2017年2月27日月曜日

羽鳥書店,前田説などついての雑記

本の新版・増刷の話

前回
『 前田雅英先生と刑事訴訟法 』
著者,編者などの表示について
色々と推察してみました。

この刑事訴訟法を刊行している
東京大学出版会で38年間在職した後
2009年4月に新たに立ち上げた
羽鳥和芳 氏が代表を務める
羽鳥書店 があります。

特に法律関係者には
木村草太 先生 の著書
『 憲法の急所 - 権利論を組み立てる 』
出版している書店といえばご存知でしょう。

書店の法律書のコーナーで
本書を初めて手に取って見たとき
「 聞いたことのない出版社だ 」と
思いました。

自分で 本を選ぶ際 には
まず
タイトル帯情報
目次など内容から判断
することはもちろんですが
ほかには
装丁,文字の大きさ,行間,
余白の広さ,紙の厚みなど
形式的な構成や外観,手触り感
といったものも気にします。
それと
出版社著者気にする 場合も
あります。

余談ですが
ある元司法試験委員の先生が
本を出したとき
あまり聞かない出版社から
出版されていて。
中身を読んでみると,誤植が多く
専門外の自分がいうのも
おこがましいのですが・・・。
内容も,ただ判例紹介で盛ってるだけ
といった印象がありました。

それがまた当時は
司法試験委員ということもあってか
解析講座なるものを各予備校で
開いていたので
受験生に
解析するような内容なの???
と聞いたところ
僕も同じ疑問をもっています
と言われました・・・。

閑話休題。
出版社の 羽鳥書店 というのは
どんな出版社だろうと
最初は気になりましたが
色々と見ていると
立ち上げ初期のころの著者が
内田貴,大村敦志,長谷部恭男,
藤田広美 各先生方 といった
錚々たる顔ぶれが上梓 されています。

で,何冊かを読んだのですが
「 少し誤植が目立つ 」 印象 があり。
これは,大きな出版社のように
厳しい校閲を経ていないようなので
校閲まで回っていない
おそらく,かなり少人数で回していて
社長や編集者の人脈,しかも東大系が
すごい といった感じを受けました。

後に
日経ビジネス ONLINE
記事を見たときに
だいたい予想した通りだった
ということを覚えています。

宮嶋康彦「 “つぶやき”効果で1万冊!
10坪の出版社,羽鳥書店の挑戦 」
- 奥深き日本 『 日経ビジネス ONLINE 』
- 2010年3月5日(金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100303/213123/
( アクセス日・2017年2月26日 )

それから
僕は特撮大好き! ですから
成田亨 氏の 本の出版・復刊
非常にありがたく
羽鳥書店 さま
大いに期待をしております。


☆ 成田亨作品集 成田 亨 著 / 羽鳥書店 2014.7

☆ 成田亨の特撮美術 成田 亨 著 / 羽鳥書店 2015.1


ところで
刊行後に見つかった
本の誤植 に対しての
訂正 ですが。

Webサイト のある出版社は
そこに 誤植訂正のページ
設けられていることが多いです。

木村先生 の
『 憲法の急所 については

木村先生の ブログ
『 木村草太の力戦憲法 』
http://blog.goo.ne.jp/kimkimlr
誤植訂正があります。
( アクセス日・2017年2月26日 )

まあ
この本は売れているので
その後も増刷され
第2版 がいよいよ
2017年3月下旬に刊行予定
されています。

近刊・新刊案内 - 羽鳥書店
http://www.hatorishoten-articles.com/newbook

ですから,今までの誤植も
その都度訂正されているでしょう。

本の「 版 」 と 「 刷 」
違いについ説明すると
これらの表示は
奥付 と呼ばれる,本の最終ページの
箇所に記載があります。

例えば
2013年12月20日 初版第1刷発行
2014年10月10日 初版第3刷発行
といった記載ならば

本の出版に際し
予定した発行部数より多く
新たに増刷して
その刷が3回目という意味です。

超ロングセラーの本は
この表示が100刷以上
刷られています。

増刷 に関しては
誤植の訂正などは行われます
内容の変更はありません

版表示の変更 については
本の内容の一部や複数個所に
重要な変更が加えられ
改訂版であることの記載
または書名を変更した場合。

例を挙げると
2013年12月20日 初版第1刷発行
2015年11月15日 第2版第1刷発行

といった記載ならば
2015年に
内容に重要な変更 を加えたという意味です。

この 版が変更された表記 があれば
国際標準図書番号( ISBN )と呼ばれる
図書の識別番号も変わります。

本文中の誤植や誤字・脱字の訂正などに
とどまる増刷・重版をする場合は
ISBNコードは変わりません。

「 書名記号 」 に関するルール
- ISBNと日本図書コードのルール
- 日本図書コード管理センター

http://www.isbn-center.jp/guide/02.html


法律書 の場合
会社法などの企業関連や
金融,年金,保険関連の
法令については
政策上,法改正が多いので
それに伴い
関連した本も内容を変えますので
版表示が頻繁に変更されます。

ところが
憲法や刑法など
法文が頻繁に変わることのない
法律書が
なぜ 頻繁に新版を出すのか というと
率直に言うと売りたいため ですよ。

解釈内容が変わったのでなく
ただ 新しい判例が盛られているだけ
といったものもあります。

判例 については
別に『 判例百選 』等 
勉強すると思うので
わざわざ新版を購入する必要はない。

といった本と

解釈自体が変わる ものも
あります。

特に旧司法試験の頃の刑法などは
学説の対立が激しかったので
前田説大谷説 等々がありました。
特にこの両先生が
ちょこちょこと 改説 するんです。

まあこれは
判例・実務を重視しつつ
解釈を展開しているから


特に 前田先生の場合
処罰に値する行為を
構成要件段階で処理する考え方で
処罰に値する行為は
現代社会における犯罪現象を踏まえて
妥当性を図っていくという理論
です。
そして
客観的に現代社会の犯罪現象を
知るための統計資料
として
『 犯罪白書 』 があります。

だから
前田先生の刑法の体系書には
犯罪データが載っています。
犯罪統計は毎年変わるため
新たなデータに変更するので
新版を出す理由づけになります。


なので
解釈がぶれているのではなく
社会の犯罪現象に合わせて
処罰も変化する という
現実的な考え方です。

でも
実務家養成のロースクールでは
事例中心の勉強なので
旧試の受験生のような
学説オタクはいないような気がします。

僕も刑法学説や
民訴の争点効や新訴訟物理論
などの新堂説,
手形・小切手法の創造説など
ひと通り勉強しましたが
社会に出て役に立ったという
記憶がありません・・・。

仕事にもよりますが
書式集,法令集,コンメンタール,
判例・先例集といったところで
十分な気がします。

最後は
出版の話から
前田説の話に
なってしまいましたが

読んでいただき
ありがとうございました。

以上


2017年2月25日土曜日

前田雅英先生と刑事訴訟法


出版社の共著についての推察

2004年6月に「東京大学出版会」より
池田修・前田雅英 両先生 共著
『 刑事訴訟法講義 』 の初版が
出版されました。

その後にも
『 ケースブック刑事訴訟法 』
( 弘文堂ケースブックシリーズ )
笠井治,前田雅英 編
弘文堂 2007

『 刑事訴訟法判例ノート 』
前田雅英,星周一郎 著
弘文堂 2012

『 刑事訴訟実務の基礎 』
前田雅英 編;青木英憲 [ ほか ] 著
弘文堂 2010

といったように
刑事訴訟の本が出版されています。

前田 先生というと
司法試験などで
刑法の基本書となる
体系書や演習書などを著し
前田説と呼ばれる
刑法の論理体系を築かれた先生です。

ですので
前田先生が
「 刑事訴訟法 」を書いたの?

といった印象を最初に持ちましたが

団藤重光 先生が
『 刑法綱要 』 創文社
総論 1957,各論 1964 や
『 刑事訴訟法綱要 』
弘文堂書房 1943 などを著し

平野龍一 先生が
『 刑法総論 』 有斐閣 1983 や
『 刑事訴訟法 』 弘文堂, 1954 を
それぞれ著していることを見れば
特に何も違和感はありません。


著者等の記載 について説明すると
単独執筆 の場合は ○○著 という記載なので
誰の執筆かは明確です。

他方
前田雅英 編 という記載の場合

というのは
パートごとに
他の数人の学者や実務家の先生が
内容を分担して執筆し
それを前田先生が全体の構成を編集し
責任者として 内容をとりまとめた
ということです。

他の記載方法については
編著 となっていれば
内容のとりまとめ に加えて
自らも執筆 しているということです。

その他には
監修 という記載方法もあります。
監修は用語や学説,理論などの
内容に誤りがないかを確認すること
著者ではありません。

というのが一般的な意味です。
しかし実際は
となっていても
内容は自らも執筆している
編著 であることはありますし
監修 についても
箔をつけるだけの形式的
ものもあります。

さて
前田先生の刑事訴訟法 についてですが
東京大学出版会の『 刑事訴訟法講義 』
弘文堂の『 刑事訴訟法判例ノート 』
共著 という形になっています。

どこまで執筆分担しているのかは
わかりません。

これは想像の域を出ないのですが

まず
東京大学出版会の
『 刑事訴訟法講義 』については
初版の出版年月が2004年6月となっています。

法科大学院が
2004年4月に創設されたことを考えると
東京大学出版会としては
学術的な深い内容ではない
実務的な手続法の
ロースクール生向け
基本書的なものを出版したい。

そうなると
実務家の先生 に執筆をお願いしたいが
司法試験受験生をターゲットにして
販売する場合には
内容が十分であっても
ネームバリューとして地味 であり
売れる見込みが未知数です。

司法試験受験生の購買行動
内容評価以前に ネームバリュー
先導される傾向 にあるので
前田説を浸透させ
司法試験委員等も歴任し
刑法の本も相当売れた実績のある
前田先生の名前を使いたい。

というように
通常の出版社なら考えて
話しを持ちかけるのが普通でしょう。

後の2007年には
同じ手続法の
民事訴訟について著された
『 講義 民事訴訟 』
初版が出版されました。
こちらは
元判事の藤田広美 先生の
単著 ですが
司法協会 出版の
『 民事訴訟法講義案 』 の著者
といわれる方なので
ロースクール生向け教科書としての
内容は十分であり
学生は飛びつくと判断して
単著で行けるといった
ところだと思います。

弘文堂の
『 刑事訴訟法判例ノート 』においても
司法試験受験生の購買行動を
考えて売れるようにするためには
前田先生のネームバリュー
必要です。

弘文堂の場合も推察ですが

出版社側とすれば
例えば
過去に出版社から本を出して
売れた実績があり
その後もよく執筆を頼まれる
先生がいるとします。

その先生が別の方を紹介しましたが
確実に売れるといった
実績が足らない場合に
その先生に 監修 として
名前を入れることを条件に
執筆させることがあります。
要するに
担保としての
名義貸しみたいなものです。

『 刑事訴訟法判例ノート 』の場合でも。
弟子に実績をつけてあげたいので
弟子の 星周一郎 先生を勧めたが
ネームバリューの問題で
前田先生の名前も出してもらう
ということだろうと思います。

ただ
『 刑事訴訟法講義 』 の場合も
『 刑事訴訟法判例ノート 』
同じですが。
監修 前田雅英 とすると
共著の先生に対し失礼になります。

駆け出しの研究者や実務家
または専門外の者が執筆する場合に
監修に入ってもらうのが通常で

池田修 先生や 星周一郎 先生の場合は
実務家や学者として
十分な実績があるので
共著 という形になっているのだと
思います。

もちろん
前田先生も執筆していれば
当然共著ですが・・・。

また
著者名の記載順 については
おそらく
池田先生は前田先生の大学の先輩
あたるので
『 刑事訴訟法講義 』 については
池田修,前田雅英 の順。
『 刑事訴訟法判例ノート 』 では
星先生は前田先生の弟子 ですので
前田雅英,星周一郎 の順
ということでしょう。

また
木村光江 先生も 前田 先生の
お弟子様です。

著書の
『 刑事法入門 』 1995年
『 刑法 』 1997年
『 演習刑法 』 2003年 は
東京大学出版会 からですが

東大出身でない 木村光江 先生が
東京大学出版会 から
出版しているということは
おそらく 前田先生のご推薦
あったのだろうと推察します。

このように
前田先生の刑事訴訟法は
“ なぜ共著なのか ” との考えを契機に
色々と推察すると

前田説の普及とネームバリュー,
弟子の育成,行政関係の委員,
首都大でのロースクール生の育成など
数々の功績を残した事実と
人望の厚さが見えてきます。

と,まあ出版の経緯は
ご本人様に確認したわけではないので
想像の域をでませんが・・・。

出版社的にはこんな感じなのかな
といったところです。


以上
読んでいただき
ありがとうございました。

2017年2月20日月曜日

近代立憲主義と平和主義


近代立憲主義と
日本国憲法の3原則の中の一つ
平和主義ついて考えてみます。

法律関係者には
「釈迦に説法」なので
主に高校生をターゲットにします。

先日
『伝わる書き方』(PHP研究所)
という本を
書棚から出して
再読したときがきっかけです。

著者の
三谷宏治 氏
K.I.T.虎ノ門大学院主任教授
アクセンチュア 等で
経営コンサルタントを
されていた方です。

三谷 氏の著書は
わかりやすく書かれ
私も大いに参考にしています。

この本の内容は
文章の書き方について
① 理解しやすいように
  文章を短く切り
② その文章の内容を
  類型別に目次化させ
③ 読者が興味を引くように
  文章に波をもたせる
というように
3つ方法に分類して
レクチャーした手引書
です。

その中で
気になった箇所があります。
70頁の
日本国憲法 前文
“ 余計な装飾を省く ” 説明のくだりで

個人的見解と断ったうえで

日本国民は,
恒久の平和を念願し
人間相互の関係を支配する崇高な理想を
深く自覚するのであつて
平和を愛する

諸国民の公正と信義に信頼して,
われらの安全と生存を保持しようと
決意した。

から

日本国民は,
諸国民の公正と信義に信頼して,
自らの安全と生存を保持しようと
決意した。

と文章を簡潔にしています。

省いた箇所の

恒久の平和を念願し
人間相互の関係を支配する崇高な理想を
深く自覚するのであつて
平和を愛する


の部分を
“ 余計な装飾 ” として省いています。

この本は憲法論について
書かれたものでなく
確かに
この箇所の表現は
『くどい言い回し』
と感じます。


ここで
近代立憲主義について考えると

近代立憲主義 とは
憲法に基づいて政治を行う考え方です。

その 3原則
① 国民主権
② 人権保障
③ 権力分立

です。

権力分立 とは
立法,司法,行政の
三権分立も含みますが
より広く捉えます。
日本の場合は
地方分権,行政委員会,二院制
三審制 等も含みます。
この仕組みは
権力が一つに集中しないように
権力機構を分散させ
抑制と均衡を図るものです。

一方
日本国憲法の3原則
① 国民主権
② 基本的人権の尊重
③ 平和主義

です。

国民主権 について

日本国憲法の国民主権 と
近代立憲主義の国民主権 とは
異なります。

日本国憲法の国民主権 には

国の政治の在り方を
最終的に決定する権力を
国民自身が行使する
権力的契機 ― ①

国家の権力行使を
正当づける究極的な権威が
国民にあるとする
正当性の契機 ― ②

の二つを合わせた
意味を持っています。

しかし
近代立憲主義の国民主権 には
②の 正当性の契機 の意味しか
ありません。

次に
国民主権 および 権力分立 と
人権保障 との関係については

国民主権 および 権力分立
人権保障を実現するための手段です。

平和主義人権保障 との関係は
平和であることは
人権保障の前提となる関係です。


では
平和が人権保障の前提となるものならば
なぜ
平和主義が
日本国憲法の3原則には
挙げられているのに
近代立憲主義の原則には
ないのでしょう。


近代立憲主義 においても
平和主義が当然 のことであり
規定されなかっただけで
無視されたのではありません。

これに対し
日本の場合
二度の世界大戦を経験し
侵略によって
他国に被害
を与えました。

それと同時に
空襲や原爆投下などもあり
戦争で多くの国民に
被害
が出ました

これらを教訓として
平和主義を明文化 して
その 意義を強調 した
ものと考えられます。


だから
余計なほど,繰り返して
平和を強調
していると考えます。

このように
全く関係ないところから
あらためて考え直してみたり
発想が湧いたりすることって
ありますよね。


~ 参考文献 ~

伝わる書き方 三谷宏治 著 / PHP研究所 2013

日本国憲法 朗読CD 佐藤慶 / フォンテック 2006

比較憲法 第3版 樋口陽一 著 / 青林書院 1992

憲法 第3版 佐藤幸治 著 / 青林書院 1995



以上
読んでいただき
ありがとうございました



2017年2月15日水曜日

雑誌の号数が抜けてる? 話


法情報検索 各論 4 文献 5

ジュリスト と 週刊東洋経済 の例

以前に
判例時報 と 判例評論 の回で
書きましたが
各出版社独自のルールで
雑誌に巻号が付されているので
非常にわかりづらいものもあります。


雑誌書架や書庫で
雑誌の号数が抜けている
場合があります。

除籍や紛失で
欠号の場合は納得がいくのですが

所蔵があるのに
見つけることができないと
フラストレーションが溜まるし
何より時間が無駄になります。

「 ○○号が抜けている 」 との指摘が
たびたびあるのが
法学系雑誌では
ジュリスト です。

例えば
ジュリスト
1471号 ~ 1480号 まで
書庫からの出納依頼を受けたが
1479号 が抜けていて見当たらない!
といったケースです。

結論からいうと
1479号
ジュリスト臨時増刊号 の
【 平成26年度 】重要判例解説

いわゆる 重判 です。

重判巻次
ジュリストの通号表示 なっています。

一方
ジュリスト増刊
固有のタイトルで刊行され
論究ジュリスト
法律学の争点シリーズ など
別の巻号表示 になっています。
また
判例百選 の場合も
ジュリスト臨時増刊 1964年10月号
「 刑法判例百選 」より後の刊行は
別冊ジュリスト として
刊行されており
月刊のジュリストとは
別の巻号表示 になっています

といったように
非常に混乱しますが…。


探しづらくなる要因の一つ には
各図書館でローカルルールがあり
受入や排架の方法,
OPAC( 利用者用検索機 )表示
などが異なるため
です。

一般的に大学図書館での
排架
ジュリストとは別に
重判,判例百選,論究ジュリスト など
シリーズごと にまとめられています。
一方で
OPAC表示
雑誌では通号表示のみ
なっていることが多いです。

また
これは公共図書館にありがちですが
ジュリスト は年間契約で
雑誌 として受入れているが
臨時増刊号は契約の対象外で
雑誌受入れしていない。
しかし
利用者からのリクエスト等で
重判 のみを 図書 として
受入れしている場合です。

この場合は
OPACで探しづらいことはもちろん
司書に尋ねても
「臨時増刊号は受入れていないので
 所蔵していません。」
との回答をされたことがあります。

確かに
この区の図書館で
所蔵しているはずだと思って
自分で調べると
同区内の他館で図書として
所蔵していました。

ということで
早速に取寄せの手続をしたところ
貸出もされていないのに
あまりにも来るのが遅いので
所蔵状態を調べたところ
ステイタスが所蔵のままだったので
手続きをした図書館へ
問い合わせてみたら
何と! 他区に取寄依頼中です
との回答を受けました。

オイオイと思いつつ・・・
まぁこんなもんだろうとも感じました。

教訓として
目的の資料がある場合は
所蔵館へ直接行くことにしています。
それから
調べものについては
調べる対象の分野の関連資料が多い
都立,県立図書館や国立国会図書館,
専門図書館を利用しています。

それが一番確実で無難でしょう!


ジュリスト 以外 でも
同様の問い合わせがあり
巻号の付け方が紛らわしい
雑誌はあります。

一例をあげると
週刊 東洋経済臨時増刊 です。
この臨時増刊は
DETA BOOKシリーズ と呼ばれ
株価総覧,日本の企業グループ,CSR企業総覧
など
といった
統計・総覧
形態もレギュラーの 週刊 東洋経済 とは異なり
事典のように分厚いものです。

図書館でも
週刊 東洋経済 と混配になっていることは
まずありません。
しかし
巻次週刊 東洋経済
通号 になっていますので
OPAC表示が巻号のみになっていると
まずわかりません。

公共図書館においても
ジュリスト のように
受入形態が異なることが多いので
同様の回答を受けたことがあります。

これらの問題は
利用者には全く非がありません。

そして
これらが問題となるよくあるケース
授業で配布された レジュメ
論文等参考文献
シリーズ名等の記載がなく
通号表示のみの記載
なっている場合です。


排架法や分類法,目録法
資料組織法
本来 資料へのアクセスを
容易にするための方法
ですが
そのルールに則ったら
かえって
わかりづらくなるというのであれば
本末転倒です。

図書館側
例えば
サインやガイドで導いたり
リストやパスファインダーなどを
作成する
といったように
プロの司書としての知恵を出し
サービス向上に努めるべきであると
思います。

では
そのようなサービスの
行き届かない図書館で
利用者が検索する方法 として
“ サービスの充実している ”
他の図書館の蔵書目録
出版社のWebサイト など から
複合的に検索 してみてください。


~ 参考資料 ~

東京都立図書館 - 蔵書検索
https://catalog.library.metro.tokyo.jp/winj/opac/search-detail.do?lang=ja

東京大学 - OPAC
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_search/?lang=0

慶應義塾図書館 - 調べる・探す
http://www.mita.lib.keio.ac.jp/search/index.html

有斐閣 - 雑誌
http://www.yuhikaku.co.jp/magazines

東洋経済 - 統計・総覧
https://store.toyokeizai.net/databook/


以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2017年2月5日日曜日

最高裁判所判例の構造


法情報検索 各論 3 判例検索 12

物事には
それぞれの
構造や仕組みがあります。
日常生活や
仕事での事務処理
その他
研究などを行う際に
それらの構造や仕組みを
理解しておくと
同様のものに
出会った時の処理を
迅速に行うことができます。

官報の構造 については
以前のブログ
「 官報の構成と検索 」
述べました。

今回は
最高裁判例の構造 について
述べたいと思います。

まず
最高裁判所の判例 について
判例集に掲載されている事項
前から順に
見ていきます。

① 事件名
民事 の場合は
原告の請求内容を
簡単に記載されたもの
刑事 の場合は
起訴状に記載される罪名が
事件名となります。
なお
報道記事の事件名とは
異なります


② 事件番号
事件番号については
以前のブログに書きました
ので
「 裁判所 事件記録符号の読み方 」
参照ください。

③ 裁判年月日 
判決または決定が下された年月日
および
審理および裁判を行った法廷名
( [ 第1~3 ] 小法廷 または 大法廷 )

裁判の種類 ( 判決または決定 )
が掲載されています。

④ 結論
最高裁判所が下す結論には
・(上告)却下
・(上告)棄却
・破棄差戻し
・破棄自判

などがあります。

民事訴訟 の場合
上告が不適法である場合 には
決定
上告を 却下 することができます。
( 民事訴訟法317条1項 )
明らかに上告理由に該当しない場合
決定
上告を 棄却 することができます。
( 同条2項 )

これら以外の場合は
口頭弁論を経た上
上告された内容に
理由がない場合 には
判決
上告を 棄却 することができます。
( 同法319条 )

一方
適法な上告 がなされ
かつ
上告された内容に
理由が認められる
( 認容する )
場合
または
訴訟要件などの
職権調査事項に関して
原判決を維持できないことが
判明した場合

原判決は 破棄 されます。
( 民事訴訟法322条 )

原判決を破棄 した上で
原裁判所
( 控訴審,高裁 )に戻し
もう一度審理
されることが
破棄差戻し ( 民事訴訟法325条 )
最高裁判所が自ら裁判 することが
破棄自判 ( 同法326条 ) です。

刑事訴訟 の場合
上告が不適法である場合 には
決定
上告を 棄却 することができます。
( 刑事訴訟法414条,385条,395条 )
訴訟手続上
例えば
・移送申立て( 刑事訴訟法19条 )
・保釈請求( 同法92条 )
・証拠調べ請求( 同法316条の5 )
・忌避申立( 同法429条 )
などの請求・申立を退ける場合
には
却下 することができます。

一方
民事同様

上告に理由がない場合 には
判決 により
上告を 棄却 ( 刑事訴訟法408条 )

上告された内容に
理由がある場合

または
刑事訴訟法411条 に掲げる
職権破棄事由 がある場合
には
原判決は 破棄 され
破棄差戻し ( 刑事訴訟法413条 )
破棄自判 ( 同法413条但書 ) などの
判決 がなされます。

⑤ 当事者
上告審の当事者の呼び名
民事 の場合は
上告した側を
上告人
された側を
被上告人
と呼びます。

刑事 の場合は
常に
検察官被告人 です。

⑥ 下級審の情報
第一審と控訴審を担当した裁判所
および
裁判年月日 が掲載されます。


以下の ⑦,⑧ の2項目については
判例の要点を確認するための項目 です。
これらは
判決の一部ではなく
最高裁判所判例委員会により
判例集を編纂する際に
付される項目
です。

⑦ 判示事項
裁判において
そもそも何について
判断したのか
争点を簡潔に要約 したものです。

⑧ 判決要旨( または 決定趣旨 )
事案の概要や
争点とその判断を
要約
したものです。
また
少数意見の有無
掲載もあります。

注意点 として
裁判所が判断するに至った
プロセスや事情
および
事案関係の特殊性について
判決要旨から判断することは
困難です。


以下の ⑨,⑩ の2項目は
判例の “ body ” といえる項目 です。

⑨ 主文
裁判の結論を
簡潔に述べたものです。

上告審では
原則,上告人が
原判決を不服として
上告した点について
判断されます。
( 民事訴訟法320条 )
( 刑事訴訟法392条,414条 )

これにより
主文はその請求に応答
する形で掲載されます。

⑩ 理由
主文と同様
上告理由( 民事 )
上告趣意( 刑事 )に応答

する形で述べられます。

理由の部分で
主文の結論に至った
思考プロセスが
詳しく論じられます。


理由の中身の構造
以下の通りです。

◇ 確定した事実
上告審は法律審なので
原則は
原判決において適法に確定した事実を
前提
とします。
( 民事訴訟法321条1項 )
原審の
事案の概要
について
法的な視点で整理 されて
掲載されます。

◇ 訴訟の経緯
第一審や控訴審
どのようなものであったのか。
それらの 経緯 が掲載されます。

◇ 法的判断
判例を見る際のキモの部分 です。
具体的な事実を前提 として
その案件について
あてはめ法的評価 が行われ
それに基づき
法の適用について判断 がなされ
結論に導いた
裁判所の見解
が述べられています。

◇ 裁判官の意見
最高裁判所 の裁判の場合のみ
個別の裁判官の意見
表示しなければなりません。
( 裁判所法11条 )
これは
最高裁判所裁判官の国民審査
( 憲法79条2項,4項 )
のためです。

意見が分かれた場合
その 裁判の結論となった意見
法廷意見( 多数意見 )
その他に
多数意見に賛成 した裁判官が
更に何か 付け加えた意見
補足意見
結論には賛成 だが
理由づけが異なる意見
意見
多数意見に
理由,結論ともに反対の意見

反対意見
といいいます。


これ以下の ⑪,⑫ の2項目は
判例データベースの
テキストページ
では
通常 カット されています。

⑪ 上告理由,上告趣意
上告人が
原判決を不服として
上告した理由
です
上告理由( 民事 )
上告趣意( 刑事 )

が掲載されています。

上告理由,上告趣意 については
以前に書いたブログ

参照ください。
「 上告趣意 上告理由の検索 」

⑫ 参照
第一審,控訴審の
主文と事実および理由

掲載しています。


~ 参考文献 ~

判例学習のAtoZ 池田眞朗 編著 / 有斐閣 2010.10

法律文献学入門 - 法令・判例・文献の調べ方 西野喜一 著 / 成文堂 2002.7

判例とその読み方 中野次雄 編著 / 有斐閣 2009.4



以上

読んでいただき
ありがとうございました。




2017年1月10日火曜日

公正取引委員会の旧指針・ガイドラインの検索


法情報検索 各論 1 法令検索 12

前回は
経済法の審決等の検索について
述べましたが

ときたまある質問で
「 独禁法などの指針やガイドラインで
改正前のものは検索できますか 」

とのお尋ねがあります。

まず
現在の
所管法令・ガイドライン

については

公正取引委員会のWebサイト
トップページ を開くと

左下辺りに
「 所管法令・ガイドライン 」
アイコン がありますので

そこから
所管法令・ガイドラインのページ
行くことができます。
( アクセス日:平成29年1月10日 )

直接リンクはこちらです

● 所管法令・ガイドライン - 公正取引委員会
http://www.jftc.go.jp/hourei.html
トップページ > 所管法令・ガイドライン

では
改正前の
指針・ガイドライン

検索 についてご案内します。

条約の回でも述べましたが
官公庁のWebサイトは
ボリュームがあり
入り組んでいます
ので

トップページから
「 サイトマップ 」「 検索窓 」
使うと効果的です。

例えば
「 企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針 」
( 企業結合ガイドライン )

最終改定 平成23年6月14日
( 平成29年1月10日 現在 )

http://www.jftc.go.jp/dk/kiketsu/guideline/guideline/shishin01.html

から
一つ前に改定された
( 平成22年1月1日 改定 )

企業結合ガイドライン
を検索する場合

色々な検索ルート がありますが
まず
サイトマップ から
独占禁止法 カテゴリの
企業結合 を選択します。

次に
企業結合 のページの下の方に
法令・ガイドライン等( 企業結合 )
ありますので
選択します。

法令・ガイドライン等( 企業結合 ) から
ガイドライン を選択

一つ前の改正の
平成22年1月1日施行の
ガイドラインの改正
を選択。

選択したページの
ガイドライン の箇所を
選択すると
平成22年1月1日改正の
企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針

閲覧できます。

http://www.jftc.go.jp/dk/kiketsu/guideline/guideline/oshirase/2211kaisei.html

「 検索窓 」 を使う場合は
トップページ右上の 検索窓 から
ガイドライン名を入力 して検索すると
サイト内の該当するものが出ますので
その中から
目的のものを選択するとよいでしょう。

正確なガイドライン名が
わからなく
新旧のガイドラインを探したい場合

「 検索窓 」 から
“ ガイドライン 新旧 ” など と入力し
検索結果一覧 から目的のガイドラインを
探す方法もありますので
色々な方向から検索してみて下さい。


前回も申し上げたとおり
公正取引委員会のWebサイトは
かなり充実していますが

その他の
独禁法の参考になるWebサイト
ご紹介します。

● 白石忠志ウェブサイト
http://shiraishitadashi.jp/
東京大学教授 白石忠志 先生のWebサイト

● 舟田ルーム
http://www.pluto.dti.ne.jp/~funada/
立教大学名誉教授 舟田正之 先生の Webサイト

● みんなの独禁法 - 弁護士 植村幸也 公式ブログ
http://kyu-go-go.cocolog-nifty.com/
経済法をはじめ企業法を得意とする
気鋭の弁護士のブログ


以上

読んでいただき
ありがとうございました。




2017年1月9日月曜日

審決 等 経済法関係の検索


法情報検索 各論 3 判例検索 11

「 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する
法律の一部を改正する法律 」

( 平成25年 法律 第100号 )
平成25年12月13日公布
そして
平成27年4月1日 から 施行 されました。

この改正により
公正取引委員会が行う審判制度が
廃止
されました。

この 改正前まで
公正取引委員会がなした
排除措置命令や
課徴金納付命令などの
行政処分に不服がある者( 被審人 )
まず
公正取引委員会が行う審判 にて
事実の存否について争います。

この手続きは
「 準司法手続き 」
裁判所による審判に類似した
行政機関による審判 です。

なお
行政審判 については
“ 終審として裁判を行う ”
ことは 憲法上できません

行政審判 については
憲法上否定されていません
( 憲法 第76条2項 )

そして
公正取引委員会による審決に
不服のある場合は
専属管轄である東京高等裁判所に
審決取消訴訟を提起するといった
手続きになっていました。

改正後 においては
排除措置命令や
課徴金納付命令などの
行政処分に不服がある者( 被審人 )
第一審 として
東京地方裁判所 を専属管轄として
審判されることになりました。

これは
判断の合一性を確保するとともに
裁判所における専門的知見の蓄積を
図ることを理由とするものです。

そして 上訴 された場合は
東京高等裁判所 → 最高裁判所
へと審級します。

詳しくは
公正取引委員会のWebサイト
にあります。

● 「 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案 」 の閣議決定について ( 平成25年5月24日 )
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/may/130524.html
トップページ
> 報道発表・広報活動
> 報道発表資料
> 平成25年
> 5月

● 審判制度の廃止に伴う処分前手続・不服審査手続の見直し( PDF )
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/may/130524.files/03gaiyou2.pdf

● 改正独占禁止法(平成25年)Q&A
http://www.jftc.go.jp/dk/kaisei/h25kaisei/qa.html
トップページ
> 独占禁止法
> 独占禁止法の改正について
> 改正独占禁止法(平成25年)
> 改正独占禁止法(平成25年)Q&A

● 独占禁止法違反事件の処理手続図( PDF )
http://www.jftc.go.jp/dk/seido/shorizu.html


審決制度が廃止になったとはいえ
現在係属中の審判事件は
法改正後においても
公取委による審判手続において
審決されます。

審決について検索 する場合は
公正取引委員会のWebサイトの
審決データベースシステム
検索ができます。

● 審決データベース
- 公正取引委員会

http://www.jftc.go.jp/shinketsu/index.html

さらに
審決一覧 では
年度ごとに見ることができるので
そちらからの検索が
早い場合もあります。
また
過去およそ2年分の事件は
報道発表 にリンクされています。

● 報道発表資料
- 公正取引委員会

http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/index.html
トップページ
> 報道発表・広報活動
> 報道発表資料

その他には

● 所管法令・ガイドライン - 公正取引委員会
http://www.jftc.go.jp/hourei.html
トップページ
> 所管法令・ガイドライン

● 相談事例集( 独占禁止法 )
- 公正取引委員会

http://www.jftc.go.jp/dk/soudanjirei/index.html
トップページ
> 独占禁止法
> 相談事例集

● 公正取引委員会年次報告
- 公正取引委員会

http://www.jftc.go.jp/soshiki/nenpou/index.html
トップページ
> 公正取引委員会について
> 年次報告

● 世界の競争法
- 公正取引委員会

http://www.jftc.go.jp/kokusai/worldcom/index.html
トップページ
> 国際的な取組
> 世界の競争法

などの閲覧が可能で
公正取引委員会のWebサイトは
かなり充実していて
経済法関係の情報を
集めるには非常に重宝します。

また
独禁法とは何かを
わかりやすく解説している
コーナーも充実していますので
独禁法や下請法のことが
わからない場合は
まず
このWebサイトに
当たるとよいでしょう。



公正取引委員会のWebサイトの他に
「 景品 」 と 「 表示 」 に関する
公正競争規約
については
社団法人 全国公正取引協議会連合会
の Webサイトから
規約条文 を見ることができます。

● 公正競争規約とは
- 社団法人 全国公正取引協議会連合会

http://www.jfftc.org/rule_kiyaku/index.html
ホーム > 公正競争規約とは

▼ 公正競争規約条文( 景品 )
- 社団法人 全国公正取引協議会連合会

http://www.jfftc.org/rule_kiyaku/kiyaku_keihin.html
ホーム
> 公正競争規約とは
> 条文一覧( 景品 )

▼ 公正競争規約条文( 表示 )
- 社団法人 全国公正取引協議会連合会

http://www.jfftc.org/rule_kiyaku/kiyaku_hyoji.html
ホーム
> 公正競争規約とは
> 条文一覧( 表示 )


以上

読んでいただき
ありがとうございました。




2016年12月5日月曜日

情報収集としての盗聴と違法行為


前回(盗聴器発見のTV番組)の話で
一般人宅の盗聴器発見の依頼 があり
探索に行っても
現に作動しているものが
出てくるということは
経験上ほとんどない
述べました。

このような結果になるのは
盗聴器設置行為が
大きな利益にならないことが
多いと思われます。

翻って
研究所や法人からの依頼 では
高い確率 で盗聴器などが
発見されます。

例えば
技術開発
株価の情報収集,操作。
さらには
会社の派閥争いや
企業買収おける工作など

利用されるからです。

特に
技術開発 では
国内の同業者だけでなく
日本の高い技術
他国が欲しがる情報 です。
特に近隣の某国なんかにはね・・・。

大きな利益になる情報
得るための手段としての盗聴は
大掛かりかつ機材もハイテクです。
音声信号を電線に乗せて
盗聴する方法。
電話回線を利用する方法。
さらには
望遠マイクや
レーザー光線を利用した方法。

反対に身近なところでは
ボイスレコーダーによる録音など。
様々な方法があります。

国家レベルであれば
「CIA」「モサド」「MI6」
といった
諜報機関 は国家組織の一部であり
国の情報収集機関 として
重要な役割を担っています。
その規模も
「 プリズム( PRISM ) 」
「 エシュロン ( Echelon ) 」など
巨大なものになります。


民間の個人や法人に話を戻すと
情報収集として
部下や協力者からの報告
他人から得た伝聞情報
どうしても
彼らの 主観 が入ってきたり
報告者の表現により
解釈にズレ が出たり
極端にはウソをつかれて
事実を曲げられる可能性もあります。
また
報告や伝聞 には
対象者の音声情報 がないため
言葉の抑揚など
対象者の微妙なニュアンスの
情報が抜け落ちてしまいます。

これに対し 盗聴
対象者の会話が
音声情報としてダイレクトに
入るため
フィルターとなるものがなく
情報の信頼性は高くなる
といえます。

ということは
裁判においても証拠としての
価値が高いということでしょう。

しかし
情報( 証拠 )収集のプロセス
問題があります。

他人が仕掛けた盗聴波を
受信すること ( 便乗盗聴 )
のみの行為では
違法とはいえません。

とはいえ
盗聴器を仕掛けるのに
正当な理由なく
人の住居や
住居に付属した敷地
( 庭など )の邸宅,
建物に接続して障壁等で囲まれている
囲繞地へ侵入すれば
住居侵入罪刑法 第130条前段

そして
他人の物を損壊
つまり
その物の効用を失わせる行為があれば
器物損壊罪 ( 刑法 第261条 )
に該当するおそれがあります。

(参照)e-Gov法令検索:刑法

電波法 に関していえば
第4条,第59条,
第109条~110条

あたりが関係します。

(参照)e-Gov法令検索:電波法

電気通信事業法
第4条 においても
電気通信事業者の取扱中の通信を
侵してはならない旨の規定があり
これに違反した場合は
第179条 により 罰則 があります。

(参照)e-Gov法令検索:電気通信事業法

さらに
固定電話,ケーブルテレビと
これらの回線を利用するインターネット
などの有線電気通信の設備使用
に関して規定した法律である
有線電気通信法 においても
第9条,第13条~第15条
あたりが関係します。

(参照)e-Gov法令検索:有線電気通信法

このように
捜査機関でない
一般人の盗聴行為には
いくつもの違法行為や犯罪が
含まれるおそれがあります。


刑事訴訟法 における
違法収集証拠排除法則 と異なり

民事訴訟 では
違法収集証拠排除の明文規定はなく
自由心証主義 から
証拠方法の無制限と
証拠力は自由評価
とします。

しかし
著しい反社会的手段を用いて
人格権を侵害する方法で
収集・使用された証拠の場合
例外的に違法収集証拠として
証拠能力を認めない
場合もあります。


盗聴より収集した証拠は
その収集方法によっては
違法収集証拠になる場合も
考えられます。


< 参考サイト >
★ 安心してインターネットを使うために
- 国民のための情報セキュリティサイト
- 総務省

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/basic/legal/index.html

★ 微弱無線局の規定
- 総務省 電波利用ホームページ

http://www.tele.soumu.go.jp/j/ref/material/rule/index.htm

★ ラジオライフ.com
http://radiolife.com/category/security/bug/
ラジオライフ.com
> セキュリティ
> 盗聴器


以上
読んでいただき
ありがとうございました。

2016年12月3日土曜日

かつての盗聴器発見のTV番組


以前に
大物歌手が薬物使用の疑いで
警視庁が逮捕状を取ったとの
報道がありました。

その歌手が警察に向かう前に
テレビのワイドショーにおいて
芸能レポーターとの
電話のやり取りで
「 自分は監視され
 会話も盗聴されている 」

訴えていたことを覚えています。

そこで今回は
個人宅の盗聴器発見調査 について
書いてみたいと思います。

探偵の業務 の一つに
盗聴器発見( 盗発 ) の調査
あります。

これは
個人・法人を問はず
「 盗聴器を仕掛けられているらしい 」
として 依頼 があった時に
探索・除去 する調査です。

僕は最近テレビをあまり観ないので
ハッキリわかりませんが
確か10年以上前に
「 盗聴器発見の仕事 」 を扱った
2時間スペシャルの番組が
ありました。

内容
機材が登載された
ワゴン車が街や住宅地を巡回して
怪しい電波を感知すると
その電波が発信されている宅へ
向かいます。
そして家主に説明・交渉して
盗聴器を探索させてもらいます。

探索の結果
「 こんな盗聴器が
 仕掛けられていました。」

などと言って
盗聴器を発見してもらった宅の側も
その後のインタビューで
「 こんなものが仕掛けられて
 いたなんてねぇ。
 でも
 見つけてもらってよかったです。」

と,安堵して
一件落着 というものです。

でも
このテレビを観ていて
真実はわかりませんが
どうも
“ ヤラセっぽくて胡散臭い ”
と感じましたね。

その理由 として

盗発だけをやっている業者の
運営が成り立つほど
個人宅に
たくさんの盗聴器が
仕掛けられているものなのか。


しかも
盗聴器の探索・除去のみで
その宅の主と家族は
本当に安心なのか。


要するに
盗聴器の電波は障害物等もあり
クリアには,
そう遠くに飛ぶものでなく
近くで聞いている者がいること。
それと
誰がどういった目的で
仕掛けたのか。

通常
仕掛けるには
宅内に入り
電源を取る必要がありますから
不特定多数の者が仕掛けるのは
難しい
と思われます。
それを解決しないと
不安を払拭できないのでは?
と,思います。

さらには
盗聴器が仕掛けられている
疑いがあるといって
訪問しているのに
仕掛けられているその宅内で
話をするのは
プロとしておかしい。


話すときは
筆談か
場所を変えて説明
しないと
誰かに聞かれている
可能性が十分にありますよね。
そう思いませんか?

プロの仕事としての配慮が
あまりにも欠けています。


とういように
この手の番組への疑問には
際限がありません。

そう考えると
テレビ局と業者が
一般人の
「 不安をあおる 」 ように
仕組んだ番組 であるということを
勘ぐってしまうのですが・・・。

探偵の仕事 としては
盗発の依頼があった場合
誰がどういった目的で
仕掛けたのか

あるいは
依頼人が
なぜ盗聴されていると
思ったのか

その辺の 問題解決が重要
なってきます。

先ほどのような
番組の放送があると
一時的に盗発の依頼が増えます。


最近は
医療や法律系の番組が多く
医師や弁護士のテレビ出演
多くなっています。
その理由は
そういった 宣伝効果 があるので
各業界団体と放送業界が
組んでいるものと想像します。

盗聴器発見のTⅤ番組も
それと似ていると思います。


正直言って
一般人の個人宅での盗発の結果
盗聴器なんか
ほとんど出てきません。


あったとしても
依頼人の彼氏などが番組に影響されて
浅知恵で通販などから
電池式の盗聴器 を買ってきて
仕組まれたものが発見された。
なんていう事例もあった
という程度ですよ。

そういう人は
盗聴器は電源がないと起動しない
ということは
わかっているらしいのですが
電池やバッテリーはなくなる。
という認識がないのか
「 スパイごっこ 」 をしたいのか
わかりませんけどね・・・。


個人の依頼人から
盗聴されているとか
誰かから監視されている
人が別の部屋で聞いているのを見た。
などといった依頼を受けた場合の
対応として。

調査の原則
先入観は真実の発見を曇らすので
捨てなければなりません。

それと
調査の際の
誘導尋問もまた真実を歪める
場合があります。


でも
最初にヒアリングをして
プロの洞察力から
これはないな。
なんて思っても
調査時はむしろ
機材を大量に導入するなどして
大げさに調査をします。

依頼人に
ここまでやってもないのだから
ないのだろう。
と思わせることが重要です。


盗聴・盗撮され
誰かに見られている。
との,依頼があり
その話のつじつまが全く合わなく
そんなことはありえない
妄想だと判断 しても。

調査前から
ないと思いますと言ったり
軽く調査をしてはいけません。

これは
霊能力者と同じケース
自分に見えないだけで
本人には見えている
のだから
必ずしも本人が
故意にうそをついているとは
限りません。

冒頭の
大物歌手と同様のケースも
ありますからね。


それは
捜査機関や医師にお任せ して

探偵
その依頼人の
問題を解決することに専念して
依頼人を安心させればよい
のです。


以上は
個人の依頼人のケース です。

しかし
法人からの依頼については
結果が全く異なります。


これについて書き始めると
長くなりそうなので
また回を改めて
書きたいと思います。


以上
読んでいただき
ありがとうございました。

2016年12月2日金曜日

探偵広告に見る電話帳検索時代の広告テクニック


前回 は
探偵や消費者金融の広報のついて
ふれました。

近年は SEO
検索エンジンの特性を知り
検索において
キーワードを入力したとき
いかに上位にヒットするかの
テクニックが重要視され
昔とは マーケティングの手法
変わってきました。

インターネットが普及する前
八百屋,魚屋,電気屋, 硝子屋など
日常生活に欠かせない店の場合は
いつもの店を利用することが多かったし
また
町内にもそういった店がありました。

一方
探偵や消費者金融 など
それらを初めて利用する場合や
そう頻繁に利用することがない
業者を依頼するときに
調べるツール として
タウンページなどの電話帳
使うのが一般的でした。

今ほどウェブが発達していない
15年くらい前は
タウンページで
一番紙面を使っている業種
興信・探偵業
その次金融業
だったと記憶しています。

それと今でも
タウンページの裏表紙 には
引越業 の広告
なんかが多いですよね。

電話帳で調べる場合
まず索引から
対象の業種を調べて
目的のページを開きますよね。
そうすると
ア行から始まっています。

業者の特定がなければ
ほとんどの人は
「ア」 から見る でしょう。

なので
検索上位にする方法
「ア」 で始まる名前 を付けます。

だから,
金融業 ならば
「 アイフル 」,「 アコム 」
引越業 なら
「 アート引越センター 」
かつら( 毛髪業 ) なら
「 アートネイチャー 」,
「 アデランス 」

興信・探偵業 なら
「 アイアイサービス 」
といった具合です。

こう見ると
歴史を感じますね・・・。

それと,
タウンページの配列 に関しては
「ア」が最初に来るのは当然ですが
「 アー 」 が
「 アイ 」 よりも
先にきます。


当時の
興信・探偵業の欄を眺めていると
「アー・アー・アー」なんていう
奇抜なネーミングもありました。

でもネット検索が主な近年は
検索上位にするには
「ア」 にこだわる
必要はありませんね。

当時のタウンページの
探偵の広告
他に 特徴的 なものは
1ページ広告 が多かった
ということです。

ページを開いたとき
ア行から細かい字を見ていくより
1ページ広告のほうが
目に付きやすいという利点があります。
その他に
大きな広告を出すには
費用もかかりますので
それなりに大きな探偵社でないと
難しいので
大きな広告=安定した業者=信頼
という意識が働きます。

それから
「 大きく 」 かつ「 忙しくみせる 」 技
というのもありました。

最近は
タウンページと電話が主流でないので
風変りしましたが
1ページ広告で
電話番号が多数記載 されている
探偵社の広告をよく見ました。

これは
多くの支社があるように見せる手法
ですが
実際は支社などなく
転送されて同じ所へ架かるという
カラクリです。


でも
実際に支社が存在する
探偵社 もあります。
そういうところは
だいたい
支社の住所が記載されています。


そして電話を掛けると
BGMのごとく
「 リーン 」 という 電話音
鳴り響きます。

これは
いかにも 「 忙しいぞ 」
と言わんばかりに
錯覚を起こさせる技 です。

でもまあ
今は ウェブが全盛の時代 なので
こういう 古典的な手法 を使っている
ところがあるのかはわかりません。

これらは
かつて,こういった手法もあった
という事例です。


でも
広報の方法
違法・不当とはいえなくても
消費者から 「 胡散臭い 」
思われて敬遠されてしまっては
元も子もありませんよね・・・。

顧客獲得の手段
事業の拡大を図るなら
時流に乗る ことは必要です。

また
広告に関して
技法と知識だけを詰め込んでも
成功するとは言い切れません。
要はセンスの問題 だと思います。


以上
読んでいただき
ありがとうございました。

2016年12月1日木曜日

探偵の営業と弁護士のCMについて思うこと


小売業やリサイクル業,
新聞や保険の勧誘などは

個人宅や会社などに
訪問して営業をかけたり
テレマーケティングなどで
顧客を獲得することができます。

いわゆる「 飛び込み営業 」
呼ばれるものです。

一方
探偵や消費者金融など
どうでしょう。

いきなり
個人宅に飛び込み営業をかけて
「 おたくの旦那様や奥様の素行や
浮気の調査はどうでしょう? 」

とか
「 年18.00%でお金貸しますよ! 」
なんて言って訪問しても
顧客獲得の費用対効果は
低いですよね。


探偵や消費者金融と同じく

まあ,探偵の場合は
法律事務所などに
飛び込み営業をかける
ケースもありますが・・・。

弁護士や司法書士 などの士業
医師や歯科医師 など の
クリニックなどは
基本的には
「 待ち 」 の商売 です。

しかし
ただ待っていても
クリニックや事務所の
存在を知らせなければ
顧客獲得はできませんので。
広報戦略が重要 になってきます。

昔からある手段 としては
新聞広告,情報誌,ポスター,
チラシ,ダイレクトメールの他
テレビやラジオのCMなど
があります。

最近 では
ウェブ もそれらに加わり
広報のツールとして
非常に多く利用されています。

では
これらのツールを使っての
広報戦略の中身 ですが
特に探偵業などの
伝統的手法 として
言葉は悪いですが
「 不安をあおる 」 手法
あります。

つまり
「 放っておくと
 大変なことになりますよ!
 だから今のうちにお電話を …。」

なんていう文句です。

最近は
探偵業者 や
シロアリ等の駆除業者など
に限らず
法律事務所や司法書士事務所の
過払金の広告やCM

似たような広告を見ますし
このようなストレートな物言いでなくても
同様のニュアンスに感じとれる
テレビやラジオのCMを見ます。

「 過払金のありそうな方は
  お電話ください。」

活字情報ならば
ごく普通の文言ですが
ここに 音声情報を加え
この文言に
抑揚を付けて しゃべったり
スリリングなBGMや効果音 を加えれば
受け手からすれば
印象ががらりと変わります。

テレビやラジオでの
法律事務所 や 司法書士事務所 の
過払金のCM
では
受け手に対し
まくし立ててせかすような
物言いで作られている
ことが
目につくようになりました。

これは
クライアントである
法律事務所や司法書士事務所の注文で
広告会社を通して制作されていると
思います。

僕なんかは
ああ
探偵のやつと同じ手法で作ってるな。
なんて思いながら
見てますが・・・。

これはあくまでも
個人的な感想で
他の方はどうとらえているのか
わかりませんが
過払金と関係のない者が
テレビなどで
あの,せかされるようなCMを見ると
非常に不快に感じるんですが・・・。

“ せっかく,くつろいで
  テレビを見てるのに・・・と。 ”


少しえげつなささえ感じますが
弁護士人口は増えるし
司法書士とも職域が被るしで

こう言っちゃ悪いですが
相手がヤミ金や090金融などで
なければ,比較的簡単で
経験が浅くても
できるような案件が多く
参入障壁が低いしね。

それでも
事件処理の仕方で
できる先生と,そうでない方と
ハッキリしているので
依頼人の利益に
大きく差が出る場合がある

ということは
確実に言えます。

最終的には中身が勝負
ですが

顧客誘致の入り口として
これから,
顧客獲得のマーケティング戦略 を練って
「 あおるようなCM 」 の手法
なんかも取り入れて
何でもやらないと ― 。

ただ,試験に合格しただけでは
メシの食い上げになる
というほど
サバイバルな状況下に置かれている
現れであると感じつつ
CMを見てしまいます。

でもちょっと
うっとうしいCMですよね ・・・。



以上
読んでいただき
ありがとうございました。

2016年11月25日金曜日

問題作成と採点実感等の活用法


出題趣旨 及び 採点実感は
司法試験受験者ならば
当然これらを
読んでいると思います。

以前
合格者に
出題趣旨や採点実感などを
どの様に読み,活用したのかを
聞いたことがありました。

その合格者が言うには
出題趣旨や採点実感には
何が問題点として問われているのか。
そして
どのように考えて欲しかったのか
また
してはいけないのか。
などが述べられている
道標なので
読んで答案作成の際に
そこを踏まえて書かないと
折角
ガイドしてくれているのに
活用しなければ
読んでないのかな
と思われて
印象が悪くなる。

でも
これらの分析に時間を割いていたら
択一 ( 当時は7科目 ) や
論文の勉強に支障がでてしまう。

そこで
出題趣旨や採点実感の
キーポイントを抽出して

それを
Q&A形式 にし
勉強の合間にそれを見ながら
頭に定着させて
答案を書く際に
そこを意識して
書くようにしていた。

と,教えてもらったことが
記憶にあります。

司法試験をはじめ
あらゆる分野での
勉強法
百人百様 ですので
その人に合った
違う勉強方法もあるでしょう。
こんな勉強法は
無駄だと思う方も
いるかも知れません。

プラグマティズム的 に考えれば
絶対的な勉強法なんていうものはなく
勉強法は
人それぞれ相対的 であり
この合格者は
その方法で合格した のだから
その勉強方法は真
ということです。


この勉強方法を聞いたとき
自分が
外資の保険会社 で派遣社員を
していたときの
研修 を思い出しました。

業務に就く前に
1週間ほど研修があったのですが
色々と専門用語や
マニュアルを叩き込まれます。
そして
研修講師から
毎日課題が出されます。

今日進んだ分を
明日まで全部覚えろとは言いません。
ただ
今日の分で
重要な個所を抽出して
問題と解答を
15問作成してくるように。
と言われました。

翌日
みんなで作成した問題を出し合い
講評します。

問題を作るということは
マニュアルを
理解していないとできません。
また
要約力も必要です。
そして
他人のものと比較すると
自分が落していた
重要なポイントに気づきます。

この研修は
短期間で効果の出る
合理的な方法でした。

この方法は
法科大学院生でいうならば
「 ゼミ 」 と同じ効果 ですね。

合格者,合格率の高い
法科大学院は

自主ゼミが
充実しているように思います。

ハイレベルの学生が
切磋琢磨しているので
ダラダラとしていられない。

という気持ちが働いて
目的意識も高まるのでしょう。

一方
合格者,合格率が
伸び悩んでいる
法科大学院は

ゼミを組んで
部屋を借りても
お茶を飲んで終わっていたり
ダラダラとしゃべっておしまい
というように
その時間を無駄にしていて
勉強の質・量ともに
足りていない。

というように
法科大学院のレベル
そういった
“ 学生の質 ”
現れているような気がします。


以上
読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年11月7日月曜日

国民投票制度の危うさ


10月末に行われた
ハロウィーンがありました。
渋谷なんかは
盛り上がってましたよね。

それと少し前ですが
今年の夏にポケモンGOが発売され
その人気ぶりに驚嘆したところです。

これらのニュースを見て感じたのは
ひとつの方向に向いた
群衆移動の脅威です。


話は変わりますが
日本国憲法 において
国民投票は
憲法改正の場合に認められています。

( 96条1項 )


国民投票 とは
議員その他の公務員の選挙以外で
国民一般が行う投票です。

憲法改正の他には
最高裁判所裁判官の国民審査
( 79条2項 )
地方特別法についての住民投票
( 95条 )
国民投票であるとされています。

では
新たな法律を制定するとき
国民投票制度を
採用することができるのか?


と,いうと。

憲法では
代表民主制が原則
( 前文, 43条 )なので
明文の根拠なしに
直接民主制の制度である
国民投票制を
採用することはできない。


ただし
国民投票結果が
国会の意思決定のための
諮問的なものであれば
前文の
「 国政は国民の厳粛な信託による 」
とも合致するので
憲法とは矛盾抵触しない。


との考え方があります。


現在の制度は
有権者が国会議員を選び
国会が法律を制定していますよね。
( 間接民主制 )

でも
「 諮問的に国民投票してから
国会が法律を制定する 」

というような法律が制定されたら
怖いですよね。

国民投票したうえで立法した場合
国民全体から
お墨付きを与えた形での立法なので
その法律に対しての
批判が困難になります。


それと
法律なので
憲法改正と比べて
制定手続のハードルも低いです。


通常でしたら
各議院の総議員の3分の1以上の出席
( 56条1項 )
かつ,
出席議員の過半数の賛成で決まります。
( 56条2項 )


もしも
スターウォーズ
パルパティーン( 後の皇帝 )
のような
議員が出てきたら
恐ろしいですよね。

完全に “ 独裁 ” になって
帝国状態 になりかねませんよね。


冒頭のような行動で
自分たちが行っている
そのものの意味も分からず
周囲も見えていないような
状態にある国民が
動き出して投票行動したら
どうでしょう ― 。

民主主義の危うさを感じます―。


そんなことを,考えつつ
ハロウィーンやポケモンGOの
現象を見てしまうのですが・・・。


まあ
杞憂にすぎないでしょうね

(*⌒∇⌒*)

以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年11月1日火曜日

上告趣意 上告理由の検索


法情報検索 各論 3 判例検索 7

上告する際
刑事事件 の場合には
上告の理由を記載した 上告趣意書
民事事件 では 上告理由書
提出しなければなりません。
刑事訴訟法 第376条
(控訴趣意書)
刑事訴訟法 第414条
(控訴に関する規定の準用)
民事訴訟法 第314条
(上告提起の方式等)

上告審判決は
上告人が原判決に不服として
上告趣意( 刑事 )あるいは
上告理由( 民事 )にて提出した
理由についてのみ判断がなされ
裁判の争点
この 趣意書理由書
みられます。
刑事訴訟法 第392条
(調査の範囲)
刑事訴訟法 第414条
(控訴に関する規定の準用)
民事訴訟法 第320条
(調査の範囲)
従って
裁判所の判断プロセス
まず
上告趣意( 上告理由 )があり
それを受けての判断である
判決理由
そして結論たる
主文 となります。

ただし
判決書の記載の順番
主文
→ 判決理由
→ 上告趣意( 上告理由 )

となります。

なお
最高裁は法律審ですので
主文の後に
事実部分の記載はありません。

最高裁判所判例集では
上告趣意,上告理由が
省略されることなく掲載されます。

これに対してその他の資料では
これらが
省略されていることが多く
「裁判所ウェブサイト」
裁判例情報にも
「裁判所時報」 にも
上告趣意,上告理由は掲載されません。

さらに
上告審判決に至るまでは
一審および原判決の
問題点の経緯がわからないので
最高裁判所判例集には
第一審,第二審の主文および理由
併載されます。

この点について
「裁判所ウェブサイト」
裁判例情報では
第一審,第二審の主文
および理由の併載は省略され
審級相互のリンクもありません。


他方
有料データベース
LEX/DBLLI 等においては
審級のリンクや
PDF形式で全文収録された
判例集へのリンクにより
上告趣意および上告理由や
第一審,控訴審の主文および理由を
見ることができるものもあります。


有料データベースで
検索するにあたり
各社で一長一短があります。
そこで今回は
LEX/DB(TKC)
LLI について

昭和59年2月29日
最高裁第二小法廷・決定 
事件番号 昭和57年(あ)301号
(高輪グリーンマンション事件)

素材に比較してみます。

※ 検索日は 2016年11月1日です。

● 昭和57年(あ)301号 事件 - 裁判所Webサイト

LEX/DB(TKC)LLI では
著名事件名の
高輪グリーンマンション事件
検索できます。

フリーキーワードに
“ 高輪グリーンマンション ”と
入力すればヒットします。
同時に
裁判所選択で最高裁を選択すると
判例が絞り込めます。

これに対し
裁判所Webサイトの場合は
著名事件名での検索ができません。
しかし
GoogleやYAHOO!の検索サイトから
“ 高輪グリーンマンション事件 ”と
入力すると
裁判所ウェブサイトの
当該事件の判例が上位に出てきます。

次に
テキストページでは
LLI
上告趣意がカットされています。
ほとんどはそうなのですが
LEX/DB(TKC)では
この事件の場合
上告趣意も掲載されています。

当該事件のように
全文の長いものは
( 冊子体の頁数は 808頁あります。)
上告趣意の頭出しをするのに
苦労しますが
テキストページの場合は
検索窓を出して
“ 上告趣意 " と入力し
検索をかけるとよいでしょう。

LLI のテキストページでは
上告趣意はカットされていますが
PDFページ では
上告趣意が掲載されています。
PDFページ へは
画面の上にある「原典」ボタンを
クリックします。

しかし
これは LLI短所ですが
PDFページ では
上告趣意の頭出しができません。

長所 としては
テキストページから
「最高裁判所判例解説」が
直接リンク
(オプション)
されているので
判例から解説を見るのに便利です。

また
第一審,第二審の判決も
リンクされています。

※ テキストページ画面の上にある
「審級」等のボタン。

一方
LEX/DB(TKC)でも
PDFページ があります。
書誌のページから
第一審,控訴審の判決
および
最高裁判所判例集への相互リンク

あります。

LEX/DB(TKC)長所
PDFページからでも
上告趣意の頭出しができます。

※ PDF画面の右上の
「ブックマークボタン」

当該事件の場合
弁護人の上告趣意
( 上告趣意等1 ) と
被告人の上告趣意
( 上告趣意等2 ) の
両方とも,頭出しができます。


また
LEX/DB(TKC)
判例から
判例評釈等の文献を見る場合

「検索結果一覧」画面で 書誌 を選択し
「書誌」 画面の上部に
「判例評釈へ」のボタンがありますので
クリックすると
「判例評釈等一覧」の画面にとびます。

このように
データベースには一長一短があります
また
図書館ごとで契約が異なり
オプションで登載されている
データベースも異なりますので
それらの特性を知っておくと
効率よく調べられます。

ということで
上告趣意のデータベース検索について
書きましたが
上告趣意や上告理由のみを
プリントアウト
するには
頭出しができる
LEX/DB(TKC)がよいと思います。

ただ
画像の映りが
各社まちまちであり
画像に汚れがあるものや
少し斜めになっているものも
ありますので
神経質な方は比較の上
プリントアウトして下さい。

でも図書館で
上告趣意や上告理由を読むだけならば
直接
冊子体にあたって読んだ方が
手っ取り早いと思います。



※ 出典
最高裁判所刑事判例集 38巻 3号 479頁


以上
読んでいただき
ありがとうございました。

2016年10月26日水曜日

刑事裁判記録の閲覧

法情報検索 各論 3 判例検索 5

民事裁判記録の閲覧・謄写に対し
刑事裁判記録の閲覧・謄写は
どうでしょうか。

刑事確定訴訟記録の保管 については
第一審対応 検察庁 にて
保管しています。
刑事確定訴訟記録法 第2条1項

詳細については
第一審対応検察庁の
『記録事務担当者』
お問い合わせください。


● 刑事事件記録の閲覧・謄写
- 高松高等検察庁

http://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/h_takamatsu/annai/kiroku.html


刑事確定訴訟記録の閲覧 については
刑事訴訟法 第53条1項
(訴訟記録の閲覧)
および
刑事確定訴訟記録法 第4条1項
(保管記録の閲覧)
により
誰でも閲覧することができる
ことになっています。

さらに
刑事確定訴訟記録法 第9条2項
おいて
刑事参考記録について
学術研究のためなど
必要があると認められた者

閲覧を申し出ることができます。

しかし
プライバシー保護の観点など から
一般の人が閲覧するには
制約がかかることが多い
ようです。
刑事訴訟法 第53条2項
刑事確定訴訟記録法 第4条2項
刑事確定訴訟記録法 第6条

(閲覧者の義務)


刑事確定訴訟記録の謄写 については
法務省の 記録事務規程 第17条1項
より
保管検察官は
保管記録又は再審保存記録の閲覧を
許すときは
その謄写を許すことができる。

とされています。

● 記録事務規程 - 法務省
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji20.html
法務省トップページ
> 法務省の概要
> 各組織の説明
> 内部部局
> 刑事局
> 記録事務規程


では
係属中の事件記録の閲覧や謄写
どうでしょう。
刑事訴訟法 第40条
(弁護人の書類・証拠物の閲覧謄写権)
犯罪被害者等の権利利益の保護を
図るための刑事手続に
付随する措置に関する法律
第3条

(被害者等による公判記録の閲覧及び謄写)
第4条
( 同種余罪の被害者等による公判記録の閲覧及び謄写 )
により
被害者等と弁護人は
閲覧や謄写が可能

ですが
一般の人の閲覧・謄写はできません。

● 裁判手続 刑事事件Q&A
- 裁判所Webサイト

http://www.courts.go.jp/saiban/qa_keizi/qa_keizi_34/index.html
裁判所トップページ
> 裁判手続の案内
> 裁判手続 刑事事件Q&A
> 訴訟記録の閲覧及び
謄写とはどのようなものですか。


不起訴事件記録の開示 については
刑事訴訟法 第47条
(訴訟書類の公開禁止)により
原則非公開 ですので,
一般の人の閲覧・謄写はできません。

一方
被害者等の保護の観点 から
一定の事由 について,
被害者等,被害者等の法定代理人,
代理人の弁護士
には
開示を認めています。

・ 被害者参加対象事件についての
記録閲覧請求の場合。

民事訴訟等において被害回復のための
損害賠償請求権その他の権利を
行使する目的である場合。
および,このような場合に限らず
「 事件の内容を知ること 」等を
目的とする場合であっても
原則として閲覧を認めています。

・ 被害者参加対象事件以外の
事件についての
記録閲覧・謄写請求の場合。

民事訴訟等において被害回復のための
損害賠償請求権その他の権利を
行使する目的である場合に
閲覧を認めています。

詳細については
こちらをご覧ください。


● 不起訴事件記録の開示について
- 法務省

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji23.html
法務省トップページ
> 政策・施策
> 刑事政策
> 検察
> 不起訴事件記録の開示について


捜査中の刑事事件の捜査記録
ついても
刑事訴訟法 第47条
(訴訟書類の公開禁止)により
原則非公開 ですので
一般の人の
閲覧・謄写はできません。



まとめますと

一般の人の
閲覧・謄写ができるとされるのは

制約がありますが
刑事事件では
確定された訴訟記録のみです。


※ 参考文献

★ 証拠収集実務マニュアル
- 東京弁護士会法友全期会民事訴訟実務研究会 編 ぎょうせい 2009.9


★ 立証の実務 改訂版 証拠収集とその活用の手引
― 群馬弁護士会 編 ぎょうせい 2016.9



以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2016年10月21日金曜日

改憲論の効果


法律は抽象的に書かれているので
様々な解釈ができます。
上位の憲法は
もっと抽象的なので
さらに多様な解釈ができます。

改憲論の声が
上げられる昨今

マスコミで取り上げられるのは
いつも 憲法 第9条
ですよね。

なぜ
改憲論で問題になるのが
第9条のみで
他の規定は
問題にされないのかというと。

他の規定は
問題が起こった場合は
立法により
容易に解決を
図ることができると
考えられるからです。

それから
特にこの手の問題については
個人的思想や意見等を
それぞれ持っておられると
思いますので,
各人の見識に基づいて
ご判断されればよいと思います。


自衛隊の海外派遣・武器使用など
解釈論でそこまで可能ならば
別にわざわざ改憲する必要もなく
これからも今までのように
解釈で対応していけばよいのでは?

と,いうようになります。

また
内閣法制局
前に倣うことが慣例で無難ですし
それに
行政機関 ですから
立法府で決定されたものを
執行する機関なので
建前上率先して
改憲を唱えるはずがありません。

一方
改憲派の国会議員
立法府 に属しますので
第9条問題において
自衛隊の海外派遣・武器使用など
結論ありきの
苦しい解釈をするくらいなら
国民の合意を得て
改憲することが望ましい。
と,国会議員の職域を活かした
発言が出てきます。

司法 はというと
これは
国家統治の基本に関する
高度に政治性のあるものであり
司法が出る問題ではありません。

そうすると
改憲の是非 については
専門家にお任せ って
わけにはいかなくなるので
国民個人の判断が重大で
一人一人がしっかりした意見を
持つことが重要になります。


責任が重いですよね。


今の政権のことではありませんが
仮に
田中角栄,小泉純一郎 元首相のような
アジテーションに長けた
政治家が登場した場合
大衆は盲目的に
ついて行ってしまいます。


ヒトラー誕生のように
パワーはあるが
ひとつ間違えれば
国がとんでもない方向に
行ってしまう危険性があります。

今,田中角栄 元首相を
礼賛した本が
多く出版されていますが
今後
田中角栄的な政治家が
出てきたならば
また
マスコミは連日こぞって
引きずり下ろすでしょうね・・・。

小室直樹 先生 のように
ぶれなかった方 もおられますが。

テレビ,ラジオ,新聞や
ウェブサイトなどの各メディアは
マインドコントロールや
大衆煽動のツールにもなるし
教養を身につけるための
ツールにもなります。

両刃の剣 ということです。


それから
選挙権も18歳に引き下げらましたが
それにともない
学校教育の見直しも考えられますね。


ところで,
最近の安倍政権の情勢 をみると
今回
幹事長 に 二階俊博 氏
据えました。
これは,党内バランスを取り
対中問題を
安定させることなのでしょう。
それと,寝技もやるぞ
という,メッセージにもなるしね。

外交問題
アメリカが混乱しているうちに
対中,対露関係を
進展させたいでしょう。

また
野中広務 氏 の復党 により
二階俊博 幹事長 同様
海千山千の親中,ハト派の
重鎮の顔が見える
ことで
イメージ的に自民党・安倍内閣の
バランスがとれて
安定してきたようにも思えます。

つまり
外交について
政府と党の姿勢を
人事でメッセージを送っている
ということでしょう。

だから,中国はすぐに
今度の政府が
どう出て来るのかを探りに
尖閣諸島周辺に船を航行させて
試してきますよね。

このような
党と内閣の人事のバランスなどから
政権運営を見れば
安倍首相は
本気で今,改憲なんかするとは
思ってませんよ。

ただ
国民に対して,憲法に関心を向け
主権在民を問うた
とはいえるでしょう。


以上のような
動きから判断すれば

憲法改正をするしないにかかわらず
それを契機に
国民主権について
国民の政治的意思決定の重要性など
国民個人の政治への意識を高めることや
憲法,さらには教育問題
メディア・リテラシーなどに至るまで
色々なことを見直したり
問題提起したりして
国民一人一人が考えを深めることは
よいことだと思います。


最後に
今回のテーマに関連する
本を紹介します。


★ 比較のなかの日本国憲法 (岩波新書 黄版 95) / 岩波書店

★ 「主権者教育」を問う (岩波ブックレット) / 岩波書店

★ 国民代表の政治責任 (1977年) (岩波新書) / 岩波書店

★ 群衆心理 (講談社学術文庫) / 講談社

★ 公衆とその諸問題 - 現代政治の基礎 (ちくま学芸文庫) / 筑摩書房

★ たのしいプロパガンダ (イースト新書Q) / イースト・プレス

★ テレビ的教養 (日本の“現代”) / エヌティティ出版

★ 田中角栄の呪い - ”角栄”を殺すと 日本が死ぬ (カッパ・ビジネス) / 光文社


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月11日火曜日

判例時報 と判例評論


法情報検索 各論 4 文献検索 3

講義で紹介された文献や
レジュメに記載されている
参考文献について
よく尋ねられるもののうち
『 判例評論 』 の所蔵
についての質問あります。

まず,
『 判例評論 』
についてですが

『 判例評論 』 は
単体の雑誌ではありません。


『 判例時報 』の 毎月1日号
「 別冊 」 のような形で
『 判例評論 』 が付いて いて
毎号5~10件の記事が記載されています。
つまり,付録です。

『 判例時報 』と『 判例評論 』には
それぞれ 別の号数 がついています。


また,
『 判例評論 』 には
『 判例時報 』本体との
通しページ数 と,
『 判例評論 』 独自の
ページ数 の
2種類のページが表記

されています。

これらが,ややこしく
わかりにくくさせる
理由のひとつです。


データベースでの検索 では
例えば
TKCの場合
「 評釈等所在情報 」
【 判例評論530号16頁
( 判例時報1809号附録 178頁 )】

といったように
『 判例評論 』 と『 判例時報 』 の
号数とページ数が
併記されています。


他方,
LLIの場合
「 評釈論文 」 には
【 判例評論530号16頁 】

『 判例評論 』 の
号数とページ数のみの記載 に
なっていて
『 判例時報 』 の
号数とページ数が
併記されていません。


したがって,検索対象により
データベースの選択が重要です。


無料のデータベースで
検索するならば
『 国立国会図書館サーチ 』 からの
『 NDL雑誌記事索引 』
無難でしょう。

● 国立国会図書館サーチ
http://iss.ndl.go.jp/


判例時報社のWebサイト が
http://hanreijiho.co.jp/

2016年5月9日より
新規公開されましたので,
バックナンバー等の項目から
『 判例評論 』 の検索も
しやすくなったのかな?
と,期待をしていたところ

『 判例評論 』 の号数は
出ていませんでした。
( 2016年10月11日 現在 )
・・・ 残 念 ・・・


これはまあ,「 索引号 」
買ってください。
ということでしょうね。


ということで,
昔ながらの一般的な検索方法で行うには
「 索引号 」 を活用します。

1000号ごとに発行される
臨時増刊 『 判例時報総索引 』 には
『 判例評論 』 の索引
含まれています。

また,各年の「 3月1日号 」にも
だいたい,35号分程度まとめた
「 総索引 」 が
『 別冊付録 』 として付いてきます。


図書館の製本された
『 判例評論 』を調べるには
各図書館で製本する際に
図書館ごとの方法により
『 判例時報 』と『 判例評論 』 を
別々に製本していることがあります。

もし,
目的のページが抜けている場合には
別に製本された『 判例評論 』 に
掲載されていることも考えられるため
そちらも確認したほうが
よいでしょう。

なお,当然ながら
欠号のこともあります。

最後に,もうひとつ
頭に入れておいてほしいことは

引用論文を探す場合,
出典表示に
『 判例時報 』 ○号○頁 と
なっていても,
実際には
『 判例評論 』 に
掲載されている場合があります。
号数,ページ数の表示方法も
著者により出典表示は
まちまちということに
留意しておいてください。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月10日月曜日

判例時報のデータベース化


法情報検索 各論 4 文献検索 2

「 判例時報 」
全文はデータベースで
見ることができますか ?


との質問がよくあります。

回答は,
「 判例時報 」 の全文は,
今のところ
データベース化されていません。

( 平成28年10月10日 現在 )


判例時報社 の Webサイト
については
2016年春より,ようやく
新規公開されました。

『 判例時報 』 の最新刊や
バックナンバー情報を中心

お知らせをするそうです。
(2016年5月9日 Webサイトにて公表)

● 株式会社 判例時報社
http://hanreijiho.co.jp/


これは,あくまでも伝聞にすぎず
裏取りしたわけでもないのですが。

判例時報社は
前社長の目の黒いうちは
データベース化しないし
Webサイトも作らない
という様なことを
聞いていましたが・・・。

2016年春より
Webサイトの新規公開 !

「 ん? 」
何か大きい変化???

そして,
判例時報社Webサイト より
2016年9月23日 公表
代表取締役社長 下平健一 の
死去ならびに新役員体制のお知らせ。

去る平成28年7月3日に
弊社代表取締役社長
下平健一が死去致しました
(享年80歳)。

との,発表。
http://hanreijiho.co.jp/wordpress/news/%E5%BC%8A%E7%A4%BE%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E5%8F%96%E7%B7%A0%E5%BD%B9%E7%A4%BE%E9%95%B7%E4%B8%8B%E5%B9%B3%E5%81%A5%E4%B8%80%E3%81%AE%E6%AD%BB%E5%8E%BB%E3%81%AA/


今後は,新体制にもなり
「 判例時報 」 もデータベース化
するんですかねぇ・・・?

今後の動向が注目です。


まあ,それはそれとして

前社長・下平健一 様の
ご冥福をお祈りいたします。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年8月10日水曜日

教養とは何か


法学(憲法学)の勉強において
度々聞く格言で

『憲法学を勉強するには 苦学せよ』

とあります。

語(五) 学 と 史(四)学 を
あわせて 苦(九)学

ということです。

この格言が誰の言葉であるかは
美濃部達吉 先生 とも
清宮四郎 先生 とも
言われていますが
はっきりした出典は
わかりませんでした。

つまり
語学ができなければ
人とのコミュニケーションや
文献等を通して
空間を超えた制度や文化の比較が
困難です。

また
史学がわからないと
対象のものが
いつ,どういう経緯で
成立したのか
その背景がわかりません。

この格言に,さらに付け加えるならば

語(五)学 + 史(四)学
= 苦(九)学


が重要といわれますが
そうすると
算術,つまり 数学 も重要 ですね。

要は語学や史学で
空間や時間から見聞を広め
数学や化学,物理,生物学等で
論理的思考を身につけ
科学的実証に基づき
真理を探究することができます。

つまりこの格言は
基礎知識となる教養の上に
専門が成り立つ
ということを
例えた言葉です。

「教養」 の言葉の意味は
色々と解釈されますが
先述の 「教養」 とは
「リベラル・アーツ主義」
意味での教養です。

リベラル・アーツ
近年の大学において
使われる意味は
大学で誰もが身に付けるべき
基礎教養的分野のことです。


大学に 教養課程 が置かれるのは
ドイツ教養主義
影響を受けています。

教養
知的階級 として必要な
知識や文化的素養で
その 共通の素養 を身につけることが
大学教育というわけです。

こう考えると
昔の 岩波新書
「~ 入門」とか言いながら
なんか小難しくて
ある程度
教養のバックグランドがないと
読みこなせないというのは
このような背景が
あったからでしょう。

その反面
自分が知識を得ていくに従い
読めば読むほど味が出て
深みを感じる名著も多数あり
今日においても
版を重ねて
読み続けられている本も
多くありますよね。

でも
最近出版されている岩波新書は
昔のものに比べると
マイルドになったような
気がしますが
岩波新書の格は保たれていると
思います。

まあ
「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」
なんていう本は
岩波的ではないでしょうね。

別にこの本の批判ではなく
この本には
この本の良さがありますから
趣味・娯楽として読み
雑多な情報を仕入れるには
『 知 』としてこういった本も
十分ありだと思います。


それから例示として
すぐにこの書名が
挙がるということは
タイトルにインパクトが
あるからでしょう。

話しを戻して
リベラル・アーツ とは
元来
学問により教養を身につけ
人を自由にする
という意義があったそうです。

特に フランス では
教養教育は
市民教育の一環で
成熟した市民になることに
主眼が置かれています。


やはり
自分たちが勝ち取って
作り上げた
先発的民主主義国家


先発的民主主義国家の
後を追って 作られた
後発的民主主義国家
の違いが
思想に現れていますね。

イメージとして
市民が国家を支え
下から持ち上げる感じの
先発的民主主義国家

君主が
上から国家を引っ張り上げる
感じの
後発的民主主義国家
といったところでしょう。

お上にお任せの日本においては

フランスの感覚というものは
持ち合わせていないでしょう。

だから市民感覚も全く異なるので
フランスの模倣は
ちょっと難しいのでは
ないでしょうか・・・。


※ 参考資料

★ 教養主義の没落 - 変わりゆくエリート学生文化 (中公新書) 竹内 洋 著

★「教養」とは何か (講談社現代新書) 阿部謹也 著

★ 移りゆく「教養」 (日本の “ 現代 ”) 苅部 直 著 / NTT出版

★ リベラル・アーツとは何か - その歴史的系譜 大口邦雄 著 / さんこう社

★ 怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか (新潮新書) 黒川伊保子 著

★ 山折哲雄×鷲田清一 (その2)
『 教養をめぐる、経済界トップの勘違い 』
東洋経済 ONLINE 〈 2013年9月10日 〉

http://toyokeizai.net/articles/-/19212
( アクセス日 : 平成28年8月10日 )

★ 山折哲雄
『 日本人としての教養 - 次世代に継承したいこと 』
東洋経済 ONLINE 〈 初回 2013年9月3日 〉

http://toyokeizai.net/category/118?page=2&per_page=15
http://toyokeizai.net/category/118?per_page=15
( アクセス日 : 平成28年8月10日 )


以上
読んでいただき
ありがとうございました。

2016年5月23日月曜日

裁判所 事件記録符号の読み方


法情報検索 各論 3 判例検索 6

★ 今回の主要リンク

◆ 判例の事件記録符号 - 西南学院大学図書館
http://www.seinan-gu.ac.jp/library/support/archive/code.html

今回は,
裁判所の事件番号の読み方 について
ご案内します。

訴訟の申立てにより
訴状が受け付けられると,
事件番号 が付与されます。
東京簡易裁判所
平成28年 ( ハ ) 第14号

と,いったもので,
審級裁判所ごとに,
事件の種類を表す
符号が定められています。

事件を受理した
裁判所名,
訴えが提起された年,
「 ハ 」 の符号
簡易裁判所
民事通常訴訟事件 を表し,
民事事件カタカナ
刑事事件ひらがな
表記されます
番号 ( 14号 ) は,
それぞれの事件を受理した裁判所が,
符号ごとに,
年初めに1号から順番に
付与 していきます。

この標記の場合は,
東京簡易裁判所で,
平成28年に受付された,
14番目の
民事通常訴訟事件 を
表します。


刑事事件 ですと,
こうなります。
東京簡易裁判所
平成28年 ( ろ ) 第14号

東京簡易裁判所で,
平成28年に受付された,
14番目の公判請求事件 を
表します。


同じ裁判所で
同一番号の存在はなく,
この番号で記録文書を
管理しているため,
訴訟記録の
閲覧・謄写をする場合などで,
裁判を特定するために
事件番号は
知っておくべき重要なデータです。

この 符号 については,
「 民事事件記録符号規程 」,
「 刑事事件記録符号規程 」 など

最高裁判所規程 によって
定められています。
事件記録符号を,
調べる場合は,
裁判所の公式サイトで
調べることができます。

① 各判例について - 裁判所 
http://www.courts.go.jp/picture/hanrei_help.html
裁判所トップページ
> サイト内検索で,
各判例について と入力
> 各判例について

注意 )
このサイトでは,
最高裁判所判例集などに
掲載された
判決等に対応する趣旨で
掲載されているので,
民事調停や即決和解などの
符号が抜けています。

その他のサイトでは,
次のようなサイトで
検索ができます。

② 裁判所の事件記録符号一覧表 - 広島大学法学部 平野敏彦
http://home.hiroshima-u.ac.jp/hirano/nyumon/fugo2005.htm

★ Googleからの入力は
Google > 事件記録符号一覧

③ 判例の事件記録符号 - 西南学院大学図書館
http://www.seinan-gu.ac.jp/library/support/archive/code.html

【 注: □ = スペース 】
★ Googleからの入力は
Google
> 事件記録符号 □ 西南


事件記録符号に関して,
司法試験受験生は,
「 判例百選 」
勉強していますので
百選の号数にもよりますが,
最終ページ
事件記録符号
出ているので,
問題はないと思います。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。