地域の見どころや取り組みなどの
魅力を引き出してアピールする
広報活動など に
積極的に取り組める
積極的に取り組める
人材を採用したいのは当然です。
こういった理由から
区面接では
区面接では
志望区にどれだけ関心があるのかを
測るために『 まち歩き 』のことが
また
志望区を居住区以外にしている方は
なぜ(地元ではない)区を
志望したのか?
さらには
他県の居住者の場合には
それに加えて
地元の自治体も受験しているのか?
もしそちらに合格したら
そっちへ行くのか?など
必ず強くつっこまれる質問です。
こういった質問を想定しつつ
ところで
一般の会社においても
居住地の関係は採用に当たって
しばしば尋ねられますし
予備校でも面接試験前に
志望区の『 まち歩き 』を勧められる
ということに合点がいくでしょう。
また
志望区を居住区以外にしている方は
なぜ(地元ではない)区を
志望したのか?
さらには
他県の居住者の場合には
それに加えて
地元の自治体も受験しているのか?
もしそちらに合格したら
そっちへ行くのか?など
必ず強くつっこまれる質問です。
こういった質問を想定しつつ
問題解決として
『なぜこの区を志望したのか』
『なぜこの区でなければいけないのか』
というように
自分自身で『なぜ』繰り返して
自問自答しながら
精度のある筋の通った答えに
仕上げていくことが必要です。
『なぜこの区を志望したのか』
『なぜこの区でなければいけないのか』
というように
自分自身で『なぜ』繰り返して
自問自答しながら
精度のある筋の通った答えに
仕上げていくことが必要です。
ところで
一般の会社においても
居住地の関係は採用に当たって
同じ様な評価(成績)であれば
居住地が勤務地に近い者を
選ぶことはあります。
よくある噂で
会社が従業員のリストラをする場合
同じ様な評価(成績)であれば
遠距離通勤の者から切られやすい
ということを言われます。
また
遠距離通勤の者は
通勤で体力を消費するので
仕事で良いパフォーマンスを
出すことができないとして
敬遠する会社もあります。
これについては会社(社長)の
考えが強く出ていますが…。
しかし実際のところ
居住地が勤務地に近い者を
選ぶことはあります。
よくある噂で
会社が従業員のリストラをする場合
同じ様な評価(成績)であれば
遠距離通勤の者から切られやすい
ということを言われます。
また
遠距離通勤の者は
通勤で体力を消費するので
仕事で良いパフォーマンスを
出すことができないとして
敬遠する会社もあります。
これについては会社(社長)の
考えが強く出ていますが…。
しかし実際のところ
区の職員においても
他県から通勤している者や
遠距離からの通勤者はいて
必ずしも
同区や近隣区の居住者ということでも
ないようです。
その一方
他県から通勤している者や
遠距離からの通勤者はいて
必ずしも
同区や近隣区の居住者ということでも
ないようです。
その一方
自分が国の出先機関に勤務していたとき
2011年3月11日の
東日本大震災がありました。
地震発生から何日かは
交通機関が正常に動いていなかったため
多くの管理職以下の職員が
出勤できないことがありました。
役所の事務手続は稟議制のため
上位者の印判がないので
書類が滞留し業務が停滞したことが
交通機関が正常に動いていなかったため
多くの管理職以下の職員が
出勤できないことがありました。
役所の事務手続は稟議制のため
上位者の印判がないので
書類が滞留し業務が停滞したことが
実体験としてあります。
近年では
こうした経験をはじめとした
被災・障害による
役所の業務遂行の停滞や停止を踏まえて
災害発生 や ウィルス・疫病の蔓延
近年では
こうした経験をはじめとした
被災・障害による
役所の業務遂行の停滞や停止を踏まえて
災害発生 や ウィルス・疫病の蔓延
あるいは システム障害等 の
危機的状況下に置かれた場合でも
中核となる事業が継続できるよう
方法や手段等を取り決めておく計画
( BCP:事業継続計画 )の策定が
役所や企業において
関心が高まっているところです。
このように
採用に当たって
居住要件を明確に記載することは
危機的状況下に置かれた場合でも
中核となる事業が継続できるよう
方法や手段等を取り決めておく計画
( BCP:事業継続計画 )の策定が
役所や企業において
関心が高まっているところです。
このように
採用に当たって
居住要件を明確に記載することは
憲法(人権制約)の問題をはらむため
ないと思いますが
ないと思いますが
地縁社会との結びつき や 業務の効率性
あるいは
交通費等のコスト
(税金です !!)。
こういった観点から
全く考慮することはないとは言えず
特別区公務員受験においても
地理的な優位・劣位性は
考慮しておくべきでしょう。
志望区を選択する場合でも
これは本気度の少ない受験生に
多い傾向がありますが
鄙の都への憧れなのか
とりあえず
メトロポリス的な
“ 中心区 ” を選びがちです。
選択する志望区に対して
何となく選んだ!
など
特別に思い入れがなければ
地元区ないし近隣区を志望した方が
面接の際の志望動機も作成しやすく
筋も通りやすいなど
有利に働くことが多いと感じます。
~ 先頭へ ~
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
こういった観点から
全く考慮することはないとは言えず
特別区公務員受験においても
地理的な優位・劣位性は
考慮しておくべきでしょう。
志望区を選択する場合でも
これは本気度の少ない受験生に
多い傾向がありますが
鄙の都への憧れなのか
とりあえず
メトロポリス的な
“ 中心区 ” を選びがちです。
選択する志望区に対して
何となく選んだ!
など
特別に思い入れがなければ
地元区ないし近隣区を志望した方が
面接の際の志望動機も作成しやすく
筋も通りやすいなど
有利に働くことが多いと感じます。
~ 先頭へ ~
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年9月18日月曜日
特別区の総合計画を調べる!
特別区( 地方自治体 )の
公務員を受験する際に
論文対策 や 特に 面接対策 として
特別区各区の政策がわかる資料はあるか?
との問い合わせを受けることが
多々あります。
その中の一つとして
各地方自治体の「 総合計画 」が
あります。
各地方自治体では一般的に
行政運営の指針となる計画として
基本構想,基本計画,実施計画 を
策定しています。
特別区(23区)においても
各区で呼称は異なりますが
すべての区で
基本構想,基本計画,実施計画
そしてこれらの計画に沿った
分野別計画 を策定しています。
調査・研究対象の
体系を理解すること は
資料へアクセスする近道ですので
これらについて
ざっくりと説明しましょう。
基本構想・・・
まちづくりの基本理念や
目標とする将来像を示し
その方向性を定めるもの。
一般的には
だいたい10~20年スパンで
計画されます。
基本計画 (長期計画)・・・
基本構想の実現に向けた
基本的な施策を体系的に示すもの。
一般的には
だいたい5~10年スパンで
計画されます。
実施計画 (施行計画)・・・
基本計画にもとづく施策の実施を示し
具体的な事業内容を明らかにするもの。
一般的には
だいたい3~5年スパンで計画されます。
基本構想,基本計画,実施計画 の
3つを合わせて
総合計画 とも呼ばれます。
この 総合計画 に沿って
教育,財政,保健・衛生,福祉,
環境,産業,都市整備 など・・・
といった
分野別計画 (個別計画,事業計画) が
策定され
区の 各事業部 などが
分野別に担当 します。
図に表すとこんな感じです。
次に
それらの情報についての探し方です。
まず
基本計画など を冊子体で見たい場合は
目的の基本計画等を発行している
自治体の図書館 や 区政情報室 を訪ねる
という方法があります。
ただし
必ずしも貸出しできるとは限りません。
禁帯出(貸出不可)の処理がなされていて
閲覧のみの場合もあります。
他には
特に 基本計画(総合計画)は
各自治体で有償刊行物として
購入することができます。
区役所の 区政情報コーナー などで
販売していますので
本にマーカーや書き込み等をして
自分なりにカスタマイズしたい方は
この方法も良いでしょう。
ただし
各自治体で 基本計画(総合計画) の
販売価格にはバラつき があり
各区の言い値なので
高い値段が付いている区もあり
きちんと情報を取る必要があります。
例を挙げて見ますと
荒川区・・・
荒川区基本計画(平成29年度~38年度)
850円也。( かなりリーズナブル! )
世田谷区・・・
世田谷区基本計画(平成26年度~35年度)
1,256円也。( この辺が相場か !? )
このように
どうしても冊子体を
手許に置きたいという方は
購入も良いのですが
基本構想,基本計画,実施計画等の政策 は
その自治体の行政運営における理念や
方針を示すものであり
民主主義ないし住民自治の観点から
ビジョンやプランを
住民に知らしめる必要があります。
また
国や自治体が掲げている
電子政府,電子自治体 といった
構想からしても
各自治体のWebサイトで
公表されていると考えるのが
通常です。
つまり
冊子体の情報は副次的で
総合計画は
Webサイトにて1次的に
遍く広く知らしめており
容易にアクセスが可能です。
それでも冊子体が欲しい
ということであれば
コストなどがかかっているので
それなりの対価を払って
購入して下さいね。
ということでしょう。
したがって
効率的に
自治体の情報を収集するには
各自治体のWebサイト から
検索するのがいいでしょう。
政府や地方自治体の運営する
Webサイトは
情報の質,量ともに豊富で
利用価値が高いです。
しかし
政府や地方自治体のWebサイトは
情報量が多い反面
構成が複雑で探しづらい
といった声もあります。
そういった場合
一つの検索方法として
サイトマップ から調べることも
一つの方法です。
サイトマップ とは
Webサイトの構成を一覧化した
目次のようなページで
だいたい
ページの上か下にあります。
( ただし,サイトマップのほうが
わかりにくい自治体もあります。)
基本構想,基本計画,実施計画
といった総合計画 は
区政情報 の項目に掲載されています。
一方
分野別計画 については
各課やその他の専門部署が
担当しているので
掲載している箇所が
自治体のWebサイトによって
まちまちです。
そういった場合の
検索方法として
サイト内の『 検索窓 』を使うのも
いいでしょう。
例えば
大田区の
子どもの貧困対策についての計画を
調べたい場合。
Google や YAHOO! などの
検索サイトから
子ども □ 貧困 □ 大田区 と
入力して調べても良いのですが
サイト内検索ならば
その自治体のWebサイト内から
キーワード
( ここでは 子ども □ 貧困 )に
該当するものが拾われますので
必要な情報を絞ることができます。
さらに
広告などの余計な情報も省かれます。
ただし
これに関しては
自治体のWebサイトによって
広告が入るものや
検索窓から検索すると
Google へ飛ぶものもありますので
最初から
Google 等の検索エンジンで検索した方が
効率的な場合もありますので
そこは臨機応変に使ってください。
もっとも
公務員受験生は
だいたい同じ行動をとっているので
検索においても
Google 等の検索エンジンから
同じキーワードを入力して
検索していることが多く
基本計画(総合計画)等の
基本的な施策を調べるなら
検索エンジンからダイレクトに
検索した方が効率的かもしれません。
ところで
子どもの貧困対策について検索すると
足立区では出てくるが
港区では出てこない。
港区では貧困対策を行っていないのか?
という質問が過去にありました。
自治体によっては
“ 貧困 ” という言葉は
使っておらず
“ 未来応援 ”という
言葉を使用していることもあり
こういった場合は
“ 子ども □ 貧困 ” では
目的のものが
引っ掛からないことがあります。
そういった場合は
関連するキーワードを入力して
試して下さい。
しかし最近では
“ 貧困 ” よりも
マイルドなネーミングの印象からか
右へ倣へで
子どもの貧困対策を
子どもの未来応援と名付ける
自治体が多くなっているので
“ 子ども □ 貧困 ” で検索しても
目的のものがヒットすることが
多くなっています。
それから
各自治体の
妊娠・出産・子育て支援策 において
『 子育て世代包括支援センター 』の
創設を進めているところですが。
これを『 ネウボラ 』と
標榜しているケースも見られます。
( 例えば 渋谷区 )
このように自治体によって
同様の施策に色々な名称を付している
ことが多々ありますので
検索する場合は
関連するキーワードを入力するか
各自治体HP の カテゴリーから
進むなどして試して下さい。
最後に
特別区の基本計画等が掲載されている
リンク集を作成しましたので
ご活用下さい。
◇ Link 特別区
以上
読んでいただき
ありがとうごうざいました。
2023年9月10日日曜日
議員立法
法情報検索 各論 1 法令 a
法律には民法や刑法など
基本となる法律から
ヘイトスピーチ解消法など
人権に関する法律。
政治資金規正法のような
議員の自律に関する法律。
復興支援に関する法など
国民救済のための法律。
祝日法に見る
国民全体の祭祀や記念日を定めて
休日にしましょうとする法律。
特定の業界や地域振興に対して
利益を図る法律などがあります。
このように
国民の権利を制限し
義務を課したり利害調整を図るには
法律の制定が必要です。
提出及び成立した法案を眺めると
次のような分類ができます。
①…
選挙の票にはつながりにくいが
専門的・技術的な見地から判断し
社会政策上
具体的な法整備の必要性がある法案。
この場合は
内閣提出法案 が多くなります。
これについては
議院内閣制 のもと
政府・与党の政策を実現するために
専門的な技術をもった各省が
与野党議員や外部団体
あるいは
関係する地方自治体や
他の省庁に対し
綿密に根回しや折衝をしたうえで
内閣法制局にて法文審査を経て
事務次官会議にかけられてから
閣議決定後に提出されます。
重要法案ともなれば
提出過程で
有識者による審議会等を設置して
諮問や意見聴取をします。
また
内閣提出法案は
与党の事前審査を得ている ので
国会の賛成を得やすいので
成立しやすくなります。
一方
議員の発議による法律案 は
野党提案 のものが多く
与党の賛同を得にくいため
成立に至ることが少ないです。
与党の政策に反対する
法案を発議しても
成立しないのは当然であり
委員会で審議すらしてもらえずに
廃案になるものも多くあります。
②…
内閣提出になじまない法案。
この場合は
国会議員発議の法案 が多くなります。
祝日法などの
国民全体の祭祀や慶事を定める法律や
人権に関する法律
復興支援に関する法などの
国民救済のための法律は
民意により直接洗礼を受けた
国民に近い議員立法の方が
法案の趣旨からしてなじみます。
また
特定地域の振興や特定の業界に対して
利益を図る法律に関しては
族議員や有力な議員を出している
地域や団体の利益を図るために
立法するというものであり
特定の省庁が
率先して取り組むものではなく
民意( 支持者の要望 ) を汲んだ
議員による立法が適しています。
田中角栄 氏 に例えるなら
「 日本列島改造論 」 のもとで
多くの土建関連の立法をしたり
新潟 ― 東京間 に
いち早く新幹線を通したり
といったもので
政治的パワーのある有力議員と
支援している業界や地域住民が
手を結ぶことで成せる業です。
このように
議員提出の法案の特色の一つ として
選挙の際
票につながりそうな法案が多い
ということです。
もう一つの
議員立法の特色 としては
政治資金規正法 のような
③…
議員の自律に関する法案 です。
これは
特定の役所が決めることではないので
議員立法が相応します。
このように
内閣提出立法 と 議員立法 には
それぞれに特色があります。
法律は社会統制の一つですので
社会の変化により
直接当てはまる法律がない
といった場合に
それぞれの
職業的気質の違いから見ますと
裁判官 が
法的紛争解決を行う場合には
現行の法律に
ストレートに当てはまらなければ
規範を立てて事案に当てはめる
といった解釈をします。
一方
国会議員 の場合は
問題が起こった場合に
当てはまる法律がないときは
社会経済に変化に伴い
要請があれば法律を創ればよい。
現行法に問題があれば
法解釈のみに漬かることなく
新法の制定や法改正をすればよい
と考えます。
近年では
社会経済の変化に合わせて
法改正も頻繁に行われるように
なってきました。
例えば
度々法改正が行われている
会社法 をはじめとする
企業関連の法については
企業にとって裁判が長期化すれば
費用も多額になり
敗訴した場合はさらにそれが膨らむ
という理由などから
訴訟はリスクになるので
できるだけ避けるようにしたい。
こういったことから
経済界からの要請もあり
会社法等で争点となるところは
できるだけ
立法府において解決を図る
方向にあります。
それから
司法試験,司法書士
あるいは
公務員!? や 行政書士!? といった
難関といわれる
法律系資格試験の合格を
目指している受験生は
度々の法改正により
その都度覚え直すことになるため
だらだらと何年もかけて
勉強していると
かえって合格が遠退くことに
なり得るので
早く合格するという
強い意志と覚悟が必要でしょう。
ところで
「 政治とカネ 」の問題は
毎度のことですが
権力者がその地位を利用して
利己的な操作を加えて
改革したといっても
特例を設けて
結局は 「 ザル法 」に
なってしまいがちですが
政治に金は必要であるし
有権者として
週刊誌のネタに煽られるのではなく
本業である
議員の政策立案や国会での仕事から
判断することが賢明 であり
それにはしっかりした
メディア・リテラシー が必要です。
衆・参両議院や法制局や
政府等の公式サイトから
議員の情報や
立法,政策情報を
とることをおススメします。
参考として以下のサイト挙げました。
~ 先頭へ ~
~ 関連サイト ~
▼ 立法情報 - 衆議院
▼ 議案情報 - 参議院
▼ 最近の法律・条約 - 内閣法制局
▼ 成立した議員立法-衆議院法制局
▼ 成立参法の紹介-参議院法制局
~ 先頭へ ~
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
法律には民法や刑法など
基本となる法律から
ヘイトスピーチ解消法など
人権に関する法律。
政治資金規正法のような
議員の自律に関する法律。
復興支援に関する法など
国民救済のための法律。
祝日法に見る
国民全体の祭祀や記念日を定めて
休日にしましょうとする法律。
特定の業界や地域振興に対して
利益を図る法律などがあります。
このように
国民の権利を制限し
義務を課したり利害調整を図るには
法律の制定が必要です。
提出及び成立した法案を眺めると
次のような分類ができます。
①…
選挙の票にはつながりにくいが
専門的・技術的な見地から判断し
社会政策上
具体的な法整備の必要性がある法案。
この場合は
内閣提出法案 が多くなります。
これについては
議院内閣制 のもと
政府・与党の政策を実現するために
専門的な技術をもった各省が
与野党議員や外部団体
あるいは
関係する地方自治体や
他の省庁に対し
綿密に根回しや折衝をしたうえで
内閣法制局にて法文審査を経て
事務次官会議にかけられてから
閣議決定後に提出されます。
重要法案ともなれば
提出過程で
有識者による審議会等を設置して
諮問や意見聴取をします。
また
内閣提出法案は
与党の事前審査を得ている ので
国会の賛成を得やすいので
成立しやすくなります。
一方
議員の発議による法律案 は
野党提案 のものが多く
与党の賛同を得にくいため
成立に至ることが少ないです。
与党の政策に反対する
法案を発議しても
成立しないのは当然であり
委員会で審議すらしてもらえずに
廃案になるものも多くあります。
②…
内閣提出になじまない法案。
この場合は
国会議員発議の法案 が多くなります。
祝日法などの
国民全体の祭祀や慶事を定める法律や
人権に関する法律
復興支援に関する法などの
国民救済のための法律は
民意により直接洗礼を受けた
国民に近い議員立法の方が
法案の趣旨からしてなじみます。
また
特定地域の振興や特定の業界に対して
利益を図る法律に関しては
族議員や有力な議員を出している
地域や団体の利益を図るために
立法するというものであり
特定の省庁が
率先して取り組むものではなく
民意( 支持者の要望 ) を汲んだ
議員による立法が適しています。
田中角栄 氏 に例えるなら
「 日本列島改造論 」 のもとで
多くの土建関連の立法をしたり
新潟 ― 東京間 に
いち早く新幹線を通したり
といったもので
政治的パワーのある有力議員と
支援している業界や地域住民が
手を結ぶことで成せる業です。
このように
議員提出の法案の特色の一つ として
選挙の際
票につながりそうな法案が多い
ということです。
もう一つの
議員立法の特色 としては
政治資金規正法 のような
③…
議員の自律に関する法案 です。
これは
特定の役所が決めることではないので
議員立法が相応します。
このように
内閣提出立法 と 議員立法 には
それぞれに特色があります。
法律は社会統制の一つですので
社会の変化により
直接当てはまる法律がない
といった場合に
それぞれの
職業的気質の違いから見ますと
裁判官 が
法的紛争解決を行う場合には
現行の法律に
ストレートに当てはまらなければ
規範を立てて事案に当てはめる
といった解釈をします。
一方
国会議員 の場合は
問題が起こった場合に
当てはまる法律がないときは
社会経済に変化に伴い
要請があれば法律を創ればよい。
現行法に問題があれば
法解釈のみに漬かることなく
新法の制定や法改正をすればよい
と考えます。
近年では
社会経済の変化に合わせて
法改正も頻繁に行われるように
なってきました。
例えば
度々法改正が行われている
会社法 をはじめとする
企業関連の法については
企業にとって裁判が長期化すれば
費用も多額になり
敗訴した場合はさらにそれが膨らむ
という理由などから
訴訟はリスクになるので
できるだけ避けるようにしたい。
こういったことから
経済界からの要請もあり
会社法等で争点となるところは
できるだけ
立法府において解決を図る
方向にあります。
それから
司法試験,司法書士
あるいは
公務員!? や 行政書士!? といった
難関といわれる
法律系資格試験の合格を
目指している受験生は
度々の法改正により
その都度覚え直すことになるため
だらだらと何年もかけて
勉強していると
かえって合格が遠退くことに
なり得るので
早く合格するという
強い意志と覚悟が必要でしょう。
ところで
「 政治とカネ 」の問題は
毎度のことですが
権力者がその地位を利用して
利己的な操作を加えて
改革したといっても
特例を設けて
結局は 「 ザル法 」に
なってしまいがちですが
政治に金は必要であるし
有権者として
週刊誌のネタに煽られるのではなく
本業である
議員の政策立案や国会での仕事から
判断することが賢明 であり
それにはしっかりした
メディア・リテラシー が必要です。
衆・参両議院や法制局や
政府等の公式サイトから
議員の情報や
立法,政策情報を
とることをおススメします。
参考として以下のサイト挙げました。
~ 先頭へ ~
~ 関連サイト ~
▼ 立法情報 - 衆議院
▼ 議案情報 - 参議院
▼ 最近の法律・条約 - 内閣法制局
▼ 成立した議員立法-衆議院法制局
▼ 成立参法の紹介-参議院法制局
~ 先頭へ ~
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年9月6日水曜日
図書館での資料や情報の探し方
主として
国立国会図書館,東京都立図書館 の
調べ方案内,レファレンス事例
および
東京23区の地域資料 の
パスファインダー 等のリンク。
図書館 では
あるテーマに関する資料や情報を
探すための手順を簡単にまとめた
ツール として
“ パスファインダー ” を
作成している図書館があります。
さらに
図書館のWebサイト で
過去にあった質問の記録を
事例集としてまとめた
レファレンス事例集 を公開している
図書館があります。
これらのツールを上手に使うことで
資料へのアクセスが容易になります。
そこで
レファレンス担当御用達の
ツールでもある
国立国会図書館 や 都立図書館
その他
特別区の各図書館 が作成した
レファレンスツール をまとめました。
なお
公立図書館 では
“ 図書館奉仕 ” の規定 である
図書館法 における
第3条前段 の
“ 図書館は,図書館奉仕のため,
土地の事情及び一般公衆の
希望に沿い … ”
さらに
同 第3条1項前段
“ 郷土資料,地方行政資料,美術品,
レコード及びフィルムの収集にも
十分留意して … ”
といった規定を受けて
地域資料に関する
レファレンス事例などの情報が
中心 になっています。
都道府県立の図書館 では
レファレンス・ライブラリー
としての機能もあるので。
調べ方案内のツールが豊富です。
一方
基礎自治体の公立図書館 では
レファレンス・サービスを充実させて
調べ方案内などのツールに
力を入れている自治体もあれば
レンディング・ライブラリー として
“ 貸出し ” に徹していて
レファレンスツールの作成や
予算的に厳しいため
高額になるデータベースや
参考図書の収集には
力を入れていない自治体もあり
その運営は様々です。
◇ 国立国会図書館
◆ リサーチ・ナビ(調べ方案内)
◆ レファレンス協同データベース
◇ 東京都立図書館
◆ レファレンス事例検索
◆ テーマ別調べ方案内
◆ 『 知っていると便利 』シリーズ
◆ Pick up 情報の泉
◆ この本はありますか?
~ よくある質問より ~
◆ 東京について調べる
◇ TOKYOアーカイブ
江戸・東京関係のデジタル化資料 や
東京都行政資料 の検索・閲覧
◇ 東京都公立図書館住宅地図総合目録
都内公立図書館の 住宅地図 の所蔵状況
◇ 東京関係地図目録
◇ 歴史 - 東京について調べる
◇ 地名 - 東京について調べる
◇ 地図・地誌 - 東京について調べる
◆ 都内公立図書館一覧
◆ 区市町村立図書館新聞・雑誌総合目録
東京23区の図書館
◇ 足立区立図書館
◆ レファレンス
◇ 荒川区立図書館
◆ レファレンス事例紹介
◆ テーマ別資料リスト
- 地域
◇ 板橋区立図書館
◆ レファレンス検索:カテゴリー一覧
◇ 江戸川区立図書館
◆ レファレンスブックリスト
◆ 地域を知る - 郷土・行政資料
◇ 大田区立図書館
◆ 地域資料
◇ 江東区立図書館
◆ 地域・行政
- レファレンス事例検索結果一覧
◇ 葛飾区立図書館
◆ 葛飾区に関するレファレンス事例
◆ 地域資料
◇ 北区立図書館
◆ 北区の部屋
◇ 品川区立図書館
◆ レファレンス事例集
◇ 渋谷区立図書館
◆ しぶやのページ
◇ 新宿区立図書館
◆ レファレンスサービス
◆ パスファインダー
◇ 杉並区立図書館
◆ レファレンス検索
◆ パスファインダー
◇ 墨田区立図書館
◆ パスファインダー
◆ 地域資料
◇ 世田谷区立図書館
◆ パスファインダー集
- 世田谷区に関するテーマ
◆ 世田谷区に関する
- レファレンス事例一覧
◇ 台東区立図書館
◆ パスファインダー
◇ 中央区立図書館
◆ パスファインダー
◆ 地域資料室
- 地域資料室所蔵住宅地図一覧
◇ 千代田区立図書館
◆ パスファインダー
◆ レファレンス事例検索
◇ 中野区立図書館
◆ レファレンス事例
◆ 中野区立図書館パスファインダー
- 過去の「個性ある図書館」展示
パスファインダー
◆ 中野区立図書館デジタルアーカイブ
◇ 練馬区立図書館
◆ WEBレファレンス
◇ 練馬わがまち資料館
◆ 区の資料
- 各種台帳等(標識設置届など)
◇ 港区立図書館
◆ レファレンス検索:カテゴリー一覧
◆ デジタル版 港区のあゆみ
◆ デジタル 港区教育史
◆ 港区ゆかりの人物データベース
◇ 目黒区立図書館
◆ 目黒資料のページ
- 目黒資料を調べるときに便利な資料
- 目黒に関する地図
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年9月5日火曜日
図書館資料の貸出冊数と継続借受ルールの運用
前回 は
図書館サービス について
公共財の性質 と 占有期間 の
バランス を考え
その 合理的な落としどころ といった
貸出期間の決定プロセスについて
書きました。
合理的な貸出期間 が設定されると
つぎに
その貸出期間に読むことができる
合理的冊数 として 貸出冊数 が
決まります。
この 貸出冊数の決定 については
前々回書きました
「 図書館の名目的効用 」 の
数値を形式的に上げるため
貸出冊数を多く設定 している
自治体もあります。
また
専門書や長編小説など
読むのに時間を要する本もある一方で
絵本などすぐに読み終わってしまう
本もありますので
資料の特徴 も考えます。
さらに
図書館の 蔵書数 なども
考慮する必要があります。
蔵書数が少ないのに
貸出冊数を多くすれば
図書館資料の在庫数も
少なくなってしまい
利用者が来館しても
資料が慢性的に無い状態に
なってしまいます。
また
大学の場合
貸出日数 と 貸出冊数 が多いのは
目的 が 研究 であり
研究論文作成のためには
それなりの 資料数 と 日数 を
必要とするからです。
一方で
法科大学院の場合 は
目的が研究ではなく
実務家養成のための学習に
資するための蔵書構成 に
なっています。
また
大学図書館に比べて
規模がかなり小さく
蔵書数も少ない ので
貸出日数 および 貸出冊数 を
多くすれば
在庫資料が少なくなってしまい
必要な時に
慢性的に資料がないとなると
法科大学院図書室の用を成さないので
ロースクールによっては
全て禁帯(貸出不可)としている
図書室もあります。
もっとも
司法試験受験生の場合は
使える基本書・参考書・雑誌の情報は
既に入手していることが常で
同じ資料に利用が集中する傾向が
あります。
このように
貸出冊数の決定 には
貸出期間に読むことができる
合理的冊数 を前提に
・図書館の名目的効用
・扱っている資料の種類
・図書館の目的
・蔵書数 など を踏まえて
設定されています。
つぎに
同一の資料を同一の利用者が
継続して借受けのできる図書館 と
連続しての借受けはできず
1日おいてからならば
再度借受けが可能な図書館 との
サービスにおける
考え方の違いについてです。
まず
継続借受を可能とする運用を
している図書館では
公共図書館 の場合
サービスの主体 を
「 貸出し 」と考えている自治体ならば
「 公共財 」と「 占有 」 の
概念よりも
「 名目的効用 」 を 優先 し
他の利用者が貸出中の資料を
借りたければ
予約をすればよい と考えるからです。
また
蔵書数も関係します。
それから
仮に1日おいて貸出しが可能と
利用者に訴えても
モラルのない利用者ならば
返本されれば確信犯的に
また借りに来ますので
そのような運用は効果がないとして
継続貸出可能としていると
考えられます。
自動貸出機を設置している図書館では
尚の事です。
一方
1日おいて再度借受可能とする
図書館は
蔵書数 を考慮した上で
「 公共財 」 と 「 占有 」 の
概念を優先し
性善説を前提 に
利用者の規範意識( モラル ) に訴える
といった
運用と考えられます。
法科大学院図書室 の場合ならば
蔵書数と図書室の目的を
考慮した上の運用 ですので
「 貸出し 」サービスより
「 調べる 」,「 参考にする 」ことを
優先としています。
それから
仮にルールを守れない
ロースクール生が多ければ
運用を変えて
全て禁帯とすることも容易であり
原則論である
「 公共財 」 と 「 占有 」 の
概念を優先して
まずは
利用者の規範意識( モラル ) に訴える
としていると考えます。
もし
前回の冒頭のような質問を
ロースクール生がしてくれば
このような長い説明はいらず
図書館資料は
“ 公共財(的) ” であって
その利用については
“ 公共 ” の制約を受けることになる。
といった説明をすれば
ほとんどの方は理解してくれます。
おそらく
このブログをご覧になっている方も
同様だと思います。
仮に理解できていなくても
プライドがありますので
理解したふりをしているのかは
わかりませんが・・・。
“ 公共財(的) ” なので
占有(独占)することはできず
もしも
利用しようとしている資料 を
独占して
線引きや書き込みをしたり
ページを折るなどしたり
延滞や汚破損をすれば
他の利用者の利用・使用が
できなくなるなどの
支障が出てきます。
そうなった場合には弁償となり
相当の対価を払うことになるので
結局のところ
自分自身でカスタマイズ したい場合や
手元に置いておきたい のならば
相当の対価を払う。
つまり
書店などで 購入 すればよいのです。
これが
物事を合理的に考えられる人 です。
しかし
公共図書館の一部の利用者 のように
・永久に継続貸出をして独占する。
・その時点において必要のない資料を
借りたり( 閲覧席での積読状態 )
予約取り置きする。
・借りた資料を延滞する。
・予約本の取り置き期限を延ばしまくる。
・当日の新聞を全部独り占めする。
・本を汚す。ページを折る。
線引き,書き込みをする。
・図書館員が注意すると逆切れする。
こういった問題行動を起こす
悪質 な “ フリーライダー ” は
本質的に ケチ であり
合理的思考ができず
自分のエゴを通そうとします。
そういった輩にかぎって
クレーム が多く
やたらと“ 税金 ”といってきたり
“ 性善説 ” を振りかざします。
公共施設で働く図書館員ならば
“ 図書館利用者あるある。”
といったところでしょう。
賃金が安い上に
こういった 不逞之輩 を
毎日相手にしている
“ 現代の「 蟹工船 」的職場 ”
ともいえるような
公共施設で働く図書館員は
ホントにストレスもたまるだろうと
お察しします。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。
2023年9月4日月曜日
公共財としての図書館資料と貸出日数
何かのトラブルがあったときや
フラストレーションがたまったときは
気前のいい人 は
金で解決 しようとする。
一方
ケチな人 は 文句を垂れる。
クレーム をつけてくる。
このことは一般社会において
よく言われることです。
司書をやっていると
ホントにその通りだと思います。
ところで
図書館サービスについて
サービスの仕組みが知りたいので
色々と細かく聞いてくる方と
自分の思い通りにならないので
クレームをつけてくる方がいます。
確かに一般の利用者は
図書館サービスについて
融通が利かなくて
フラストレーションがたまるので
色々とクレームをつけたくなる
ことはよくわかります。
そこで
図書館サービスの一環 である
「貸出し」 の際によくある
問い合わせについて
例を挙げますと。
図書館サービス は
大学 ならば 大学の図書館ごと で
自治体の公立図書館 であれば
各自治体 で
それぞれ異なった
独自の運用 がなされています。
つまり
一律のサービスではありません。
例えば
A市の図書館 の 貸出冊数は30冊 で
貸出期間が2週間 である。
これに対して
B市の図書館 では 10冊の貸出冊数 で
3週間の貸出期間 である。
大学 においては
C大学図書館 の 貸出冊数が20冊 で
貸出期間が30日 である。
一方
C大学に付属する 法科大学院図書室 の
貸出冊数は5冊 で
貸出期間が2週間 である。
なぜ違うのか !?
との質問を受けることがあります。
まずはこのように
各図書館でサービスが異なる
ということを
認識しておいてください。
それから
このような問い合わせもあります。
A図書館 では
利用者甲が現在借りている本を
一度返却手続きをしてから
再び同じ本を同一の甲が借りる。
つまり他の利用者の予約がなければ
永久に継続貸出しができる。
しかし
B図書館 では
借受期間満了前に返却手続きをして
同じ本を借りたいと要求したが
一日あけてからご利用ください。
と言われ
同一の本を同じ利用者が
連続で借りることができない。
A図書館では可能なのに
B図書館はなぜできないのか。
こういった問い合わせに対して
「決まりだから」 と答える
司書がいますが
利用者は “ なぜ ” が
知りたいのであって
つっけんどんに「決まり」
と言われると腹も立つでしょう。
まあ
そういった答え方をする司書は
自分でもよくわかっていない人が
ほとんどでしょう。
そんな司書に当たったら
血圧も上がると思いますので
代わってお答えします。
まず
公共図書館の資料 は 公共財 です。
公共財の特徴 は
非排除性 と 非競合性 にあります。
非排除性 とは
対価を支払わなくても
誰でも自由に利用できることです。
非競合性 とは
ある人が消費しても無くならず
他の人の消費量に影響がない性質です。
経済学を修めている方ならば
通りが早いのですが
それ以外の方は
公共財 とは
多数の人々が同時に利用できる
モノやサービス。
ということを認識してください。
そして
多数の人々が同時に利用可能
ということは
「 占有できない 」
ということです。
例えば
公道の場合
通常は誰かが歩いていたら
歩くことはできない
ということはないですよね。
お金を払う必要もありません。
しかし 図書館の場合
誰かがある本を読んでいたり
借りていたら
他の人は読むことがでないので
“ 一定期間占有する ” ことは
物理的に仕方がないことなので
やむを得ません。
多くの人に利用して(読んで)
もらうには
一定の合理的な貸出期間を
決める必要があります。
もっとも貸出しのできない
新聞や新刊雑誌
その他の禁帯出の資料については
『 読む分 』だけ占有するとして
一人が何冊も抱え込むことが
無いようにしています。
特に新聞や新刊雑誌は
トラブルが多いところですが
図書館によっては
一人5分とか
時間を制限しているところも
あるようです。
また待っている人も多いので
新聞を抱えたまま
居眠りしている人には
すかさず注意をしている
ところも多いようです。
話しを貸出図書の期間制限に戻して。
貸出期間を1週間とした場合に
読むには少し短すぎる。
1か月とすれば
多くの人に行き渡りづらくなるし
延滞も発生しやすくなる。
そこでこれらを総合的に鑑みて
その間を取って
2週間 もしくは 3週間 という
期間が設定されてきます。
補足すると
求める本や雑誌が
その自治体に無い場合は
他の自治体から
取り寄せることができるサービス が
あります。
この場合
自治体間での貸借期間が
決められています ので
その期間から
運送関係の日数を差し引いて
考慮した場合。
例えば
東京都 ならば
2週間が妥当 という結論になります。
それと
これは利用者が認識していない
ことが多いのですが
貸出期間 が 2週間 といっても
例えば
資料を予約や取寄せをした場合
その利用者のために
確保しておく期間 を
1週間 としておく図書館が多く
実質は3週間を
その利用者が占有 している
ことになります。
これは
利用者側も仕事などの都合もあり
資料が届いても
すぐに来られないので
まあ,仕事ならば
1週間に1日は法定休日が
ありますので
1週間あれば
通常取りに来ることが可能と考え
1週間と設定している
と考えられます。
この期間について は
その資料を取り置いている場合
当の利用者は利用していませんが
他の利用者も利用できません ので
誰も利用できない
“ 死蔵 ” の状態 になります。
これでは公共財としての
効用がありませんので
図書館(行政)側 は
多数の人が利用できるように
この 占有期間をできるだけ無くしたい
あるいは短くしたい ところですが
先の理由から
合理的に考えられる最低ラインの
取置期間で設定 されている
と考えられます。
しかし
当の利用者側はサービスを
受けている認識がない ので
よくトラブルが起きる
ポイントでもあります。
ちなみに参考として
大学図書館の場合
大学によっては
取置期間も貸出期間に含めて合算し
連絡後に資料の受取が遅ければ
借受期間も短くなるといった
運用の大学もあります。
このように
まずは 合理的に算出された
取置期間を含めた貸出期間が決定
されます。
分量が多くなりましたので
貸出冊数の決定や
その他の問題については
次回以降に回します。
サービスの趣旨 としては
公共財の性質 と
一般人が利用しやすいと考えられる
最低限の占有期間 の
バランス とを考え
それらの合理的な
落としどころで決定 される
と考えてください。
自分は
読む側にとって
こんなに窮屈な運用をされると
ストレスが溜まるし
利用者として図書館に行ったときに
図書館カウンターで
スタッフに理不尽な文句を垂れている
面倒な輩を見ると
さらにイライラが溜まるので
そこは合理的に
読みたい本は購入して
自由に読んでいます。
以上
読んでいただき
ありがとうございました。